その左足は、東京が求めていた『変化』そのものかもしれない。
オファーに込められた期待と覚悟を受け止め、山田楓喜選手は2026シーズンから青赤に新たな風を吹き込む。
海外、京都サンガF.C.で積み上げてきた経験は、流れを変える力となり、精度の高いセットプレーで多くのチャンスと明確な違いをもたらす。
その左足が試合を動かし、東京を変えていく。
Q、東京からオファーを受けた時の率直な気持ちを教えてください。
A、松橋力蔵監督や強化部のみなさんの熱量が本当にすごくて、それが一番の決め手になりましたし、僕自身としても、松橋監督が思考するサッカーにフィットするのではないか、という想いもありました。松橋さんがアルビレックス新潟で監督をされている時から「面白そうだな」とずっと思っていましたし、僕自身もそのサッカーを気にして観ていたことも決め手の一つです。
Q、東京からオファーを受けた際、クラブ側から山田選手に対してどのような期待や評価の言葉をかけられましたか。
A、最初に、自分の左足の精度について評価をいただきました。東京として今シーズンは、セットプレーで得点を奪えていないと伺いました。「セットプレーで得点やアシストにつながるボールを蹴れる選手が一人いるだけで、チームはガラっと変わる。そこにフィットするのが、その左足だ」と言っていただきました。プレーの評価のなかで、自分の左足の怖さをしっかりと評価いただけたことは、うれしかったです。

Q、今シーズン序盤はポルトガルのCDナシオナルでプレー。シーズン後半は京都サンガF.C.に復帰されました。京都で勝負したい気持ちがやはり強かったのでしょうか。
A、京都が優勝争いをしている状況だったことと、自分自身が京都のユースから生え抜きでやってきたアカデミー出身選手ということもあり、そこで一つ、自分が優勝させられるピースになりたいという気持ちがありました。優勝争いのなかで、何とか貢献したいという想いは大きかったですね。
Q、リーグ戦では12試合に出場しています。京都での半年間をどのように振り返りますか。
A、チームに戻ったばかりの頃は、どちらかというと「京都に帰ってきてしまった」という気持ちでした。メンタル的にも難しい状況でしたが、練習を重ねていくなかで、チームメイトの熱量に感化されて、気持ちも高まっていったと思います。そこからの12試合では、得点こそありませんでしたが、途中出場で流れを変えるという役割を与えられていたなかで、天皇杯も含めて3アシストを記録しました。目に見える数字として少しは残せたという部分もありつつ、ノーゴールに終わってしまった悔しさも残るシーズンでした。ですが、自分が出たら絶対に流れが変わるという部分は証明できたと思いますし、途中から出ても流れを変えられる選手になったということは、プラスな出来事、成長した部分だったと思います。
Q、山田選手から見た東京の印象を教えてください。
A、ゴールキーパーを含め、全員がビルドアップに関わって、全員がボールを触りながらゴールに向かってくるような印象です。実際、今シーズンの夏場に東京と対戦した試合も、京都が勝ちましたが、ボールを回されて、とてもしんどかったのを覚えています。「この半年間で一番キツい試合は」と聞かれたら、間違いなく即答でFC東京戦と答えるほど、ボールを持たれて回されて、ハードな試合でした。
Q、対戦して印象に残っている選手や交流の深い選手はいますか。
A、佐藤恵允選手やバングーナガンデ佳史扶選手、岡哲平選手ですね。同世代なので仲が良いです。今シーズン対戦して印象に残っているのは、長倉幹樹選手です。シンプルに「うまいなぁ」と思いました。相手の逆を突くプレーや、ボールの受け方など、相手からするとあのポジションどりは厄介でしたね。

Q、東京ヴェルディ在籍時にも1試合の対戦記録があります。その時の印象やピッチ上でのバトルについて、印象はいかがでしたか。
A、2024シーズン前半戦の対戦は、パリオリンピックの関係で試合には出られず、後半戦での対戦で初めてピッチに立ちました。FC東京のホーム開催で、ナイトゲームということもあり、入場時の花火を含めた演出が特に印象に残っています。会場の雰囲気、ファン・サポーターのみなさんの熱量を含めて、この一戦に懸ける想いを肌で感じました。相手選手との交流や挨拶も、試合前などにはあったりしますが、この試合は雰囲気もピリついていて、そのような状況ではなかったことを覚えています。このような雰囲気のなかでプレーをしたことがなかったので、試合前からとてもワクワクしていましたね。
Q、自分の特長を東京のサッカーとどう融合させていきたいですか。
A、自分の左足を活かしたセットプレーや、止まったボールで違いを出せるのは、多分自分しかいないと思っています。そこで一つ、違いを出したいです。あとは、右サイドでタメを作りながら、ボールに関わり、周りと連動したプレーを見せたいです。松橋監督のサッカースタイルでもある、全員でボールをつなぐところは、自分のプレースタイルにもフィットしていると思っています。ボックスの外ではシンプルにつなぎながら運んでいって、進入した時には、得点につながる左足で一つ違いを見せたいと思います。
あとは、反対サイドで崩した後のクロスに対して素早く反応していくところも松橋監督から求められている部分だと思います。「他の選手も見てきたなかで、それが一番できるのが山田選手」とも言っていただきました。自分でもそういうプレーは意識してきましたし、特長の一つだと思ってこれまでプレーしてきました。泥臭く、押し込むプレーも見せていきたいですね。
Q、特にセットプレーでの得点を増やすという観点では、山田選手への期待も大きいと思います。
A、得点やアシストを狙っていきたい、というよりかは、自然と数字はついてくると思っています。周りの期待はもちろんうれしいですが、あまり気にはしていません。まずは、自分のやるべきことであり、一番の武器であるということを、自分自身が一番よく分かっています。あまり意識をし過ぎず、自然と数字が付いてくればいいと思っています。

Q、加入コメントにあった「僕のことを最初は認めてくれない方もいるかもしれませんが」というフレーズがとても印象的でした。
A、昨シーズン、ヴェルディに所属していたこともそうですし、対戦した時にフリーキックのシーンがあったんです。直接狙えるくらいの位置で、ゴール裏にはFC東京のファン・サポーターがびっしりとスタンドを埋めていて。ボールをセットして、いざ蹴ろうと立った時に、めちゃくちゃブーイングをされて(笑)。もちろん相手ですし、ブーイングを浴びるのは当然なんですけどね。そういうこともありましたし、ヴェルディにいた選手、もしかすると「よそ者が入ってきた」と思っている方もいるのではないかなと感じたので、あのようなコメントをしました。ですが、加入コメントにも書いた通り、結果で示すので、楽しみにしていてほしいです。
Q、最後にファン・サポーターのみなさんに向けてメッセージをお願いします。
A、FC東京は、タイトルを獲らなければいけないチームだと思っています。タイトル争いに食い込むために、この左足があり、こういう自信満々な選手が必要だと思っています。ファン・サポーターのみなさんと一緒に、FC東京というクラブを盛り上げていきたいです。ファン・サポーターのみなさんの熱量は、Jリーグ全体で見てもトップクラスだと感じていますし、そのみなさんの熱量が味方として感じられることを、とても楽しみにしています。熱い応援をよろしくお願いします。




