9/23 福岡戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.9.23

9/23 福岡戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>  

今シーズン初となる3連勝に向けて、青赤軍団が味の素スタジアムでのアビスパ福岡戦に挑んだ。

アウェイでの前回対戦は3-4-2-1システムで臨んだが、攻撃の再現性を生み出せずに相手の守備網を破れず。後半45+5分に許した失点で悔しい敗戦を喫した。当時とはシステムもメンバーも大きく変わっているが、アグレッシブにくることが予想される福岡を上回る積極性を見せ、相手の出方をしっかりと見ながら柔軟な戦いを見せていきたいところだ。

松橋力蔵監督は前節から中2日という過密日程も考慮して、スターティングイレブンを8名入れ替え。ゴールキーパーのキム スンギュ選手、サイドバックの安斎颯馬選手とセンターバックのアレクサンダー ショルツ選手の3名が続けてスタメンに入った。最終ラインには室屋成選手と森重真人選手が入って安斎、ショルツの両選手と並び、ボランチには東慶悟選手と小泉慶選手を起用。アタッカーは右に野澤零温、左に俵積田晃太選手を置き、最前線は佐藤恵允選手と出場停止明けのマルセロ ヒアン選手がコンビを組んだ。また、前節でスタメン出場した長友佑都、土肥幹太、橋本拳人、遠藤渓太、マルコス ギリェルメ、長倉幹樹、仲川輝人の各選手がベンチ入り。フレッシュなメンバーをピッチに送り出しながら、控え選手を含めた総力戦で3連勝をめざすことになった。

誰が出てもクオリティの落ちないチーム作りをしてきた今シーズン。大きくメンバーを入れ替えるなかで、東京ヴェルディと川崎フロンターレに1-0のスコアで連勝した勢いと攻守に披露した臨機応変さを継続させられるか、そして出場機会に飢えていた選手たちが気持ちのこもったプレーを見せられるかに注目だ。

1stHALF—焦れずにボールを回し、少ないチャンスを得点につなげる

試合はお互いに出方を探るような立ち上がりとなった。東京はボールをつなぎながら攻め手をうかがう時間が続き、引き込んでのカウンターでヒアン選手が抜け出してファウルをもらうなどしていくが、思うようにチャンスを作るには至らない。

東京がボールを保持する時間が長くなっていき、最終ラインからゴールキーパーを使いながら相手の寄せを外していくも、5バックでスペースを消してきた福岡に対して攻撃に厚みを加えられず、ビッグチャンスを作り出せない。

東京は右サイドバックに入った安斎選手が持ち上がりやカットイン、縦への飛び出しなどで攻撃に変化をつけようと試みる。しかし、最終ラインやボランチがボールを持った時に前にボールをつけることができず、サイドを使いながら外回りでつなぐ時間が続いてしまう。

それでも前半35分には右サイドで攻撃の起点となっていた安斎選手の横パスから佐藤選手がスピードに乗った状態で受け、そのままの勢いでニアを強襲するシュート。同37分には野澤選手のミドルが左ポストを叩くと、安斎選手の強烈な右足シュートは惜しくもゴールキーパーの正面へ。東京が続けざまに惜しいシーンを作り出していった。

この流れが東京に待望の先制点を呼び込む。

前半41分、右サイドの高い位置でボールを受けた安斎選手が持ち直して左足でエリア内へ柔らかいクロスを送ると、中央で待ち構えていたヒアン選手がヘディングで力強くねじ込んでゴール。ふわりとした軌道のボールをしっかりと頭でミートして右隅のコースを突く背番号19のファインゴールで東京が3試合続けて先手をとることに成功した。


3分間と表示されたアディショナルタイムには、福岡のウェリントン選手が2枚目のイエローカードで退場処分に。東京は1点のリードと数的有利な状況で前半を折り返すことになった。

2ndHALF—3試合連続のクリーンシートで3連勝

ハーフタイムは交代なし。対する福岡は2選手を入れ替えて、5-3-1システムで後半に臨んできた。

数的有利な状況を踏まえて無理にリスクをかけず、ボールを保持しながら時間をうまく使っていく東京。後半13分には一気にスピードアップして左サイドを突き、俵積田選手が縦への突破から折り返したボールをヒアン選手がワンタッチで合わせる。これはわずかにゴール右へ外れたが、相手のスキを狙った効果的なアタックとなった。

後半21分には両サイドのアタッカーを下げて遠藤選手、マルコス選手を投入。さらに東選手に代えて橋本選手をピッチに送り込み、サイドの圧力を強めながらボールの動かし方にアクセントを加えていくことを狙った3枚替えを敢行した。

ほぼハーフコートに押し込んだ状態で試合を進める東京。後半27分には右サイドをダイレクトパスで崩して安斎選手がクロスボールを入れると、これを中央でヒアン選手が競り、こぼれ球を拾った佐藤選手がペナルティエリア内で巧みなボールタッチから左足シュート。だがこれは相手選手に当たって枠を捉えきれない。

後半30分にはヒアン選手から仲川選手にスイッチして前線にボールの収まりどころを作るような策を講じていく。

ただし、福岡も途中出場したザヘディ選手が振り向きざまに強烈な左足ミドルシュートを放つなど一瞬の怖さを見せてくる。東京は数的有利な状況ながらリードしているのは1点。うまくボールを保持しながら追加点を狙いつつ、しっかりと試合をクローズしにいきたいところだ。

後半アディショナルタイムは5分。最後の力を振り絞ってパワープレーに出てくる福岡に押される時間が長くなるが、室屋選手の力強いディフェンスやマルコス選手のドリブルなどで相手の勢いを跳ね返してタイムアップ。起用された選手たちが奮闘し、勝負どころの決定力と数的有利な状況を活かした試合運びで今シーズン初の3連勝を達成。3試合連続のクリーンシートもシーズン初となった。




MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK キム スンギュ
DF 室屋成/森重真人/安斎颯馬/アレクサンダー ショルツ
MF 東慶悟(後半21分:橋本拳人)/野澤零温(後半21分:遠藤渓太)/俵積田晃太(後半21分:マルコス ギリェルメ)/小泉慶
FW 佐藤恵允/マルセロ ヒアン(後半30分:仲川輝人)

SUBS
GK 波多野豪
DF 土肥幹太/エンリケ トレヴィザン/長友佑都
FW 長倉幹樹

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半41分:マルセロ ヒアン

<アビスパ福岡>
STARTING Ⅺ
GK 村上昌謙
DF 田代雅也/奈良竜樹/安藤智哉
MF 小田逸稀(後半38分:湯澤聖人)/松岡大起/見木友哉/志知孝明(後半0分:藤本一輝)
FW 岩崎悠人(後半0分:ナッシム ベン カリファ)(後半10分:シャハブ ザヘディ)/ウェリントン/名古新太郎(後半30分:紺野和也)

SUBS
GK 永石拓海
DF 橋本悠
MF 秋野央樹
FW サニブラウン ハナン

MANAGER
金明輝

GOAL



[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、内容云々はありますが、勝点3をとれたことを非常に嬉しく思っています。前半に先制点をとり、後半は一人多いような状況では得点をとれなかったことに関しては、ハーフタイムでの僕の話というもので少しセーフティにさせ過ぎた感じはあります。そのあたりのバランスがなかなか難しい部分はあったな、と。選手交代によって、そのギアを少しでも上げることはできたという感じはありますけれども、やはり後半の一人多いなかでの戦い方というか、そういう部分ではまだ課題があると思っていますが、みなさんの期待に応えることができて非常に嬉しいです。

Q、3連勝ですが、監督の喜びはいかがでしょうか。
A、もちろん素晴らしいことですけれど、僕自身が喜ぶということではなくて、支えてくれるみなさんの力だと思いますし、どんどん続けていかなくてはいけないと思います。ただ、やはりそこを乗り越える上では、いろんな困難、難しいことや壁が必ずあると思うので、またそれを一つひとつ乗り越えていかなくてはいけないと思っています。

Q、ゴールシーンについて、しっかりとパスを丁寧につないで穴を探しながら、という監督がめざしている一つの形だったと思いますが、いかがでしょうか。
A、リハーサルで相手のプレッシングの形が、もちろんリハーサル通りであればというのが前提ですけれども、それに本当に近いようななかで、各選手が誰を見ながら動いていくかというところは非常によくできていたと思います。ただ、どこでチャレンジするかというそのスイッチを入れる場面は、もう少し良いタイミングがいくつかあったと思っています。

Q、監督のハーフタイムの言葉によって選手がちょっと落ち着いてしまったとのことでしたが、2点目をとり切れなかったところが大きな反省点でしょうか。
A、そうですね。一人多い状態で攻撃ができる、守備ができるというところで、とくに攻撃のところでは我々の色がさらに濃く出せる状況でした。ただ、そこを濃く出し切ることによって、リスクというものは必ず出てきますし、相手は必ず狙ってくる、と。どれだけそのリスクをとれるかというところの線引きを、少し僕がセーフティに言い過ぎたかなと思っています。

Q、安斎颯馬選手が前節に続いて良いパフォーマンスを見せていましたが、彼の評価をお願いします。
A、本当に素晴らしいと思いますし、安斎選手に限らず、今サイドバックで出ている長友佑都選手、室屋成選手、この三人は本当に良いパフォーマンスをしっかり出してくれていますし、相手の強みをしっかり消す活躍をしてくれています。

Q、これまで取り組んできたことがようやく花開いているという感じがしますが、どのような部分がこの3連勝につながったのでしょうか。
A、さまざまな要素があると思いますし、細かいところに目を向けるとたくさんあるのですが、一つ言えるのは、もう絶対に諦めないという、そういう気持ちで一つひとつの試合に選手が臨んでくれていることがこの結果につながっていると僕は思っています。



[選手インタビュー]

<マルセロ ヒアン選手>


Q、試合を振り返ってみていかがでしょうか。
A、前半は良い試合ができました。もちろん、得点をとることもできました。その後、相手に退場者が出て、少し試合のテンポは落ちましたが、後半も試合をコントロールすることができて、試合を通して良かったと思います。

Q、得点シーンは、非常に難しいボールをヘディングで合わせた形に見えました。
A、良いポジションをとることができたのでシュート、ゴールにつながったと思います。

Q、相手が一人少なくなって、後半からは東京の戦い方も難しくなったと思いますが、何を意識してプレーしていましたか。
A、後半は反省するところがありました。1点リードしているなかで無理をしませんでした。後半で、もう1点、2点、3点ととることができれば、試合を決定づけることができました。

Q、5枚で守備ブロックを敷く相手に対して、ポジショニングの部分で意識したことを教えてください。
A、相手は後ろにかなりの人数がいたなかで、今週は良い練習ができて、どこにスペースがあるのかを、監督やコーチの指示のもとで想定していたので、それが上手くハマりました。

Q、余談ですが、金髪が似合っていましたが、髪色を黒へ戻したのはなぜですか。
A、奥さんがあんまり(金髪を)好きじゃなかったので、奥さんに言われて変えました(笑)。


<森重真人選手>


Q、無失点で三連勝を手繰り寄せました。
A、結果には満足しています。手堅く勝点3を積み重ねていることは、ここまで大味な試合が続いてしまっていただけに、引き締まった試合ができている証だと思います。

Q、ご自身のパフォーマンスについて振り返りをお願いします。
A、積極的にプレーできたと思います。後半は、相手が一人退場した影響もあって、逆にできるプレーが限られてしまった難しさもありました。想定していたよりも福岡が前に出てこなかったので、ボールをどのように動かすのか、どこでスピードを上げるのか、相手のボランチをどう食いつかせるのか、を意識していました。もう少し味方をうまく動かすようなプレーができれば良かったと思いますし、攻撃が詰まってしまった時に、キャンセルして次の動きに移るスピード感をもう少し出すことができれば、という反省はあります。

Q、守備を固める相手に対して、中央を攻略できない時間帯も長かったと思います。
A、外回りのボールが増えてしまいましたが、それが悪いわけではなく、そこからいかに中央や内側にボールを多く入れられるかが重要です。サイドの位置で受けたボールをボランチの選手に当てるなど、ボールをテンポ良く動かさなければ相手の脅威にはなりません。少し慎重になりすぎてしまったようにも思いますし、もう少しダイナミックにプレーできれば良かったかなと思います。



<小泉慶選手>


Q、今季初の3連勝となりました。試合を振り返っていかがでしょうか。
A、チームとして2連勝できていましたし、個人としても久々にリーグ戦でのスターティングメンバーでの出場でした。チームとしても個人としても、勝つという結果により3連勝につなげることができたという意味では、いろいろと難しい試合でしたが、勝点3がとれたことは良かったと思います。

Q、自身は4試合ぶりのスタメンでしたが、どのようなことを考えて試合に入りましたか。
A、今日はポジションがボランチだったので、やはりたくさんボールに触って、常にどこへでも顔を出し続けようと思っていましたが、もっと練習でできていたこと、やっていたことを出すことができれば良かったと思います。いくつかサイドチェンジはありましたが、個人的にはもう少しそういったところにトライしたかったので、相手が一人少なくなって後半は逆に難しいゲームになってしまいました。あのようななかでも一人のプレーヤーとして、賢く、勝点3をとるためにどういうプレーをすべきかというところも良い経験になったと思います。

Q、やろうとしていたことがうまくできなかったという部分は、メンバーが大幅に変わっている影響もありましたか。
A、いえ、それは誰が出ても変わらないですし、むしろそれでプレーが変わってはダメだと思います。誰が出場しても勝つこと、誰が出場しても良い内容でサッカーをすることが必要だという意味では、今日はいろいろな状況があったにしても、もっとできたと思いますし、やらなくてはいけないと思います。

Q、ここから中4日でまた横浜F・マリノスとの試合がありますが、次に向けてどういった準備をしていきますか。
A、東京がいま連勝しているとかそういうことは関係なく、目の前の1試合を大切に戦うことがチームとして大事だと思います。これはもう選手だけではなくて、監督もスタッフも、ファン・サポーターの方たちのホームでのこの雰囲気も、もう一度気持ちを引き締め直して、3連勝しているという気持ちは一回リセットして、もう一度目の前の試合を大事に、次の試合に向かいたいと思います。