9/20 川崎戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.9.19

9/20 川崎戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<前節・東京ヴェルディ戦のレビュー>

「東京の未来を作り上げていくという意志や覚悟を示すことができた。そのチカラを選手たちに与えバックアップしてくれた方々を含めて、全員の勝利だと思います」

試合後の監督記者会見で松橋力蔵監督がこう熱く語ったように、この日の味の素スタジアムには青と赤の意地と気迫が溢れていた。スタジアムへ向かうペデストリアンデッキは青赤に装飾され、キックオフ前には幻想的な光のコレオを実施。スタジアム中が勝利に向かう熱気で充満し、その想いに応えるように選手たちがピッチで奮闘する。

立ち上がりこそ相手の勢いに押される時間帯が続いたが、シンプルに裏返すことでプレスを回避。徐々に流れを引き寄せて保持率を高めて前半を折り返した。


そして迎えた後半15分、キム スンギュ選手のロングキックをマルセロ ヒアン選手が頭で相手ゴール方向へ流すと、そこに抜け出したのは長倉幹樹選手。相手ゴールキーパーのポジションを確認し、ミドルレンジから左足アウトサイドでゴールキーパーの頭上を越える技ありシュートを流し込んで先制。味の素スタジアムは大歓声に包まれた。

その後も気持ちのこもった戦いを見せ、前線からの激しいチェイシングや果敢なプレスバックで相手を完封。ゴール裏から響き渡る『ヴェルディだけには負けられない』のチャントに後押しされる形で公式戦7試合ぶりとなるクリーンシートを達成した。

これでリーグ戦の対戦では5試合続いていたドロー決着に終止符。試合後、勝利の“You’ll Never Walk Alone”を青赤ファミリーで熱唱し、味の素スタジアムが青赤の本拠地であることを存分に知らしめる結果となった。


<今節のプレビュー>

中4日で迎える試合は、多摩川を挟んだライバル対決。今節も絶対に負けられない試合となるが、月曜日に行われた東京ヴェルディ戦の勝利に浮かれることなく、一戦必勝の意識で臨むことが重要だ。

松橋力蔵監督も「勝って一つになっていくことは重要。チーム全体のモチベーションや気持ちの部分は良い方向に向いている」としつつ、「余韻はあまりなく、チーム全体の雰囲気的も次に向かっていく気持ちが良い形で出てきている」と良い流れを継続しながら次なる大一番に向かうチーム状況を説明する。

川崎フロンターレに対しては現在4連敗中。しかも直近3試合はすべて0-3というスコアで敗れている。もちろん過去の成績が今節の結果に影響するものではないが、指揮官は「同じスコア、もしくはまとめて返したいような気持ちは当然ありますが、そういう気持ちよりまず今の状態をしっかりと出していきたい」とコメント。さらに「我々としては我慢強く戦わなければいけない時間帯もありますし、自分たちのペースの時にしっかりと得点に結びつけることが大切」と続け、試合の流れをつかむことの重要性を説く。


対する川崎は現在勝点48の7位。優勝戦線ギリギリのところで踏ん張っており、今節に懸ける想いは強いはず。しかも直近の公式戦5試合で16得点をマークするなど攻撃陣が絶好調。右ウイングの伊藤選手は公式戦6試合連続ゴール、エリソン選手は同5試合で6得点と結果を残している。東京としては彼らポイントゲッターを抑えるだけでなく、山本選手、脇坂選手といったコンダクターをどう封じ込めるかもポイントになりそうだ。

良い守備から良い攻撃へ──。東京はマルセロ ヒアン選手が累積警告で出場停止となるなかで、川崎の持ち味を消しながら東京らしさを出していくためには何が必要なのか。松橋監督は「我々が奪ったボールが良い攻撃につながるシチュエーションは十分にある」と予測し、さらに続ける。

「相手は強度というよりも、攻守においてタイミングや連動性、関係性が特長としてある。そこで我々がどう上回っていくか。強度で上回るのか、それともボールをしっかり保持しながら何回も揺さぶっていくのか」

前節の勝利により意味を持たせるためにも、今節の勝利が重要になる。アウェイで臨む多摩川クラシコ。近年の“大きな借り”を返すためにも、気迫の戦いを期待したい。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、前節の東京ヴェルディ戦で勝利し、良い形で今週のトレーニングに入れたのではないでしょうか。
A、勝利の余韻は一瞬で終わり、翌日には次の川崎フロンターレ戦に向けて切り替えていました。チーム全体の雰囲気としても同様で、常に前を向いて次の試合に備えるモードに入っていました。常にやるべきこと、さらに良くしていくべき点は存在します。その成果と課題の双方に目を向け、短い時間のなかでもトレーニングで互いに擦り合わせができているのは、選手たちの意識の高さの表れです。

Q、勝ちながら次に進んでいくことで得られるものも多いのではないでしょうか。
A、さまざまな結びつけ方があると思いますが、勝利を通じてチームが一つになっていくことが非常に重要です。次の試合に向けて選手たち、ひいてはチーム全体のモチベーションは確実に良い方向へ向かっていると感じています。

Q、チームとしては久しぶりのクリーンシートでの勝利でした。
A、もちろん課題はまだまだあります。試合のなかでは必ず改善点が生じますが、トレーニングで積み上げてきた守備の部分にしっかり意識を持って取り組めているからこそ、無失点でゲームを終えることができました。これを続けていくことは簡単ではありませんが、挑み続けなければならない部分です。

Q、相手の中盤には試合をコントロールする技術に長けている選手が揃っています。
A、どう抑えるのか、先に抑えるのか、出し手を抑えるのか、いずれも選択肢だと考えています。状況に応じて、出どころや出しどころを制限することも同時に重要です。ただ、そのなかでも相手は隙を突くのが非常にうまいです。通らないだろうと思うところにボールを通し、その後のプレーのクオリティも素晴らしいチームです。相手の良さを簡単に消し去るのは容易ではありませんが、少しでも(相手を)不安定にさせるために、チームでしっかりと共有をして、試合で表現できればと思います。

Q、直近の多摩川クラシコでは4連敗中です。
A、連敗中という点については、過去の話であり、特に気にしていません。今が大事です。現状は両チームとも決して悪くない状態での対戦になります。もちろん同じスコアでやり返したい、あるいはまとめて返したいという気持ちはありますが、それよりも今の状態をしっかりとピッチで出すことが重要です。我慢強く戦わなければいけない時間帯もありますし、自分たちのペースの時には確実に得点や大きなチャンスに結びつけることが大切です。多摩川を挟んでいるから特別というより、川崎に勝てなければ我々は常に上に立ち続けられない、そういう相手でありクラブです。自分たちの未来をどう作り上げていくかという観点で、非常に大事な一戦だと考えています。


[選手インタビュー]
<遠藤渓太選手×ファンウェルメスケルケン際選手 多摩川クラシコ合同記者会見>


――お二人の自己紹介からお願いします。
ファンウェルメスケルケン際選手:背番号31のファンウェルメスケルケン際です。多摩川クラシコというだけあって、毎回素晴らしい雰囲気のなかで試合をさせていただいています。チームとして結果も出ていますし、4連勝をめざしてしっかりこの試合もチーム一丸となって勝ち切りたいと思います。

遠藤渓太選手:FC東京の遠藤渓太です。直近の多摩川クラシコでは、ボコボコに負けているので、今回の試合こそは勝てるように頑張ります。

――控室では楽しそうにお話されていましたが、お二人の関係性について教えてください。
際:私がドイツのマクデブルクという、伊藤達哉選手が所属していたチームから声をかけていただき、2週間ほど練習参加しました。ちょうど練習試合も組まれていて「試合に出てほしい」と言われ、参加したところ、対戦相手に遠藤選手が所属していて。ドイツの地で日本人同士が対戦するというまさかの展開でした。

遠藤:ポジションもお互いサイドでマッチアップする状況で、その試合では伊藤選手も出場していましたね。

際:試合後はマクデブルクの食堂のような場所で、日本人選手三人で食事もしました。そこから仲良くさせてもらっています。

遠藤:当時、ドイツで日本人の選手と交流できたことも特別でしたし、こうしてJリーグでまた対戦することになったのも感慨深いものがあります。昨シーズンの多摩川クラシコでは際選手とマッチアップし、運命的なものを感じました。今シーズンは、伊藤選手も来て、その当時交流していた仲の良かった三人が試合で対戦できることはとても面白いことだと思います。


――昨シーズンのマッチアップでは、際選手が遠藤選手の前でアシストをしたと伺いました。
遠藤:僕のボールへの寄せが甘かったせいですね(笑)。際選手は肉弾戦や球際のバトルが日本人離れしていると感じました。海外で揉まれてきた強さがあり、球際が本当に強くて、なかなか突破することが難しかった感覚です。素晴らしいクロスから決められてしまい、そこから流れが悪くなって勝利を逃してしまいました。今回は簡単にクロスボールを上げさせないようにしていきたいです。

――際選手から見た遠藤選手のプレーの印象はいかがでしょうか。
際:ドイツで対戦した時から馬力がある選手だと感じていました。単に速いだけでなく、一瞬でパッと出る力強いスピードがあり、ディフェンスをしていてもなかなか簡単にボールを奪えない難しさがあります。スピードと緩急をうまく使いながら仕掛けてくるので非常に守りづらい選手です。シーズンを通しても本当に一番嫌なウインガーの一人です。試合は勝たせてもらいましたが(笑)。

――では、昨シーズンの試合でアシストを許した際選手を抑えるポイントはどこでしょうか。
遠藤:昨シーズンは際選手が縦関係で家長昭博選手と組んでいて、家長選手が時間を作る間に後ろから上がってくる形が多くあった印象です。今回は組み合わせが変われば対応も変わるはずです。試合のなかで柔軟に対応しないといけないなとは思います。

――多摩川クラシコについてですが、昨シーズンから川崎が3-0で勝利する試合が続いています。
遠藤:正直、笑っていられません。不甲斐ないです。ファン・サポーターの方々は勝つところを観に来てくださっているので、勝利を届けられるように、全力を尽くしたいです。悔しさもありますが、喪失感の方が大きいので、しっかり対等にやり合えるよう集中したいです。

際:結果だけ見れば勝てていますが、内容面では東京にもチャンスがあり、決められていたら流れが変わっていた場面がどの試合にもありました。90分間集中して戦わなければ結果はまったく違うものになるのがサッカーです。3-0で勝っているからといって気を緩めて臨めば足元をすくわれるので、チーム一丸で気を引き締め、やり切ることが重要だと思います。


――お二人とも加入2年目ですが、多摩川クラシコの印象を教えてください。
際:スタジアムの雰囲気が素晴らしいですし、そうした雰囲気だと選手たちも自然とゾーンじゃないですが、試合に入り込むことができて、質の高いゲームになります。観てくださる方々も楽しめる高いレベルの試合をみなさんに届けたいと思います。実際にピッチに立つと“負けられない”という感覚が強いです。遠藤選手のように、親交のある選手が相手なら、なおさら勝ちたいです。

遠藤:多摩川を挟んだライバル関係ですし、素晴らしい雰囲気のなかでプレーできることは選手冥利に尽きると思います。熱い雰囲気を感じ、ピッチでプレーできることを幸せに思います。前節は東京ヴェルディとの対戦で、今回は多摩川クラシコと、違った熱量を感じられる試合になると思います。楽しみな一戦ですし、ファン・サポーターの方々もこの試合を楽しみに来場されると思うので、良いゲームができればと思います。

――今回の多摩川クラシコで、どのようなプレーで貢献したいですか。
際:守備の選手なので、前回対戦と同様に無失点で勝ち切りたいです。後ろがゼロで抑えられれば、前線の選手たちは結果を出してくれるはずです。その上でチャンスがあれば攻撃に参加し、伊藤選手を含む攻撃陣をサポートして勝利に貢献したいです。今回もアシストを記録できたらベストですが、何よりチームが勝ち、サポーターと喜びを分かち合う時間を迎えられることが一番です。多摩川クラシコという特別な試合でも、それを実現できるよう臨みます。

遠藤:直近の多摩川クラシコでは点がとれていないことと0-3で3連敗してしまっています。一つ点を奪えれば、試合展開も変わってくると思いますし、僕自身はアタッカーの選手として点をとることにフォーカスしていきたいです。ゼロのまま試合が進むとチームに勢いが乗らず、「このまま負けてしまうのか」という空気感になってしまいます。先制点を奪うために、積極的に狙っていきたいと思います。

――9月20日の多摩川クラシコに向けて、ファン・サポーターのみなさんに見どころを含め、一言お願いします。
遠藤:ファン・サポーターのみなさんは、ここ最近0-3で負け続けてきて、今回こそは勝つ試合を観にきてくれると思っています。その期待にしっかりと応えられるように、しっかりと食らいついて、どんな形でも最後に僕たちが勝って終わることができるように頑張ります。

際:チームの状況は良く、4連勝が懸かっています。優勝争いを見据えると、これから落として良い試合は一つもありません。特別な一戦ではありますが、しっかりと気を引き締めて勝ち切り、優勝に向けてもう一歩前進したいと思います。

※9月17日開催の合同記者会見より一部抜粋