4/29 新潟戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.4.29

4/29 新潟戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
前節、広島でのアウェイゲームに勝利し、公式戦2連勝となった東京。今節は、アルベル監督が2シーズン前まで指揮を執っていたアルビレックス新潟との一戦。渡邊凌磨選手、小泉慶選手にとっても古巣との対戦となる。6年ぶりのJ1昇格を果たし、勢いそのままに攻撃的なサッカーを展開する新潟に対して、調子を上げつつある東京がホーム・味の素スタジアムで迎え撃つ。

1stHALF—攻撃合戦はテル弾&ディエゴ弾で東京がリード

試合は序盤からお互いに攻撃姿勢を全面に押し出した展開となる。東京は、自分たちでボールを保持して押し込む場面もあれば、相手が前がかりになった背後を狙って素早い攻撃を仕掛ける場面も作る。

どちらに先制点が生まれてもおかしくないぶつかり合いのなか、先手をとったのは東京だった。

前半8分、相手の攻撃を自陣ペナルティエリア手前で止めると、縦パスのこぼれ球をひろった渡邊選手がセンターサークル付近でうまく相手選手をかわして、一気にドリブルスピードを上げる。両サイドからサポートの選手が入ってくるなかで、渡邊選手は右サイドの仲川選手へのパスを選択。ペナルティエリア内でワントラップした仲川選手が狙いすましたシュートをゴール左隅に流し込み、東京が先制に成功した。


しかし、ここから新潟の前線からの圧力が強くなる。前半12分、押し返すために攻撃に出ようとした場面でボールをロストすると、カウンターを受けてペナルティエリア手前でファウルの判定。このフリーキックを直接決められ、試合を振り出しに戻された。

お互いにマイボール時には迫力のある攻撃で相手のペナルティエリア付近までボールを運び、フィニッシュの隙をうかがう。新潟のショートパスに押し込まれる場面もあったが、東京も徐々にボールを保持する時間を増やし、速攻と遅攻を使い分けて勝ち越しを狙う。

東京の攻撃が結実したのは前半34分。自陣での連携から相手のプレスをはがすと、右サイドで安部柊斗選手がオフサイドラインぎりぎりでボールを受け、相手陣内の深い位置まで運び、マイナス方向へのラストパス。ペナルティエリア内ゴール正面の位置に入ってきたディエゴ オリヴェイラ選手は中央でパスを受けると、相手ディフェンダーの位置を見ながら寄せてきた相手をかわして一度ペナルティエリアから出ながらゴール方向を向く。一瞬の時間とスペースを作り出したディエゴ選手が次の瞬間、右足を強振。強烈なシュートをニア上となるゴール右上隅へ叩き込んだ。


新潟もすぐに反撃。前半38分、ペナルティエリア外から伊藤選手に狙いすましたシュートを打たれるが、ゴール左隅に飛んだボールはヤクブ スウォビィク選手が左腕を伸ばしてはじき出した。

前半45分の東京。左からのコーナーキックをニアで松木玖生選手が頭で合わせるが、逆サイドに飛んだボールはわずかにゴールの左に逸れた。

お互いに攻撃を仕掛け合う手に汗握る展開は、東京が1点のリードを保って折り返した。

2ndHALF—攻守両面で試合をコントロールしてリードを守り切る

後半に入ると、東京が主導権を握る。

相手ゴール前で仕掛け、フィニッシュで攻撃を終える場面が増えていくと、後半12分には仲川選手がドリブルで仕掛けてペナルティエリアに侵入したところで倒され、VARのサポートによりペナルティキックの判定となる。

相手を引き離す絶好の機会だったが、キッカーのディエゴ選手が放ったシュートはわずかにゴール左へと逸れてしまった。

それでも、勢いに乗った攻撃だけでなく、ボールを保持して試合をコントロールする東京。ボールを奪われてもすぐさまボール奪回を狙い、難しい場合には割り切って即座に帰陣してブロックを固め、新潟の反撃に万全の対応を見せる。

なかなかゴールをこじ開けることはできないが、球際の強度、プレスのスピード、プレスバックのスピード、マイボールの保持で相手を上回り、1点のリードを守って終盤へ。

終盤は猛攻を仕掛けてくる新潟に押し込まれる展開になるが、守備ブロックを形成して中央を締め、サイドからの攻撃にも冷静に対処してタイムアップを迎えた。

ゴールデンウィークの1週間で3試合を戦う連戦は、今シーズン初のリーグ連勝という最良のスタートとなった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF中村帆高(後半45+3分:長友佑都)/木本恭生/森重真人/バングーナガンデ佳史扶(後半22分:徳元悠平)
MF小泉慶/安部柊斗/松木玖生
FW渡邊凌磨/ディエゴ オリヴェイラ(後半40分:アダイウトン)/仲川輝人(後半22分:東慶悟)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF木村誠二
FWペロッチ

GOAL
前半8分:仲川輝人/前半34分:ディエゴ オリヴェイラ

<アルビレックス新潟>
STARTING Ⅺ
GK阿部航斗
DF藤原奏哉(後半33分:新井直人)/舞行龍ジェームズ/千葉和彦/堀米悠斗
MF星雄次(後半18分:グスタボ ネスカウ)/高宇洋(後半39分:島田譲)/太田修介(後半18分:高木善朗)/伊藤涼太郎/三戸舜介
FW谷口海斗(後半18分:小見洋太)

SUBS
GK西村遥己
DF田上大地

GOAL
前半12分:伊藤涼太郎


[アルベル監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、今日はとても対戦するのが難しい相手との試合となりました。なぜならば、とても素晴らしいサッカーをプレーするチームだからです。プレーテンポがすごく速いチームです。そういう意味でも、あらためて今日の対戦相手を称えたいと思います。新潟の選手、スタッフの方々は素晴らしい仕事をしていると思います。

前半、我々は良い形で試合に入れたと思います。アグレッシブにスタートできました。見応えのある前半になったと思います。最初の20分ほどは、我々が試合をコントロールできずに苦労した時間帯となりましたが、ボールを奪ってからの素早い攻守の切り替えから先制点を奪うことができました。一方で、その後にミスからフリーキックを与えて同点ゴールを決められてしまいました。2点目はディエゴ オリヴェイラ選手が、素晴らしいクオリティの選手であることを彼自身がしっかりと証明したゴールだったと思います。

後半は、我々がボールを支配する時間帯もあり、相手がボールを持ち我々が守備をする時間帯もありましたが、守備をしながらもゲームをコントロールすることができました。

その後のペナルティキックをしっかりと決めていれば、より落ち着いた形で試合を終わらせることができましたが、決めることはできませんでした。しかし、サッカーではこういうことは起こるものです。そして、試合のラスト10分ほどは、新潟のクオリティの高い攻撃に苦しめられましたが、決定的なチャンスを作らせることなく試合を終わらせることができました。

個人的に今日の試合は難しい、苦しい試合でした。いろいろな感情がありました。ピッチに立っていた2チームとも私が指揮をしていた、そしていま指揮をしているチームということで、どちらも自分の選手のように感じていました。

今日は、多くの東京ファン・サポーターのみなさんがスタジアムに来てくださり、本当に感謝しています。そして、新潟のファン・サポーターのみなさんにも、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。彼らはこれまでと同じように素晴らしいサポーターであり、7千人以上の方々が来てくださったと聞いています。帰りもぜひお気をつけてお帰りください。

Q、試合終了直後の感情を教えてください。
A、今までの人生のなかで、これほど苦しんだ試合はありませんでした。新潟で過ごした2年間はさまざまなことがあり、さまざまな思い出があります。その時に指揮を執っていた多くの選手たちが今日、オレンジのユニフォームを着てピッチに立ち、そしていま私が指揮を執るチームと対戦していたということで、さまざまな感情が湧き上がり、そのなかには難しく、辛い想いもありました。私はサッカー以上に、人としてのつながりを大切にしていますので、そういう意味でも私にとって今日は特別な試合となりました。


[選手インタビュー]
<仲川輝人選手>


Q、相手選手の股を抜いたシュートでしたが、狙っていましたか。
A、狙い通りでした。股を抜けて良いコースに飛んだので良かったです。

Q、早い時間帯に得点を取ることが出来たので、良い流れなりましたね。
A、良い守備から、良い攻撃は東京の持ち味なので、そこで得点出来たことは良かったですが、すぐに失点をしてしまったので、そこは改善すべきところだと思います。

Q、数試合同じメンバーが出場しているので、連携し修正しながら試合を進めることができていますか。
A、自分たちに大事なことは、勝ちながら修正をしていくことなので、相手によって攻撃の仕方は臨機応変に対応していかなければならないと思います。ビルドアップだけではなく、今日のような得点シーンも増やしていきたいと思います。

Q、長い距離を運ぶドリブルがありました。チームのためにという想いはありましたか。
A、自分たちのボールにしたいと思っていました。あのシーンで(ボールを前に)運べるのか運べないのかで、チームの士気も変わると思いますし、あの場面でファールをもらえることで、自分たちの時間を作ることもできるので、僕のなかでは大事にしています。あの流れからシュートや、相手サイドまでいければ良いと思っていました。

Q、交代したあとに、ベンチから飛び出してチームメイトに声をかけていましたが、心境をお聞かせください。
A、長友佑都選手もやっていることですし、僕が横浜F・マリノスで培ってきた事でもあります。チームのために声をかける事で、自分たちのポジショニングも変わってきますし、試合に出場している選手も“やらなければ”という気持ちにもなるので、チームのために、と思いやっていました。

Q、今日は多くの選手から熱さが見えていました。
A、サンフレッチェ広島戦で、踏ん張りながら勝点3をもぎ取り、ホームに帰ってきてからも良い流れを作りたいと思っていたので、この大事な1戦を勝利で飾ることができましたし、相手がアルビレックス新潟ということで、アルベル監督が一番気合入っていました。勝利を届けられたこと、僕自身も得点を決めることができたので良かったです。内容については、まだまだ自分たちが思い描いているものではないですが、このような厳しい試合でも勝っているので、これからも勝ちながら修正していきたいと思います。

Q、少しずつ、手応えも感じているかと思います。
A、連戦になるので、チーム一丸になり、頑張っていかなければいけないと思いますし、チームのためにという想いが、個々でも出てきているので、良い循環になっていると思います。

Q、仲川輝人選手の足元にボールが納まるシーンが増えてきたと思います。
A、やっと、お互いが特長を理解し合えるようになったと思います。後ろから、繋ぐことは意識しているので、細かいミスはありますが、試合をしながら技術を向上させていきたいと思います。

Q、ペナルティキックは蹴る気はなかったですか。
A、僕は蹴らないです。ディエゴ選手には「外すな」と言っておきます(笑)。

Q、“こうやりなさい”のお手本のようなシュートでした。
A、広報とも話していたので、その動画は楽しみにしています(笑)。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、素晴らしい得点でした。どのような狙いを持ってシュートを打ちましたか。
A、右サイドから来たパスに対してトラップが大きくなってしまいましたが、キープをしながらシュートを打つタイミングを狙っていました。思い切ってシュートを打つことができました。

Q、素晴らしい弾道でしたね。
A、ありがとうございます。良いシュートから得点が生まれたことは嬉しいですが、それ以上に多くのファン・サポーターのみなさんの前で勝利できたことに価値を感じています。

Q、リーグ戦連勝となりました。
A、前節のサンフレッチェ広島戦もそうですし、今節の試合も非常に難しい試合展開でした。ここからアウェイでの連戦が続きますが、どのチームも簡単な相手ではないですし、難しい試合が続くと思っています。勝ち続け、上位をめざしていきたいと思います。

Q、難しい試合展開でしたが、連勝できた要因を教えてください。
A、言い訳をするつもりはありませんが、シーズンが開幕してから、早いタイミングで多くの怪我人が出てしまい、同じメンバーで戦い続けることができずにいました。選手も復帰し、良い状態に戻りつつあります。東京には良いメンバーが多くいます。しっかりと勝ち進んでいきたいと思います。

Q、ディエゴ選手のゴールが決まる前の時点で、ピッチ内の雰囲気はいかがでしたか。
A、相手チームの完成度も高く、(同点に追いついた)良い流れで我々にプレッシャーをかけてきました。ボールキープにも長けているチームでしたので、圧をうけるされるシーンも確かにありました。そのなかで、我慢強く戦い、流れを掴むことができたと思います。後半に入り、両チームともに疲れが見え、オープンな試合展開になりましたが、試合をコントロールし、勝ち切ることができました。


<渡邊凌磨選手>


Q、先制点のアシストを振り返ってください。
A、ショートカウンターもひとつの狙いだったので、良い形でボールを奪って素早く前に運べたというのが一つの要因だと思います。

Q、チームとしてはカウンターも選択肢として持っていたのでしょうか。
A、自分たちでボールをキープしながらも、相手の嫌がる守備をしようとなると、ショートカウンターやカウンターが有効になってきますし自分たちの強みでもあります。共通認識があったと思います。

Q、仲川輝人選手のシュートも素晴らしかったと思いますが、何か声をかけられましたか。
A、アシストをつけてもらえたので、「ありがとう」とは伝えました(笑)。

Q、チームとしては追い付かれて、ディエゴ オリヴェイラ選手のゴールで引き離す展開でした。全体的な流れとしてはもう少しボールを保持したかったのでしょうか。
A、状況に応じて、長いボールを蹴るのか短いボールでつなぐのかというのは、今日の試合ではある程度できていたと思います。攻められる時間帯が続いたと思われるかもしれませんが、守っていて辛くはなかったですし、後半の終盤に回させている分には体力的にはきつくなかったです。前からいって剥がされるのは厳しいですし、リトリートしていたほうが相手も嫌だったと思うので、それがうまくいったと思います。

Q、3万人以上という大観衆の前での勝利でした。連戦に突入していますし、これでノッていけそうですね。
A、僕たちがやっているサッカーはある程度みなさんも分かってきたと思いますし、90分のなかでの戦い方というのも、みんなで共通認識を持ってやれるようになってきたので、それが良い形で結果に出るようにやれたらと思います。

Q、1点目のドリブルのコースといい、2点目の安部柊斗選手への縦パスといい、ゴールへの意識が高い印象を受けました。
A、1点目に関しては、相手ディフェンダーの身体の向きを変えるようなドリブルを意識しました。2点目の場面は、あまり状況が良くなかったので、自分がおりてきてボールに関わって数的優位を作りながらやれればいいと思ったことが、うまくゴールまでつながりました。

Q、低い位置でボールを受けるアクションが新潟にとって嫌なプレーだったよう見えました。
A、思った以上に僕たちがボールを回しているところに、枚数をかけてくるわけではなかったので、僕が一枚浮いている状態になれました。それがうまくいったので良かったですね。


<小泉慶選手>


Q、見応えのある試合でしたが、振り返ってみていかがでしたか。
A、仲川輝人選手やディエゴ オリヴェイラ選手の個の技術で点を決めてくれて、厳しい時間帯もありましたが、チーム全員で我慢できたと思います。今週はカウンターの練習もしていたので、狙い通りのプレーができました。勝つことができましたが、個人としてもチームとしても改善する部分はたくさんあるので、修正していきたいです。

Q、具体的にはどのような部分で修正が必要ですか。
A、個人として、ボランチのポジションで簡単なミスをなくすことと、もっと攻撃面でチームにプラスの影響を与えられればと思っています。ボールを保持する時間を増やしていきたいです。

Q、チームとしては、カウンターだけでなく、攻撃面でボールを保持しながらゴールを奪いにいくという形も増やしていきたいということでしょうか。
A、ボールを保持して点を決めて勝つのがどのチームも理想だと思いますし、すべての時間帯でボールを保持することはできないですが、ボールを持っていれば失点しません。先制点を取ったあとも引かずに、ボールを保持する時間を長くしていきながら、追加点を決められるようになれば、チームとしてさらに強くなれるし、それができる選手が揃っていると思います。ボランチとしてボールを受ける回数を増やして、簡単なミスを減らさないといけません。

Q、今日はフリーキックからの失点のみで、流れの中でのピンチはなかったと思います。
A、決定的な場面はなかったですが、僕のファールから失点につながっているので、反省しないといけません。ここから優勝争いをしていくためには、チームとしても、個人としても改善できることはあるので、勝ちながら修正していければと思います。

Q、1-1から2-1になるまでの時間帯は押され気味だったと思いますが、想定の範囲内ですか。
A、失点してしまったので、相手も勢いづいていると感じてはいましたが、負けてはいなかったので、メンタル的には問題はありませんでした。守備の時間が長かったですが、東京の前線にはショートカウンターで点を取れる選手がいるので、インターセプトした時にすぐに攻撃できるように意識していました。

Q、小泉選手が自陣から前線までボールを運んで、陣地を回復したシーンもありました。
A、ボランチでもあのようなプレーは必要ですし、チームが苦しい時間帯でも個人で何ができるかは常に考えています。

Q、6年ぶりに聞いた新潟のファン・サポーターの声はどうでしたか。
A、アップの時から新潟のファン・サポーターがたくさん入っているなと感じましたし、久々に応援歌を聞いて懐かしかったです。ただ、今は東京に来て、東京で勝つことしか考えていないので、これから先も東京が勝つために自分がやるべきことをやれればと思います。