10/4 清水戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.10.03

10/4 清水戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<前節  横浜F・マリノス戦のレビュー>

3試合連続無失点での3連勝という状況で迎えた一戦。指揮官、選手たちは「目の前の試合に集中したい」と口を揃え、連勝時と同様に臨機応変な対応を掲げていたが、序盤から果敢にプレスを仕掛けてくる相手に圧されてしまい、思うように持ち味を発揮できない。 

試合前にはボール保持率を高めつつ、シンプルに裏のスペースを狙う作戦を練っていたが、相手が中央を固めてきたことに加えてパスの出どころへのプレッシャーが強くなったこともあり、前半はビルドアップが難しくなるだけでなく、良い形でロングボールも供給できない時間が続いてしまう。

前半アディショナルタイムに先制を許したかと思われたが、これはVARのサポートでオフサイドと判定されてノーゴールに。このままスコアレスで前半を折り返した。


迎えた後半、東京に思わぬ展開が待っていた。立ち上がりこそ積極的なプレーを見せていくが、後半6分にクロスボールから先制を許すと、同14分、同17分にも同じような形から失点。久々にゴールネットを揺らされたことで動揺したのか、わずか11分間で3点を奪われてしまう。

熱い応援を続けてくれるファン・サポーターに何としても意地を見せたい東京。後半44分にアレクサンダー ショルツ選手のフィードに抜け出した山下敬大選手がシュート。このこぼれ球に室屋成選手が詰めると、最後は高宇洋選手がねじ込み、反撃の狼煙を上げる。さらに後半アディショナルタイムにはドリブルで仕掛けた野澤零温選手が倒されてペナルティキックを獲得。これをショルツ選手が冷静に沈め、ついに1点差へと詰め寄った。

その後も青赤が猛攻を仕掛けたが、試合はここでタイムアップ。0-3から2点を返すも届かず、連勝、無失点ともに3でストップ。ホームで悔しい敗戦となった。


<今節のプレビュー>

連勝と無失点が3でストップし、リスタートとなる清水エスパルスとの明治安田J1リーグ第33節。松橋力蔵監督は前節の横浜F・マリノス戦で11分間に3失点を喫したことを受け、今節に向けて守備対応の部分にフォーカスしたトレーニングを落とし込んだ。

東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、アビスパ福岡と3試合連続で1-0の完封勝利を収めた試合では、ゴール前での身体を張った守備と機を見た判断が光っていた。うまくいかない時間帯でもしっかりと耐えながら流れを引き寄せることで、粘り強く勝利を手繰り寄せることができていた形だ。

しかし、前節はチームとして久々に失点を喫したことが響き、攻撃面で思いどおりに攻めることができなかったこともマイナスに作用して、短時間で同じような形でクロスボールから崩されて失点を重ねてしまった。この時間帯について松橋監督が振り返る。

「失点に関しては集中力や一回締めるような全体のアラートさが薄く感じた。攻撃のところでリハーサルしていたようにうまくいかない部分が出た時に、次にどう手を変えていこうかというところが、僕の促しも含めて薄くなってしまったところがあった。我々のパワーやエネルギーを出し切れなかったゲームだった」


今シーズン、守備面で課題になっていたクロスボールの対応をまたも露呈する形になってしまったとも言える。チームとしては得点をとることができているからこそ、しっかりと課題にフォーカスし、潰していくことで勝利の可能性を高めていきたい。

守護神のキム スンギュ選手は「(前節は)全てクロスボールからの失点だった。次の清水もサイド攻撃が多いので、最終ラインの高さやポジショニングを守備陣で話しながらしっかりと準備することができた」と課題解決に向けて修正点を語る。

対する清水はここまで東京と同じ勝点40、10勝10分12敗の11位につける。前節はヴィッセル神戸を相手に終盤で手痛い逆転負けを喫したが、そこまではリーグ戦5試合無敗、3試合連続無失点という好調さを見せていた。チーム状況としては極めて東京に近く、彼らも上位浮上に向けてリスタートのゲームとなる。


そういった立場を含めて松橋監督は「(清水とは)勝点も一緒ですし、ここでどちらが上にいくのか。そこへどん欲にならなくてはいけないですし、前節の横浜FM戦は彼らのほうが勝点に飢えていたと考えれば、今節もどちらがそういう気持ちを強く持てるかがポイントになる。飢えている人間のほうが、それを勝ち得る部分がある。まずは自分の今持っているものを本当にしっかり出し切るというところだと思います」と勝負の機微を語る。

その想いは選手たちも同じだ。森重真人選手が「何が何でも勝ちたい」と話せば、小泉慶選手は「最終的には局面のバトル。ずっと試合に出ている選手も出ていない選手も関係なく、みんなが良い準備をして臨みたい」とコメント。そしてスンギュ選手は「次はゼロでいきたい」と無失点に意欲を見せる。

味の素スタジアムでの前回対戦は0-2で敗戦。ゴールを許した乾選手は、今回もしっかりと封じなければならないキーマンだ。日本代表でともにプレーした長友佑都選手は彼に警戒をしながら、チームとしての対応をカギに挙げる。

「2018FIFAワールドカップロシアでも左サイドでコンビを組んで、あれほどやりやすかった選手はなかなかいないというくらい、本当に良い選手。守備も攻撃も本当に頭が良くて、ポジショニングが良くて、人の使い方がうまくて、なおかつ自分も(仕掛けて)いける。相手にすると、とにかく厄介。相手の嫌がるプレーを常に選択できることが本当に彼の才能だなと。裏が怖いんだったら走るし、降りてきて足下で受けたほうが良いのか、それともライン間で受けるのかという判断やセンスが抜群。とにかく僕一人でどうにかするというより、やっぱりチームとしてマークを受け渡したりしながら彼の動きに対応したい」


良い守備から良い攻撃を心掛けていくことは変わらない。チーム全体が連動しながら勝負どころを見極め、気持ちの入ったプレーで先手をとりながら相手の持ち味を消していく。原点に立ち戻って積極的にチャレンジしていくことで勝利は近付くはずだ。まさにこれまでの積み上げが問われるような試合となる。

なお、チームとしては5月25日に行われた第18節サンフレッチェ広島戦以来のデーゲーム。指揮官は「条件は相手も同じ。そこは特に強調しすぎず、前半から良い入り方をして全員で共通認識と臨機応変さを持って戦いたい」と、仕切り直しの試合に向けて意気込みを語った。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、前節の横浜F・マリノス戦では、11分間で3失点という結果になりました。その点をどのように振り返りますか。
A、失点に関しては、多少なりとも集中力やチーム全体で一度気を引き締めるような注意深さが欠けていたと感じます。それはベンチも含めてですが、そうした意識が希薄になっていたと思います。その裏返しとして、攻撃面での課題も挙げられます。練習で準備してきたことは意識していたものの、それがうまくいかなかった時に、次にどのような手を打つかという点において、私の促しも含めて対応が不十分になってしまいました。自分たちのパワーやエネルギーを出し切れなかったことが敗因だったと思います。

Q、清水エスパルスの印象はいかがでしょうか。
A、守備が堅いという印象があります。試合序盤からしっかりとボールにアプローチし、相手を揺さぶり、サイドからの攻撃や、そこから得たセットプレーを得点に繋げることで、良いゲームを展開できている印象です。後半になるとパフォーマンスが落ちる試合もあったので、そこだけが狙い目ではありませんが、やはり前半から自分たちの力を発揮していかなければいけない相手だと考えています。

Q、連勝が止まってしまったことも含め、今週は選手たちにどのようなことを伝えましたか。
A、継続していくことです。前節の失点という課題には、選手全員がしっかりと向き合っています。そうした課題を次の試合で出させないように、少しでも潰せるように、選手たちは最初からしっかりと準備をしてくれると思っています。

Q、そのなかで、特に強調したことを教えてください。
A、清水の守備に関しては、前半は前からプレッシャーをかけてくることが予想されるため、それに対して我々がどうすべきかという攻撃の整理を行いました。我々が押し込み、相手が引いている状況では、もう少しシンプルな形も必要になります。守備については、チーム全体で共通認識を持つことを徹底しました。我々がピンチを招くとすればどういう状況かということを想定し、それに対するトレーニングも積んできました。

Q、選手の表情や雰囲気はいかがでしたか。
A、非常に良い切り替えをしてくれて、今週は本当に良いトレーニングを積むことができました。サッカーの結果は、本当にどちらに転がるか分からないものです。たった一つのチャンスで勝つこともあれば、優勢に進めていても勝てない試合もあります。90分のなかで起こる様々な状況を、まずはしっかりと受け入れることが大切です。その上で、最後まで諦めずに戦うことが、最終的に勝利を得る可能性を高くすると思っています。勝者は、諦めない姿勢や、チャレンジ精神を決して失わないメンタリティを持っています。そうした気持ちをチーム全体で常に持たなくてはいけないと考えています。


[選手インタビュー]

<アレクサンダー ショルツ選手>


Q、前節の横浜F・マリノス戦の後には、自分たちの流れを掴めなかったと言っていましたが、試合開始から流れを掴むためには何が必要になりますか。
A、前節は、良くない守備から失点をしてしまいました。ディテールのところで避けられた失点だったと思っています。チーム全体としても試合開始からエンジンがかかるのが遅かった印象もあります。Jリーグ全体をとおして、前半はコンパクトで難しいですが、後半になるとスペースも空いてオープンな試合展開になることが多くあります。清水エスパルス戦では、チーム全体でもう少し我慢しながらプレーすることを意識すれば、流れを掴めるきっかけがくると思います。

Q、清水の印象はいかがでしょうか。
A、清水は良い調子でシーズンを進めてきていると思っています。IAIスタジアム日本平もとても素晴らしいスタジアムですし、過去にプレーした時も、スタンドとの距離も近く、いつもとは違う雰囲気なので、いつも難しい試合になっていた印象があります。清水にはとても高いクオリティを持った選手も多くいますが、チームとしてもしっかりと対策をしているので、試合を迎えるのが楽しみです。

Q、清水は前線からプレスをかけてくるチームですが、どのようなことが大事になると思いますか。
A、前半からかなり高い位置でプレスをかけてくると思います。我々がボールを持った時のコンビネーションが重要になります。相手のやりたいことをさせずに、自分たちのやりたいサッカーをできるように、準備をすることが大事になると思います。

Q、ここで連敗をしないことが重要になると思います。
A、横浜FM戦で負けてしまっているので、そのような話が出てくるのは当然ですが、その前に3連勝しています。なので、個人的には連敗をしないということを意識するよりも、良い試合をすることを考える方が大事だと思っています。


<マルセロ ヒアン選手>


Q、横浜F・マリノス戦は良い形でボールが前線に入らない試合だったと思います。
A、タイトなマークもあり、思うようなプレーができなかったことは事実です。狙いとしていた形でボールがもらう回数も少ないゲームでした。私を含め、前線の選手が相手の守備陣に対して仕掛けるアクションが少なかったことが大きな理由だと思います。

Q、今節の清水エスパルスも堅い守備を武器とするチームです。
A、相手の守備の仕方やどのようにプレスをかけてくるのかをしっかりとチームとして理解し、ピッチ上で共通理解をもって連携しなければいけません。どのような対策が必要かを含めて、今週は良いトレーニングができた手応えがあります。明日の試合で、勝利につながるパフォーマンスを発揮するだけです。

Q、明日の試合で意識しているポイントを教えてください。
A、試合が始まった瞬間から集中力を高く保って、相手の狙いやポジショニング、守備の掛け方を意識しながら、スキを突いていきたいです。一番大事なことは、いち早く相手のウィークポイントを見極めて、得点につなげることだと思っています。

Q、清水との前回対戦では0-2で敗れています。
A、リーグ前半戦の試合では、相手の良さを私たちが上回ることができず負けてしまった相手です。やられてしまった分は、勝利で取り返すしかないと思っています。勝点3という結果で示して、みんなで喜びを分かち合いたいです。