ガンバ大阪戦では相手ゴールに迫るチャンスを複数回作りながらも、フィニッシュの精度を欠き、リーグ戦5試合ぶりの白星を逃した。
そして、ここから中2日で迎える横浜勢との重要な2連戦。25日には最下位の横浜F・マリノス戦(日産スタジアム)、28日には19位の横浜FC戦(味の素スタジアム)との戦いが待っている。上位進出への足がかりとするためにも、この連戦は絶対に落とせない。

青赤の勝利への執念、そしてプレーのクオリティが試される2試合それぞれのキーポイント、勝利を手繰り寄せるために必要な要素をピックアップして、それぞれの試合をプレビューする。
<横浜F・マリノス戦 プレビュー>
スティーブ ホーランド監督のもとで新体制をスタートさせたものの、開幕から成績不振に陥り、4月に早くも解任。その後、パトリック キスノーボヘッドコーチが監督に就任して指揮を執ったが、天皇杯でJFL所属のラインメール青森に敗れるなど苦しい戦いが続いている。
ただ、キスノーボ体制下でも一時は復調の兆しが見られた。5月21日のヴィッセル神戸戦を境に、ボール保持にこだわる戦い方から、割り切ったカウンター主体のスタイルに舵を切ると、第18節 鹿島アントラーズ戦、第19節 FC町田ゼルビア戦で連勝。いずれも上位を走る相手を下し、チームは一時勢いを取り戻した。
しかし、6月の中断明けに再び勢いを欠き、6月17日にはキスノーボ監督が退任。現在は大島秀夫ヘッドコーチが暫定的にチームを率いており、シーズン中2度目の監督交代に踏み切った。クラブは再構築の途上にあるが、アンデルソン ロペス選手らブラジル国籍3名の強力アタッカー陣を筆頭に個の力を持つ選手は健在で、青赤としては油断ならない相手だ。

特に攻撃陣で一際輝くのは遠野大弥選手。今シーズンここまで5ゴールを記録しており、中央でもサイドでもプレーできる柔軟性を持つ攻撃のキーマンだ。攻撃のタフトを振るう存在として、ドリブル、ラストパス、シュート、と多くのプレー選択肢を持ってアタッキングサードに切り込んでくる。さらに、ペナルティキックによる1得点にとどまっているアンデルソン ロペス選手も、2シーズン連続得点王の実績を誇るストライカー。一度ゴールの感覚を取り戻せば、圧倒的な得点力を発揮する可能性も十分だ。
東京は、セレッソ大阪戦から採用した4-4-2の布陣を継続する場合、攻守において局地的な個の勝負が予想される。そのなかでポイントとなるのが、個々の球際の強さ、ハードワーク、そして攻守の切り替えの速さだ。中盤では、高宇洋選手や橋本拳人選手といったボランチの選手たちが、相手に負けないインテンシティをどれだけ出せるか、ビルドアップの際には攻撃と守備をつなぐ潤滑油として中盤をいかにコントロールできるか。守備においては、相手のスピードある両ワイドのサイド際での攻撃の選択肢をいかに限定できるか。

攻撃面では個で打開できる俵積田晃太選手や古巣対戦を控える遠藤渓太選手、スピードが持ち味のマルセロ ヒアン選手が、いかにハイラインの守備網の裏側をつけるかに注目したい。加えて、セットプレーからの失点数『11』、先制点を奪われた試合は2分け10敗という数字からみても、先制点が試合を大きく動かしそうだ。攻撃時に前掛かりな陣形をとる横浜FMに対して、スピードを生かしたショートカウンター、セットプレーからのチャンスクリエイトに期待したい。
ガンバ大阪戦でもチャンスは作れており、流れが変わりつつある。そんな今だからこそ、内容と結果を両立させるためにも、“決め切る力”、そして“勝ち切る力”を横浜の地で証明したい。
<横浜FC戦プレビュー>
横浜FM戦に続く横浜勢との2連戦。次に待ち受けるのは、ホーム味の素スタジアムでの横浜FC戦だ。勢いを本物に変えるために。青赤はこの横浜勢との2連戦で、結果と内容、その両方を手にしなければならない。開幕戦では1-0で勝利を収めたものの、決して楽なゲームではなかった。
横浜FCは基本布陣に3-4-2-1を採用し、守備時には5-2-3のブロックに可変するのが特長だ。四方田修平監督のもとで整備された組織的な守備は確かな成果を挙げており、崩し切る力が求められる展開となってくる。

青赤としては、5バックの守備ラインが構築される前に、C大阪戦で見せた先制点のような、前線からの連動したプレスでボールを奪い、ショートカウンターから得点を奪いたい。先制点を奪うことができれば、時計の針が進むにつれて、相手の引いた守備陣形が前掛かりになり、スペースも生まれやすくなる。
現に、試合終盤にかけて失点数が増加傾向にある横浜FCだけに、終盤まで攻撃の手を緩めることなく、相手のウィークポイントを突き続けたい。この試合では、ただ勝つだけでなく、内容でも圧倒することが求められる。守備ブロックを崩し、創出したチャンスを着実にゴールへとつなげるためにも、選手間の連係と判断のスピードをさらに高めて臨みたい。
横浜FCの前線にはルキアン選手、鈴木武蔵選手、櫻川ソロモン選手といった力強さを兼ね備えた選手が揃っており、鋭いカウンターや両ウイングバックの質の高いクロスが大きな脅威となる。

特に、福森晃斗選手のリーグ屈指のキック精度に警戒しなければいけない。リーグ前半戦ではセットプレーからの失点が多かった青赤にとって、安易なセットプレーを与えないためにも、ゴール前では不用なファウルは避けたいところだ。
横浜勢との連戦は、青赤にとって上昇気流を巻き起こし、そこに乗っていく大きなチャンスとなる。そして、先制点がこの2連戦では何より重要だ。横浜FM、横浜FCともに先制された試合では大きく勝利から遠ざかっている。攻守の連係を強化し、戦術面での判断速度を高めることで、内容と結果の両立をめざす。
連勝で勢いを取り戻し、上位争いに食い込むための重要な2試合で、確実に6ポイントを獲りにいきたい。


