INTERVIEW 2026.7.27

タフさと柔軟性(前編)|2026/27 CAMP DIALOGUE 高宇洋×常盤亨太

“優勝”という目標を明確に掲げて新シーズン開幕を迎えるFC東京。松橋力蔵監督がめざしている攻守に主導権を握るスタイルで鍵を握るのが、チームの心臓となるボランチのポジションだ。今回は明治安田J1百年構想リーグで一気に出場機会を増やした常盤亨太選手と、負傷に悩まされた半年間からの巻き返しを誓う高宇洋選手の対談をお届け。前編では2026/27シーズンに向けた新チームの手応えと可能性について語り合った。

──あらためて全体4位で終わった明治安田J1百年構想リーグを振り返ってください。
常盤亨太 今まではクラブ全体として明確な目標を公言してこなかったなかで、この特別大会は明確に始動日から“優勝”を提示してきました。全員が常に優勝に向けて高い意識を持って挑みましたが、結果として4位に終わり、悔しさが残る大会となりました。
高宇洋 優勝という目標には届きませんでしたが、全体を見れば非常にポジティブなゲームが多かったと思います。そういった意味では、チームとしてやろうとしている方向性はすごく明確になってきたと感じています。

──高選手は怪我で離脱している期間もありましたが、常盤選手が台頭する姿はどう映っていましたか。
高 チームにとっては非常に良いことだと思って見ていました。競争があってこそチームの底上げにつながりますし、いろいろな面でプラスに働いていると思いました。本当に僕自身は良い刺激をもらいました。
常盤 加入1シーズン目は自分の見通しが甘く、思うようにいかないことばかりでした。そういうところも踏まえて、もう一度オフシーズンにすべてを整理して、始動日から集中してキャンプにも臨みました。「このキャンプしかチャンスはない」と思っていたので、心と身体がうまくかみ合って良いスタートが切れました。半年間の短いシーズンではありましたが、最後まで良い形で走り抜けられたのは良かったと感じています。

──迎える新シーズンは、どんなシーズンにしていきたいですか。
高 チームとしてはリーグ優勝という目標に変わりはないです。明治安田J1百年構想リーグで悔しい想いをした分、一番上を狙うしかありません。チーム全員で目線をそろえて挑みたいです。個人的には直近の半年間は怪我に苦しんだので、まずはコンディションを整えて自分を見つめ直し、もう一度原点回帰していきたいです。
常盤 確かに明治安田J1百年構想リーグは試合に出場できたかもしれませんが、プロとしてまともにプレーできたのは、まだ半年間だけという感覚です。だからこそ、明治安田J1百年構想リーグのことはいったん忘れて、もう一度気合いを入れてゼロからの競争になると思っています。ボランチは選手層が厚くないので、一人の離脱が大きな戦力ダウンになってしまう。怪我には気をつけながら、誰にも負けない気持ちでしっかり戦いたい。連戦であろうと全試合にフルタイム出場する気概を持って強気で挑みます。チームとしては優勝を絶対につかみ獲りたいと思います。

──新シーズンのFC東京はどんなサッカーを見せてくれますか。
高 松橋力蔵監督からもミーティングで話がありましたが、ゲーム状況やスコア、相手の出方によってピッチ内の選手が主導して戦況を変え、勝つための逆算をしていくことが重要になります。また1年間を戦う長いシーズンにはいろいろな時期があると思いますが、どんなことにも対応できるような柔軟性やタフさも大事になってくると思います。
常盤 試合状況も含めて大枠は提示されていますが、細かい手段のところは自分たちに委ねられているところもあります。だからこそ、全員が共通認識を持ってプレーできるかが重要になる。この表現が合っているかは分からないですけど、より成熟した、より大人なチームになっていく必要があると感じています。例えば、1-0で勝っている状況ならどうするかとか、松橋監督からは一歩踏み込んだ提示があって、それに沿ったサッカーを選択していくにはもう一段階、大人のチームになる必要があると思いました。
高 亨太とはトレーニングマッチでもいろいろしゃべりながらプレーしています。「今はこういう展開だからこうしよう」とか「一方が出ていくときは片方がポジションを埋めよう」という会話は頻繁にしていて、試合を重ねるごとに非常にバランスが良くなっていると僕は感じています。
常盤 これは内緒にしておきたい話ですけど、実はお互いが「これ、良いよね」って感じた、良いローテーションの形を見つけちゃったんですよ。良いプレーをしたと思った時に、お互いが同じ感覚を持てていることが重要。一方は良いと思っていても、もう一方があんまり良く感じていなかったら意味がないですから。ただ、ヤンくん(高宇洋選手)とはそれが一致していることがかなり多い。一つのプレーだけではなく、いろいろな局面で感覚が一致して、「これだよね」と感じるシーンを増やすことができれば、チーム全体にもそれが波及していくはずなので。そこはまず近いポジションの関係からそういったすり合わせをしていきたいと思っています。
高 そういう意味ではチーム全体で良い求め合いができているよね。明治安田J1百年構想リーグで生まれた課題を松橋監督やスタッフが提示して、それが今回のキャンプでは練習メニューに組み込まれていて、みんながポジティブに感じ取りながら、一つひとつのプレーや練習の合間でしゃべる機会は実際に多い。そういうコミュニケーションはあらゆる場面でとれていると思います。
常盤 自分も松橋監督が就任してからの1年半でやりたいサッカーや大枠が固まって、全員の目線がそろってきたと感じています。そのなかで今回のキャンプではより細部に特化したメニューが多く、練習のやりやすさも感じていました。提示された課題が改善されればさらに良くなるというトレーニングばかりで、全員がポジティブに取り組めていると思います。「ここをあと少し改善できればもっとオレたちは上にいける」と感じていて、メンタル面でも良い方向に作用していると思います。

──2人はプレースタイルや特長も似ていて、思考も近いと思います。お互いをどう見ていますか。
高 結構「合うな」という部分は多いですね。明治安田J1百年構想リーグの開幕戦で一緒に出たときも良いバランスだなと思っていました。日々のトレーニングや練習試合でもパスの出し入れやポジショニングを含めて感覚が合うところが多いと感じますし、そのなかでいろいろな話もしています。
常盤 確かに「このタイミングで、ここにいてほしい」という感覚が近いですね。だから、逆にヤンくんがボールを持った時に、自分がいてほしいと思うところにいられれば、その選択がだいたい合っています。いつも考えてプレーはしていますが、感覚的に動けば正解になるケースが多いのでストレスはないです。あとは2人ともファイナルサードでの仕事が求められているので、そのレベルはもう一段階上げていきたい。ボランチが得点に関われるようになれば、チームはもっと楽になります。数字は意識していきたいし、そこはライバルだと思ってプレーしているつもりです。
高 僕も過去一番ゴールがとれたシーズンが3得点だったので、この新シーズンは4得点以上をめざしたいです。東京に加入した2024シーズンが3得点で、翌シーズンが2得点だったので、それは超えていきたい。
常盤 じゃあ僕は5点ですね。
高 目標が分かりやすい(笑)。
常盤 ゴール、アシスト含めて5点以上に関わりたいです。
高 合計で5なんだ。そこは10じゃない? でも、10は難しいか。僕の2024シーズンは3得点2アシストだったかな。
常盤 2026シーズンは0得点0アシストなので。何を掛けても0です。なので、まずは1をつけたいです。

──今キャンプではボールを奪われた後の切り替えの速さが際立っていて、誰かが声を出す前に反応している場面が多く見られます。
高 今はコンディションを上げている段階なので、みんなが限られた時間のなかで素早く切り替えることを意識しています。明治安田J1百年構想リーグは個人的に外から見ている時間が長かったなかで、切り替えの早さは東京の生命線だと見ていて感じました。そこで相手より上回っているときは、自ずとうちのリズムになって流れが来るし、みんなもやらなければいけないという感覚が染みついていると思います。亨太も僕もそうだけど、ボールを奪うところは東京のボランチ全員に備わっている武器なので、奪ったボールをどうゴールに結びつけるか、フィニッシュまで持っていけるかがすごく重要になります。ただし、東京はサイドバックがガンガン前に出て行くので、その背後のリスク管理は絶対に外せない。良い試合ができる時はそうしたリスク管理を徹底してハーフコートに押し込めている時間帯が長くなっていると感じます。
常盤 守備と攻撃は表裏一体なので、良い攻撃ができればできるほど距離感が良くなります。奪われた瞬間も守備がしやすくなっているし、キャンプ中のトレーニングマッチでも守備意識が高くて攻守の切り替えが早く、攻撃時のテンポや距離感も良かったからこそ、失った瞬間にすぐに奪い返すことができていた。その回数も多く、ハイプレスを掛けて相手ゴールの近くで奪えたシーンが何回もありました。良い守備と良い攻撃は必ずつながっているとあらためて感じました。逆もしかりで、攻撃と守備を切り分けずに考え、プレーや思考を止めずに攻守の境目をなくすことができれば、ボランチがよりゴールに近い位置でプレーする回数も増えていくはずです。そこは意識的にやっていきたいですね。
高 ハイプレスに行くタイミングや引き止める場面で、チーム全体に指示を送るのは僕たちボランチの役割です。そのコーチングの声はかなり意識しているし、コンパクトに整えることも重要です。真ん中を閉めて強固な守りを築くことができれば、ゴールを奪われる確率も自ずと減っていくと思います。

後編へ続く…

(文中敬称略)

Text by 馬場康平(フリーライター)