マッチレビュー&プレビュー
前節・鹿島アントラーズ戦のレビュー
惜しくも逆転優勝の可能性を残せなかった鹿島アントラーズとの明治安田J1百年構想リーグの地域リーグラウンド最終節。FIFAワールドカップ2026の日本代表に選ばれた長友佑都選手、韓国代表入りが発表されたキム スンギュ選手はベンチ外となったが、青赤の意地と誇りを懸けて勝利を収めることで、ここまでの積み上げをしっかり結果として示したい一戦となった。
東京は立ち上がりからチーム全体で高い守備意識を見せ、即時奪回やプレスバックで相手を押し込んでいく。まさに良い守備から良い攻撃に繋げていく“東京らしさ”をピッチで表現し、自陣からのビルドアップと鋭いカウンターを織り交ぜながら奮闘。守っては鹿島に決定機を作らせることなく時間を進めていった。
このままスコアレスで前半を折り返した青赤は、ハーフタイムをまたいでも変わらずに良さを出していく。前線からの圧力を強めてきた鹿島に対して、最終ラインから角度や距離を工夫したワンタッチパスでプレスを回避。狭いエリアでしっかりと繋ぎながら好機を探った。
しかし後半35分、一瞬のスキを突かれてしまう。中盤で知念選手に巧みなインターセプトでボールを奪われると、そのまま持ち運ばれてスルーパスを通されると、途中出場していた師岡選手に抜け出されて決められた。まさに鹿島らしく一瞬で状況を打破するゴールを許し、1点のビハインドを背負うことになった。
終盤、反撃を期す東京は佐藤恵允選手のミドルシュート、マルセロ ヒアン選手の鋭いシュートなどで襲いかかったが、いずれも実らず。試合はこのまま0-1で終了。この結果、EASTグループ2位となり、5月30日から行われる同大会のプレーオフラウンドは、WESTグループ2位のセレッソ大阪と対戦し年間順位の3位と4位を争うことが決まった。
今節のプレビュー
辿り着くことが可能な最上位を争う一戦。
今シーズンのセレッソ大阪は『アタッキングフットボール』を掲げ、試行錯誤を続けながら最終盤に3連勝を飾って土壇場で2位に滑り込んだ。松橋力蔵監督は「WESTグループのゲームも注視してきた」と言い、その印象をこう口にした。
「非常に攻守に置いてアグレッシブで細部にこだわってコレクティブなサッカーをしている印象がある。流動性のある動きを入れながら人が捕まえづらい配置にしてくるので、自分たちはしっかりとコンパクトな陣形で迎え撃ちたい。ボールの奪い所でパワーを掛けることができれば、我々の得意な形の一つであるショートカウンターにつながる。相手がそこを警戒しているのであれば、また二次的なところもしっかり準備したい。互いに似たところがあるので、どちらが試合のテンポ、リズムを握れるかだと思います」
このプレーオフラウンドでは代表活動で不在の選手がいる。指揮官は「穴を埋めるのではなく、ある意味違う色も出せると思っています」と、代わりに出場する選手たちに期待を込めた。
EASTグループの最終節でもピッチに立った田中颯選手は、この2試合を待ちわびていた一人だ。首位で通過し、優勝決定戦で「僕が全て持っていく」という絵を思い描いてきたが、それは叶わなかった。
しかし、最終節にメルカリスタジアムで響き渡った『You’ll never walk alone.』を耳にしてもう一度奮い立ったという。
「一番は、優勝を逃しても、ああやって最後まで応援してくれるファン・サポーターのみなさんがいる。彼らはセレッソ大阪戦もきっと力を貸してくれる。彼らのためにも、最後まで戦い続けたい。来シーズンに向けて期待感を持ってもらえるように、そういう2試合にしたい」
準備は万端だ。
「個人としては鹿島アントラーズ戦で感じたことや、今シーズンずっと自分の中にあった悔しさや、ため込んだ感情を全てぶつけたい。そうしたなかでも、冷静にプレーを選択できるのが自分の強みでもある。それを表現したい。優勝を決める試合であってほしかったけど、変わらず最後はこの特別大会を自分が締めくくりたいと思います」
YANMAR HANASAKA STADIUMに勇躍して乗り込み、勝点3を持ち帰る。その立役者となるのは、青赤の背番号1だ。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、セレッソ大阪と短期間での連戦となりますが、どのように戦いたいと考えていますか。
A、今シーズンはFC町田ゼルビアや横浜F・マリノスとも比較的短いスパンで対戦していますし、特別なことではないと思っています。ですので、相手の出方を探ってというよりも、目の前の一戦をどう戦うかが重要ですし、その上でまた次のことを考えればいいと思っています。
Q、地域リーグラウンドでは対戦がありませんでしたが、今のセレッソ大阪の印象はいかがですか。
A、対戦が決まってからというわけではなく、WESTグループの試合もよく見ていました。勢いが落ちそうな時期もありましたが、そこから持ち直して順位を上げてきています。攻守両面において非常にアグレッシブで、細かい部分も整理された、コレクティブでいいサッカーをしているチームだと思います。
Q、ハマった時の攻撃力があるチームだと思いますが、相手の攻撃力に対してはどのように跳ね返したいと考えていますか。
A、相手のペースに付き合い過ぎないことです。流動性のある動きを入れながら、捕まえづらいような立ち位置をとってくる相手ですが、自分たちはコンパクトさを保ちながら、ボールを奪うべき場面でしっかりパワーをかけて奪うことができれば、そこからは我々の武器の一つであるショートカウンターにつなげることもできます。相手がそこを警戒してくるのであれば、また二次的な攻撃の選択肢を考えればいいので。似たような部分もある両チームですので、どちらがテンポやリズムを握れるかがポイントになると思います。
Q、ハーフシーズンとはいえ終盤戦に入り、負傷や代表選手の離脱により新たに出場機会を得る選手たちもいると思いますが、どのような期待をしていますか。
A、あまり多くは出場機会がなかった選手がメンバーに入る可能性もあるかもしれませんが、普段の選手たちを見る限りでは常にどんな状況でも良い準備をしてくれています。誰が出場するにしても、それが不安要素であったり穴を埋めるというような感覚ではなくて、むしろチームにこれまでと違った色を出してくれるのではないかと思っています。
Q、そのなかでも、地域リーグラウンド最終節で出場したゴールキーパーの田中颯選手はなかなか出番がないなかでも良い準備をしてきた選手だと思いますが、監督から見ていかがでしょうか。
A、本当に、素晴らしいの一言です。常に自分と向き合って取り組んでいますし、周りを見ながら、良いものがあれば自分に取り込んで成長していると感じます。ゴールキーパーコーチとも話をして、私もたまに質問をされる機会もありますが、創意工夫をしながら彼の良さ、キム スンギュ選手にはない彼なりの良さをしっかりと出してくれていると思っています。誰の真似でも代役でもなく、彼らしさをしっかり出すことでチームに貢献してくれていると思います。
Q、3位と4位では賞金など得られるものに大きな違いもありますが、あらためてプレーオフラウンドに向けてどのような姿勢で臨みますか。
A、正直、そこは見ていないです。それは後からついてくるものなので、まずは我々らしく、これまで積み上げてきたものをしっかりセレッソ大阪にぶつけて勝利をめざすこと、そして勝つ確率を上げるようなプレーをスタジアムで見せたいと思います。それを手繰り寄せるだけの熱量を持って戦うことが大事だと思っています。
選手インタビュー
田中颯選手

Q、鹿島アントラーズ戦が久しぶりの実戦出場でした。守備の局面が多かったわけではなく、ゴールキーパーとしては難しい展開だったのではないですか。
A、90分を通して振り返った時に、非常に悔しかったです。あれが鹿島のサッカーだとか、その内容がどうこうと色々な話がありますけど、ある程度は分かっていたことではあったので。連戦でも出番が回ってこなかったりもしましたが、終盤の2試合か 3試合はキム スンギュ選手がいないというのは分かっていたことではあったので、自分が出場できるのが何試合になるのか分からないなかでも、絶対に勝ちたいという想いは強かったです。自分としては、もう泥臭くてもなんでもいいので、とにかく勝つことだけを考えていました。鹿島戦は負けてしまいましたが、冷静にプレーできるというのはおそらく自分の強みなので、そこにフォーカスして続けていきたいと思います。
Q、出場機会が少ないなかで、フィールドプレーヤーとの連携で難しい部分はありますか。
A、半年を通して試合には出ていないし、実戦のなかでのコミュニケーションもないというのは一つ難しいところです。とはいえ、それを言い訳にしてもしょうがないので、自分のできる仕事をしっかりしないといけません。当然練習では、こういう時はこうしてほしいというやりとりはしているし、それがそのまま試合に出ると思っています。
Q、先ほど冷静という言葉が出ましたが、鹿島戦を受けて、次のセレッソ大阪戦に向けた準備はいかがですか。
A、やはりJ1リーグの上位にいるチームはフィニッシュの局面でのクオリティーを持っています。そこは、どう守るかということもありますが、本当に失点をゼロで終わらせることに尽きます。たとえそれができなくても、1点でも相手の得点より少なく抑えることが自分の仕事です。ここ2試合は、そこにトライしたいです。
Q、C大阪にはどのようなイメージがありますか。レギュラーシーズンを3連勝で終えていて、勢いもありそうです。
A、中島選手や横山選手は J2リーグで活躍していた印象も強いですし、色々なアイディアを表現できる選手が多く在籍するチームという印象です。ここまで3連勝できている勢いというのはあると思いますし、最初は向こうのホームで戦うので、それも生かしてくると思います。一方で、自分たちも彼らと同じようにスピードを持った攻撃というのは長所でもあるので、そこをしっかりと出していきたいです。ただ、オープンな展開にし過ぎると、彼らの強みを引き出してしまう可能性があるなかで、試合を通して自分たちでコントロールする必要はあるかなと思います。とにかく失点をゼロで抑えること、相手よりも少なくすること。そこにこだわって、絶対に勝ちます。
俵積田晃太選手

Q、途中からの出場が続いています。どのようなことを意識して試合に臨んでいますか。
A、流れを絶対に変えてやる、という気持ちで試合に出場しています。ゴールに向かうプレーを特に意識していて、クロスをあげ切る、シュートを打って終わることは常に考えています。そういったことを意識して表現することができれば必然と流れは変わってくると思っています。
Q、試合に出場している時間は少ないですが、周りとの連携についての手応えはいかがでしょうか。
A、橋本健人選手が僕のやりやすいようにサポートをしてくれています。そのほかにも、稲村隼翔選手とも色々話しています。自分の特徴も理解してくれているので、連携は問題ありません。全体的にもコミュニケーションが増えていて、僕自身としてもこれまでより多くの人とコミュニケーションをとれています。
Q、チームとして2試合連続で得点を奪えていない状況が続いています。
A、最後の冷静さの部分が足りていないと思っています。その他にも、もっとペナルティエリアに入っていく人数を増やせれば、得点の確率も上がってくると思います。
Q、セレッソ大阪の印象はいかがでしょうか。
A、とても攻撃的なイメージが強くあります。そういった相手に対して、しっかりと守備をすることが必要になると思います。後ろの選手ともしっかりと声を掛け合い、コミュニケーションをとってプレーしていきたいです。スタメンなのか途中出場なのかはまだ分かりませんが、常にゴールをめざす積極的なプレーをしていきたいです。
Q、今シーズンもラスト2試合になりました。
A、来シーズンに向けて意味のあるものにするために、2試合とも勝利して良い形でリーグ戦を終わらせたいです。みなさんも一緒に戦ってください。応援をよろしくお願いします。


