4/29 新潟戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
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INTERVIEW2023.4.28

4/29 新潟戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
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<前節・サンフレッチェ広島戦のレビュー> 

ヒーローは、一番外側、ファーサイドから颯爽と現れた。

今シーズン、アウェイの地で勝利がなかった東京は、広島の地で虎視眈々と勝利を狙っていた。3日前に行われたルヴァンカップのガンバ大阪戦で勝利し、4月未勝利だった嫌な流れを断ち切り、満を持して広島に乗り込んだ。

その時は、すぐに訪れた。

前半5分、相手陣内左サイドの浅い位置でフリーキックのチャンスを得ると、松木玖生選手がゴール前に鋭いクロスボールを供給する。中央に飛び込んできたディエゴ オリヴェイラ選手に相手の選手が釣られると、一番外側のファーサイドで相手ディフェンダーの死角になっていた位置から勢いよく飛び込んできた背番号2が頭でゴールに流し込んだ。

ゴール裏に駆けて行って雄叫びを挙げたヒーローは、さらに大きな仕事をやってのける。

相手にボールを保持されて自陣で耐える時間が続いていた前半28分、東京にワンチャンスが訪れる。久々にマイボールを相手陣内の深いエリアまで運ぶシーンを作ると、ディエゴ選手のスルーパスに背番号2が抜け出す。慌ててゴール前に戻ってきた相手ディフェンダーの位置を冷静に見極めた中村帆高選手は、マイナス方向にパスを送り、明治大学出身同期の安部柊斗選手のゴールをお膳立てした。

前半のうちに1点を返されたものの、後半は耐える時間をしっかりと耐え切り、1点のリードを守り切ってリーグ戦では5試合ぶりとなる勝利を手にした。

その立役者は、紛れもなく右サイドを託され、ファン・サポーターの声援に応えた、ファイター型ヒーローだった。


<プレビュー> 
前節は5連勝中のサンフレッチェ広島にアウェイで勝利し、リーグ戦では5試合ぶりの勝利をあげた。約1か月ぶりの白星に安堵した一方で、試合後の選手たちは反省の言葉を口にした。特に、ボール保持に苦しんで守勢に回った後半の内容は納得のいくものではなかった。

小泉慶選手は「この試合内容ではダメだという声も出ていた。ただ、勝って課題を修正していくことが一番。個人的にも、もう少しボールを触ってチームを落ち着かせていきたい」と話す。今節から始まる3連戦で結果を残すためには、チームの修正力が問われることになる。

3連戦の最初の相手はアルビレックス新潟。アルベル監督が2シーズン前まで指揮を執り、昨シーズンからその跡を継いだ松橋力蔵監督がさらにチームを進化させた。6シーズンぶりにJ1の舞台に戻った今シーズンも成熟度の高いサッカーを披露。第9節を終えて12ポイントと、東京と全く同じ勝点を得ている。

アルベル監督は「新潟に愛情を持っている」と古巣への想いを口にしつつ「東京との対戦以外では新潟の幸運を願う」と付け加えた。もちろん、味スタで勝利するのは東京だ。


[アルベル監督インタビュー] 


Q、公式戦で連勝している流れをどのように捉えていますか。
A、プレシーズンから開幕戦にかけて感じていた良い流れと感覚を取り戻せているように感じています。しっかりと勝利にこだわり、勝点を積み重ね、チームとしてのスタイルを確立することに今シーズンは注力しています。サンフレッチェ広島戦の前半、良いプレーを表現していました。攻守にわたり、緩急やバランスを保った落ち着きのある内容でした。後半はしっかりと守備を固めることができましたが、ボールを保持する時間が少なかったため、改善する必要があると思います。ですが、勝利にこだわる姿勢がプレーから見られましたので、後半も良い試合が展開できていたと捉えることもできます。

Q、この良い感覚や流れを継続するため、必要になることを教えてください。
A、まずは、怪我人を出さないことです。そして、質の高いトレーニングを継続することが、日々成長するために唯一必要なことです。

Q、新潟戦との対戦を控えるなかで、今の想いを聞かせてください。
A、新潟での2シーズンは、良い環境で生活できましたし、良い時間を過ごすことができました。新潟で指揮を執り始め、上手くいかない時期もありましたが、多くの新潟サポーターのみなさんが支えてくださったこと、あらためて感謝したいと思います。あれから4シーズンが過ぎました。(新潟の)クラブやチームのスタイルが明確になり、確立し始めていることを本当に嬉しく思います。

Q、想い入れのある、新潟を相手に今節は対戦しなければなりませんね。
A、新潟だけではなく、FCバルセロナと対戦することになったとしても、私は勝ちにこだわります。それは当たり前のことです。どちらのクラブも愛情を持っているクラブですが、当然、試合には勝ちたいと思います。今週末の試合以外では、彼らの幸運を祈っていますが、今節の試合に関しては勝ちにこだわりたいと思います。

Q、アルベル監督が在籍されていた当時から変化を感じる部分はありますか。
A、スタイルのベースについては、私が指揮していた時から変わらないと思います。新潟で指揮を執っていた2シーズン目、相手チームが守備の立ち位置を下げてブロックを敷いてくる展開が多くあり、それを我々は打開することができずにいました。ですが、松橋力蔵監督が就任した後は、その部分が改善されているように思えます。そして、伊藤涼太郎選手をはじめ、新潟のスタイルに適した補強がチームにプラスアルファをもたらしていると思います。また、三戸舜介選手や小見洋太選手など、私が監督をしていた当時にデビューを果たした若い選手たちが経験を積み、チームの中心選手として活躍しています。彼らの成長もチームに多くのものをもたらしています。チームとして私が在籍していたころから約4シーズン、同じスタイルをベースに戦い、成熟度も増している印象です。様々な要素が上手く融合し、昨シーズンのJ2優勝に繋がったと思っています。
重要なことは、成功に向かって、順を追って成長を進めることです。かつ、継続性をもって、J1の舞台でも戦い続けていることが彼らに良い流れをもたらしている要因だと思っています。私が在籍した2シーズンは、正直、苦しい期間でしたが、その苦しみが彼らの成功に繋がっているのであれば嬉しいです。東京でも同じことが言えると思います。喜びだけではなく、苦しい時期もあります。ですが、その期間が将来に繋がるのであれば嬉しいです。

Q、似たスタイル同士の対戦で大事になるポイントは何でしょうか。
A、スタイルはそこまで似ていないと感じています。新潟の選手たちは足元のプレーを大切にしてボールを繋ぐことを得意とする選手が多くいます。一方で、我々が今取り組んでいるスタイルは、既存の選手たちの特長を大切にして構築しているスタイルですので、両者のスタイルには違いが生じると思っています。

Q、東京がこの試合で勝利するために大切になることを教えてください。
A、まずは、我々のスタイルをしっかりと表現することです。中盤のアグレッシブさ、スペースへ飛び出す動き、広島戦の前半に見せたプレーをさらに成長させて、表現することが重要です。我々の武器をこの一戦に向けて磨きをかけ、臨むだけだと思っています。

Q、強度の高い中盤の守備が特にポイントとなりそうですか。
A、もちろん重要です。今節に限らず、中盤の守備はどの試合においても重要です。より良いプレーを生み出すのは、良い守備から素早く切り替え、攻撃を組み立てることができている時です。素早い攻守の切り替えが、今の新潟はしっかりと表現できているチームだと思っています。新潟時代、ヴェルディと対戦し、7-0で勝利を収めた試合がありました。その試合でも、素早い攻守の切り替えから多くの得点が生まれました。彼らの大きな武器だと思います。

Q、東京には守備能力の高い選手が多くいると思います。広島戦の後半戦のように、リードするなか5バックでしっかりと守り抜けたことは自信にも繋がりましたか。
A、J1は非常に拮抗したリーグです。それ故に、先制点が試合の流れに大きな影響をもたらします。ポゼッション率30パーセントであっても試合に勝つこともあります。早い段階で先制点を得たことにより、守備的に戦う方向へ導かれる場合もあります。この前の広島戦も同じことが言えます。仮に先制点を与えていたとしたら、我々はより攻撃的に試合を支配し、ポゼッション率も上がっていたことでしょう。相手はフォワードの選手を交代し、素早いテンポで同点、逆転を狙っていましたが、我々もダイレクトのプレーが多くなった相手に対し、しっかりと対応できていたと思います。攻撃的な相手に対して、ベンチメンバーも含め、試合をしっかりと終わらせることができました。怪我を負っていた選手らが戻ってきた今、上位チームと同等に戦えることを前節の試合で証明できたと思います。

Q、アルベル監督から見た、松橋監督はどのような人物ですか。
A、サッカーにすべてを注ぐ、素晴らしい人物です。新潟時代は監督とヘッドコーチという関係で一緒に仕事をしていましたが、お互いにリスペクトし合い、素晴らしい関係性のなかで仕事ができました。彼とは良い思い出がたくさんあります。素晴らしい人物が監督として新潟の指揮を執っていることが、新潟の成功の秘訣ではないでしょうか。


[選手インタビュー]  
<松木玖生選手> 


Q、今節のアルビレックス新潟戦が10代最後の試合となりますが、どのような試合にしたいですか。
A、やるべきことは何も変わりません。まずは、サンフレッチェ広島戦で勝利できた流れを継続し、自分たちのサッカーを突き詰めていきたいと思います。

Q、10代最後の試合、という視点で意識することはありますか。
A、特にありませんが、ゴールを決めたい想いは強いです。

Q、広島戦は相手に支配される時間もありましたが勝ち切りました。今週はポジティブな雰囲気でトレーニングできましたか。
A、試合はやはり勝たなければ意味がありません。どのような形であれ、勝利を求めることが絶対的な条件ですし、明日の試合も自分たちに矢印を向けてプレーしたいと思います。

Q、広島戦の失点のようにプレスをかいくぐられた際、どのようにリスク管理をしますか。
A、前線からの守備はリスクもありますし、相手選手と入れ替わってしまった時に数的同数または不利な状況になることもあります。各選手がしっかりとした対応をすれば、簡単な失点を防ぐことができると思います。明日の試合はしっかり集中して、試合に臨みたいと思います。

Q、ボランチを組む小泉慶選手と松木選手は走力に長けた選手かと思います。守備の際に空いたスペースをケアする狙いがありますか。
A、他のチームにはない運動量が東京にはあります。しっかりとその部分で差をつけていきたいと思います。

Q、得点を狙う、という観点ではどのようなことを意識していますか。
A、毎試合、得点は常に狙っていますが、シュートの質やゴール前に顔を出す回数を増やしていきたいです。決してエゴではなく、しっかりとチームの状況に応じたプレーで得点に絡む回数を増やしていきたいと思います。

Q、ゴール前に人数をかける意識はチーム内でどのくらい共有されていますか。
A、これまでの試合で生まれた得点の多くは、ショートカウンターまたはセットプレーからの得点です。現状はポケットを攻略した時にゴール前に入る人数が少ないので、中盤の選手がその位置に顔を出す回数を増やしていかなければならないと思います。

Q、ボランチの位置であれば、ラストパスという選択も出てくるかと思います。
A、ゴール前で人数を増やすことで得点の可能性も高まります。ボランチの選手も積極的に関わり、求めていく必要があると思っています。

Q、試合内容に納得はされていないと思いますが、前節の広島戦のようにしっかりと守り抜き、勝利に繋がったことは自信につながりますか。
A、一番の理想は今のチームスタイルで90分間戦い抜くことですが、勝利にこだわることで少なからずそのようなシーンも増えてくると思っています。試合中に監督も含めてしっかりとコミュニケーションを取り、勝利にこだわる姿を見せていきたいと思います。

Q、新潟の印象を教えてください。
A、足元の技術が高い選手を多く揃え、ショートカウンターを武器としている印象です。

Q、あらためて20代になることをどのように捉えていますか。
A、10代と20代ではサッカー面において、評価の基準も変わってくると思います。しっかりと10代最後の試合になる新潟戦で結果を残して、20代はさらにインパクトを残すことができる選手に成長していきたいと思います。


<安部柊斗選手> 


Q、怪我から復帰して3試合戦いましたが、現在のコンディションはいかがですか。
A、怪我をした箇所は全く問題ないですが、まだコンディションが上がり切っていない感覚はあります。「もっとできる」という気持ちがあるので、徐々にコンディションを上げていきたいです。

Q、復帰して2、3週間では、まだ100パーセントに上がらないのでしょうか。
A,そうですね。前までのキレがまだ戻ってこないという感覚のなかでプレーしています。

Q、サンフレッチェ広島戦でのゴールシーンの振り返りをお願いします。ご自身でも納得できるゴールですか。
A、ディエゴ オリヴェイラ選手が中村帆高選手にパスを出した時、ニアに走っていたので、その流れのままパスを要求するか迷いました。ですが、自分の前に広島の選手がいたので、これでは(パスが)通らないと思い、一回動きを止めました。そのタイミングで、中村選手がちょうど見てくれていました。良いパスが来たので、あとはふかさないように意識してゴールに蹴り込みました。

Q、試合の流れとして、もう1点欲しい、という場面でのゴールでした。“してやったり”というゴールではないでしょうか。
A、前半は比較的、東京も良いシーンが多かったので、そのなかで早い時間に先制点を取ることができました。広島にも決定機を作られましたが、そこでしっかりと守り抜き、追加点を奪えたことが大きかったです。時間的にもいいタイミングに追加点が取れたと思います。

Q、少し話が変わりますが、今シーズンの中村選手はすごく調子が良く、一皮むけた印象があります。同期の安部選手から見ていかがですか。
A、守備の面では相変わらず高い強度のプレーをしてくれています。攻撃面は監督から「落ち着きを持て」と言われていたので、その落ち着きが出てきたと思います。クロスの精度やプレーの落ち着きが出てきているように感じますし、広島戦で僕に出したパスも、相手をよく見ていました。成長しているように感じます。

Q、広島戦は良い流れで2点先制できましたが、そのあとに失点し、後半は耐えるシーンが続きましたが、割り切って試合を締めた印象です。勝つことへの執念が感じられた、良い内容のゲームだったのではないでしょうか。
A、リーグ戦では勝利から遠ざかっていました。リードしていたなかで、後半を迎えたので、絶対に守りきろうと思っていました。選手のなかでは「追加点を取りにいこう」という声もありましたが、そういった展開にできず、ブロックを敷く展開になりました。広島の攻撃もクオリティが高かったですが、森重真人選手を中心にゴール前で身体を張って守ることができましたし、何回かサイドチェンジで揺さぶられましたが、縦に鋭いパスを通されたシーンはありませんでした。集中して中央の位置を締めて、サイドに振られるのはしょうがないと割り切ってプレーできていましたし、みんな気持ちがこもっていたので、次に繋がる勝利だったと思います。

Q、負傷離脱をしている間、結果が安定しない時期がありました。チームを外からどう見ていましたか。
A、約1か月、ピッチの外からチームを見ていてもどかしさはありましたし、チームの結果が出ない、勝てない状況が続いている時に、力になれず、申し訳ない気持ちもありました。「自分がピッチに立っていたら、こういうプレーをしよう」と、考えながら試合を観ていました。

Q、外から見ていて感じた課題、そこに向けた準備は今に生きていますか?
A、課題は毎試合出てくるものなので、日々改善しながらプレーしていきたいです。徐々に選手も戻ってきましたし、もっとすり合わせをしていきたいと思います。意思疎通の部分は、今週の練習も含めてできているので、いい形になってきていると思います。

Q、安部選手を含め、主力が負傷や代表離脱で揃わなかった時期は、若手やアカデミー選手の活躍もありました。チームとしてポジティブな部分もあったと思います。
A、若い選手がどんどん出てきて、ポジション争いをしていかないとチームはより前に進まないと思いますし、競争が生まれないと個人としても成長できないと思っています。そういう意味では、若手の選手にはすごく良い選手がたくさんいます。未来に可能性を感じる選手が多くいるなかで、もっとやってほしい気持ちもありますし、これからどんどん出てきてくれればと思います。

Q、安部選手が東京に加入してすぐコロナ禍に入ってしまいましたが、今シーズンはようやく満員のスタジアムで声が出せる状況になりました。味の素スタジアムの雰囲気がようやく戻ってきた印象もありますが、安部選手から見ていかがですか。
A、ファン・サポーターのみなさんが声援を送ってくれると、選手たちもモチベーションがすごく上がります。特に後半のラスト15分くらいの盛り上がり、イケイケな感じを出してくれるのはすごくありがたいです。得点の雰囲気が高まる感じがするので、サッカーは改めてファン・サポーターのみなさんがいてこそのスポーツだと感じています。みなさんの応援に感謝しています。

Q、最後に、アルビレックス新潟戦に向けての意気込みをお願いします。
A、3連戦の初戦で、味スタということもありますし、前節勝利できたので、その勢いに乗って3戦全勝したいと思います。まずは味スタで1勝して、アウェイ2連戦に臨みたいと思います。たくさんの熱い応援をよろしくお願いします。