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COLUMN2026.1.25

PLAYERS FILE 2026
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実力不足を痛感したルーキーイヤー悔しさと客観視を武器に公式戦デビューを狙う
GK 58 後藤亘

2026年の明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。

世代別の日本代表で活躍し、自信を持ってトップチーム昇格を果たした後藤亘にとって、ルーキーイヤーは“プロの壁”を痛感するシーズンとなった。そこで自らを客観視して得た手応えと悔しさ、そしてこのオフにヨーロッパで受けた大きな刺激とは。



2023年のAFC U17アジアカップで大会最優秀ゴールキーパー賞を受賞。世代でトップを争う期待の星として、FC東京U-18からトップチーム昇格を果たした。しかし、育成年代で残した輝かしい成績がそのまま公式戦出場のチケットとして通用するほど、プロの世界は甘くはなかった。

「悔しさもありますし、これがプロかと思い知ったところもあります」

ルーキーイヤーとなった2025シーズンに刻んだ年輪が、後藤の言葉の重みを与えていた。

「最初に入った時はプロを甘く見ていたところがあったけれど、実際にやってみて自分が『こんなレベルだったんだ』と痛感して、あらためて実力の差を思い知らされた。そう認識したところからシーズンが始まって、自分のなかではプレーが徐々に良くなってきたという感触も少しあるんですけど、もっとできたのではないか、いろいろと突き詰められたのではないかという悔しさもある一年でした」

シーズンを通してトップチームで練習を積み重ねたことで、キックの自信は増幅したという。ただ、やはりゴールキーパーはゴールを守ることが根本。そのセービングを支える“つかむ”、“弾く”といった基礎技術を含め、足りないものが多いという。

「技術をもっと高めなければ安心して任せてもらえない」と、後藤は己を客観視した。

年代別の日本代表で海外勢と対戦してきた。世代をけん引する立場として多くの経験とトレーニングを積んできた。それでも「ユースの身でプロの練習に数日間参加するのと、実際に入るのでは全く話が違う。毎日やるからこそ、できていないところが見えてくる」と大きな落差を痛感した。

現実を知った一年間を経て、オフシーズンに欧州旅行へ出た。そしてポルトガルの地でスポルディング リスボンの試合を観戦し、老若男女が叫ぶ情熱のるつぼでプレーする選手たちに羨望の眼差しを向けた。気持ちがたかぶった。「オレもこうなりたい』と気持ちを新たに、早くサッカーがしたいという想いを抱いて帰国。落ち込んでいる場合ではなかった。新しいシーズンに向かうマインドをセットして、新年の小平グランドに赴いた。

正確な技術を行使し、つまらないミスをせず、理不尽なシュートであろうがなんであろうが飛んでくるボールのすべてを止める。そして周囲の信頼を得て、青赤の男として公式戦のピッチに立つ。思い描くところは明確だ。ゴールを任せられる守護神となるために、後藤亘の新しいシーズンが始まった。

(文中敬称略)


Text by 後藤 勝(フリーライター)