4度目の世界をめざす義理堅い守護神が“恩に報いる”タイトル獲得を誓う
GK 81 キム スンギュ
2026年の明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
韓国代表として4度目のFIFAワールドカップ出場をめざすキム スンギュ。新シーズン始動から周囲が目を見張るほどの気合を発し、青赤で、そして韓国代表で自分の夢を叶えようとしている。その裏側にあるのは周囲への“恩”に報いるという想いだった。

4大会連続のFIFAワールドカップ出場が懸かっている。自然と想いがたかぶるのだろう。キム スンギュの気迫は今シーズンの始動日から段違いだった。チームメートが異口同音に「スンギュがヤバいね」と口にしているのを耳にした。
「今シーズンに懸けている想いは強いので、いつもとは違う。ワールドカップもある。それにFC東京と契約を結んだからこそ、懸ける想いも気合もこれまでとは違うよ。ワールドカップという特別な大会に向けてしっかりと準備をしなければいけない。そのためにも東京で活躍して、ワールドカップの舞台でみなさんに素晴らしい姿を見せたい」
2025シーズン、2度目の大怪我からの復活に向けて苦しいリハビリ生活を送っていたスンギュに手を差し伸べたのが、東京だった。特別移籍期間中の6月に加入が決まると、戦列復帰後はその恩に報いるように圧倒的な存在感で低迷するチームを救うビッグセーブを見せ続けた。
そして、無事に韓国代表にも返り咲いた。シーズン終了後には国内外のクラブからオファーが届いたが、スンギュは青赤が差し出した手を再び握り返した。
「大きな怪我があったなかで、東京は回復に向けてさまざまなサポートを準備してくれた。そのお陰で自分は戦列に戻れたと思っている。その恩に報いて優勝して恩返ししたいと思っていた。だから、このクラブと再び契約を結ばせてもらいました」
夢はワールドカップに出場して活躍することだけではない。もう一つの夢があるという。それは長いリハビリ生活を支えてくれた妻ジンギョンさんの惜しみない献身に恩返しすることだという。
「妻は寝る間も惜しんで僕をサポートしてくれた。歩くこともままならない時もあったのに、どんな時も献身的に支えてくれました。だから、妻には怪我なく健康でサッカーをする姿を見せたい。何よりもそれを喜んでくれるからね」
そして、スンギュは「あとは……」と言い、照れくさそうにこう言葉にした。
「僕はまだ一度も優勝したことがない。だから、いつか妻と一緒にシャーレやカップを掲げたいんだ。もちろん今シーズンもビッグセーブでみんなを助けたいし、このハーフシーズンはPK戦もあるからね。そこでもみんなの力になるよ」
義理堅い男だ。二つの夢を叶えるために、頼れる守護神は両手を打ち鳴らしてハーフシーズンの特別大会でも青赤の殿を務める。
(文中敬称略)
Text by 馬場康平(フリーライター)



