堅守と攻撃でも多彩さを見せて相手を上回り、勝利を！

曇り空、気温は上がっていないが湿度の高い清水・アイスタにて迎える第9節、清水エスパルスとの一戦。
今節は森重の出場停止が明けるとともに、故障者も次々と復帰を果たし、太田、梶山、東が練習に合流。マッシモ監督は「復帰の選手は、それぞれにコンディションを見極めなければいけない」と慎重に話したが、太田については「状態は上向き」だと説明し、7月29日仙台戦以来4試合ぶりに先発復帰。

また、昨季8月の負傷以来、長らく戦列を離れていた平山だが、監督は「約11か月に渡って苦しい時間が続いたが、よく我慢をした。ここにきて非常に状態がよい」と話し、昨年8月23日（第21節）以来のメンバー入りを果たし、ベンチに控える。太田が左サイドバックに、そして徳永が右サイドに回り、中盤から前線は前節と同様のメンバーで臨む。

対する清水の2ndステージは現在、勝ち点6で15位。年間順位は17位だが、田坂和昭監督が約1か月間のヘッドコーチを経て、8月より指揮を執る。同時に2ndステージを前にFW鄭、DF角田らが加入し、巻き返しを図ろうとしている。8月の3試合は1分2敗とまだ未勝利だが、いずれのゲームも1点差。守備面が改善され、大崩れすることなく僅差の勝負に持ち込んでいる。

新加入選手を含め、チームとしての歯車が噛み合えば高い攻撃力を発揮されることになるはずだ。相手はFW大前がベンチスタート。DFラインも前節から少し入れ替え、DF六平とカルフィン ヨン ア ピンがサイドバック。ボランチをMF本田と枝村が組み、両サイドにMF白崎とミッチェル デューク。FW鄭とピーター ウタカが2トップを務める4-4-2の布陣となった。

ホームでアグレッシブに勝利をめざす清水に対し、東京は堅守と攻撃でも多彩さを見せて上回りたい一戦。
試合は18時4分に清水のキックオフでスタートした。

互いにプレスを掛け合い、スコアレスのまま後半へ

試合は序盤の5分。相手の左MFミッチェル デュ―クに前線の高い位置まで攻め上がられ、クロス。中央のFWウタカにヘディングで飛び込まれたが、シュートはポストをかすめるようにアウト。ピンチを免れた。続く9分、東京は左エリアのバーンズが果敢に仕掛け、左CKを獲得。キッカーは太田。このCKに合わせて、ニアにバーンズが飛び込んだが、激しい競り合いの中でボールは枠外に。

迎えた15分。相手のミスを見逃さず、ショートカウンターから、バーンズがエリアでGKと1対1。しかしシュート寸前で飛び出され、その直後にもファウルを受けて倒れたかに見えたが、相手のファールはなし。16分には前田が左エリア手前から、中に持ち込みつつ強烈なミドルシュートを放つ。カーブがかかったシュートが相手ゴールを襲うが、GKに抑えられる。

続く19分。バーンズが左前線まで走り込み、ゴール前にマイナスのグラウンダー。中央の米本には合わなかったが、足を伸ばして懸命に落とし、ここに詰めた高橋がロングレンジから狙うが、相手にブロックされて右CKに。この右CKは相手に跳ね返され、清水FWウタカに確実に収められて、カウンターを受ける。しかし、ここは相手のシュートミスに助けられ事なきを得る。33分、東京は太田が左サイドの中寄りからエリア内へクロスを送る。相手DFがスライディングでカットし、左CKに。CKはクリアされたが、再び太田のもとに。そこからゴールとほぼ平行に入れたクロスに合わせて、バーンズがヘディングを放ったが、枠を捉えることはできなかった。

35分が経過したところで、東京が自陣で保持する時間は徐々に長くなっているが、清水の厳しい当たりの前に、なかなか攻めの形を作ることができない。高い位置で奪ったときはチャンスになっていたが、反対に清水FWウタカやFW鄭へのロングボールに押し込まれる場面も。互いにプレスを掛け合い、非常に激しい攻防が続いていた。

清水のFWピーター ウタカを起点にした攻撃に対して、森重、丸山らが強さと粘り強さを発揮。一方、高い位置でボールを奪い、チャンスにつなげたが、それを活かすことはできず。スコアレスで後半へ。

太田がFKからゴール！激しい攻防は引き分けに終わる

後半に入り50分。清水は左エリアまで運び、MFミッチェル デュークが仕掛ける。一度は森重が奪うが、再び清水にプレスをかけられ、こぼれたボールが、徳永と森重の間に飛び出した清水FWピーター ウタカの元に。左エリアから決定的なシュートを放たれ、これはGK榎本がセーブしたが……こぼれ球に反応したFW鄭に難なく押し込まれ……先制を許した。

先制あれた後の53分。気落ちすることなく前に出る東京は、素早く前線に運び、河野の左クロスから、CKを獲得。太田の左クロスから、森重が放ったヘディングは、右ポストを直撃……。こぼれ球に詰めたが、清水DFに先に反応され、続いて右CKに。

57分には河野に代えて中島を投入。続いて60分には羽生に代わって橋本がピッチへ。橋本と中島がサイド。そして高橋と米本のダブルボランチに。

61分、清水が素早く前線にボールを運び、右からゴール前に入ったFW鄭と入れ替わるように、中央を上がったMFミッチェル デュークが右に抜けだして、シュート。しかしこれはGK榎本が片足でセーブし、CKに逃れる。続く64分にも清水FWウタカに強引に右エリアに抜け出される。そこから放ったシュートは榎本がわずかに触ってCKに逃れる。このCKから、清水に再三押し込まれ、苦しい場面が続いたが、追加点は許さず。65分が経過。相手に先制を許し、その後も押し込まれ、苦しい展開に。しかし最後のところで集中を切らさず、追加点は許していない。相手の激しさに競り負けず、相手の隙を突いていきたい所だった…。

67分にはバーンズに代わって平山が入り、1年ぶりのピッチに立つ。迎えた70分。その平山が頭で落とし、受けた中島が右エリア手前で仕掛けところでファウルを受け、FKを獲得。右エリア手前・約20メートルのFK。内側に立つ森重がおとりとなって、直後に太田が狙ったシュートは、ゴール右上に吸い込まれるように決まってGOAL!!見事なFKで同点に追いつく！しかしその後は清水の勢いやセットプレーに押し込まれる展開だった。最終ラインではよく凌いでいるが、前で反撃の時間を作ることができず。自陣でのプレーが続く…。83分には左前線に平山が抜け出そうとしたところ、相手との競り合いで倒れたが…清水ボールの判定に。

選手交代を使い、東京は平山が1年ぶりのピッチに。その中で中島が得たFKを、太田が見事に決めて同点に!!その後も勝ち越しを狙う相手の攻撃をよく抑え、終盤はカウンターの応酬になったが、チャンスに決めきることはできなかった。激しい試合は引き分けに終わり、2試合連続のアウェイゲームは勝ち点1を得るにとどまった。

【選手コメント】
《太田》
「ここ1か月くらいチームの試合に出ることができなくて、迷惑を掛けた分結果で返したかったし、勝てればベストでしたけれど、アウェイで貴重な勝ち点1と捉えて、残り8試合全力で戦っていきたい。FKに関しては、一昨日の練習後に居残りで練習していて、その時練習した通りに蹴ることができて、良かったと思います。

《平山》
チャンスをくれた監督や、支えてくれた人たちに感謝しています。感謝はプレーで返して、残りのシーズン短いですが、結果で示したいと思います。東京の9番をつけることはとても光栄なことで、今までも良い選手がつけてきた背番号なので、それに恥じないように頑張りたいです。
(ピッチに出るときの監督からの指示は?)
勝ち点3を獲るために、ゴールを狙うことと、相手のハードワークに負けないようにということです。ポストプレーはもちろんですが、ボールがしっかりと動くように意識してプレーしました」

【マッシモ フィッカデンティ監督の会見要旨】
「非常に激しい試合だった。清水はたくさん走り、FWの強さを活かして前線にボールを放り込んできた。前半の我々は、バーンズに何回か惜しいシーンがあった。そこで決めていれば、試合の流れはまったく違うものになったはず。決めきることができず、難しくなった。自分たちのボールからカウンターを受けて失点をしたが、その後も選手は落ち着いて、受け身になることなく続けてくれた。そして戦術の変更にもよく対応してくれた。一人はテクニカルな中島翔哉、もう一人はフィジカルのある橋本拳人を投入し、2トップに近づいてプレーをすることで自分たちのやりやすい形をみつけて、最後の最後までトライすることができた。今日の勝点は1だが、大事な1だと思う」
(平山選手が待望の復帰をして早速起用したが、感想は？)
「良かったと思う。彼は1年以上に渡って非常に苦しんだ。ここからどんどんコンディションを高めて、プレーをする試合、時間も増えていくことを願っている。彼のような特徴を持つ選手は、これまでのチームには欠けていた。シーズン終盤には、彼のようにフィジカルの強い選手が必要になってくる。大事な復帰だ」

【清水・田坂 和昭監督の会見要旨】
「まず最初にサポーターとスポンサーの方々に感謝したい。改めて、我々がこうして戦えるのもみなさんのお陰。その分、結果が出なかったことは残念だが、しっかりと次の試合のために前を向いていきたい。試合後にはいろいろなことが出てくるが、我々がやらなければいけないのは、前を向いて勝っていくこと。それしかない。今日は内容が良かったと言っても、勝たなければ何もない。そういところでは、良かった分とまだまだやらなければいけない両方がある。しっかりと勝ち点3が獲れるように来週から準備をしたい」