一度は諦めかけたトップ昇格
肉体改造で手にしたチャンスを実に
DF 44 鈴木楓
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
FC東京U-18からトップチーム昇格を果たした鈴木楓。一時は大学進学を検討したという彼はどのように成長を図り、大逆転でトップ行きの切符を手にしたのだろうか。アカデミー時代の成長秘話、そしてプロで戦い抜くためのアピールポイントとは。

高校2年生の時に肉離れを繰り返し、思うようにピッチを駆けることができなかった鈴木楓。しかし、その境遇が強じんなフィジカルを獲得するきっかけとなった。FC東京U-18の松原佑治フィジカルコーチ、そして垣見修平トレーナーの協力を得て肉体改造に成功。トップチームへの昇格につなげた。
「まだ身体ができていなかったですね。ちゃんとした筋トレをやり始めたのは高校2年生の頃からでした。3年生になって、当たり負けしない強さやスピードに関しては自信がついてきました。トップの練習に参加してもフィジカルで負けなかったですし、今は当たりの強さは問題はなく、もっと柔軟性を上げるように指導されています」
3年生に進級した当初、自分で「トップ昇格は難しい」と判断して大学への進学を考え始めていた。だが6月、初めて参加したトップの練習で「そこまで大きな差はない」と実感。「やっていける」という手応えが自信となり、メンタル面もガラリと変わって、トップチーム昇格を目標に掲げて懸命にアピールし続けた。
肉体改造の結果が徐々に表れてきた結果、屈強なボランチ兼センターバックとしてトップ昇格の切符をゲット。そして今回、彼の昇格と同時に垣見トレーナーもトップチームのスタッフ入りを果たした。この縁を鈴木は「心強いです」と歓迎する。
U-18の活動、トップチーム帯同、U-18日本代表への参加で多忙を極めたが、その苦労がトップチーム昇格で報われた。ただ、そのなかで心残りだったのは、第49回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会でも、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2025 EASTでも、鹿島アントラーズユースの後塵を拝してしまったことだ。「代表でも鹿島の選手に『全部もらったぞ』みたいに言われるので、それは悔しいです」と心境を明かす。その目線はトップの舞台でのリベンジに切り替わっている。
「左右両足のキック、後ろからのフィード、対人の守備をアピールし続けることが大事だと思います。その特長を突出させていけば、必ずJリーグでも試合に絡めると思う。そこは目標というよりも出なければいけない大会。失点をゼロに抑えて、状況を変えるサイドチェンジやフィードを見せていきたいです」
沖縄糸満キャンプ中の練習試合では球際のバトルで厳しさと強さを見せ、周囲に期待を抱かせた。2025シーズン終盤戦のような守備重視の状況になれば、その強さが活きてくるはず。
未熟だった2年生から大逆転でトップ昇格を手にした勢いそのままに、鈴木楓が東京に新しい風を吹かせる。
(文中敬称略)
Text by 後藤 勝(フリーライター)



