7/16 大分戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.7.16

7/16 大分戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

アジアの舞台をめざす戦いが再開する。カップウィナーがAFCチャンピオンズリーグ2の出場権を獲得する第105回 天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会。2回戦でツエーゲン金沢を破った東京が3回戦で対戦するのは、明治安田J2リーグ12位の大分トリニータ。6月以降のリーグ戦では2分4敗と苦しんでいるが、一発勝負のトーナメントに向けて松橋力蔵監督は「天皇杯は負けたら終わり」と気を引き締める。

アウェイのクラサスドーム大分に乗り込んでの一戦は、キム スンギュ選手が中断前の柏レイソル戦に続いてゴールマウスを守る。最終ラインは6月22日のガンバ大阪戦以来の出場となる白井康介選手を右サイドバックに置き、センターバックは、木本恭生選手と土肥幹太選手のコンビ。左サイドバックにはバングーナガンデ佳史扶選手が入った。ボランチはプロ初スタメンの常盤亨太選手と小泉慶選手、攻撃的な中盤は右に安斎颯馬、左に野澤零温の両選手を起用。そしてフォワードには6月の明治安田J1リーグ月間ベストゴールを受賞した長倉幹樹選手が仲川輝人選手と2トップを組むことになった。ベンチには寺山翼選手が今シーズン2度目のメンバー入りを果たした。

1stHALF—主導権を握り、手堅く2点を奪う

「球際の戦いと攻守の切り替えが試合を左右するポイントになる」と話していた松橋監督の読みどおり、青赤が見事なトランジションから先手を奪う。

5バックと中盤の4枚でブロックを作ってくる大分に対し、攻め手を探っていた東京は前半18分、右サイドで白井選手が鋭い出足のプレスバックで相手ボールをカット。これを素早く拾った長倉選手が縦につけると、仲川選手が鋭く抜け出し持ち運んだところで倒されてペナルティキックを獲得する。これを長倉選手が右足で冷静に沈め、東京が狙いとしていた攻守の切り替えをキッカケに早い時間帯で先制点を奪うことに成功した。


その後もボールをつなぎながら崩しどころを探り、ロストしてもすぐに奪い返すサッカーで大分にほとんどチャンスを作らせない東京。前半32分には鮮やかなパスワークで自陣からつないで中央を切り崩し、仲川選手が右サイドへ大きく展開。ここから安斎選手の右クロスに長倉選手がヘディングで飛び込み、相手ゴールキーパーにセーブされたこぼれ球を佳史扶選手が中央へ折り返し、小泉選手が無人のゴールに押し込みリードを2点に広げた。

続く前半43分には長倉選手がカウンターで長い距離を独走。ペナルティエリアに入ったところで右サイドへパスを出すと、ファーサイドに流れたボールを安斎選手がダイレクトで左足シュートを放ったが、これは相手ディフェンダーのブロックに阻まれてしまう。

速攻と遅攻を織り交ぜながら主導権を握り、球際のバトルでも大きく上回った前半。東京が2点のアドバンテージを手にハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—攻め込まれる時間をしのぎ、ラウンド16へと駒を進める

後半立ち上がりは大分がハーフタイムの選手交代で攻勢を強める時間が続く。それでもペナルティエリア内でシュートを打たせない寄せ、一瞬の出足で上回るカットなど要所を締め、ゴール前で高い集中力を発揮して失点は許さない。

徐々にボールをつなぎ流れを引き寄せようとしていた東京にアクシデントが発生。相手コーナーキックをヘディングでクリアした木本選手が着地時に左足を傷め、交代を余儀なくされてしまう。松橋監督は後半19分に木本選手に代えてセンターバックにアレクサンダー ショルツ選手を、そして佳史扶選手に代えて左サイドバックに室屋成選手を投入し、最終ラインの再構築と守備の引き締めを図っていく。

勢いに乗って前に出てくる大分に対し、東京も出足鋭いプレーで対応。なかなかチャンスを作れない時間が続いているが、相手よりも先に触ることで自由を許さないようにしていく。


ふたたび流れを引き寄せたい東京。仲川選手、長倉選手の2トップが力強いプレスバックと鋭い先読みでチームを救うシーンが目立つようになる。後半33分には大分のカウンターから薩川選手にフリーで抜け出されてしまうが、この1対1をキム スンギュ選手が動じない構えから身体全体で止めるファインセーブ。東京が2点のリードを保ったまま終盤へと向かう。

後半35分には東京も2選手を交代。常盤選手、仲川選手を高宇洋選手、マルセロ ヒアン選手にスイッチし、受ける時間が長くなっていたチームに攻撃のリズムと怖さを加える采配を打ち出した。

後半は押し込まれるシーンが目立ったものの、相手の決定力不足とキム スンギュ選手の好セーブに助けられる展開で東京が2-0と勝利。アウェイで行われた大分との3回戦をきっちりと勝ち上がり、8月6日に予定されているセレッソ大阪とのラウンド16へと駒を進めた。


MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK キム スンギュ
DF 木本恭生(後半19分:アレクサンダー ショルツ)/バングーナガンデ佳史扶(後半19分:室屋成)/土肥幹太/白井康介
MF 安斎颯馬/常盤亨太(後半35分:高宇洋)/野澤零温/小泉慶
FW 長倉幹樹/仲川輝人(後半35分:マルセロ ヒアン)

SUBS
GK 小林将天
DF 岡哲平
MF 寺山翼/遠藤渓太
FW 佐藤恵允

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半19分:長倉幹樹 / 前半33分:小泉慶

<大分トリニータ>
STARTING Ⅺ
GK ムン キョンゴン
DF デルラン/薩川淳貴/ペレイラ
MF 池田廉(後半0分:野村直輝)/茂平(後半26分:吉田真那斗)/野嶽惇也(後半42分:藤原優大)/榊原彗悟/天笠泰輝(後半0分:中川寛斗)
FW 有馬幸太郎/屋敷優成(後半26分:伊佐耕平)

SUBS
GK 佐藤隼
FW 鮎川峻/宇津元伸弥/有働夢叶

MANAGER
片野坂知宏

GOAL


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、遠いアウェイの地まで東京のファン・サポーターのみなさんが来てくれて、そのなかでしっかりと次のステージに進めたことを嬉しく思っています。ゲームに関しては前後半で少し色が違った部分はありましたが、前半は非常に攻撃的な部分と後半はより守備的な部分と、それぞれに良い部分があったことがこの勝利につながったと思っています。

Q、常盤亨太選手を初めてスターティングメンバーで起用しました。評価をお願いします。
A、いろいろなものを意欲的に吸収している段階で、自分に対しての目標や目的や課題感は、今日の試合では良い部分もそうでしたし、良くなかった部分も両方出ました。体力的な部分も、なかなか公式戦を経験していないところが要因にあったと思います。ただ、彼の持っている強い気持ちのところで、彼の役割はしっかりこなしてくれたと思います。

Q、試合前にポイントに挙げていた攻守の切り替えのところで、先制点をとることができました。その点を踏まえて試合の評価をお願いします。
A、試合に入ってみないと分からない部分はありますが、我々が想定していたものに近いところがあったので、もちろんそのなかで自分たちがどう相手を崩していくか、というところです。それが100パーセント無理なところもありますので、ただ切り替わった瞬間は相手が前に出てきてスペースが生まれてきます。そこはしっかりと意識してできたのではないかと思います。

Q、守備のスイッチを入れた仲川輝人選手のパフォーマンスはいかがでしたか。
A、仲川選手もそうですが、長倉幹樹選手とスイッチする役割と言いますか、一人で永遠に追い続けることはできないので、そのバランスはうまくできていました。やはりそこを無駄にしなかったウイングの選手のプレスというのも非常に効果的でした。もちろん回避される時も当然あるのですが、プレスにいった感度を周りの選手がキャッチしなければそこはいっても意味がないものになってしまいます。そこがしっかりと合っていました。

Q、中断期間を迎える前に、次は浦和レッズとの試合を迎えます。
A、前回、悔しい負け方をしている相手なので、仕返しとかリベンジとかではなく、我々が今持っている力をしっかりとぶつけて、勝点3を獲るということだけに集中して準備したいと思います。


[選手インタビュー]

<常盤亨太選手>


Q、プロ入り後初のスタメン出場でしたが、どうでしたか。
A、あんまり納得できるものではなかったです。

Q、試合前に考えていたことと実際にやってみたところの部分の差はどうでしたか。
A、自分の特長である守備の部分や予測の部分は、前半に関しては出せていたと思いますが、後半になって、自分も公式戦のスタメンは、おそらく7か月ぶりぐらいでした。それを言い訳にはできませんが、後半はチームとしても個人としても運動量が落ちてしまいました。前半からボールを持っている時間が長い時には、ミスをなくすこともそうですが、もっと縦につけるボールや攻撃に関わるところへのチャレンジや質を高めることが必要なところがあって、全然納得できるところはなかったです。

Q、前半、速い攻撃と落ち着かせるところはできていた印象があります。
A、前半の出来は及第点でしかなく、自分が出ている意味をあまり発揮できませんでした。絶対に俺でなければいけないという理由は見せられなかったと思うので、そういった意味でも、最低限に求められていることはできましたが、それ以上の価値を個人としては見出せなかったと感じています。

Q、こういう経験を踏まえて、次にまたこうしたい、という欲求も出てくると思います。
A、やはり先ほども言いましたが、自分の特長である守備の部分や予測でガッツリいく部分は良かったと思っています。その武器を使いながら、課題のところを高めていければ、この先が見えてくるかなと思っています。今日試合に出たからといって、まったく満足していないですし、とにかくリーグ戦に絡んでチームを勝利に導けるように日々向上心を持ってやっていくだけです。


<土肥幹太選手>


Q、クリーンシートでの勝利に貢献できた要因について教えてください。
A、準備の部分がしっかりとできたという感覚です。チームのミーティングでは、相手のカウンター攻撃に気を付けるように共有がありましたし、コンビを組んだ木本恭生選手とはコミュニケーションをとりながら、リスク管理をして相手の攻撃をしっかりと抑えることができました。そのふたつが無失点に大きくつながったと思います。

Q、前線からのプレスも連動し、特に前半は効いていたと思います。
A、プレスも効いていたと思いますが、練習から取り組んでいたとおりにはいかない局面も多くありました。後半は押し込まれてしまうシーンも多くありましたし、練習どおりに試合を進めることができれば、もう少しスムーズに戦えたと思います。

Q、相手に押し込まれる時間帯はどのような意識でプレーしていましたか。
A、やはり90分間ボールを保持し続けるのは難しいですし、まずはしっかりと相手のボールを跳ね返すことと今週の練習で特に取り組んでいたクロスボールへの対応という部分ではしっかりとできた手応えはあります。

Q、攻撃面では前線や対角のパスで後方からの組み立てに貢献していました。
A、最後尾のキム スンギュ選手がボールを持ちやすいサポートでフォローをしてくれました。練習ではアレクサンダー ショルツ選手の縦パスや前線に素早く差すようなパスを間近で見ていて、盗めるものはたくさんあると感じています。そのような意識が試合で活きたと思っています。