<前節・FC町田ゼルビア戦のレビュー>
翌週末に行われる天皇杯準決勝との連戦となったFC町田ゼルビア戦。過去3度の対戦ですべて敗れていた相手に、青赤が意地を見せた。
立ち上がりから町田のロングボールとハイプレスに押し込まれる展開となり、東京が自陣で耐える時間が続く。前半10分にはキム スンギュ選手が至近距離のシュートを止めて失点を回避。守備陣が奮闘しながらも攻撃では相手のマンツーマンディフェンスに苦しめられてリズムを作り出せず、前半をスコアレスのまま折り返した。
後半に入っても思うように流れを変えることができないなか、東京は堅守でしのぎながら引き込んでからのロングカウンターで活路を見出していく。後半32分には途中出場していた野澤零温選手が高い位置でボールを奪取し、前に出ていたゴールキーパーのポジションを見定めて柔らかなループシュートを放つ。だが、これは惜しくも左ポストを叩いて先制点には至らなかった。

苦しい時間帯が続くなかでも焦れずに戦い続ける東京。後半37分には町田に決定的なシーンを作られながらアレクサンダー ショルツ選手と小泉慶選手が連続したスライディングブロックでゴールを守り抜いていく。
チーム全体で粘り強い守備を続けていた後半42分、ついに試合が動く。自陣からのカウンターで左サイドを突破し、高宇洋選手が素早く前方へ配給。ここに抜け出した佐藤恵允選手が折り返し、最後は安斎颯馬選手が押し込んでゴール。前半から狙い続けていた最終ラインの裏を突く鋭い攻撃で東京が均衡を破った。
試合はこのまま1-0で終了。攻め手を封じられながらも球際の強さや勝負強さを披露して勝利を手繰り寄せ、東京が町田からリーグ戦初勝利をもぎとった。
<今節のプレビュー>
迎えた天皇杯準決勝は90分では決着つかず、延長戦までもつれる熱戦となった。だが、その延長前半13分に、FC町田ゼルビアに守備の連係ミスを突かれて失点。さらに、延長後半4分に突き放されて万事休す。14大会ぶりの決勝進出を逃した。
試合後、ゴール裏に立った佐藤恵允の目には光るモノがあった。
「天皇杯に懸ける想いは強かった。タイトルを獲るために、今シーズンを戦ってきた。そのためにあの試合に向けて準備してきた。選手だけじゃなく、スタッフも、ファン・サポーターも一緒に戦ってくれた。そのなかで力及ばず負けたことが悔しかったし、本当に自分たちの力不足を感じた」
そう唇を噛んだ。ため息を引っ込め、次なる目標へと気持ちを切り替えた。自身が掲げた目標の一つ、リーグ二桁得点への挑戦だ。

「個人的に、二桁得点は狙っていきたい。ただ、勝つために自分ができることをやって2連勝したい。得点もアシストも数字を残したい。チームが勝つために全てを懸けたい」
そして、ため込んだ悔しさをぶつけるのは、リーグ屈指のタレント軍団だ。ヴィッセル神戸はリーグ3連覇こそ逃したが、現在3位につけ、武藤、大迫、宮代、酒井、井手口と名前を挙げればキリがないほどの多士済々が揃う。直近の天皇杯決勝で町田に敗れたが、直後のAFCチャンピオンズリーグエリートでは上海申花を2-0で破って首位をキープする。長短自在のパスを駆使し、前線から圧力を掛けて対戦相手を押し切るスタイルは今シーズンも健在。松橋力蔵監督は、この一戦を前にこう言葉にした。
「彼らの圧力をうまく利用しながらスペースを自分たちから能動的に作り出したい。守備範囲の広い選手がいるので、その守備範囲の広さを逆にうまく利用するような展開に持ち込みたい。タフで難しいゲームになると思うが、(神戸は)直近でJ1リーグを2連覇し、今シーズンも上位につけている。アジア最高峰の大会でも良い位置にいる相手を前に、この試合の位置付けを今さら考える必要はない。その相手を呑み込んで、自分たちのゲームにして勝ち切って次の試合を迎えられるかどうかだと思う」

今シーズンもJ1リーグの2試合のみとなった。シーズン無冠の悔しさをぶつける一戦だ。長年、日本代表などで共闘した選手たちも多い神戸戦を前に、森重真人選手は静かに闘志を燃やして口火を切った。
「燃えるモノはある。彼らの顔を見ると自然と火がつく。それは向こうも同じだと思う。しっかりとやらせないようにしたい。自分たちもやっと掴みかけているモノがある。それを最後まで感じながら今シーズンを締めくくれば、来シーズンに向けた良いものが見えるきっかけになると思う」
ここからの2試合をしっかりと勝ち切って、リーグ戦を4連勝で締めて新たなシーズンへ希望の光を灯せるか。この2試合はそうした位置付けの戦いとなる。
[松橋力蔵監督 インタビュー]

Q、対戦相手のヴィッセル神戸の印象を教えてください。
A、直近のシーズンで、リーグ全体を引っ張るようなクラブだと思いますし、現在開催中のAFCチャンピオンズリーグエリートでは東地区のグループで首位に立つ好調さが目に見えて分かるクラブです。天皇杯でも決勝まで進んでいましたし、我々はその相手に勝って、その上をめざしていきたいです。自分たちの力を発揮して、勝点3を奪うことだけを考えています。
Q、試合を進めるうえで、どのような部分が重要になりますか。
A、長短のパスを使い分けて、個々の能力の高さを活かしてくるチームですので、彼らが攻撃に掛けるパワーをうまく利用しながら、空いたスペースを有効に使っていきたいです。もちろん、能動的にそのスペースを生み出すことができればベストです。反対に、神戸もスペースを突くプレーが特長の一つとして挙げられます。シンプルな攻撃に対して、我々が先制点を奪えれば、ゲームを進める方向性も見えてくると思います。
Q、リーグ戦もラスト2試合です。
A、まずはこの一戦に集中しています。この時期に神戸と対戦できることの位置付けを良いモチベーションに変換できるかがポイントになります。直近でリーグ戦を連覇しているチームです。多くのタイトル争いをしてきた相手に対して、自分たちのゲームにして勝ち切ることがまずは重要です。タフなゲームになると思います。
[選手インタビュー]
<高宇洋選手>

Q、前節のリーグ戦から少し期間が空いて迎えるヴィッセル神戸との一戦になります。
A、直近では天皇杯準決勝のFC町田ゼルビア戦で非常に悔しい負け方をしました。そのなかで、しっかりと今節に向けて準備を進めてきました。神戸を相手に勝点3を奪うことだけに集中しています。
Q、前節の町田戦を経て、あらためてチーム内で課題として共有したことはありますか。
A、町田戦は試合中も試合後も様々なコミュニケーションをとっていました。相手の得意なもの、相手の土俵で戦い過ぎてしまった感覚があります。準決勝という舞台で、もう少し落ち着いたプレーが求められていたと思います。神戸のスタイルも多少似た部分がありますし、ピッチ内で常に修正をしつつ、試合をコントロールしていきたいです。コミュニケーションや声を絶やさず、進めていきたいです。
Q、町田戦では守備的な低い位置でプレーする回数も多く見えました。どのように良い攻撃につなげていきたいですか。
A、前回の町田戦では守備の強度が求められていましたし、どちらが先に得点を奪えるかを争うような試合でした。トーナメント方式の試合ということもあったので、チーム全体が後ろに重たくなっている感覚もありました。少しでもチーム全体の重心を高くして、高い位置でボールを奪うことができればカウンターにもうまくつなげることができます。重心が前に行き過ぎてしまうと、相手のロングボールに対するケアやセカンドボールの回収も後手になるリスクもあるので、うまくバランスをとりながら試合を進めていきたいです。
Q、ファジアーノ岡山、町田と連勝して迎える神戸戦になります。
A、もちろん連勝を伸ばしていきたいですが、そればかりに気をとられないようにしていきたいです。まずは目の前の試合に勝つこと、戦い抜くことに集中していきたいと思います。
<森重真人選手>

Q、前線から圧力をかけてくるヴィッセル神戸をどのようにかわすかが重要になると思います。
A、天皇杯決勝のFC町田ゼルビア戦を観ていても感じましたが、個人でこじ開ける力をどの選手も持っているチームです。そこを耐えることで自分たちが勝利するチャンスを得られると思います。とても良い相手なのでしっかりと戦いたいです。
Q、ここで連勝することで、来シーズンに向けても良い流れをつなげることができると思います。
A、自分たちが積み重ねている部分があるので、ここで手放してしまうのはもったいないです。やっと掴みかけているものもあります。着実に一歩一歩進んでいる部分があるので、シーズンの最後まで継続して戦うことで、来シーズンに向けた良いものが見えるきっかけになると思います。
Q、リーグ後半戦の成績にフォーカスすると、上位5チームに入っています。勝点をしっかりと積み上げられるチームになっている証拠だと思います。
A、選手も前半戦は探り探りの部分が多くありましたし、それが試合にも出てしまっていました。今は練習から集中して、迷うことなくやるべきことをやれていますし、しっかりとしたトレーニングができている実感もあります。それが試合に直結していると思っています。力がある選手は多くいるので、その力を発揮する準備をして、試合で良いプレーをどれだけできるかが重要です。
Q、対戦相手には武藤選手や大迫選手など日本代表でともに戦ってきた選手もいます。
A、彼らの顔をみると火がつきますし、燃えてきます。向こうも同じだと思いますが、戦う以上はしっかりと抑え込みたいと思います。






