4シーズンの時を経て、東京に帰ってきた。
離れた場所で戦い続けた時間は、確実に自分自身を鍛え、得た経験は、確かな自信となっている。
しかし、この復帰はゴールではなくスタートライン。J2リーグで培った試合勘と経験値、そして消えなかったハングリーさを胸に、再び青赤のエンブレムを背負う。
Q、約4シーズンぶりに復帰できたという点について、率直に今どのように感じていますか。
A、4年間、本当にいろいろな経験をさせてもらいました。苦しいシーズンももちろんありましたし、J1リーグ昇格が少し見えてくるような、2位、3位にいるシーズンを過ごすこともありました。そういう意味では、とても充実した4シーズンだったと思っています。あらためて、少し時間はかかってしまいましたが、東京でもう一度プレーできるということは、幼い頃から一番長くいたクラブですし、率直に嬉しいです。
期限付き移籍の4シーズンは、体感的には短かったですが、キャリアのなかで考えると、すごく大きな出来事だったと思います。これだけ東京を離れて、簡単に帰ってこられるものではないですし、この復帰は「やっとスタートラインに立てた」という感覚です。帰ってきたからといって成功したわけでも何かを成し遂げたわけでもないので、まだ通過点だと思っています。
実際、東京から期限付き移籍で他のクラブに出て、そのまま別のクラブでキャリアを歩む選手もたくさん見てきましたし、毎シーズンオフにそういうリリースも目にしていました。そういうなかで、ブレずにやってきて良かったという想いはあります。今、同じように期限付き移籍で他クラブへ出ている選手もいると思いますが、自分が東京に帰ってきて、引っ張っていく存在になれば、「また戻ってきて活躍できる」という前例になると思います。それを証明したいという想いも強いです。

Q、J2リーグでのプレー経験はもちろん、試合数も100試合出場を超えています。一番成長したと感じる部分はどこでしょうか。
A、技術やフィジカルの部分は、プレーを見てもらえたら分かるかなと思っています。実際にリーグ戦を経験するなかで、試合勘をはじめ、どれだけみんなが一生懸命やっていても勝てない試合があったり、みんなで身体を張って集中しているのに、ラスト5分で失点してしまう試合が続いたり、とさまざまな経験をしました。反対に、2025シーズンのFC今治で言えば、開幕から13試合負けなしの時期もありましたし、言葉ではなかなか伝えづらいですが、失点しそうな雰囲気や、守り切れそうな雰囲気を、カテゴリーは違いますけれど、肌で感じられたシーズンが総じて多かった印象です。そういう部分は、試合経験がないと培えないものだと思っています。
Q、技術面というよりは、ゲームコントロールや試合を読む力が養われたという感覚でしょうか。
A、もちろん技術の部分も、4チームを経験して、色々な監督やチームのスタイル、チームメイトとプレーできたことは自分にとってすごく大きな経験でした。それぞれのチームにルールがあるなかで、いかに自分のプレーを出すか、自分や周りの良さを引き出すかという部分では、プレーの幅がとても広がったと感じています。特定の戦術でしか戦えない選手ではなく、色々な戦術や監督、状況に合わせて対応できる選手が良い選手だと思っています。その点では、すごく大きなものを身に付けられたと思います。
Q、いわきFCとFC今治では、ほぼ全試合に出場しました。この2シーズンはどのようなシーズンでしたか。
A、両チームとも、シーズン途中まではプレーオフ圏内にいて、毎試合がリーグ戦だけどトーナメントのような感覚でした。試合が終わると、すぐに勝点や順位を気にして、「上までどれくらいの差か」と常に気にしながら毎試合を過ごしていました。その緊張感があるなかで、ほぼ全試合に出られたことはとても大きかったです。シーズンを戦い抜くという意味では、コンディション面も含めて、大事なピースになれたかなと思っています。自分が通用する部分も多くあったので、自信にもつながりました。

Q、4クラブを経験して東京に戻ってきましたが、センターバックとしてどのように食い込んでいきたいと考えていますか。
A、4シーズン離れていましたが、東京の試合はずっと見ていました。自分がいない間に色々な変化があったと思いますし、実際にチーム内にいないと分からない雰囲気もあると思います。ただ、優勝争いというところには、なかなか絡めていなかった印象もあるので、クラブとして掲げ続けている目標に向かって、自分が加わることで「チームが加速した」と思わせなければいけないと思っています。東京に帰ってきて、とてもハングリーになったと思ってもらいたいですし、下からどんどん突き上げていきたい。東京で試合に出ることも、優勝をめざすことも簡単ではありませんが、そのために4シーズンの間経験を積んできたと思っていますし、そこは譲りたくないです。
Q、松橋力蔵監督のめざすサッカーや、今の東京のスタイルをどう捉えていますか。
A、建設的にゲームを作るチームだと思っています。そのなかで、強度や攻撃のパワフルさ、アイディアをさらに高めていきたいサッカーなのかなと感じています。自分としては、しっかり守れて、ボールを動かし、供給してチャンスにつなげるという部分で、スタイル的にも合っていると思います。速いサッカーも経験してきましたし、丁寧につなぐサッカーもしてきました。外から見るのとピッチでプレーするのとでは、感覚が違う部分もあると思いますが、これまでの経験を生かして、いかに吸収できるかが大事だと思っています。
Q、大森選手のJ1リーグデビュー戦は、2021シーズンの横浜F・マリノス戦(2021明治安田生命J1リーグ 第35節)でした。あの日の悔しさや記憶は、どのように今につながっていますか。
A、東京に復帰して、J1リーグの舞台でプレーしたいという目標と同じく、もう一度横浜FMと対戦して、しっかり勝ち切りたいという想いもずっとあります。あの試合は、本当に何もできなかった、自分が入っても何も変えられなかったという悔しさが強く残っています。これまで多くの試合を経験して、自分の通用する部分も増えてきましたが、J1リーグとJ2リーグでは感覚的に全く違う競技だとも思っています。そういう意味でも、J1リーグで自分のプレーがどれだけ通用するのか、すごく楽しみです。

Q、そういう想いも含め、早くピッチで示したいということですね。
A、復帰が決まってから、東京のユニフォームを着てピッチに立ちたいという気持ちが強いです。慣れ親しんだクラブハウスやチームに戻ってくるのは、ある意味自分にとっては新鮮です。東京のエンブレムを背負って、みんなで優勝をめざして戦えることが楽しみです。
Q、久しぶりにスタッフや関係者と再会して、懐かしさはありましたか。
A、アカデミー時代からお世話になっているスタッフの方々にも挨拶ができて、あらためて、自分のプレーを見せられる機会があるというのは大きいなと感じました。自分のプレーが、自分だけでなく周りにも影響を与えるという責任感と楽しさを持って、やっていきたいと思います。
Q、ファン・サポーターに向けて、意気込みをお願いします。
A、まずは数字と結果にこだわって、目に見える形で成長した姿をはっきり見せたいと思っています。それがチームの目標達成にも必ずつながると思います。久しぶりにファン・サポーターのみなさんと一緒に戦えることも楽しみですし、みんなで喜べる試合をたくさんできるよう、全力で頑張ります。応援よろしくお願いします。




