5度目の大舞台と東京でのタイトル獲得へ
獰猛な虎が“人生最後の大勝負”に挑む
DF 5 長友佑都
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
言わずと知れた大目標に挑む長友佑都。今年で40歳を迎えるなかで、フィジカルもメンタルも“モンスター”と言うべきレベルをキープし、青赤でのタイトル獲得と5度目のFIFAワールドカップ出場をめざす。極限までストイックに生きる長友が『人生最後の大勝負』に臨む覚悟を語る。

陽の光が差し込み、目がキラキラと輝く。今年9月に齢40を迎える長友佑都は誰よりも真剣に、そして心から純粋にサッカーと向き合っている。FIFAワールドカップ5大会連続出場が懸かるプロ19シーズン目を「人生最後の大勝負の年」と位置付けた。
「東京のタイトルとワールドカップ出場。この二つの目標と夢を叶えないと、これまで積み重ねたキャリアもすべて吹き飛ぶくらいに思っている」
その勝負に勝つために、長友佑都の“2026シーズンのテーマ”を聞いた。すると、長友はニヤリと口角を上げた。
「もう人間じゃない。長友、あいつはもう肉食獣だと。もう虎になるんだと」
既視感を覚えるノスタルジックなフレーズに、思わず「何か2008シーズンを思い出す」とつぶやいてしまった。
2008年4月12日、J1リーグ第6節の東京ヴェルディ戦前に「どんな試合になるか」と聞かれ、自ら「超人ハルク(フッキ選手)VSゴリラ」の対立軸を口にして、盛り上げに一役買った。フタを開ければ、ピッチでは元ブラジル代表フォワードのフッキの自由を奪い、決勝点となるオウンゴールを誘発する大活躍を見せた。それが視察に訪れていた日本代表の岡田武史監督(当時)の目に留まり、直後の日本代表候補合宿に初選出。翌月には日本代表初キャップを記録することになった。
そして、長友はあの日のように「そうそうそう」と、言葉をこう足した。
「だから、もう初心に戻るというか、そのくらいのギラギラ感、獰猛な野生の強さみたいなものをピッチで表現したい。すべてのパフォーマンスにおいて獰猛な虎になる。今年は午年だけど、オレは寅年だからね。虎みたいな力強さとしなやかさ、強さを見せる年にしたい」
午年を“長友”年に変えてしまう。そんな決意表明だった。2022シーズン、カタールでのワールドカップ直後に更新したSNSにはこう書かれていた。
「W杯の凄まじい緊張感から解放され日常に戻ると心が空っぽになり、何というか感情が言い表せない。心身をだいぶ削ってきたからサッカーのことは忘れゆっくり休みたいと思う。これから自分の心の中に出没する感情たちと会話しながら進む道を決めたい。正解を選択するのではなく、自分の選択を正解にする」(原文ママ)
何も変わらない。いつだって瑞々しく、もぎたての野心のまま転がるボールを追いかけ続けてきた。
「見てよ、このチームでオレが一番ギラギラしてんじゃん。それは寂しい部分もある。もっとギラギラした奴が一杯いてほしい。そういうギラギラがまたオレの心に火を点けてくれる。より一層一人ひとりの心の炎に火を点ける選手が現れてほしい」
さあ、人生を懸けた大勝負が幕を開ける。「勝負には勝てそうか」と聞くと、長友は「勝てそう……」とリフレインして首を振る。
「勝てるからやっている。負けるイメージなんて一切ない」
自らの選択を正解に導く長友佑都には愚問だった。
(文中敬称略)
Text by 馬場康平(フリーライター)



