6/28 横浜FC戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.6.27

6/28 横浜FC戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<第15節・横浜F・マリノス戦のレビュー>

日産スタジアムで行われた一戦は、横浜F・マリノス相手に絶対に負けられない試合だった。

前半を0-0で折り返し、勝負の後半開始6分に試合が動いた。この日がプロ4シーズン目でJ1リーグ初スタメンとなった野澤零温選手が大仕事をやってのける。


左サイドでボールを持った佐藤恵允選手が仕掛けると、長倉幹樹選手がライン間で受けて前を向く。それを追い越していった佐藤選手がゴール前へと折り返す。長友佑都選手が混戦から左足を振り、そのこぼれ球に食らいついた野澤零温選手が泥臭く押し込んだ。抜てきに満点回答で応えたこの得点でチームは勢いづいた。

後半23分に室屋成選手が左サイドを駆け上がり、佐藤選手の追加点をお膳立て。さらに、移籍後リーグ初スタメンを飾った長倉選手が同40分に佐藤選手とのワンツーでエリア内へと進入すると、最後は右つま先で押し込む個人技が詰まったスキルフルなゴールで試合を決定付けた。


この日は最後まで高い集中力を保ち、チーム全員で横浜FMの攻撃陣を完封。長いトンネルを抜け出して6試合ぶりの白星を飾り、順位も一つ上げて16位に。

松橋力蔵監督は安堵しつつも「我々の置かれている立場が劇的に変わったわけではない。油断することなく、しっかりと見つめながら短い期間で今できることを積み上げて今回つけた自信を次に生かしていきたい」と、兜の緒を締め直した。



<今節のプレビュー>

横浜F・マリノス戦から中2日で迎える今節は、旅立ちの時を迎えた野澤大志ブランドン選手のラストマッチとなる。プロ入りから5シーズン半でヨーロッパ挑戦の旅支度を整えた守護神は今回の決断をこう語った。

「東京で戦いたい、このクラブで何かを成し遂げたいという思いはずっと持ち続けてきました。いざヨーロッパから話があった時は、すごく時間を掛けて考えました。このタイミングでの決断は簡単ではありませんでしたし、最後は一人のサッカー選手としてワクワクする方を選びました」

プロ入りから日々自分と向き合い、研さんを積み上げてきた。毎年の開幕前のキャンプで、いつも最後まで居残りでトレーニングを続ける姿は目に焼き付いている。そんな野澤大志選手は〝ラストダンス〟に向け、これまで関わった全ての人への感謝の言葉を惜しまなかった。


「自分の力だけじゃなかった。ただただ、ひたむきに過ごしてきた。それぐらい毎日全力を尽くしてきた。振り返ってみると、本当に感謝しかない。まず勝ちたい。負けてお別れするのは嫌なので、みんなで笑って終わりたい。ゴール前の強さを出して確実に勝っていく。その上で、自分の持っているモノをしっかりと表現していきたい」

最後まで自然体のらしさ全開で、これからに向けてはこんな言葉を吐き出した。

「良い意味で、どうなっていくんだろうってワクワクしています。夢を追っているわけではない。うまくいく、うまくいかないではなく、本当に何が起きるんだろうという楽しみが大きい。どうなったとしても、今までみたいに結局自分の成長につながったなと思えるように歩んでいきたい。どういう風にしていきたいかのプランは何も考えていません」

その最後の対戦相手となる横浜FCは前節サンフレッチェ広島に0-4と大敗を喫している。より強固な守備ブロックを築くために、守備の建て直しを図ってくるはずだ。日程的にも中2日で臨む東京よりも有利なため、より試合の入り方など勘所を押さえた戦いが求められるはずだ。

立つ鳥濁さず、勝利を飾って旅立つ。

青赤から巣立つ選手を負けて送り出すわけにはいかない。連勝を飾り、ファン・サポーターの前で守護神を胴上げする。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、先日の横浜F・マリノス戦では長倉幹樹選手の活躍がチームの攻撃面を円滑に進めていました。
A、彼に限らず、マルセロ ヒアン選手もそうですし、彼らの良いプレーがワイドに位置する選手たちの優位性を生みます。もちろん、サイドばかりではなく中央を突破するような大胆な攻撃も、ときには重要だと思っています。

Q、良い攻撃に加え、そこにボールをしっかりと保持するという部分にも磨きがかかれば、さらに良いものが生まれてくるということですか。
A、ボールを保持する時間が増えることで、攻撃の選択肢も広がりますし、その時間が良い距離感や関係性を作り出してくれます。素早く手数をかけるだけではなく、確実性を求めるのであれば、自ずとプレーに関わる人数が必要です。

Q、リーグ開幕戦で対戦した横浜FCですが、あらためてどのような印象をおもちですか。
A、堅い守備からサイドを起点とした攻撃が特長のチームだと思っています。いかにその局面で封じられるかがポイントだと思います。5バックのチームですので、相手の攻撃時にどれだけ後ろに枚数を残すのか、リスクを負って攻めに枚数をかけるのかを見極める必要があります。相手の隙を逃さずに、攻撃のメリハリをつけて崩していきたいと思います。

Q、横浜FM戦の勝利から中2日で横浜FC戦を迎えます。
A、試合終了直後は久しぶりの勝利を喜びましたが、すぐに切り替えました。まだまだ緊張感を持って戦い続けなければいけません。気を緩めることなく今節の試合に臨みます。中2日というタイトなスケジュールでしたが、選手たちは真摯に練習から向き合ってくれています。その姿勢には感謝していますし、必ず勝って2連勝を手にしたいです。


[選手インタビュー]

<野澤大志ブランドン選手>


Q、横浜F・マリノス戦は久しぶりにスタメンでの出場となりました。失点が続いていたなかで、無失点で試合を終えました。
A、確実に試合を進めていくこと、試合に勝利することだけを意識して試合に臨みました。あまり、僕自身はクリーンシートということを考えていませんでした。試合を終えてみれば、結果的にそうだったなと思いますが、試合をとおしてそこまで意識していませんでした。もちろん、0点で抑えたいという気持ちはありますが、そのことよりも、僕自身としては“試合に勝つために”何をすれば良いのかを考えることの方が多いです。90分間をとおして勝つために試合を進めることと、一瞬一瞬質の高いプレーをするための準備が大事かなと思います。1点とられたからといって、崩れてしまってはいけないです。90分の試合が終わって、(失点が)0だったら結果的に良かったなと思っているぐらいです。しっかりと試合に勝つための流れを持ってくることを、大事にしてプレーしています。

Q、横浜FMに勝利した後のこの一戦は、今後上位に食い込んでいくためにも非常に重要になると思います。
A、1勝してひと安心している状況かもしれませんが、勝ち続けないと全く意味がないので、ゴールキーパーとしては堅く、ゴール前に立ちふさがりたいと思います。自分のやるべきことをしっかりと行い、最終的に“勝点3”を獲得できれば、僕はそれが一番良いと思います。

Q、連戦での試合になり、メンバーが代わることも想定されます。選手が代わっても同じように勝たなければいけないと思います。
A、中2日でのアウェイ連戦から、中2日で横浜FC戦というスケジュールを、この暑さのなかで行わなければいけないのは、正直かなり厳しい状況だと思います。なので、本当の総力戦になると思います。そのなかで、どのようなコミュニケーションをとって試合に臨むのかが大事になると思います。カバーし合いながらプレーすることが大事になります。最終的には、連勝で連戦を乗り越えることができれば、その先への自信にもなると思います。相手は水曜日に試合がなくてフレッシュな状態だと思いますが、試合開始からタフな姿を相手に見せつけるなど、勢いを持って戦い続けたいです。僕はゴールキーパーなので、ピッチの中に立つ選手のなかでは一番連戦での影響はないと思います。なので、みんながきつい時間帯や苦しい状況の時に鼓舞して、ゴール前まで来られたとしても、身体を張ったプレーでカバーしたいです。そして、チーム全員で勝利を喜びたいです。

Q、明日が、移籍前最後の味の素スタジアムでの試合になります。
A、とにかく、まずは勝ちたいです。勝ってひと安心したいというのが、今の正直な気持ちです。どんな状況でも東京が勝利するために何ができるかということを、常に考えてきました。なので、個人的な感情ももちろんありましたが、今は本当にこのクラブが勝ち続けるために自分は何ができるのか、ということだけを考えて取り組んでやってきました。“東京のために何ができるのか”を最後まで考え、その意識を変えずにしっかりとプレーで表現したいです。ファン・サポーターのみなさんがいるからこそ、このクラブが成り立っていますし、味の素スタジアムがあのような素晴らしい雰囲気になっています。僕たちも、みなさまのおかげで選手でいることができているので、その感謝を最後まで忘れずにプレーで表現したいです。ここまで、自分を成長させてくれたみなさんへの感謝の気持ちを、明日のピッチでは最大限表現したいと思います。


<バングーナガンデ佳史扶選手>


Q、徐々に出場時間を増やして、完全復活も近いと思いますが、直近の試合を経た手応えを教えてください。
A、天皇杯2回戦のツエーゲン金沢戦で公式戦復帰を果たすことができて、ガンバ大阪戦では、イレギュラーではありましたが、長い時間プレーをさせてもらいました。先日の横浜F・マリノス戦では、勝っている状況で試合を締める役割も感じながら、J1リーグの高い強度を感じながら、プレースピードも徐々に慣れ始めてきている状況です。うまくアジャストしていけるかが今後の課題です。試合を重ねるごとに自分自身の感覚やキレも良くなってきています。より自分の武器も発揮できるようなプレーをここから見せていきたいです。

Q、中2日のタイトなスケジュールで今節は横浜FCをホームに迎えます。
A、横浜FM戦のような良い試合の次が何より(チームとしての真価を)問われると思っていますし、大事な一戦です。今のチームの順位を考えると、勝利できなければ意味がないです。厳しい連戦ですが、すべてを出し切る試合にしたいです。

Q、切磋琢磨してきた野澤大志ブランドン選手が今節をもってチームを離れます。
A、アカデミーからともにプレーをして、同じタイミングでプロキャリアをスタートしました。ずっと一緒に過ごしてきた友人でもあります。そのような関係の選手がヨーロッパでプレーする、移籍する、ということは本当に嬉しいです。違うチームにはなりますが、互いに高め合っていきたいです。明日の試合はチームとして勝って彼を送り出したいです。