10/4 清水戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.10.04

10/4 清水戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>  

連勝ストップから立て直しを図るリスタートの一戦。インターナショナルマッチウィークを控えたタイミングで青赤軍団がアウェイの清水エスパルス戦に挑んだ。

前節の横浜F・マリノス戦は、わずか11分間で3失点を喫して敗戦。序盤から狙いどおりの攻撃が展開できなかったことでバランスを崩して失点を重ね、終盤に2点を奪って盛り返すも届かなかった。その教訓を糧に難しい時間帯でも焦れず、果敢な姿勢を打ち出しながら臨機応変なサッカーで勝利を手にしてポジティブな流れで中断期間に入りたいところだ。

東京のスターティングイレブンは前節から4人を変更。ゴールキーパーは10月シリーズで韓国代表に選出されたキム スンギュ選手、センターバックは森重真人選手と土肥幹太選手が4バックでは昨シーズン8月に行われたアウェイのサンフレッチェ広島戦以来となるコンビを編成した。サイドバックは右にSAMURAI BLUE入りを果たした長友佑都選手、左に室屋成選手を配置し、清水が得意とするサイド攻撃の封じ込みを狙う。また、ボランチは高宇洋選手と小泉慶選手が並び、アタッカーは右に遠藤渓太選手、左にマルコス ギリェルメ選手を起用。そしてマルセロ ヒアン選手と佐藤恵允選手が2トップを組む布陣で臨むことになった。また、天皇杯ラウンド16で負傷交代していた白井康介選手が約2か月ぶりにベンチ入り。試合前のメンバー紹介では青赤のゴール裏から拍手が送られた。

この試合はグレーカラーのSpecial Kitを身にまとって戦うことになった。10月からアウェイの3試合で着用する特別企画の一試合目。勝点40で並ぶ清水に対してしっかりと結果を出し、好スタートを切りたいところだ。

1stHALF—立ち上がりから相手ゴールに迫るも決定力を欠く

試合は立ち上がりから東京がアグレッシブな入りを見せる。攻守にわたって前向きにプレーすると、前半3分には高い位置でボールを奪って佐藤選手、マルコス選手から右サイドへ展開。遠藤選手の折り返しは相手ゴールキーパーに止められてしまったが、ゴール前にも複数選手が詰めるなど積極的な入りを披露していく。


その後も東京の攻勢は続く。前半8分には佐藤選手の縦パスからヒアン選手が振り向きざまのシュート。さらに同9分には遠藤選手の鋭いスルーパスから長友選手が全速力で抜け出し、エリア内の動きをしっかりと見極めてマイナス方向にグラウンダークロスを送る。ここに後方から走り込んだヒアン選手が右足で狙ったが、至近距離でゴールキーパーに防がれてしまい、完璧な崩しをゴールにつなげることができない。

前半15分には前線からプレスを仕掛けたヒアン選手が高い位置で奪って持ち運んだが、並走していた佐藤選手へのパスが少し流れてしまい、フィニッシュに持ち込めず。惜しいシーンが続きながら決めきれない時間帯が続いているだけに、早くネットを揺らして先制点を奪いたいところだ。

崩しから決められなければ違う策を講じるとばかりに、遠藤選手が中距離からミドルを狙う。一発目は相手にブロックされたが、前半20分には右足で強烈な一撃を見舞っていく。また、同23分にはヒアン選手からマルコス選手へつないで左サイドを崩し、この折り返しを高選手がダイレクトシュート。しかし、完璧なタイミングで放った背番号8の右足もゴール左に外れてしまう。


思いどおりに得点を決められず、相手のプレスを受けてビルドアップに乱れが生じるなど、少しずつ清水に主導権を奪われる東京。前半34分には相手の右サイドをフリーにさせてしまい、吉田選手の鋭い左足のクロスボールをファーサイドで髙橋選手に頭で押し込まれて失点。警戒していたサイド攻撃でワンチャンスを決められ、悪い流れがそのままスコアに直結してしまう展開となってしまった。

まずは同点に追いつきたい東京。前半44分にはハイプレスの流れからボールをダッシュしてヒアン選手が持ち上がり、右サイドから入ってきた遠藤選手へパス。これをワンタッチでゴール前に送ったが、マルコス選手に渡る直前でゴールキーパーにキャッチされて得点には至らず。

前半はこのまま1分間のアディショナルタイムでも試合を動かせず。開始から大半の時間帯で主導権を握りながらも決定力を欠き、一瞬の隙を突かれてリードを奪われるという悔しい展開でハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—相手の圧力に耐え、少ない好機を得点につなげる

ふたたび集中した立ち上がりから流れを引き寄せ、試合を振り出しに戻していきたい後半。東京がボールを握りながら押し込み、崩しどころを探る展開となる。

しかし、思うように攻撃の形を作り出せない東京は後半16分、マルコス選手、遠藤選手に代えて俵積田晃太選手、野澤零温選手を投入。攻撃の活性化を期待してサイドのアタッカーを入れ替える作戦に出た。

この選手交代がいきなり東京にチャンスをもたらす。後半18分、俵積田選手が左サイドからドリブルでカットインして縦へスルーパス。これに高選手が抜け出してゴールキーパーと交錯し、ルーズボールを佐藤選手がシュート。このこぼれ球を拾った長友選手が右足で弾丸ミドルを放ったが、強烈な一撃はわずかにゴール左に外れてしまう。

その後、清水にボールを保持される時間帯もあったが、後半28分に素早い連携からビッグチャンスを生み出す。長友選手の長いグラウンダーの縦パスを佐藤選手が落とし、前向きで受けた高選手が裏のスペースへスルーパス。これにヒアン選手が鋭く抜け出したが、ボールタッチが長くなりシュートには持ち込めない。


そして後半31分、良い形でチャンスを作ってきた東京に待望の同点弾が生まれる。森重選手のロングフィードに中央に抜け出した俵積田選手が収め、このパスを受けた佐藤選手がワンフェイントから力強く右足を振り、ニアサイドを撃ち抜くゴール。ゴールに飢えていた背番号16が実に約3か月ぶりとなるリーグ戦での得点をマークし、試合を振り出しに戻すことに成功した。

後半42分には森重選手に代えて約1か月半ぶりの出場となる岡哲平選手をセンターバックに、同点弾に加えて前線からのハードな守備とビルドアップへの参加で貢献していた佐藤選手に代えて山下敬大選手をピッチに送り出す。

攻撃の手を緩めずに勝ち越しを狙う東京は、前線から追い込む守備と鋭いカウンターで相手陣内に攻め込んでいく。6分間と表示されたアディショナルタイムには立て続けにコーナーキックを奪い、試合を決めにかかる。だが、それでもネットは揺らせず。90+4分には松崎選手のシュートが右ポストを叩き、同+5分にはコーナーキックの流れから住吉選手のヘディングが右ポストをかすめるなど、最後まで一進一退の攻防が続く。

結局、試合はこのままタイムアップ。前半の決定機を逃したことが響き先制点を許す展開から、選手交代で活性化した流れで同点に追いついたが、アウェイでの一戦は1-1という勝ちきれない結果に終わった。


MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK キム スンギュ
DF 室屋成/森重真人(後半42分:岡哲平)/長友佑都/土肥幹太
MF 高宇洋/遠藤渓太(後半16分:野澤零温)/小泉慶/マルコス ギリェルメ(後半16分:俵積田晃太)
FW 佐藤恵允(後半42分:山下敬大)/マルセロ ヒアン

SUBS
GK 波多野豪
DF エンリケ トレヴィザン/白井康介
MF 東慶悟
FW 仲川輝人

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
後半31分:佐藤恵允

<清水エスパルス>
STARTING Ⅺ
GK 梅田透吾
DF 住吉ジェラニレショーン/キム ミンテ/蓮川壮大
MF 吉田豊(後半38分:高木践)/弓場将輝(後半22分:宇野禅斗)/マテウス ブエノ/山原怜音
FW 小塚和季(後半22分:松崎快)/髙橋利樹(後半28分:北川航也)/乾貴士(後半38分:矢島慎也)

SUBS
GK 沖悠哉
DF 羽田健人
MF カピシャーバ
FW アルフレド ステファンス

MANAGER
秋葉忠宏

GOAL
前半34分:髙橋利樹


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、試合の総括をお願いいたします。
A、前半で勝負を決めることができたと思っています。試合の勝敗を決定付ける可能性が前半にはありましたし、チャンスで決め切れなかった部分がその後の流れを大きく変えてしまいました。ただ、後半に巻き返そうという狙いがありつつも、相手のペースで進んでしまいました。最終的にはポストに救われた部分を含め、ピンチを何度か凌ぎ、得点の場面やその後のチャンスにつなげられたことは、選手も頑張ってくれたと思います。この勝点1を意味のあるものにするために、今後につなげていきたいと考えています。

Q、同点ゴールを決めた佐藤恵允選手の思い切りの良いシュート、チームへの貢献度をどのように評価されますか。
A、打った瞬間、僕の見ていた角度からも入ったと思いました。やはり迷わず打っていくことも大事だと思います。彼の気持ちが乗り移って、ネットを揺らしたと思います。彼は本当に献身的な選手で、多くのポジションでプレーできる気概のある選手でもあります。ただ彼がどこで活きるかというところは、常に相手を見ながら、彼のパフォーマンスを見ながら采配や起用をしなくてはいけないと思っています。

Q、得点の一つ前のプレーで、俵積田晃太選手が足元ではなくて相手の背後を取ったプレーが、得点につながりました。
A、彼には、特長を活かしてしっかりと背後も狙うようにと伝えていましたし、スピードがある選手ですし、非常に良いスペースのとり方をしてくれました。彼は足元でボールを受けた後の仕掛けが大きな武器であり、そのことはおそらく我々だけではなく、相手の全員も分かっています。その状況で、逆をとることができた。自分の良さと、その裏側にあるもののどちらが効果的かをジャッジできたことが、あのプレーに繋がったと思います。終盤の息の上がる時間帯ではありましたが、しっかりと精度を出したプレーが得点に繋がったことを嬉しく思います。

Q、クロスボールの対応が課題というなかで、今節も失点につながってしまいました。
A、クロスボールを上げられた後の対応、クロスボールを上げさせてしまったこと、両方が問題だと思いますし、そこはやり込んでいくしかないと思います。続けていくしかないですし、今いる選手たちと課題をどう潰していけるかは、十分にクリアできると僕は思っています。クロスボールからの失点がこのゲームをドローにしたということは事実ですが、それ以外のプレーで成果を十分に発揮してくれたシーンもありました。しっかりと受け入れながらやっていくしかないです。


[選手インタビュー]

<佐藤恵允選手>


Q、得点シーンを振り返ってください。
A、イメージでは、俵積田選手から相手が自分に対して正対していたので、ズラしてファーサイドを狙おうかと思っていました。ただ、相手も自分の動きについてきていたので、ニアに思い切り打とうという狙いに変えました。しっかり決まってくれて良かったです。

Q、非常に冷静で色々なものが見えたなかでの得点のように思えました。
A、良い意味で力が抜けていて、リラックスした状態で打つことができたと思います。ナオさん(石川直宏コミュニティジェネレーター)のアドバイスどおり決めきることができました。

Q、石川CGからのアドバイスとは具体的にどのようなものですか。
A,自分がシュートを打つ時に枠を外すことが多かったので、「前に進む勢いはあるから、そのままの勢いで力をいれずに足を振れば自然とパワーがあるシュートが打てるよ」と言ってもらいました。最近の練習でも良い感覚だったので、ここから得点を増やせるようにやっていきたいです。

Q、ゴール決まった瞬間、どのような気持ちでしたか。
A、これまで決めきることができていませんでした。それでも応援をし続けてくれたファン・サポーターのみなさんに少しでも恩返しができたと思います。ただ、引き分けで終わってしまいましたし、これで満足しているわけではありません。次の試合でも得点を決めるなど自分の存在感をしっかり出して、今一番欲しいチームの勝利のためにやっていきたいです。

Q、得点だけでなく色々な面で佐藤選手の良さが出ていたように思えます。
A、自分の役割は変わらないですし、それをどんな時でもまっとうしようと思っています。それが守備であっても、相方のマルセロ ヒアン選手が気持ち良くプレーするサポートも意識してやっていますし、そこが今日の得点に繋がったと思う部分もあるので良かったと思います。

Q、ここからの中断期間、どのように積み上げていきたいですか。
A、前半にあのサッカーをして勝てなかったことはとても悔しいですが、引き分けに持ち込めたことをプラスにしなければいけません。良かったことや課題が出ているなかで、中断期間でしっかりとそこに向き合い、一体感を持って次の試合に臨むだけです。リーグ戦のラスト5試合、少しでも上の順位にいけるようにチーム一丸となってやっていきたいです。


<長友佑都選手>


Q、勝点40で並ぶ清水エスパルスとの対戦でした。
A、チームの前半の出来がすごく良くて、チャンスもしっかりとありました。そこで決め切れなかったことがこの結果の要因です。あの良い流れの前半のなかで、相手のクロスボールからの一発にやられてしまう。クロスボールへの対応を練習してきましたが、1週間では詰め切れない甘さがあると痛感しました。

Q、アレクサンダー ショルツ選手が不在のなかで難しい部分もあったと思いますが、いかがですか。
A、土肥幹太選手もしっかり対応してくれたと思います。失点のところはクロスボールからやられているところは、彼だけではなくて自分自身も詰め切らないといけない部分があります。

Q、後半には惜しいシュートもありましたね。
A、入ったら、完全にゴラッソでした。前半にもありましたが、状態が良いとあの場面のようにインターセプトを狙っていけるので、そこから攻撃に参加して思い切りの良さも出てきます。決まらないと意味はありませんが、今日も前半にマルセロ ヒアン選手に合わせた場面など、上がれる時には良い形で攻撃参加できていたので、その回数ももう少し多くしていきたいです。

Q、日本代表のアメリカ遠征以降、またパフォーマンスが上がっているのではないですか。
A、もっと上げないといけません。Jリーグで圧倒できるパフォーマンスを出せないと、日本代表でレギュラーにはなれませんから。満足せずに自分に厳しくやっていきたいです。


<小泉慶選手>


Q、キャプテンとしてフル出場した、試合の振り返りをお願いします。
A、勝てなかったことがすべてです。もちろん最低限の結果ではありますが、個人的にも久々のフル出場でしたし、スタメンで頻繁に出ているわけでもないなかで、勝点1はとれましたが、悔しい試合になってしまったと思います。

Q、前節からの課題の解決に向けてトレーニングを重ね、今日の試合に臨んだと思います。
A、クロスボールからの失点が多かったので、今週はクロスボール対応や守備にチームとして取り組んだり、ミーティングをしましたが、練習したからといってそんなに簡単に全部がこの1週間で改善されるほど甘くないと思いますし、松橋監督も言っていましたが、場所とかスペースとか立ち位置とかそういうものではなくて、最後の最後は人が決めると思います。もう少し相手にしっかり付くとか、クロスボールを上げさせないとか、最後はそういう根本的なところだと思っています。そこは誰がどう、とかではなくチームとしてもう一回徹底するべきです。

今日はサッカーの内容で言えば、清水エスパルスは、大胆にやる時は大胆に、前で持ちたい時はボールを持つ“メリハリ”は見習わないといけないと思います。自分たちもああいう時間を絶対に作ることができると思います。

Q、少し中断期間をはさみますが、シーズン終盤の試合に向けてどういった準備をして臨みますか。
A、次の試合まで間隔が空くので、そこはしっかり身体も心も1回休めて、リーグ戦5試合と天皇杯が多くて2試合、今シーズンはもう10試合もありません。今シーズンも一人ひとり、それぞれがいろいろな覚悟を持って始まったと思いますし、もう一回その気持ちを思い出して、選手だけじゃなくてスタッフ、監督、ファン・サポーターのみなさんと、もう一度この一年間をしっかりやり切るような戦いをしていきたいです。