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【小林 伸樹】クラブの歩んだ20年間を振り返る機会に2018.12.21

先日12月17日~19日までの3日間、上海に出張しました。3日間といっても17日の夜遅くに到着して19日の早朝に発つという現地滞在35時間のショートステイです。中国サッカー協会(以下、CFA)が主催する「CFA Pro Football International Conference Program,Shanghai,China」という中国プロサッカークラブの経営者や財務担当者を対象としたカンファレンスに、日本サッカー協会(以下、JFA)から要請を受けてゲストスピーカーとして出席したものです。


中国プロサッカーリーグ1部から3部の全クラブ、プロリーグ入りを目指すアマチュアクラブの経営陣や財務担当者が参加し、ゲストとして欧州からフランス、スペイン、イタリア各サッカー協会、またブンデスリーガ・ドルトムントやCityグループ、AFCから財務責任者やクラブライセンス部門のトップが参加していました。日本からの参加者は私一人です。中国メディアも多数参加しており、会場となったホテルのカンファレンスルームは250名を超える参加者で埋まりました。




最初、JFAからこの話をいただいた時、私の担当している部門が最も多忙な時期(1月末が会社の期末となるため)にあることからお断りしようと考えていましたが、折角のお誘いでありクラブの海外に向けたPRにも繋がること、また自分自身のチャレンジにもなると考え参加させていただくことにしました。
依頼された講演の内容はクラブの財務管理と選手移籍に関する考え方、クラブライセンスの財務面の影響、収益向上に向けた取組み、またクラブ設立時や昇降格時の体験談などです。
カンファレンスが始まる前にCFAの方々と話をしましたが、改めて中国プロクラブの桁違いの収益の大きさに愕然としました。日本では収益が100億円を超えているクラブなど存在しませんが、中国の1部リーグでは平均で軽く100億円超えをしており、2部でもJ1クラブの平均収益を超えているような話を聞き、「経営規模が違い過ぎて私のプレゼンが役に立つのか?」不安になりました。


与えられた時間はプレゼン50分、質疑応答10分です。プレゼン後、CFA幹部から「素晴らしい。中国のクラブにはない経営スタイルてあり、多くの工夫や経営努力している姿勢は大変参考になった」と声をかけられました。その後、テレビ局と新聞社からインタビューを受けました。
その他複数の中国サッカー関係者と情報交換しましたが、みな自国リーグの現在のバブルな状況に危機感を持っていました。国内選手も高額な報酬を得ていて海外移籍自体に関心がなく、その結果代表も強くならないと考えているようです。集客や経営努力も足りないとのことで、経営規模は異なれど着実に成長を遂げているJリーグクラブの取組みを参考にしたいとの想いを強く持っていました。




今回の出張で、アジアでは飛び抜けたプロサッカー大国である中国の実情に触れることができました。そして、中国サッカー関係者と交流することで、クラブがこの20年で積み上げたこと、やってきたことに自信を深めることができました。
CFA幹部の方からは「日本を参考にしている。ACLでも切磋琢磨して、ともに世界を目指そう」との話もいただきました。私たちも勿論、世界を目指しています。ゴールは果てしなく遠くにあるのかもしれませんが、この20年を振返り、さらに輝くクラブの未来を築き上げるためにこれまで以上の情熱とチャレンジマインドを持って臨んでいくとの想いを強く持つ機会となりました。


このような貴重な機会を与えてくださったJFA、そして忙しい時期にも関わらず背中を押してくれたクラブに感謝しています。


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