3/18 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.3.18

3/18 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
ホーム味の素スタジアムで勝利した前節の横浜FC戦の勢いを保ったまま、今シーズン初の連勝を狙った今節。2021シーズンまで東京を率いた長谷川健太元監督が指揮を執り、青赤のユニフォームに袖を通した経験を持つ選手も揃う名古屋グランパスと相対した。

システムはチーム状況と名古屋のスタイルを鑑みて、アルベル体制では初めてとなる3バックでスタート。森重真人キャプテンを軸とした最終ラインに、ウイングバックは長友佑都選手とバングーナガンデ佳史扶選手が務め、前線は前節2ゴールを決めたディエゴ オリヴェイラ選手を頂点に、仲川輝人選手と塚川孝輝選手がシャドーに入った。

小雨まじりの冬模様の中、豊田の地まで駆け付けたファン・サポーターとともに、アウェイでの初勝利を目指した。

1stHALF—互いに守備が堅い膠着した展開

膠着という表現がしっくり来る45分だった。

東京が3-4-2-1の布陣でスタートしたことでミラーゲームの様相を呈した。そのなか、時間の経過とともに東京がボールを握る時間は多くなっていったが、効果的なボールの出し入れはできず、最終ラインや中盤で動かす時間帯が続く。

その一方で、守備での集中力は切らさない。名古屋の最前線のキャスパー ユンカー選手にはエンリケ トレヴィザン選手が、右サイドのマテウス カストロ選手には森重選手がしっかりと対応。左サイドの永井選手にも木本恭生選手がマークについて自由を許さなかった。

前半の終盤になると少しずつスペースが生まれ始め、お互いにペナルティエリア手前までは運んでいく機会が増えていく。しかし、最後の精度とアイディアを欠き、東京のシュートはゼロに終わった。

反対に前半41分に自分たちの右サイドを突破されてピンチを迎えるが、最後は森重選手が見事なカバーリングでマテウス選手にフリーでは打たせない。結局、ゴール目前で打たれたシュートはサイドネットの外側を揺らしただけで、難を逃れた。

手堅さが売りの名古屋を相手にした膠着したゲーム。攻守のバランスが難しいなか、想定内と言っていい展開とスコアで前半を折り返した。

2ndHALF—縦への意識が強まるも相手の堅守を崩せず

後半は重心を前のめりにしてベクトルが縦に向く場面が増えた。

キックオフ直後からパスの選択肢が縦となり、ディエゴ選手に収まる場面が出てくる。後半7分には左サイドを佳史扶選手がえぐるなど深い位置まで入り込めるようになっていった。

後半17分と19分には細かいパス交換からシュートまで持ち込む。ディエゴ選手とアダイウトン選手がそれぞれゴールを脅かした。

一方で、前がかりになった分、名古屋のカウンターを受けることにもなったが、守備陣の集中力は前半から変わらずにしっかりと対応。ヤクブ スウォビィク選手が仕事をする機会が限られるほど、最後の部分で身体を張っていた。

名古屋も集中力が高く守備の堅さもあり、お互いに得点は生まれないまま終盤に突入する。一つのミスが失点に直結してしまうヒリヒリとした展開となるが、決着をつけるゴールが生まれることはなくタイムアップ。互いに駆け引きを続けた戦術的な試合は、スコアレスドローで終了した。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF長友佑都/森重真人/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶
MF東慶悟/木本恭生/小泉慶
FW塚川孝輝(後半13分:アダイウトン)/ディエゴ オリヴェイラ(後半45+3分:ペロッチ)/仲川輝人(後半33分:俵積田晃太)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF徳元悠平/木村誠二
FW野澤零温

GOAL

<名古屋グランパス>
STARTING Ⅺ
GKランゲラック
DF野上結貴/中谷進之介/藤井陽也
MF森下龍矢/稲垣祥/米本拓司/和泉竜司(後半13分:丸山祐市)
FW永井謙佑(後半37分:酒井宣福)/キャスパー ユンカー(後半37分:長澤和輝)/マテウス カストロ(後半45+3分:レオナルド)

SUBS
GK武田洋平
MF山田陸、石田凌太郎、

GOAL


[アルベル監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、試合が終わった後は、感覚としては、電車がすっと通り過ぎたようにあっという間に時間が過ぎました。今日の試合はとても戦術的な試合でした。名古屋の狙いはしっかりと守備を堅めた上で、危険な前線の3人のスピードを生かしたカウンターアタックでした。ボールを奪った後に、スピードを生かしたプレーがしっかりトレーニングされています。しかも今の名古屋は良い流れのなかにいるというのも、我々はしっかり理解した上で試合に臨みました。

今シーズン、我々は良い形でシーズンをスタートできていたと思います。けれどもその後は、どのチームも苦しく長いシーズンの中では苦しむ時が来ることもあります。我々は複数のケガ人を抱えており、また松木選手も代表に呼ばれていて不在で、特に不在の選手が中盤のポジションに重なったこともあり、難しい状況にいました。

名古屋が狙ってくるプレー、特徴、そして我々が抱えている状況を踏まえ、今いる選手の特長を踏まえて、今日のような形で戦うことを決断しました。彼らのサイドのセンターバックが前に出てきた際の背後のスペースが我々の狙いでした。それに加えて、名古屋の二人のウイングバックも飛び出してくるということも、我々は警戒して戦っていました。そうした様々な要素を踏まえた上で試合をして、拮抗した試合展開でした。今日の試合はどちらかが決定的なチャンスを活かして点を取った方が勝つ試合だったと思います。

私の国では、このような試合のことを、“戦術的な試合”と表現します。概して、多くのサッカーファンが期待していない展開ですが、我々にとっては、重要な、そして見応えのある戦術的な試合でした。 もちろん、勝点3を獲れなかったので、手放しに喜ぶことはできません。選手たちが表現してくれたこの90分に関しては、とても満足しています。起用したシステムに関しては、プレシーズンですでにトレーニングしていました。ミッドフィルダーに不在の選手が多いので、システム変更が必要な試合でした。松木選手、安部選手、渡邊選手だけではなく、寺山選手も違和感を抱えてこの試合でプレーできなかったことは、我々にとって大きな影響がありました。次のホームゲームでは、全ての戦力を活かした形で、より魅力的なサッカーで勝利をめざしたいと思います。

Q、名古屋の守備が堅かった印象が強いのか、自分たちが崩し切れなかった印象が強いのか、どちらですか。
A、我々は試合をコントロールできていました。名古屋の危険なカウンターをしっかり防ぐことができていたと思います。今日の試合では決定的なチャンスを作れませんでしたが、ウイングが適性の仲川選手をシャドーで使わざるを得なかった事情も理解してほしいと思います。名古屋の守備は確かに堅かった。我々は、守備を堅めてきたチームに対して、ウイングを生かしてサイド攻撃をしたかったのですが、そこに連係してくれるミッドフィルダーが必要なのは確かです。そのミッドフィルダーが複数人不在のなか、守備をより重視することを優先しました。

そして今日の試合展開について、もともとチャンスの少ない試合になると想定しており、少ないチャンスを生かしたチームが勝つと思っていました。その通りの試合になったと思います。7、8人で守備を堅めるチームを崩すのは難しいです。ミッドフィルダーが少なかったがゆえに、我々が持っている危険なウイングの選手をそのポジション起用できなかったのは残念です。サイド攻撃を活かそうと別の形で配置したら、ポゼッション率は高まったかもしれませんが、負けていたかもしれません。中盤で攻撃を構築するミッドフィルダーが不在の中で、自分たちが期待した攻撃を構築できたかというと、それはできていなかったと思います。


[選手インタビュー]
<バングーナガンデ佳史扶選手>


Q、いつもとは異なるポジションでの出場となりましたが、意識したことはありますか。
A、ウイングバックでの出場でした。ミラーゲームになることは分かっていたので、サイドで主導権を握り攻撃的に行きたいと思っていました。

Q、試合は引き分けとなりましたが、振り返っていかがでしょうか。
A、抜け出しまでは上手くいったのですが、クロスを相手の足に当ててしまい、チャンスを潰してしまったりしていたので、最後の精度をより上げていきたいと思います。

Q、システムが変わったので、ボールの流れも変わっていたと思います。
A、前半は上手くいかなかったのですが、後半は修正して良くなったと思います。

Q、後半は縦にもボールが入って、前進できていたと思います。
A、ハーフタイムに、チーム全体でテンポの作り方やサポートの入り方を変えようと話して後半に臨みました。

Q、日本代表に合流する前の最後の試合でした。どのような思いで臨みましたか。
A、日本代表のことは考えずに名古屋戦に臨みました。名古屋戦に向けて準備もしてきていたので、勝ち切れなかったことが悔しいです。

Q、最後に名古屋の長谷川監督にも声を掛けていましたが、どんな話をされましたか。
A、頑張って来いと言われたので、期待に応えられるように頑張ってきます。


<木本恭生選手>


Q、我慢比べのような展開でしたが、そこで焦れずに勝点1をとったことは評価できる点でしょうか。
A、試合が終わって、当然勝ちにきていたので、結果に対してはもちろん満足していません。ただ、相手も守備が堅くてなかなか1点が遠く難しい展開のなかで、後ろは我慢強く最低の勝点1をとれたのでポジティブに捉えたいと思います。

Q、相手の3トップが強烈だったと思うのですが、そこを3バックで防ぐというのがねらいだったと思うのですが、手応えはいかがですか。
A、相手の3人は自由にプレーすると手に負えないくらいの能力なので、そういう意味では後ろの3人でマンツーマン気味で守っていたので怖いシーンというのは作られなかったので良かったと思います。

Q、永井謙佑選手とのマッチアップはいかがでしたか。
A、スピードがあるのでやられないように、足元で受けさせるような感じで最低限守れたかなと思います。

Q、アルベル監督は守備的な戦いになったことをポジティブに捉えていましたが、ピッチの中ではどう考えていましたか。
A、ボールを持つ時間が多かったので僕や森重選手が攻撃参加をすれば良かったと思うのですが、逆に奪われた時のカウンターのことを考えたら、後ろはどうしてもバランスをとるシーンが多くなりました。なかなか難しい試合だったというのが本音です。

Q、4バックと3バックでボールの動かし方が違うと思うのですが、プレーしてみていかがでしたか。
A、3バックでプレーするのは難しかったですが練習はしてきました。1週間という短い期間でしたが練習をしてきたなかで、実際に試合でやってみたところで難しさもありました。

Q、最終的には、名古屋のように守備を堅められても崩して点をとることを目標に置いていると思うのですが、そのなかで攻撃について後ろから見ていた感想を教えてください。
A、昨シーズンの終盤からボールを持って相手陣内に入ってからの攻撃が課題だったので、そういう意味では点をとれなかったということはまだ課題も多いと思います。


<小泉慶選手>


Q、これまでとポジションを変えていましたが、その点を踏まえ試合を振り返ってください。
A、3バックは難しい部分もありましたが、全てが悪いわけではありませんでした。そのなかでも、勝つために選手たちが声を掛け合うことができていました。アウェイの地で勝点1という最低限の結果を得ることができましたが、勝ちたかったので悔しさが大きいです。

Q、名古屋の守備は堅かったと思います。どのように崩すかが今後のテーマになってくると思います。
A、裏への抜け出しやミドルシュートなど、もう少し大胆にやることも必要だと思っています。崩して綺麗に決められれば良いですが、大胆にシュートを打つことなどをもっとやっていければと思います。

Q、それはシステムと関係がありますか。
A、システムの問題ではないと思います。今日で言えば、ディエゴ オリヴェイラ選手に入った時に、勢いよく後ろの選手が飛び出したり、サポートをすることで相手も怖がると思います。


<ヤクブ スウォビィク選手>


Q、名古屋相手に引き分けでしたが、いかがでしょうか。
A、勝点3をめざして試合に臨みましたが、アウェイの地で好調な名古屋相手に勝点を取ることができたことはとても良かったと思います。試合結果以上に内容の部分で手応えが多くあった試合でした。しかし、勝点3を取ることができなかったのは少し残念な気持ちです。

Q、前節に比べてシュートが少なかったと思いますが、一番後ろから見ていてどんなことが足りなかったと思いますか。
A、常に練習で攻撃の形に取り組んでいますが、自分たちの攻撃以上に相手のディフェンスの選手の対応が良かったと思います。さらに、相手にはランゲラック選手という素晴らしいゴールキーパーがいますし、3バックや時には5バックになりながら堅い守備で対応していました。その相手に上手く対応できませんでしたが、そのなかで勝点1をとれたことは良かったです。

Q、今日もチームを救うビックセーブがありました。
A、あのようなシーンで、セービングをすることが僕の仕事だと思っています。シュートを防げたことは僕にとって大きなことですが、勝点1を取る時も勝点3を取る時もチーム全員の力だと思っています。