REPORT 2026.7.23

進化への手応え|北海道・白老町キャンプ 中間レポート

“力蔵トーキョー”が2026/27シーズン開幕に向けて北海道白老町で本格始動した。7月14日のキャンプインから約1週間が経過し、新シーズンに向けた取り組みの輪郭が明確になってきた。

北海道・白老キャンプでは、初日から松橋力蔵監督が「テーマを絞って過ごしていきたい」と明かしたとおりのトレーニング内容が展開されている。攻撃ではサイドの崩しに多くの時間を割き、守備では順序立ててハイプレスからミドルブロック、そしてクロスボールへの対応にも取り組んだ。シーズンを通じて、こうした動きが身体に染み込むまで反復していく方針だ。

4位で終えた明治安田J1百年構想リーグでは、リスク覚悟で中央を攻略した試合が多く存在した一方で、クロスボールからの得点はそれほど多く奪えなかった。そのフィードバックを受け、指揮官は「相手が我々に中央をうまく経由させないようにしてくるケースが想定される」と口にし、相手の対策を上回る多彩な攻撃パターンをチームに植え付けようとしている。

橋本健人はこうした取り組みを歓迎する一人だ。明治安田J1百年構想リーグで多くの得点を生み出した右サイドに対抗心を露わにし、今回のキャンプでは得意のクロスボールに磨きを掛けている。

「自分の良さが出る機会や回数を増やしていかないといけない。明治安田J1百年構想リーグでは右サイドの二人が個人賞を受賞するなど、フィーチャーされる機会が多かった。個人的にはシーズンが終わった段階で、そこに頼るだけではなく左サイドもできる姿を見せたいと思ってきたし、左サイドで自分やウイングに結果が出るようになれば、相手も防ぐことが大変になる。サイドをいかに崩していくのかと、逆サイドの二人に負けないという気持ちで取り組んでいる」

キャンプではここまで2試合のトレーニングマッチを消化。始動から少し日数が経過していたこともあり、初戦となったモンテディオ山形との練習試合では各選手に45〜60分のプレー時間が与えられた。45分×3本の合計は1-2で敗れたものの、奪った得点は橋本健を起点に左サイドから生まれたものだった。

さらに手応えを深めたのは守備面だった。相手陣内に押し込む時間帯が長く、ピッチ内の声を絶やさずにハイプレスとミドルブロックの使い分けが非常にスムーズに行われた。高宇洋がその手応えを口にする。

「始動から強く意識している部分で、しっかりと攻守で全体をオーガナイズしつつ、それにプラスして自分自身も出足が良い感覚がある。開幕に向けてもボールを奪うことや、こぼれ球を拾うといった当たり前のところを徹底しようと思っているので、そこには良い手応えを感じている」

続く21日の名古屋グランパス戦は3本合計2-1で勝利を収め、今夏に新加入したニコライヴァリスが初出場を飾って上々の試運転を見せた。この一戦では、ヴァリスが出場した時間帯に選手たちが多くの良い反応を示した。攻撃陣が流動自在にポジションをローテーションし、名古屋のマンツーマン気味の守備をかく乱。松橋監督が求める+1の数的優位をうまく作ってボールを前進させることに成功していた。

ヴァリスは絶えず首を振って状況把握に努め、常に動き直して周りとのコンビネーションを生かしながらゴールに迫る。長身を生かしたヘディングシュートや背後への飛び出しも披露し、得点関与率の高さや多彩な得点パターンの一端を短い時間でも存分に光らせた。ヴァリス自身も手応えをつかみつつ、「もっと良くなる」と未来を見据えている。

「まだまだ学ばなければいけないことは多いと感じている。いかに選手と関係性を作っていくかが今後の課題。チームコンセプトの輪郭は見えてきたけれど、まだまだ学ぶべき部分は多い」

明治安田J1百年構想リーグで足りなかった部分を補い、どこからでも得点を生み出せる攻撃と強固な守備の構築に磨きを掛けている最中だ。北の大地で過ごすキャンプはあとわずか。帰京後の最終仕上げに向けて、ロードマップどおりに確かな仕上がりを見せている。

(文中敬称略)

Text by 馬場康平(フリーライター)
Photos by Kenichi Arai