永井謙佑選手 ✕ 山下敬大選手 対談

INTERVIEW2022.2.07

永井謙佑選手 ✕ 山下敬大選手 対談

――九州国際大学付属高校から福岡大学とまったく同じ経歴をお持ちのお二人です。山下選手にとって永井選手は大先輩になりますね。

山下選手
そうです。

――そうすると絶対的な存在ですか。

永井選手
そうでもないですよ(笑)

――高校でも大学でも在籍はかぶっていないですか。

永井選手
まったくかぶってないんですよ。
※高校在学は永井選手が2004-2006、山下選手が2011-2013
 大学在学は永井選手が2007-2010、山下選手が2014-2017

山下選手
僕はずっと知っていたんですけどね。僕が高校のとき、やはり謙佑さんは第一線で活躍していて、オリンピックも出場されていました(2012年)。結構高校とかにも顔を出してくれていたので、もちろん知っていました。

――永井選手は高校に練習とかで行っていたんですね。

永井選手
いや、行っていないです(笑)

山下選手
初蹴りとかのときに来ていて「永井謙佑来てる…!!」ってめっちゃ話題になっていましたよ(笑)

――山下選手が一方的に知っていたわけですね。

山下選手
はい、みんなやっぱり知っていましたよ。

――逆に永井選手が山下選手を意識したのはいつですか。

永井選手
後輩なのは知っていましたけど…一緒のチームになるとは思っていなかったので。

山下選手
プロ入ってからですよね?

永井選手
毎年1月にいつも福岡大学出身の選手で自主トレをするんですけど、そのときに在学生で来ていたので、そのときから知ってはいましたね。

――プロになってからのコミュニケーションは…

山下選手
ちょこちょこありましたよね。

永井選手
うん。

山下選手
そんなに喋れなかったし、なんか挨拶程度で。謙佑さんはオーラ出していたというより出ちゃっていました(笑)

――年齢が離れていると畏れ多いという感じですか。

永井選手
さらに間に恭生(木本恭生選手)がいるからね。
※木本選手は2012-2015福岡大学に在籍。

――木本選手は2人ともかぶっているんですか。

永井選手
俺は1ミリも…(笑)

山下選手
謙佑さんとは世代がもう違うので(笑)僕は、1年生のときに恭生さんが3年生、2年生のときに4年生で一緒にやっていますね。

永井選手
一番上に悠吾さん(飯山悠吾 FC東京育成部所属 2003-2007福岡大学在籍)がいますけどね(笑)。俺が1年生のときに4年生でした。

――同じチームでプレーするようになりましたが、チームで会ったときはどんなコミュニケーションをされましたか。

永井選手
チームに入る前の(2021年の)年末に会ったよね。

山下選手
チームをどうしようかと思っているときに、謙佑さんにいろいろ相談させてもらって、連絡をとらせてもらっていたので…決まったときは報告させてもらいました。

永井選手
だから俺は広報よりも早く知っていました(笑)

山下選手
トレーニングもさせてもらいましたし、ご飯も連れて行ってもらいました。

――入る前からやりとりがあったんですね。同じフォワードですが、お互いの印象をどう感じていますか。

永井選手
タイプがまったく違いますね。どっしり構えて中で仕留めるタイプかな、イメージは。

山下選手
謙佑さん、絶対試合見てないですよね?(笑)

永井選手
俺、サッカー観るのあんま好きじゃないのよ(笑)
(2021シーズンの)前半戦はめっちゃ点取ってたイメージはある。途中怪我したよね?

山下選手
肉離れとか怪我があったり…まぁシンプルにスタートから使ってもらえなかったですね、シーズン後半は。

――山下選手から永井選手の印象はありますか。

山下選手
イメージしかないですけど…(笑)、プレーは世間が知っているイメージというか。プレーヤーとしてもそうですけど、謙佑さんが一番明るいキャラなのは知らなかったですね。

永井選手
(落ち着きながら)いや、普通はこんな感じよ、家では。全然しゃべらんよ。

山下選手
らしいですけど、チームにいるときは一番の盛り上げ役で、すごい勢いです。

永井選手
若い選手がまだまだなのよ(笑)。元気なのは(波多野)豪ぐらいで、その下が育っていないし、ブッ飛んだ選手がいないですね。

――じゃあ、永井選手が今は引き受けているんですね。

山下選手
謙佑さんは自分もやってるし、後輩にもやらせてます。

永井選手
そろそろ世代交代かなって。でも恭生には無理だな(笑)。しゃべれる選手が少ないのは東京の課題ですね。盛り上げなくてもいいけど、チームが良くないときとか、しゃべれないと。それをずっと上(の年代)がやっていても。もう今年34歳ですからね。(山下選手は)26歳だっけ?

山下選手
27歳の年ですね。

永井選手
そこらへんがやるのが一番いいですよね。俺は上の方でテキトーに…(笑)

――話を戻して、フォワードはチームのなかでも競争が激しいポジションですが、キャンプでトレーニングしていくなかでどんな印象がありますか。

山下選手
選手一人ひとりタイプとか、役割とか、特徴があると思うので、キャンプでお互いがそこを知って、よくしていければいいかなと思います。やっぱりでも、負けないように頑張りたいという気持ちはありますね。

永井選手
開幕したメンバーでシーズンが終わることはほぼほぼないので、焦ってはいないですね。去年とは真逆のサッカーをやろうとしているから時間はかかるし、献身性も求める監督なので、要所要所で守備を頑張れる選手を使ったり、一人ひとりの選手の特徴を把握して、うまく当てはめていくんじゃないかなとは思います。

――山下選手は移籍1年目ですが、これまでのサッカーキャリアのなかでアルベル監督がめざすサッカーと似たスタイルの経験はありますか。

山下選手
ポジショナルプレーという点では、去年の鳥栖でもやっていましたし、そういった点がこの移籍を決断したところでもあります。でも、そのポジショナルプレーでも、下からつくっていくボールの回し方とか、ポジションとか、立ち位置とか、違う部分もあるので、アルベル監督が求めることを、落とし込みながら、やらなければいけないと思います。
でも、謙佑さんが言ったように、ポジショナルプレーをするならもっとしゃべらないといけないですね。試合中とかもそうですけど、しゃべる選手が少ないかなとは思いますね。

永井選手
会話は少ないですね。しゃべって解決できる部分はあるし、若い選手がもっと、今だと(安部)柊斗あたりがもっとしゃべれるようになるといいですけどね。

――若い世代の選手がもっともっとピッチで主張してほしいということですね。

永井選手
柊斗、(小川)諒也あたりがもっとしゃべらないとダメかなぁと感じていますけどね。やりたいサッカー、やろうとしているサッカーはしゃべれないと。ボール保持をめざしているなら、守備への切り替えも大事だし、距離感も大事だし、しゃべれないと厳しいですね。前の選手をどんどん押し出さないとラインが下がっちゃうし、後ろが主導権握ってしゃべっていかないと。

山下選手
後ろからの一声、例えば「右にずれろ」「左にずれろ」とか「次下げたらいくぞ」とかっていうちょっとした動かす声がすごく助かります。一個ズレたら剥がされたりするから尚更です。

――今は考えたり修正することが多くて、新しいサッカーを楽しむ余裕まではないですか。

永井選手
いや、俺は結構楽しいですけどね。

山下選手
そうですよね、楽しんでますよね。

――まだ始まったばかりですが、浸透していったらこうなっていくだろうという絵は見えていますか。

永井選手
ボールをもつ時間は、昨日(1/29)の練習試合でも増えていました。でもボールの取られ方が悪いと守備の疲労度はまだまだありますね。イージーな取られ方が昨日は多かったから。

――移籍してきた山下選手にとって東京の雰囲気はどう感じていますか。

山下選手
(プロになって)5年目で4チーム目ですけど、一番馴染みやすいチームだなとは思います。謙佑さんや恭生さんもいるので、それは感じましたね。これまで所属したチームは、ほぼほぼ誰も知らない環境のなかに飛び込んでいた感じだったので。行ってすぐ溶け込むというのもそんなに得意ではないんですけど、受け入れる環境をつくってくれたので助かってます。

――永井選手は在籍も長くなりましたが東京の雰囲気はどう感じていますか。

永井選手
おとなしい選手が多いです(笑)

山下選手
ずっと言ってるんですよ。僕が入る前から。

永井選手
特にアカデミーからの選手がおとなしいかな。ね、小山くん(笑)
※小山拓哉(FC東京U-15むさし-FC東京U-18-専修大)現在 FC東京広報プロモーション部所属

山下選手
実績あるベテランが上にいて、ユースから上がってきても遠慮しちゃっている部分とか、プライベートでもそうですけど、それはあるんじゃないかと思います。去年鳥栖にいたときは上の人はそんなにいなかったからかもしれないですけど、若手はいきいきしてましたね。

永井選手
おとなしい選手ばっかです。5年間言い続けてます(笑)もったいないけどなぁ。

――練習だと永井選手が松木選手も含めていろいろな選手に声をかけているのを見かけます。

永井選手
全員のことを叫んでいますよ。まぁでも全員(松木)玖生ぐらいやってほしいですけどね。あれぐらいギラギラしてほしいです。かわいいよね、あれくらいギラギラしてたら。

――永井選手から移籍1年目の山下選手にアドバイスがあればお願いします。

永井選手
エフトーって言うなよ。

山下選手
はい(笑)。ちゃんと東京って言います。

――最後に、今シーズンに向けた意気込みをお願いします。

山下選手
今年は移籍1年目で、27歳の年で勝負の年齢だと思っているので、結果にこだわってやっていきたいです。個人としても数字を残したいですし、サッカーしている以上はタイトルを獲得したいです。タイトル獲得の経験もないので、東京でリーグ優勝を本気でとりたいという気持ちは強いです。
あとは個人的に、高校の時には謙佑さんと一緒のチームになれると思っていなかったし、一緒に試合出て活躍したいです。

永井選手
僕はもうマイペースに。シーズンは長いから。

山下選手
ベテランになるとそう思えるんですか?僕は下のカテゴリーから上がってきて、雑草魂じゃないですけど、結果出さないとっていう気持ちがあったし、がむしゃらにやってきたので…余裕持ちたいですね、何年後かに(笑)。謙佑さんはだいぶどっしりしてますよね。

永井選手
(今この時間は)スイッチ入ってないだけよ。入んないとやらない人だから。

山下選手
オンオフすごいですもんね。家のときとチームのときと。

永井選手
オフのときはサッカーのこと1mmも考えないから(笑)サッカーのことを話すのは試合終わった直後でスイッチ入っているときじゃないと(笑)
※取材は練習試合の翌日、午後オフの時間で実施。

山下選手
謙佑さんは、マイペースですけど、めちゃくちゃ面倒見いいですよね。それは驚きました。そんな人と思っていなかったので。

永井選手
おお、今度飯いこうぜ(笑)

山下選手
サッカーやっている永井謙佑しか知らなかったから、連絡とったり接してみて、「東京くるときもわからんことあったら連絡して」とか言われて「え、こんな優しいんだ」みたいな。

永井選手
めちゃめちゃ優しいよ。

山下選手
後輩には優しいらしいです。

――今日はありがとうございました。引き続き開幕に向けて頑張ってください。


対談日:2022年1月30日