GAME RESULT試合結果

第3節 2002/9/14(土)
観衆 9,687人 
天候 曇、弱 気温 22.6度 湿度 67% 
主審:片山 義継 副審:泉 弘紀/木城 紀和 四審:江角 直樹

J1 2nd 第3節

広島ビ

HOME

サンフレッチェ広島

2-1

試合終了

前半1-0

後半0-1

延長前半0-0

延長後半1-

AWAY

FC東京

サンフレッチェ広島 FC東京
23' 茂木 弘人
107' エルツェッグ
得点者 67' 石川 直宏
67' 中山 元気 → エルツェッグ
77' 藤本 主税 → 松下 裕樹
81' 高橋 泰 → 久保 竜彦
101' 茂木 弘人 → 沢田 謙太郎
選手交代 63' 戸田 光洋 → 福田 健二
82' 伊藤 哲也 → 藤山 竜仁
13 シュート 22
2 CK 6
18 FK 15
85' 森﨑 和幸
警告
退場
サンフレッチェ広島先発
GK 1 下田 崇
DF 5 駒野 友一
DF 6 トゥーリオ
DF 31 ビロング
DF 17 服部 公太
MF 8 森﨑 和幸
MF 7 森﨑 浩司
MF 9 高橋 泰
MF 11 藤本 主税
FW 26 茂木 弘人
FW 27 中山 元気
サンフレッチェ広島控え
GK 33 尾﨑 勇史
DF 3 沢田 謙太郎
MF 15 松下 裕樹
FW 10 久保 竜彦
FW 35 エルツェッグ
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 20 加地 亮
DF 3 ジャーン
DF 15 伊藤 哲也
DF 2 茂庭 照幸
MF 5 下平 隆宏
MF 16 宮沢 正史
MF 36 石川 直宏
MF 19 ケリー
MF 13 戸田 光洋
FW 11 アマラオ
FC東京控え
GK 35 小林 弘記
DF 8 藤山 竜仁
MF 7 浅利 悟
MF 23 喜名 哲裕
FW 9 福田 健二

【選手・監督コメント】

今季初の3連勝なるか


 2ndステージ第3節の相手は広島。ワールドカップ再開初戦で対戦した1stステージでは、戸田のハットトリックを含む怒濤の4ゴールで東京が圧勝したが、1stステージ終盤に監督に就任した木村監督のもと、積極的な若手登用で徐々にチームを変革し、前節は横浜FMをアウェイで破るなどチームは確実に調子を上げてきている。また、今週チームに合流したばかりの新外国人で元クロアチア代表のFWエルチェッグも早速サブに控えるなど心強い助っ人の加入で戦力は向上した。広島は前節終了時点の年間順位が14位とJ2降格ラインの崖っぷちに立っており、この日のホームゲームは1stのリベンジの意味も含めモチベーションは極めて高いはずだ。

 一方の東京も2ndステージ開幕2連勝でしかも完封勝利と勢いに乗っており、今季未だ成し遂げていない3連勝を賭けてモチベーションは高い。1stステージ終盤で脆弱なイメージを残してしまったディフェンス面も、2ndステージ2試合無失点の立役者GK土肥を中心に粘りと安定感が出てきており、攻撃面でも石川、アマラオ、ケリーらが好調を維持している。「2連勝止まり」からの脱却は上位に定着するための必須課題であり、ここを乗り越えれば「原攻撃サッカー」はより自信を深め、更に前進したハイパフォーマンスを見せてくれるはずだ。東京は今季初の3連勝を賭けて、前節と全く同じスターティングメンバーでガチンコ勝負に臨んだ。


Three Out Of Three? 

F.C.TOKYO made the long trip to Hiroshima for the third game of the second stage. Sanfrecce, after a disappointing first stage campaign ( which included a 4-0 drubbing at Tokyo Stadium in the first game after the World Cup, highlighted by Toda's hat trick ) had replaced their manager during the break; an excellent away win over F Marinos in the previous game plus the signing of former Croatian international striker Erceg signalled a positive start under new manager Kimura. However, in 14th. place in the overall standings Sanfrecce were peering into the abyss of relegation; with a vital three points at stake and revenge on their minds the players' motivation would be undoubted. 
F.C.TOKYO had made an excellent start to the second stage, winning both games without conceding a goal and allaying the fears raised by some defensive frailty in the first stage. Yoichi Doi, the TOKYO No. 1, had been in superb form while Ishikawa, Kelly and the ageless Amaral were back to their best at the other end. Aiming for a third consecutive win TOKYO were unchanged from the previous game.

激しく攻め合う好ゲーム


 試合は開始直後から両チーム攻撃的な姿勢が目立つ展開となった。1分、左サイドでケリーからスルーパスを受けて抜け出した戸田がゴールへフリーで突進するが、シュートではなく中へ折り返したパスにアマラオが合わず、逆サイドから走り込んだ石川がシュートしたがDFに当たってしまう。続く5分には右サイドを駆け上がった加地のクロスがゴール前を横切り、さらに6分には後方からの鋭いパスをゴール前でアマラオがフリーで受け、振り向きざまにシュートを放つが当たり損ねて僅かに左へ外れた。

 東京が立て続けにビッグチャンスを外すと、若い広島は徐々に光を放ち始める。8分、ゴール前の混戦からFW茂木が抜け出したが、シュート前に東京DFが追いつき辛うじてクリア。その直後、今度はジャーンの中途半端なバックパスに広島FW中山が追いつきシュートされるもジャストミートせず、GK土肥が足で止めて事なきを得た。

 この日の広島はスターティングメンバーの平均年齢が22歳代で、特にツートップの茂木と中山はそれぞれ18歳と20歳と極めて若かったが、この二人の活躍は予想以上に東京を苦しめた。広島の攻撃は東京からボールを奪うとまずはトップの中山に当て、ここで落としたボールに鋭く茂木や藤本、高橋がフォローに入りダイレクトで速くパスを回して、駒野、服部らスピードあるサイドバックの攻撃参加で厚みを加えた。東京はカウンターを受けている上、スピードのある茂木や、2列目から藤本、高橋が鋭く前線に上がってくるため、きっちりとマークにつけず押し込まれた。


End To End 

TOKYO pressured Sanfrecce straight from the kick off as Kelly's through ball set Toda free down the left. He elected to pass instead of shoot: the ball evaded Amaral and Ishikawa, following up, struck his shot against a defender. Kaji overlapped and centered in the 5th. minute and a minute later Amaral fired fractionally wide from a good position. 
Fortunate not to be behind the young Sanfrecce team fought back and only a desperate block prevented Mogi from opening the scoring following a goal mouth melee. Soon after, an under hit back pass from Jean played in Nakayama but he scuffed his shot and Doi saved with his legs. 
With an average age of only 22 and a strike force of 18 year-old Mogi and 20 year-old Nakayama, Sanfrecce unexpectedly began to cause problems for the TOKYO defence with their simple, direct football. Long balls played to Nakayama were knocked down or laid off to Mogi, Fujimoto or Takahashi while side backs Komano and Hattori lent their weight to the attack. Fast passing movements and darting runs from the speedy Mogi proved difficult to contain and the visitors found themselves on the back foot.

2ndステージ初失点


 チャンスは交互に訪れた。東京は18分、左からのFKを宮沢が鋭い弾道でファーサイドに送ると、アマラオが遠目から豪快なヘッドで合わせるもバーを直撃。逆に22分、今度は広島が右サイドから東京の浅いDFラインの裏へスルーパスをだすと、これに鋭く反応した藤本が抜け出したが、一瞬速くGK土肥がクリア。しかし直後の23分、左サイドで茂木がフリーでボールを受けると、ドリブルから中へ持ち込まれ、あっさりとゴールを許してしまう。

 東京は2ndステージ初失点を広島のルーキー・茂木のJ初ゴールという形で献上してしまったが、焦ることなく自分たちのサッカーを継続した。石川のスピードを活かしたサイドからの突破や、宮沢のロングパス、アマラオのヘッドで次々とチャンスを作り、広島を圧倒。35分に石川、44分には宮沢がそれぞれ豪快なミドルシュートを放ち、ロスタイムにはCKからジャーンが叩きつけるヘッドでゴールを狙ったが、それぞれ広島GKの攻守に阻まれてノーゴール。結局前半を0-1とリードされたまま終了した。


TOKYO Concede First Goal of Second Stage 

Both teams were creating and spurning chances. Amaral headed a vicious Miyazawa free kick against the bar at the far post in the 18th. minute and shortly after Doi hared out of his goal to clear off Fujimoto's toes as a fine through ball had split the TOKYO defence. Doi was unable to prevent Sanfrecce taking the lead in the 23rd. minute as Mogi finished cleanly after being left unmarked. 
His first J.League goal was the first conceded by F.C.TOKYO in the second stage. TOKYO responded by not panicking and maintaining their pressure on the Sanfrecce goal. Ishikawa and Miyazawa both had long range efforts well saved by the Sanfrecce keeper who also produced a fine stop to deny Jean's header from a corner in injury time. The first half ended 0-1. 

石川の同点ゴールで追いつくも追加点奪えず、延長へ


 「ディフェンス陣はもう一度、茂木、藤本、高橋をしっかり捕まえること。そして攻撃では、相手のサイドバックの飛び出した後の空いたスペースを突くように。チャンスはウチの方が多く、シュートの後、もう一歩詰めれば得点できる。今まで我々がやられてきたように、今日は我々が後半に逆転して勝とう。必ずできる!」と原監督はハーフタイムに選手に指示し、檄を入れた。後半が始まると、まさに試合はそのような展開となった。

 東京は広島攻撃陣の運動量が減ったこともありディフェンスラインが安定すると、原監督の指示とおり、ポッカリ空いてくる広島のサイドを突いてチャンスを作った。5分にはケリー、アマラオ、石川とショートパスで崩して決定機を作るが惜しくもオフサイド。続く7分には右サイドを上がった加地からパスを受けた石川が左足に持ち替えてシュートを狙ったが、このボールがゴール前でフリーのアマラオの足元に。GKと1対1になったアマラオだったが、またしてもGKに当ててしまい好機を逸してしまう。決定機を作りながらもゴールが遠い東京だったが、迎えた後半22分、中央から宮沢が右サイドのスペースに浮いたパスを出すと、これを石川が完璧なトラップから高速ドリブルで突進しシュート。GKの位置を見て冷静に蹴ったボールは、広島ゴールネットをしっかりと揺らし、ついに同点に追いついた。

 原監督の狙い通りの展開で同点に追いついた東京は、勢いに乗って一気に畳みかけた。28分には右サイドをドリブルで突破した石川がゴール前にグラウンダーのパスを通すが、飛び込んだアマラオは一歩届かず。35分には左サイドでアマラオがヒールで落としたパスを後ろから走り込んだ宮沢がループシュートで狙ったが、バーを大きく越した。41分には途中出場のFW福田がアマラオのダイレクトパスで抜け出し、右サイドからシュートを放ったが、ボールは大きくゴールを外れた。

 一方、守勢にまわった広島だったが、大型センターバックのビロングを中心としたディフェンスラインは堅く、全員が高い集中力で東京の攻撃を跳ね返すと、途中出場の新外国人・FWエルチェッグや同じく途中出場のFW久保らが迫力ある攻撃を仕掛けてくる。後半終了間際の44分には左サイドからのパスを中央の選手がスルーすると、その後ろから走り込んだMF森崎浩がフリーでボールを受けドリブルから強烈なシュートを打たれたが、僅かにゴール右に外れた。

 試合終了間際の決定的なピンチを凌いだ東京は、その直後のロスタイムに左サイドからのパスを中盤で受けた石川がドリブルから強烈なシュートを放ったが、これも惜しくも左に外れタイムアップ。決着は延長戦へと持ち越された。


Ishikawa Ties It! 

At half time TOKYO manager Hara urged his defence to " Get hold of Mogi, Fujimoto and Takahashi" and his attack to " Use the space created when their side backs push forward ". He added " We're creating chances and have a great chance to turn the game around". Which is exactly what happened. 
The TOKYO defence got to grips with the Sanfrecce forwards as the second half unfolded and the attack suddenly found acres of space down the flanks. 
A very close offside decision denied TOKYO in the 50th. minute and soon after Amaral seemed certain to score as Ishikawa's shot landed at his feet with only the keeper in front of him. Somehow the keeper beat his shot away but the visitors were not to be denied. In the 67th. minute Miyazawa floated a pass into space on the right for Ishikawa to control the ball cleanly and fire coolly past the keeper for the equaliser. 
TOKYO scented blood and continued to press forward. Amaral was inches away from Ishikawa's low cross in the 73rd. minute and a neat heel pass from the same player teed up Miyazawa soon after but his lob sailed over the bar. 
Fukuda, on in place of Toda, blazed wide in the 86th. minute. 
The Sanfrecce defence, ably marshalled by giant centre back Bilong held firm and the home side nearly snatched the winner as extra time beckoned. An infield pass from the right was allowed to run by a Sanfrecce player and midfielder Morisaki lashed a thunderous drive fractionally wide of a post. 
The final chance of the 90 minutes fell to Ishikawa who rasped a shot wide of the post from outside the box. The game moved into extra time. 

怒濤の攻撃実らず...圧倒しながら1本のシュートに泣く


 今季東京はここまで延長戦での勝ち星がなかったが、現在2連勝中のチームにとってそのジンクスの意識は薄く、選手は高い集中力と素晴らしい攻撃力で広島を圧倒した。

 延長前半の序盤こそ広島に押し込まれる場面があったが、東京の最終ラインは疲労の色も見せず、高い集中力で跳ね返すと、決定的な好機を何度も演出するようになる。8分には、途中出場のDF藤山からの縦パスに福田が左からゴール前に抜け出し、そのまま左足でシュートを放ったが相手DFの足に当たりGKがキャッチ。続く9分には相手DFのクリアボールを宮沢が中央からダイレクトで豪快なミドルシュートを放つも、GKの正面で弾かれる。11分に石川が右サイドから放ったシュートもGKの正面でキャッチされた。13分、右のCKを福田がニアサイドからダイビングヘッドで狙ったが、これもGKの好守に阻まれる。14分には、DFからのロングパスを福田がゴール前に流し、これに走り込んだアマラオがペナルティエリア内でキープしたところを後ろから来た選手に倒されたかに見えたが、判定は「ノーファール」。スタジアムは息もつかせぬ白熱した試合展開に、興奮は最高潮に達した。

 結局、延長前半で決着がつかず、試合はいよいよ最終章へ。押せ押せムードの東京は、広島に駆けつけたサポーターの激しく熱い応援に呼応するかのように、延長後半に入っても開始直後に石川が意表を突くミドルシュートで勢いを見せた。

 「あと一歩。あとワンプッシュで勝てる」。東京の関係者の誰もがそう思った矢先、微笑みかけた女神は一転、急に広島に向いてしまう。延長後半2分、左サイドで藤山が判断を躊躇しているスキにボールを奪われ、カウンターとなって右サイドの広島FW久保にパスが出ると、久保は鋭い突破で対応した茂庭を振りきり中央へラストパス。これに走り込んだエルチェッグが難なくゴールを決め万事休す。シュート数22対13。延長に入ってからは9対1と、圧倒的に押していただけに何とも悔やまれる敗戦となった。この敗因は最後のミスを攻めるのではなく、あれだけのチャンスに決められなかったことを攻めるべきであろう。これで今季初の3連勝もお預けとなった。次節は4日後のホームゲーム。内容は悲観するものではないだけに、一刻も早く気持ちを切り替えて再び一つ一つ勝利を積み重ねるしかない。

【FC東京・原監督会見要旨】「今日は何と言ってもチャンスに決められなかったのがV負けの原因。立ち上がりにビッグチャンスを2、3回決められず、相手の若い選手を乗せてしまった。2ndに入って2連勝しているが、2つとも1点しか取っていない。やはりもう1点取らなければ厳しい。チーム状況は悪くないので、もっと決定力をつけなければ。次はすぐに水曜日の試合があるので、早く切り替えて臨みたい」

【広島・木村監督会見要旨】「今シーズンは延長で勝ったことがなかったので、今日V勝ちしたことは選手にとって大きな自信になる。内容については、FC東京は攻撃力が高く、スピード、高さ、パワーのある選手がいる中で前半はよく抑えていたが、後半は逆に押し込まれてしまっていた。ただ、ゴール前では最後まで全員が集中し、良く守ってくれたと思う。そして、何よりも決める選手が決めて勝てたことが良かった」


TOKYO Press But... 

TOKYO had failed to win any of their games which required extra time this season but set about breaking that jinx in aggressive fashion as the "V Goal" first period kicked off. Chance followed chance but the Sanfrecce keeper held everything TOKYO could throw at him: a powerful shot from Fukuda that deflected off a defender, a blast from Miyazawa, a fine effort from Ishikawa and a near post diving header from Fukuda. In the final minute of the first period of extra time Fukuda picked out Amaral with a sumptuous long ball; the "King of Tokyo" held the ball up inside the area before being barged over by a charging defender. " No foul" was the referee's decision; the home crowd made barely a sound. 
The second period began with Ishikawa again going close with a well struck drive but, as TOKYO strove for the goal that seemed so near, the fates suddenly turned against them. Fujiyama lost possession in the middle of the park and the ball reached Kubo on the right. He outpaced Moniwa and rolled the ball inside for the fast breaking Erceg to smash it past Doi for the winning goal. Unbelievably TOKYO had lost a game in which they outshot the opposition 22-13, and 9-1 in extra time. 
Three consecutive wins for the first time this year was beyond TOKYO's reach. The cause of the defeat was not the mistake which led to conceding the "V Goal" but the profligacy at the other end. The team has four days to regroup before the next match. 

F.C.TOKYO manager Hara: 
" Well, we just didn't take our chances today, simple as that. We had two or three great opportunities, and all credit to 
Sanfrecce's young players, but we need to score more than one goal per game. 
The team condition isn't bad at all but we have to rediscover the knack of converting the chances we create. There are four days until the next game and we hope to bounce back quickly". 

Sanfrecce manager Kimura: 
" This is our first "V Goal" victory of the season and a great boost to the players' confidence. TOKYO are a very strong team but we coped well with their power in the first half. The second was more difficult but the defence held their concentration and performed very well. 
The most satisfying thing was that the players who should decide the game did just that".