マッチレビュー
首位の鹿島アントラーズ追走へ負けられない試合が続く。今節は、川崎フロンターレとの『多摩川クラシコ』。中2日で臨む一戦は、スタメンを前節の柏レイソル戦から3選手を変更した。
最後尾はキム スンギュ選手、最終ラインは右から室屋成選手、大森理生選手、稲村隼翔選手、橋本健人選手が並ぶ。ボランチは常盤亨太選手と、第8節の東京ヴェルディ戦以来のスタメン復帰となった高宇洋選手がコンビを組む。右サイドミッドフィルダーに佐藤恵允選手が入り、左には同じく東京V戦以来となった野澤零温選手がスタメン起用された。前線は佐藤龍之介選手と、第11節のFC町田ゼルビア戦以来のスタメンとなった仲川輝人が2トップを組むことになった。
一戦必勝の姿勢を崩さずに、それでもホームの味の素スタジアムで連勝を伸ばしたい一戦は、非常に気温が高いなかで14:03にキックオフした。
1st―均衡状態を打ち破るケインの先制点
立ち上がりは前回対戦のリベンジに燃える川崎に押し込まれる展開が続いたが、守護神を中心にピンチを防ぎ続けた。徐々に落ち着きを取り戻したが、この日は前線に明確なターゲットが不在で、攻撃の糸口を見出せず。果敢に背後に抜け出すもフィニッシュに持ち込む場面を作れず、時間だけが過ぎていく展開となった。

最初のシュートは前半27分だった。最終ラインから丁寧につないで右サイドを崩すと、最後は佐藤龍選手がゴールを狙うも、これは相手ゴールキーパーに防がれてしまう。
この停滞感を払拭したのは佐藤恵選手だった。中盤でボールを奪って持ち上がり、スルーパスを通す。これを佐藤龍選手が左足でゴールを狙うと、相手ゴールキーパーの弾いたこぼれ球を佐藤恵選手が左足のボレーで叩きつけた。高く弾んだボールは相手ゴールキーパーのタイミングから外れ、そのままゴールに吸い込まれた。


なかなか攻撃の糸口を掴めずに均衡状態が続いた前半だったが、東京が1点をリードする形で試合は後半へと折り返した。
2nd―レオンの今季初弾&クリーンシートで多摩川クラシコ連勝
先に動いたのは川崎だった。後半開始から伊藤選手と宮城選手に代えて、脇坂泰斗選手とマルシーニョ選手をピッチに送り出してきた。
一方の東京は高選手と常盤選手に加え、佐藤龍選手がゲームの組み立てにも顔を出してテンポの良いつなぎで川崎の守備を崩していく。その流れから後半11分に追加点が生まれる。佐藤龍選手が縦パスを差し込み、前を向いた佐藤恵選手がスルーパスを通す。それに抜け出した仲川選手がエリア内に持ち込み、混戦でこぼれたボールを最後は野澤選手が右足でプッシュ。嬉しい今シーズン初ゴールが、川崎を突き放す大きな1点となった。


失点直後に川崎は神田選手に代えて、ラザル ロマニッチ選手を投入する。一方、攻勢を強めたい東京は、後半23分に、佐藤恵選手、常盤選手、仲川選手に代えて、山田楓喜選手、橋本拳人選手、マルセロ ヒアン選手をベンチから送り出す。
後半34分、左サイドを抜け出したヒアン選手の折り返しにファーサイドで佐藤龍選手が飛び込んだが、シュートはわずかに枠を捉え切れず。
東京は後半38分に野澤選手に代え、遠藤渓太選手を投入する。終了間際には室屋選手に代えて、鈴木楓選手がピッチに送り込まれる。鈴木選手は嬉しいプロデビューのピッチをホームの味の素スタジアムで踏んだ。

東京は最後まで守備陣が集中を切らさず、4試合ぶりのクリーンシート。ゴールデンウィークの連戦で33,991人の観客が見守るなか、青赤が多摩川クラシコのシーズンダブルを達成し、『眠らない街』が4連勝の凱歌となった。

MATCH DETAILS
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松橋力蔵監督インタビュー

Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、中2日の連戦ということで、選手も非常にタフなゲームになる覚悟はしてくれていましたし、全体的に少し重い感じというか、お互いにそういうところはあったと思います。ただ、そのような難しい状況のなかでも前半に1点をとれたことは非常に大きかったです。後半は攻撃のところでの共有や修正をしっかりとかけて、選手の理解と、そこから生まれる副産物みたいなものをしっかり表現してくれて、良いリズムで攻撃することができました。後半はリスク管理の部分では危ない場面もありましたが、それでも最後はやらせない。そしてゼロで抑えたところも非常に評価できるゲームだったと思います。
Q、これでチームは4連勝です。今後さらに積み上げたい部分はどのようなところでしょうか。
A、試合直後の現時点ではすぐには出てこないです。本当にまずはこの一戦に懸けてきた部分もありましたし、次の試合に勝つために対戦相手をどう分析していくのかが私の仕事でもあります。そのなかで、選手たちに新たなエネルギーやアイディアを伝えていくことが大事だと思っています。それを彼らがどう使いこなすか、それが一つの鍵にもなると思っています。
Q、1点目は東京の強みであるカウンターアタックで、後半は多彩な攻撃を見せていました。いろいろな攻撃ができるようになっていると思うのですが、手応えを教えてください。
A、前半に関しては、リハーサルしてきたことが出ていたかというと、そうではなかったと思います。いつもよりはサイドバックの攻撃参加も少なかったですし、重さがありました。ただ、良い意味で、後ろの4枚とボランチが低い位置でしっかりプレーしていたので、仮にボールを失っても危ない攻撃を受けることにならなかったことで、失点しなかった。それは狙っていたことではないですが、ベンチから見ながら「こういう展開になるんだな」と見ていました。後半は、あらためてリハーサルしてきたことの意図をもう一度説明して、どこにパス回しの出口が開いて、そこからどう入っていくと良い攻撃につながるかを話しました。選手たちがそこを使いながら、そこから出てくる新しいアイディアや新たな関係性をうまく出してくれて、それをしっかりと彼らのなかで共有してくれた。それがあって、良い攻撃ができたのが後半だったと思います。
Q、佐藤龍之介選手をツートップで起用して以降、チームの勢いが増している印象ですが、彼に与えている役割はどのようなものでしょうか。
A、まずは攻撃のタクトを振るうことです。中央で360度の世界をしっかりと見ながら、ボランチとの関係、ツートップでの関係、ウイングとの関係を状況に応じてどのように自分が参加していくかというところです。ツートップをやり始めた最初の頃は、サイドから中に入っていく景色を見ていたので、中央でのボランチとの関係やタイミングは掴みかけている段階ではありましたが、なかなか良い流れにはなり切らなかった部分がありました。そういった経験をしたなかで、彼は今どんどん良い景色を生み出してくれていますし、周りとの関係性もしっかり持てているところを見ると、彼の能力の高さやアイディアの豊富さ、状況に応じた順応が適格に出ていると思います。能力だけに限らず、周りとの関係性を活かしてやってくれていますし、それによってチームをリードしてくれていると感じています。
選手インタビュー
野澤零温選手

Q、ゴールシーンを振り返ってください。
A、松橋力蔵監督から中に入っていけとずっと言われていたので、中に入ったらチャンスがきたという感じでした。仲川輝人選手も足を振ろうとしていたと思いますが、自分があのポジションにいたからこそのゴールですし、みんながつないでくれたからこそのゴールなので、決して自分だけのゴールではありません。一つ数字を残して、チームの勝利に貢献できたことは嬉しいです。
Q、リーグ戦では味の素スタジアムでの初ゴールでした。
A、気持ち良さが全然違います。東京のみんなに包まれているというか、嬉しかったですし、安心感がありました。
Q、東京ヴェルディ戦以来のスタメンとなりました。
A、その時よりは緊張しませんでした。いつも通りの自分のプレーができれば必ず結果がついてくると思っていました。前節から良い流れができていたので、あとは自分の気持ちを出してプレーするだけだと思っていたので、それが数字につながりました。
Q、東京V戦の後の気持ちの整理やマインドセットは重要だったと思いますが、どのような気持ちでしたか。
A、もちろん、あの試合の後は落ち込みましたし、反省もしました。ただ引きずっている選手がいるとチームの足かせになってしまう可能性もあると思います。良い流れでここまできているなかで、自分が気持ちをしっかり立て直して、チームの底上げをしないといけないと思っていました。人間なので失敗はあると思いますし、全部が全部うまくいくはずはないので、良い時もあるし悪い時もあります。その波をどれだけ小さくできるかが大切だと思って、良い形で頭を切り替えることができました。今日のパフォーマンスをもっと上げられるようにやっていきたいです。
Q、今日は大きな声援に包まれました。
A、気持ち良かったです。応援し続けてくださっている方がいるなかで、自分自身の結果が必要だったので、まず一つ結果で応えることができて良かったです。もっと数字を出してチームのために結果を出し続けて、必ず優勝したいです。
Q、前半の立ち上がりは、チームとしても難しい時間が続きました。
A、攻守において難しい時間が続きました。暑さもありましたが、それは相手も変わらないので。そのなかで自分たちが勝つためにどうやっていくのかと考えた時に、前を選択しながらプレーをしていくというところで、全員が同じ矢印を向いていたからこその先制点だと思います。そこから流れも掴めました。試合中の修正という意味では、ハーフタイムに監督やコーチの声を聞いて修正していくのはもちろんですが、ハーフタイムは15分しかないので、試合の流れのなかで選手たちが自発的に流れを持ってくるためにどうすれば良いのかというのをコミュニケーションがとれたからこそ、良い流れを掴めたのだと思います。
Q、4試合ぶりのクリーンシートで4連勝です。
A、みんなの感覚は分かりませんが、自分の感覚ではまだ4連勝か、という感じです。あっという間でしたし、もっと上にいけると思っています。気がついたら自分も良い流れに乗っていました。自分みたいな選手がもっと出てこないといけないと思います。連戦でチームの総合力が試されるので、自分のような選手がチームのプラスアルファになって底上げしていかないといけない。もちろん優勝を目指していますが、まずは次のジェフユナイテッド市原・千葉戦に向けて、全員で同じ矢印を向けて準備していきたいと思います。
Q、暫定首位に立ちましたが、今日のように選手を入れ替えながら勝てたことはチームの勢いになりますか。
A、自分自身もスタメンの選手とサブの選手で差を感じてしまう部分もありましたが、それを覆すには数字が必要でした。まだまだ覆すことができたとは思っていませんが、チームの勝利に貢献できたことは嬉しいです。自分自身もそれを目的にプレーしているので、まずは一つ結果を残すことができてホッとしています。首位を意識することよりも、目の前の試合にしっかり集中していきたいです。
佐藤恵允選手

Q、前半の序盤は苦しい展開でしたが、どのようなことを考えながらプレーしていましたか。
A、耐える時間は長かったのですが、カウンターの一刺しで形勢を逆転してやろうと思っていました。それが1点目につながりました。
Q、先制点のゴールシーンを振り返ってください。
A、少し苦しい時間が続いていたなかで、チームとしてカウンターを狙っていて、あのパスも狙っていました。うまく奪うことができて佐藤龍之介選手にラストパスを出して、あそこで決めてほしかったのですが、シュートがこぼれてきた位置にしっかりと入っていけたこととボールにうまく反応できた自分を褒めたいと思います。
Q、難しい体勢でしたが、狙い通りでしたか。
A、狙っていないです(笑)。体勢的にも当てるのが精一杯でした。持っているな、と思います。あそこにちゃんと走っていたということと、ボールにうまく当てたことが良かったです。
Q、勢いが止まりませんね。
A、前節はゴールを決められませんでしたが、大事な時に決められるのが自分だと思います。
Q、2点目の場面でも、佐藤龍選手の縦パスを受けてうまくターンして、スルーパスにつなげました。
A、あのシーンは逆サイドにいたのですが、あのタイミングで中に入ってきた時に佐藤龍選手と目が合いました。『来るな』と思ったら、予想通り良いボールがきたので、うまくターンができて、その瞬間に仲川輝人選手が良い動き出しをしていたので、しっかりと使うことができました。2本のパスで崩せたので、自分たちのやろうとしている縦に早い攻撃ができたと思います。パスは本数が少なければ少ないほどゴールに早く到達できるので、それがうまく体現できました。
Q、佐藤龍選手とのコンビネーションが成熟してきた印象です。
A、特に2点目の場面を見れば分かると思うのですが、目が合えばパスが出てくるし、彼はボールを奪われないので、なんとかしてくれます。ボールをつけて背後に抜けようとすれば自分も活きるというのが分かっていますし、スーパーな選手です。言うことないです。
Q、自身のゴール数も伸ばしていきたいですね。
A、勝つためには得点が必要なので、自分が決めます。
Q、首位の鹿島アントラーズは明日試合を控えていますが、現時点ではこれで暫定首位になりました。
A、だいぶプレッシャーを与えていると思うし、ここから全勝すれば自力優勝もできると思います。相手がどうこうというより、自分たちが全部勝つことで優勝するということだけをめざしていきたいです。
稲村隼翔選手

Q、連戦のなかでしっかり勝てたことについてどのように感じていますか。
A、東京の進化を見せられているというか、選手の意識とスタッフが言ってくれていることが噛み合っていて、一体感を持って戦えている証拠だと思います。
Q、チームとして良い流れがきていると感じますか。
A、流れというよりは、松橋力蔵監督がよく伝えてくれている日常のところを選手たちが意識してやれている結果だと思っています。それが1試合ごとに出ている。流れもあるとは思いますけど、1試合1試合に懸けている想いが今はすごく強いと思います。
Q、後半はクロス対応が多くありましたが、無失点で抑えることができました。
A、自分の課題でもありますし、これまでの東京の失点パターンでもあるので、日々取り組んでいます。ディフェンダー陣でもいろいろ話しながら守れていたと思います。自分も一度、頭で競り負けたところから失点していた試合があったので、その反省を活かしてしっかりとプレーできたのは良かったです。
Q、前半はロングボールで大森理生選手が狙われていた印象でしたが、センターバックの二人でそういった話をしましたか。
A、大森選手自身はそこにストロングのある選手なので、全然問題ありませんでしたし、心配もしていませんでした。自分たちはそこで負けないことと、チャレンジアンドカバーをしっかりしようと意識していました。
Q、チームとして噛み合ってきている要因は何でしょうか。
A、さっきも言ったとおり、1試合1試合に懸ける想いがみんな同じ方向を向いていることだと思います。選手もスタッフも『チームのために』という想いで、いろいろなところで東京のために働いてくれている、東京に関わっているすべての人のためにやれているという感覚があります。
Q、ホーム3連戦の初戦に勝てたことについてはいかがでしょうか。
A、選手たちもそうですが、チーム全体として3連戦という部分はあまり意識をしていなくて、目の前のこの試合、この試合と割り切ってやっているので、相手よりもそれだけ1試合に懸ける想いが強いことが結果に出ていると思います。流れというものもあると思いますが、それはウォーミングアップの時からファン・サポーターのみなさんが作ってくれている空気が一番だと思います。本当に感謝しています。
Q、次のホームゲーム、千葉戦に向けた意気込みをお願いします。
A、総力戦と言われますが、それはファン・サポーターのみなさんも含めての総力戦だと思っています。対戦相手には関係なく、目の前の試合に向けて全員で戦っていきたいと思います。
鈴木楓選手

Q、プロデビューおめでとうございます。率直にどのような気持ちですか。
A、小さい頃から見ていたこの味の素スタジアムでピッチに立てたことは非常に嬉しいですし、まだスタートラインに立っただけなので、ここから出場時間を伸ばして、東京の勝利に貢献できるように頑張りたいです。
Q、投入がアディショナルタイムだったので、おそらくゲームをクロージングする役目だったと思います。どのような指示で送り出されましたか。
A、特に指示はなくて、松橋力蔵監督に『いつも通り楽しんでこい』と言われたので、そこで自分もリラックスできて、あまり緊張せずにピッチに入れました。
Q、初めて味わうプロでの味の素スタジアムのピッチで、どんな感触、どんな空気感を感じましたか。
A、シンプルに応援がすごくて、自分はいつもゴール裏で応援していた側だったので、ピッチに立って、『選手たちはこういう雰囲気でやってきていたんだな』というのをあらためて実感できました。応援してくださっている方たちに自分はプレーで恩返しをしていきたいと思います。
Q、タイムアップの瞬間、勝利の喜びをチームメイトと味わったと思うのですが、どのような感情になりましたか。
A、スタンドで味わう勝利と、ピッチで味わう勝利というのは、全然違う感情になりました。この感情をファン・サポーターの人に感じ続けてもらえるように、自分たちもピッチで戦っていきたいと思います。
Q、前節の柏レイソル戦でベンチ入りをしていましたが、最初は緊張していたと思います。そこから多少時間が空いたことで、今日の試合に向けて自分の気持ちの整理ができたのではないですか。
A、ディフェンダーなので、交代というのは難しいということは分かっていたのですが、この連戦中に松橋監督にも言われていましたし、いつチャンスがくるのか分からないので、常に自分のハイパフォーマンスを出せる準備はしていました。
Q、チーム事情から現時点でサイドバックの層が薄いなか、期待されていることもあったのではないですか。
A、自分は後ろのポジションであれば、ボランチまでどこでもできるので、それを強みに、自分一人がベンチにいればどこでもカバーできるという部分でポジティブに捉えています。もっと練習からアピールして、出場時間を長くできるようにしたいです。
Q、プレー面ではここまで、今日の試合だけではなく、これまで松橋監督やコーチ陣からは、どこを伸ばしていくように言われてきましたか。
A、今の東京はビルドアップが主流でやっているので、後ろから組み立てる部分であったり、一つ遠くを見るということは常に言われているので、自信があるキックというのは、常に遠くを見つつ、近くにさばいたりしていくのが大事だなと思っています。
Q、その点で、チームメイトから盗みたいところはありますか。
A、稲村隼翔選手が、縦バスやロングボールを刺すという部分ですごく参考にさせてもらっています。稲村選手のように、遠くも近くも使い分けるキックができる選手になりたいです。




