掴み獲る覚悟

INTERVIEW2025.11.14

掴み獲る覚悟

今シーズンは、終盤までタイトルを懸けて戦えるということが、自分のなかで大きなモチベーションになっています。ここ数シーズンは、天皇杯やリーグ戦のタイトル争いに絡めず、寂しさを感じていましたし、ファン・サポーターのみなさんにも同じ想いをさせてしまっていたと思います。だからこそ、今この状況で戦えることが本当に嬉しいです。

もし僕らが相手(FC町田ゼルビア)の立場だったら、直前の対戦で負けている分、天皇杯準決勝に懸ける想いは相当なものになるはずです。その勝利への執念に対して、まずは気持ちで上回ることが何より大事だと思っています。


町田の攻撃の特長や狙いは、先週のリーグ戦である程度イメージできています。彼らはより直線的にゴールをめざし、空中戦の強さだけでなく、鋭く仕掛けてくるチームです。セットプレーのバリエーションも豊富なので、より一層の集中力と、ディフェンスの選手として、跳ね返すための準備が求められると思います。

2011シーズン、僕らは天皇杯で優勝しました。当時の細かいことを鮮明には覚えていませんが、そのシーズンはJ2リーグを戦い、優勝して翌シーズンのJ1リーグ復帰を決めました。J2リーグ優勝という結果を得ながらも、2010シーズンに降格してしまった申し訳なさや不甲斐なさがありましたし、それでも1年間変わらず応援してくれたファン・サポーターのみなさんへの感謝の気持ちが強くありました。


だからこそ、天皇杯優勝という形で恩返しをしたい、タイトルをプレゼントしたい、という想いが間違いなくチーム全体にありました。あの時は、ファン・サポーターのみなさんの想いと、僕たち選手の想いが一つになって、言葉では表せない大きなチカラになったと、今振り返るとそのように感じます。

だからこそ、今回の準決勝まで進んだチャンスをしっかり掴み獲りたい。優勝をめざして、必ず勝ち切りたいと思っています。優勝と準優勝では天と地ほどの差があります。「惜しかったね」では絶対に終わりたくありません。チームとしても、個人としても、そこに到達できた時に見える景色が全く違うからです。

FC東京としてタイトルを獲ることが、どういうことかを感じとらなければいけません。チームが最後にタイトルを手にしたのは2020シーズンのルヴァンカップです。その経験を持つ選手は、今のチームには多くありません。タイトルを獲るということが、どれほど記憶に残ることであり、同時にどれほど難しいことなのか。今この瞬間、それを実感し、経験として蓄える絶好のチャンスが目の前にあります。それは個人としても、FC東京というクラブとしても、間違いなく大きな財産になるはずです。


先週のリーグ戦には勝ちましたが、この試合に向けて一切前回の試合結果は関係ありません。僕らも町田も、この準決勝に勝って決勝の舞台に立つことだけを見据えていますし、非常に難しい試合になると思います。チームの全員が「この一戦にすべてを懸ける」という強い意識を持っていますし、その気持ちは日々の練習の雰囲気や声掛けからも伝わってきます。

FC東京のエンブレムを胸にピッチに立つ以上、最後まで戦い抜く責任があります。準決勝で勝ったチームが、この連戦の“本当の勝者”だと思っています。