不本意に終わった期限付き移籍
己に矢印を向けて鍛え直しを誓う
DF 4 木本恭生
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
サガン鳥栖への期限付き移籍から戻ってきた木本恭生。自身にとって初めてシーズン途中で新天地を選ぶ形となったが、タイミングの悪い負傷も重なって実力は発揮し切れず。不本意な結果に終わってしまったチャレンジから青赤に復帰した今シーズン、彼はもう一度、心に火を灯そうとしている。

サッカー人生で初めてとなる夏場の移籍。プロ選手として歩んできた道のりを振り返れば、過去の移籍はすべて木本恭生という選手のストロングポイントを理解したクラブに請われたオフシーズンのものばかり。FC東京にもビルドアップ能力に長けたセンターバックという部分を評価されていた。しかし、昨夏のサガン鳥栖への期限付き移籍は従来のケースとは大きく異なっていた。
「ある程度、出来上がっているチームに入るので、少し我慢してそのチームに順応していくことが必要になってくる。J1リーグとJ2リーグのカテゴリーの違いによる難しさもありましたし、すべてが自分の人生において非常に良い経験になった」
J1とJ2はそもそも戦い方の傾向が異なる別のリーグ。そこでの研究が求められながら、すでに出来上がっているチームにコミットしていくことは、自分が持っている実力だけでどうにかなるものではない。そこで求められるのは、特定の戦術やプレースタイルでなければ機能しない選手ではなく、相手と味方を見て最適のアクションをとれる選手。プロの仕事に理解を深められた点で、木本は「今回の移籍は無駄じゃなかったと思う」と、鳥栖への旅を振り返った。
順応に苦労したとはいえ、滑り出しは悪くなかった。追加登録直後の2025明治安田J2リーグ第26節 愛媛FC戦で途中出場を果たすと、翌節から4試合連続でスタメン出場。しかし好事魔多し。負傷により離脱する羽目に陥った。
「チームになじんできて、試合にも絡んでいこうとしていたところで負傷してしまった。タイミングが悪かった。思ったよりも長期間の肉離れになってしまって、やっと試合に臨めるコンディションになったところでシーズンが終わってしまった。期待に応えられないもどかしさ、申し訳なさをすごく感じています」
チームはJ1リーグ昇格プレーオフへの進出を逃し、木本も忸怩(じくじ)たる想いを味わった。そこで己に矢印を向け、率直に反省した。
「力不足だったとすごく感じました。この年齢(32歳)ですが、向上心を持って、自分のサッカー人生を充実させるためにもう一度レベルアップさせなければいけない。技術もそうですし、メンタル面もそう。まずは明治安田J1百年構想リーグの半年間、試合に絡むことも目標ではありますが、それ以前に自分を鍛え直す期間にしたい」
沖縄糸満キャンプでは若い選手と同じチームでプレーし、その刺激を力に変えた。プロの世界に入ったばかりの若手のように、あるいは長友佑都や森重真人といった経験豊富な選手のように。
そんな強いモチベーションを獲得するべく、“ヤス”が己のハートに火を点ける。
(文中敬称略)
Text by 後藤 勝(フリーライター)



