恩師の下で臨む覚悟のリスタート
高精度の左足で新たな攻撃の起点に
DF 17 稲村隼翔
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
スコットランドのセルティックFCから6月30日までの期限付き移籍で青赤の一員となった稲村隼翔。FC東京U-15で育ち、アルビレックス新潟で松橋力蔵監督に師事した若きセンターバックは「もう一度リキさんの下で成長したい」という強烈な覚悟を胸に、青赤でのJリーグ再挑戦を選択した。

覚悟のリスタートだ。アカデミー時代に在籍した東京で、そして躍進のチャンスをもらった指揮官の下で、稲村隼翔が自身のキャリアを再び軌道に乗せ、自信を取り戻すためのチャレンジに挑む。
FC東京U-15深川から前橋育英高校、東洋大学と進み、2024シーズンにアルビレックス新潟でJFA・Jリーグ特別指定選手として一気に注目を集める存在へと成長。2025シーズンに新潟へ正式加入すると、その活躍が認められて同年夏にスコットランドのセルティックFCへ完全移籍を果たした。
プロデビューからわずか半年での海外移籍。欧州名門の扉を叩き、順調にキャリアを積み上げているように見られていたが、セルティックFCでの公式戦出場は1試合のみ。トレーニングでの成長もままならず、自分が置かれている立場を考え、FC東京への期限付き移籍で再スタートを切る覚悟を固めた。
「実力面でもすごくレベルの違いを感じさせられたし、どうしたらいいんだろうってたくさん考えた半年間でした。悔しさは残っているし、焦りはありますけど、自分としっかり向き合って、今は試合に出ることが重要だと考えて移籍を決めました」
青赤のユニフォームに袖を通すのは、FC東京U-15深川所属時以来のこと。当時は常盤亨太、野澤零温、安斎颯馬らと同じ釜の飯を食った選手でもある。本人は「当時はキュンキュン系の小柄なアタッカーでした。でも、ほとんど試合に出ていなかったので、あまり戻ってきたという感覚はないですね」と話すが、それでも青赤の血が流れていることに変わりはない。かつて憧れたトップチームから「優勝するために来てほしい」とラブコールを受け、再出発の場所に選んだ。
明治安田J1百年構想リーグ優勝を目標に掲げるチームにあって、彼自身も「優勝をめざすチームの一員になる。今は本当に東京のためにプレーしたいという想いが強い。(海外移籍で)周りの期待を背負い過ぎていたので、周囲の声をあまり気にせず、自分自身に矢印を向けて取り組みたい」と自分のパフォーマンスを取り戻しながら、チームへの貢献を誓う。
最大の武器は、何と言っても左足の精度だ。ビルドアップに加えて長短のボールで攻撃の起点となる。左利きの左センターバックという貴重な存在は、“力蔵トーキョー”がめざすサッカーで重要な役割を担うはずだ。稲村が自身のアピールポイントについて語る。
「ビルドアップや縦パスなどの左足キックだけではなく、相手との駆け引きも得意な部分なので、そこも楽しんでもらえればと思います。もちろんセンターバックでもあるので、守備でも魅せていきたい。“よーい、ドン”では負けないスピードも武器だと思っています」
松橋力蔵監督は新潟時代に抜擢してもらった指揮官でもある。今回の移籍に際して「また東京で一緒に戦って高みをめざしてほしい。こういうレベルで終わる選手ではないと思っている」と熱い言葉を掛けられた。そして稲村自身も「リキさんの下でもう一度成長したい」という想いを固めた。目標としてきた日本代表入りを、あらためて視野に入れるためにも。
まずは6月30日までの期限付き移籍。短い期間ではあるが、明治安田J1百年構想リーグでの優勝、そして自分をしっかり取り戻すことをテーマに掲げ、稲村隼翔が青赤で完全復活を期す。
(文中敬称略)
Text by 上原拓真(FOOTBALL ZONE編集部)



