10/17 広島戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.10.16

10/17 広島戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<前節・清水エスパルス戦のレビュー>

11分間で3失点を喫して連勝が3で止まった横浜F・マリノス戦からのリスタートを期すアウェイゲーム。勝点40で並ぶ清水エスパルスとのゲームは、グレーカラーのSpecial Kitを身にまとう一戦となった。

立ち上がりから積極的にプレスを仕掛け、厚みのある攻撃で何度もビッグチャンスを作り出していく東京。ボールをつないで完璧な崩しを見せたかと思えば、鋭いカウンターで相手ゴールに襲いかかっていく。

しかし、フィニッシュの精度を欠いて決め切れないシーンが続くと、少しずつ流れが清水へ。すると前半34分、相手の右サイドをフリーにしてしまい、鋭い左足のクロスボールから髙橋選手に頭で合わされて痛恨の先制ゴールを許してしまう。攻め込みながら決め切れず、逆にワンチャンスでゴールを割られてしまうという悪い展開になってしまった。


後半、流れを変えたのは東京の選手交代だった。後半16分に投入された俵積田晃太選手がカットインからのスルーパスでいきなり好機を演出すると、東京にチャンスが増加。そして後半31分、青赤に待望の同点ゴールが生まれる。

森重選手のロングフィードから中央へ抜け出した俵積田選手が巧みなトラップから右へつなぐと、これを受けた佐藤恵允選手がワンフェイントから右へ持ち出して右足を一閃。しっかりとミートした強烈なシュートで豪快にニアサイドを撃ち抜き、東京が試合を振り出しに戻した。

その後、オープンな展開となった終盤は両チームがチャンスを作り出す一進一退の攻防に。しかし、どちらもネットを揺らすことができずタイムアップ。アウェイでの一戦は悪い流れを断ち切って同点に持ち込んだものの、勝ち切れなかったという印象を残して1-1のドローに終わった。


<今節のプレビュー>

リーグ戦もいよいよ終盤戦。

今シーズンの公式戦は明治安田J1リーグ5試合、そして準決勝まで勝ち上がってきた天皇杯を残すのみ。インターナショナルマッチウィーク明けとなる今節は、対戦相手のサンフレッチェ広島が来週火曜に韓国でAFCチャンピオンズリーグエリートを戦うことを受け、金曜ナイトゲームで開催されるアウェイゲームに乗り込むことになった。

東京はSAMURAI BLUE(日本代表)から長友佑都選手、韓国代表からキム スンギュ選手がチームに再合流。 SAMURAI BLUEは、火曜日に行われたキリンチャレンジカップ2025で“王国”ブラジルから大逆転勝利を収め、会場となった東京スタジアム(味の素スタジアム)、そして日本中を熱狂させた。長友選手の出場機会はなかったが、試合後には「ものすごく刺激を受けたし、もっともっとうまくなってJリーグで圧倒的な存在にならなければと思った。(広島戦も)この勢いでいきますよ」と熱くコメント。また、スンギュ選手はパラグアイ戦にフル出場して2-0の完封勝利に貢献。4大会連続のワールドカップ出場に向けてアピールに成功した。

この期間、チームはこれまでの課題解決と終盤戦に向けてのトレーニングに励んだ。失点が目立っていたクロスボールの対応に重点を置きつつ、残り試合の多くの対戦相手がいずれも3バック、5バックを中心に戦うチームであることを受けて、どう攻めて、どう崩していくかにフォーカス。攻守を表裏一体と考えてさまざまな確認を行った。


当然ながらもっとも意識したのは、直近で対戦することになる広島対策だ。ここまでリーグ戦で17勝7分9敗の5位。首位まで勝点7差という彼らにとっては、何としても勝点を手にして優勝争いに踏みとどまりたい試合となる。また、JリーグYBCルヴァンカップでは決勝、天皇杯では準決勝へと駒を進めるなど、アグレッシブなスタイルでコンスタントに上位争いを繰り広げるチームでもある。

その特長は何と言っても個の能力に長けた3バックと日本代表ゴールキーパーの大迫敬介選手が構えるリーグ屈指の守備力だろう。リーグ戦33試合での23失点はリーグ最少の数字。最終ラインの安定感を大きな武器にしつつ、前線から果敢にプレスを仕掛けて相手の自由を奪い、サイド攻撃や鋭いカウンターで襲いかかってくる。

東京としては攻守両面で多く迎えるであろう1対1のバトルを制し、相手のウイングバックが前に出てくるような展開を封じながら圧力をかけていきたい。そして堅守の広島守備陣にどうやってズレを生じさせていくかがポイントだ。松橋力蔵監督もここが勝負どころだと話す。

「(相手も)90分間ずっとタイトなわけではないので、その合間を見て、しっかりと前進するタイミングを狙いたい。彼らの矢印が折れた時がチャンスになる。その瞬間に攻撃をスピードアップさせたり、ゴールの近くにボールを届けたりしながら、相手の懐に入っていくことが必要。相手は非常に強固なブロックを敷いてくるので、ボールを奪われればカウンターにつながる可能性もある。でも、そこで逃げずに二次攻撃、三次攻撃を続けていくポイントはあるはず。ボールをしっかり握ってチャンスを作りながら、もし(ボールを)失っても素早く攻守を切り替えて奪い直し、再びボールを動かして相手を揺さぶっていく。相手が特長を出しづらくなるようなゲーム展開に持ち込みたい」

守備の大黒柱でもあるアレクサンダー ショルツ選手も勝負のポイントに“個の戦い”を挙げる。

「広島は難しい対戦相手の一つ。今回はアウェイゲームですし、難しい試合になる。チームとして戦術的な解決法を探しても、広島は高い強度でずっと1対1を作ろうとしてきて、それを個で無効化してくる。強度の高い試合になるでしょうし、個人のクオリティが大事になるだけに、チームとしても個人にとってもすごく大きなチャレンジになると思う」


国立競技場で行われた前回対戦は0-3というスコアで完敗。そして昨シーズンのアウェイゲームは台風の影響で新幹線がストップし、試合当日の昼に広島入りするという大変な移動を強いられた件も記憶に新しい。だが、その試合は3点を先行されながらも後半に2ゴールを奪って反撃し、リーグ終盤戦に向けて調子を上げるきっかけにもなった。

今回の広島戦でも、チームとしての戦略を徹底しながら個のバトルを制して気持ちの入った試合を見せ、天皇杯を含めた終盤戦に向けて自信と結果を持ち帰りたいところだ。

台風に振り回されながら意地を見せ、それでも届かなかった昨シーズンのアウェイゲーム後、ゴール裏のファン・サポーターが送る声援を受けて涙した仲川輝人選手が、当時を振り返りながら今節への想いを語る。

「魂と魂のぶつかり合いなみたいな試合になると思う。昨シーズンの記憶もあるし、今シーズンのホームゲームでも0-3で負けているので、悔しい想いをみんなでぶつけたい」

そう、魂の戦いだ。

ここから天皇杯に向けて強度を上げ、気迫のプレーを続けていかなければならない。組織で、個で、そして気持ちで相手を上回れ。自分を信じていれば勝利はついてくる。青赤が見せる2025シーズンの集大成。今節の広島戦をその第一歩としたい。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、清水エスパルス戦の内容や結果を踏まえて、中断期間中にどのようなトレーニングを積み重ねてきましたか。
A、まずは今節のサンフレッチェ広島戦に向けて、中断期間の2週間をフルに使い、攻守の確認に時間をかけました。攻撃面では、相手のウィークポイントや生まれるスペースを意識した攻撃、どのような仕掛けや突破で崩していくかを共有しました。守備面では、クロスボールが多い相手の対策を行いました。ここから対戦を控えているチームの多くが、3バックや5バックのチームです。継続したトレーニングで積み上げを意識してきました。反復や繰り返しのトレーニングを行えた期間になったと思います。

Q、広島のプレスをどのように回避するのか、という部分も勝敗に直結するポイントになると思います。
A、ビルドアップや1対1の局面で相手の矢印が折れた瞬間を見逃さないことです。その瞬間に前進するチャンスがあると思っています。90分間すべてでタイトにプレーすることは難しいと考えると、そのチャンスを見逃さないゲーム展開も頭に入れておく必要があります。広島にボールを持たれる時間もあると思いますが、様々な局面を想定したトレーニングを中断期間中にチームとして共有できたと思っています。

Q、攻守において1対1の局面でどれだけ上回ることができるかが重要になると思います。
A、広島は3-4-3または3-2-5のような前線に重心を置くシステムで圧力をかけてきます。相手陣内ではマンツーマンに近い守備ですし、自陣でも高い位置でボールを奪おうと前にプレスをかけてきます。1対1の局面で簡単に負けてしまうと相手の色が出やすくなってしまいます。しっかりケアすべきポイントだと思います。


[選手インタビュー]

<森重真人選手>


Q、今節の対戦相手は好調のサンフレッチェ広島です。
A、直近のルヴァンカップでは決勝進出を決めるなど、調子が良くて、強い相手です。それは、リーグ前半戦も対戦しているなかで十分に感じています。ただ、それでも90分のなかで隙はあると感じています。自分たちがこの状況から脱するためにも、アウェイゲームではありますが、勝点3をとらなければいけないと思っています。

Q、広島は伝統的に3バックを軸としたシステムです。システムのズレや先ほどおっしゃったズレをどのように有効活用したいですか。
A、広島は3バックですし、守備の時には守備の枚数が5枚になります。どのように仕掛けていけるかというところをしっかりと見定めていきたいです。相手のシステムの特性上、守備陣形が整ってしまうと、スペースがないように見えますが、相手の嫌なところやスペースに味方と連携して、最終ラインからしっかりと配球していきたいです。しっかりと狙い続けることで、相手も耐え切れなくなる瞬間が生まれると思っています。相手が狙いとする守備に自分たちがハマらないように、相手のウィークポイントを積極的に突いて、守備ブロックを崩していければと思っています。

Q、失点減少や無失点で試合を終える課題に、チームとして中断期間中にどのように取り組みましたか。
A、失点を減らしていく取り組みについては、中断期間中もトレーニングからしっかりと改善に向けて詰めていくことはできましたが、これはトレーニングをしたからと言ってすぐに良くなるものばかりではありませんし、継続して取り組むことで、意識のすり合わせや細かいところは改善できていると感じています。今節の相手もクロスボールから攻撃を仕掛ける傾向があるので、しっかり跳ね返す力強さを見せたいと思います。


<仲川輝人選手>


Q、昨シーズンのアウェイでのサンフレッチェ広島戦を含め、明日の試合に対しては、様々な思いがあると思います。
A、昨シーズンのこともありますし、今シーズンのホームでも負けているので、悔しい思いをチーム全員でぶつけて、そのリベンジをしたいです。

Q、直近6試合で勝てていない相手との試合になります。勝利するために何が重要になると思いますか。
A、広島は基本的にはマンツーマンでマークをしてきます。なので、1対1の局面で勝つことが大事になると思います。試合の勝敗を分けるのは魂と魂のぶつかり合いで負けないことです。明日の試合ではそういう気持ちのところを大事にしていきたいです。

Q、相手の前線からの厳しいプレスを回避しても、リーグ屈指の3バックとキーパーが待ち構えています。どのように崩していきたいですか。
A、東京の選手たちも能力が高い選手が多く在籍しているので、そこは仲間を信じて試合に臨みます。最初の決定機で仕留め切ることで試合の流れを掴めるので、先制点が試合を決める重要な点になると思っています。

Q、広島戦から数試合は同じようなシステムで、強度の高い相手との試合になります。この数試合をしっかりと勝利することで見えてくるものもあると思います。
A、引いた相手に対して、どのように攻略していくかが重要になります。同じシステムでもチームによって戦い方も変わってくるので、スペースを見つけながら、相手の隙を突き、優位に試合を進めていきたいです。個人としてもしっかりとゴールを決めて勝利に貢献したいです。