久しぶりに帰ってきた小平グランドで、佐藤龍之介選手は2025シーズンを振り返った。ファジアーノ岡山で積み重ねた出場経験、SAMURAI BLUE(日本代表)で得た刺激と自信、Jリーグベストヤングプレーヤー賞と優秀選手賞のダブル受賞など、個人としての確かな成長を手にした。大きな飛躍を遂げて帰ってきた今、周囲から寄せられる期待もまた大きい。環境を変える決断の先で掴んだ手応えを胸に、何を示すのか。言葉の端々からは、その覚悟と責任感がにじみ出ていた。
周囲の期待を背負い、再び青赤へ
Q、久しぶりの小平グランドはいかがですか。
A、何も変わっていませんでしたが、懐かしさを感じました。クラブハウスではアカデミー時代にお世話になったコーチとも会話ができましたし、「帰ってきた」という実感が湧いています。
Q、今シーズンを振り返ると、どのようなシーズンでしたか。
A、2025シーズンは、プロサッカー選手として大きく成長できたと感じています。一人の人間としてもたくましくなれたと思います。2024シーズンと比べて、さまざまな部分で成長できたシーズンでした。

Q、日本代表への選出や、ベストヤングプレーヤー賞と優秀選手賞のダブル受賞など、大きな成果を得られた飛躍のシーズンだったと思います。
A、ファジアーノ岡山で多くの出場機会をいただきましたし、試合に出場するなかで得られる感覚や、プレーの幅も広がったと思います。J1リーグの舞台で能力の高い選手たちと対峙することで、対人やフィジカルの強さ、得点をとるためのプレーのスキルやクオリティを高めることができ、結果にもつなげることができました。コンスタントに出場できたからこそ得られた成長や手応えだと思います。
Q、岡山で過ごした2025シーズンのなかで、ターニングポイントになった試合や場面はありましたか。
A、自分のなかで大きな変化を感じたのは、2025明治安田J1リーグ第19節の湘南ベルマーレ戦です。その試合後から日本代表としての活動が控えていたこともあり、個人として大きな自信を持って試合に臨むことができましたし、その自信が良いプレーや得点につながったと思います。この試合をきっかけに、J1リーグでもしっかり戦えるという自信が芽生えました。
Q、初めての日本代表での活動は、どのような経験でしたか。
A、選出されたと聞いた時は本当に驚きましたし、緊張もしました。代表活動や試合に出場したことで、「もう一度メンバーに入り、活躍したい」という想いがより強くなりました。基準やサッカー観も、代表に選んでいただいたことで変わったと感じています。

Q、2023シーズンのプロ契約締結後、苦しい時間も過ごしてきたと思います。
A、正直に言えば、「絶対にできる」という自信はなかったかもしれませんし、今振り返ると実力も全く足りていませんでした。もう一つ、二つ成長しなければいけないという想いが強くあり、岡山でプレーすること、環境を変えることを選択しました。このチャレンジは良い方向に進んだと思いますし、東京のみなさんも、その決断を後押ししてくれました。そうした支えがあって実現できた移籍だと思っています。2026シーズンから東京で活躍することで、このチャレンジが良かったと思ってもらえるようにしたいです。
Q、2025シーズンの東京は、佐藤選手からどのように見えていましたか。
A、岡山との試合が重なっていない限り、すべての試合を観ていました。シーズン序盤は新しいシステムに取り組んでいる様子が見えましたし、リーグ後半戦には新たな選手も加わり、チームとしてのパワーや守備の堅さを感じていました。そのチームに自分が加わることで、さらに攻撃的なサッカーができるよう貢献したいです。
Q、チームに加わって「こういうプレーをしたい」というイメージはありますか。
A、細かい戦術的なイメージはまだ固まっていませんが、個人としてはボールを受けた後に前向きなプレーを意識したいです。ドリブルでの仕掛けやスルーパスなど、ゴールへ向かう矢印を発信していきたいと思っています。ドリブルは今シーズン成長できたポイントでもあるので、突破力や局面を打開する力をピッチで見せたいです。
Q、復帰にあたって、クラブとはどのようなコミュニケーションをとっていましたか。
A、夏頃から来シーズンに向けた話をしていました。クラブのみなさんが僕を必要としてくれている話や、チームの中心として活躍してほしいという言葉をいただきました。得点やアシストへの期待も強く感じています。選手としては、数字で示さなければ評価されないと思っていますし、来シーズンもそこにはこだわっていきたいです。

Q、周囲の期待も高まっていると思いますが、プレッシャーは感じますか。
A、自信があるので大丈夫です。良いプレッシャーを感じながらプレーできたほうが、個人としては良いと感じています。
Q、プレッシャーを感じつつも、それを上回る自信があるということですね。
A、そうですね。今シーズンは岡山でそれを示すことができました。ただ、東京の選手としてはまだ活躍できていません。「東京で活躍する」という目標を達成したいという緊張感が徐々に強くなってきているように感じます。
Q、ファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
A、しっかりと成長した姿を、東京の選手として存分に見せたいと思います。優勝しましょう。よろしくお願いします。
Photo by 新井賢一




