5/17 浦和戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.5.17

5/17 浦和戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

アウェイに乗り込んで迎えた浦和レッズ戦。スタジアムには今シーズン初の3連勝をめざす東京をサポートすべく、多くの青赤ファミリーが詰めかけて大声援で選手たちを鼓舞した。

連戦が続き、ようやく1週間の調整期間を得たチームは、前節からスターティングメンバー1名を変更。前々節のアルビレックス新潟戦で負傷し前節を欠場した高宇洋選手がボランチに戻ってキャプテンマークを巻いた。また、ベンチには負傷の癒えた森重真人選手が復帰。心強い仲間たちに後押しされたチームは、さらなる上昇に向けて勝利を手にするべくキックオフを迎えた。

1stHALF—早々にヒアンがゴールも追い付かれる

立ち上がりから果敢に動き回りながらボールを回して押し込んでくる浦和。これを全員で耐えると、最終ラインからの大きなサイドチェンジなどで流れを引き寄せつつ浦和陣内に迫っていく。

そんな展開から試合が動いたのは前半7分のことだった。

エンリケ トレヴィザン選手が左サイドで持ち上がって前方へパス。これを受けた俵積田晃太選手が中央にカットインしながら縦方向へパスを出すと、後方から抜け出した遠藤渓太選手がボックス内に侵入したところで倒されてペナルティキックを獲得。早い時間で大きなチャンスを手にすると、これをマルセロ ヒアン選手がきっちりと左下へ沈めて先制。エースの3試合連続ゴールで青赤が先手を取った。


リードを奪ったことで展開が一転、東京がボールをつなぎながら攻め手を探るシーンが増えていく。攻撃では少し引き込んでからスピードアップするアタックが怖さを発揮し、守備ではしっかりブロックを作って網を張り、出足の良いインターセプトから鋭い攻撃につなげていく。

前半28分には押し込んだ状態から浦和のカウンターを浴びたが、要所でしっかりと寄せて自由を許さず、身体を張った守備で耐え抜いた。

しかし同32分、右サイドを崩されて松尾選手にクロスを上げられると、中央で大久保選手が合わせたヘディングはクロスバーにはね返されたが、このこぼれ球を石原選手に豪快に決められて追い付かれる。オフサイドの可能性があるとしてVARのサポートが入ったが、そのままゴールが認められた。

振り出しに戻ったゲーム。東京はもう一度リードを奪うため、最終ラインからゴールキーパーも使って数的優位を作りながら崩しどころを探る。前半38分に高選手がミドルシュートを狙い、同40分には右サイドから佐藤選手が果敢に縦へ仕掛けていく。

一進一退、お互いにボールポゼッションとスピードのある攻撃を織り交ぜながら戦う好ゲーム。東京としては早い時間に先制しながら、浦和に裏のスペースを使われ、ダイレクトプレーでポケットに侵入されるシーンが散見されているのが気掛かりなところ。前半は3分間のアディショナルタイムも試合は動かず。1-1のスコアでハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—試合終盤の失点で2-3の逆転負け

後半開始直後、足の違和感を訴えていた橋本拳人選手に代えて小泉慶選手を投入。高選手からは背番号37にキャプテンマークが託された。

すると直後の後半4分、相手のクリアボールをそのまま前方につなぎ、佐藤選手が縦への仕掛けから中央へラストパス。これを受けたヒアン選手がワントラップから右足を振り抜いたが、強烈なシュートは至近距離で西川選手の好セーブに阻まれて勝ち越しゴールとはならない。

一方、東京の守護神も懸命のセーブでチームを救う。後半10分にこちらも至近距離からの決定的なヘディングをセーブすれば、直後の同11分にはサヴィオ選手の強烈なカットインシュートを左手一本で弾き出すファインセーブ。連続スタメン出場の背番号13がゴールにしっかりと鍵をかけてチームを盛り立てていく。


後半15分、思わぬトラブルが発生してしまう。前半に3試合連続ゴールを決めていたヒアン選手が足に違和感を訴えて座り込み、安斎颯馬選手とスイッチ。佐藤選手を最前線に上げ、安斎選手を左ウイングバックへ。遠藤選手を右のインサイドハーフに移す布陣に移行した。

戦術的な交代ではなく、負傷者で2度の選手交代機会を使うことになってしまった東京だったが、ピッチへ送り込まれたばかりの安斎選手と内側へポジションチェンジした遠藤選手が大きな仕事をこなす。

後半23分、左サイドでボールを持ちながら仕掛けのタイミングをうかがうと、中央をよく見て折り返し。ここに遠藤選手が走り込んでダイレクトでニアを狙うと、シュートが相手選手にあたってゴールイン。青赤で埋まったゴール裏スタンドの前で貴重な勝ち越しゴールを奪った。


そして後半35分、相手のクロスから松本選手に押し込まれて失点。VARのサポートが入ったがゴールが認められ、再び追い付かれる展開となってしまった。

後半42分には佐藤、エンリケ、遠藤の各選手に代えて1トップに仲川輝人、センターバックに森重真人、左ウイングバックに長友佑都の3選手を投入。安斎選手をインサイドハーフに移し、最後の選手交代に勝利を託した。

しかし、11分間と表示された後半アディショナルタイム、同点に追いついて一気呵成に出る浦和の勢いに押され、再び松本選手にゴールネットを揺らされて勝ち越しを許してしまう。

同点をめざして猛攻を仕掛けた東京だったが、このまま反撃は実らず。今シーズンは先制した試合で5勝1分と無類の強さを誇っていたが、2度のリードを守れず。アウェイで悔しい逆転負けを喫して惜しくも3連勝はならなかった。だが、気持ちのこもった戦いを見せた選手たちに、ゴール裏スタンドを埋め尽くした青赤のファン・サポーターから大きな「トーキョー」コールが送られた。


MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 波多野豪
DF 土肥幹太/エンリケ トレヴィザン(後半42分:森重真人)/木村誠二/白井康介
MF 高宇洋/橋本拳人(後半3分:小泉慶)/遠藤渓太(後半42分:長友佑都)/俵積田晃太
FW 佐藤恵允(後半42分:仲川輝人)/マルセロ ヒアン(後半17分:安斎颯馬)

SUBS
GK 野澤大志ブランドン
DF 岡哲平
MF 東慶悟
FW 野澤零温

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半9分:マルセロ ヒアン / 後半23分:遠藤渓太

<浦和レッズ>
STARTING Ⅺ
GK 西川周作
DF 石原広教/ダニーロ ボザ/マリウス ホイブラーテン/荻原拓也(後半33分:原口元気)
MF サミュエル グスタフソン(後半22分:長倉幹樹)/安居海渡/大久保智明(後半22分:金子拓郎)/渡邊凌磨(後半28分:松本泰志)/マテウス サヴィオ(後半28分:関根貴大)
FW 松尾佑介

SUBS
GK 牲川歩見
DF 井上黎生人
MF 中島翔哉/長沼洋一

MANAGER
マチェイ スコルジャ

GOAL
前半32分:石原広教 / 後半35分:松本泰志 / 後半45+3分:松本泰志


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、本日の試合の振り返りをお願いします。
A、東京から多くのファン・サポーターの方が足を運んでくれたにもかかわらず、勝利を収めることができずに非常に申し訳ない気持ちと、選手は非常に頑張ってくれたにもかかわらず最後にあのような形で逆転され、本当に悔しいゲームだったという気持ちで今は一杯です。以上です。

Q、追い付かれた2失点目でVARのサポートが入りましたが、審判団からどのような説明があったのでしょうか。
A、まずはオフサイドの検証とハンドの検証が行われ、そのハンドの検証の対応に遅れが出てしまったということで、そこは我々(審判団)の非であります、と。そこは両監督とも受け入れて、その後はハンドの事象はなかったということで、もう受け入れるしかなかったということです。(オフサイドに関しても)3Dで確認したところなかったということでした。

Q、2-2になってからの試合の運び方のところで、場内のボルテージも上がり、選手たちの戸惑いも含めて監督はどのように感じたでしょうか。
A、心の中のことは見えないですけれども、とくに焦りを感じたわけではありません。ただ、会場のエネルギーを圧力としておそらく少しは感じて、一歩、一手が少し遅れたのかなと。とはいえ、会場のボルテージということはなんの言い訳にもならず、やるべきことをしっかりやる、寄せるところはしっかり寄せる、たとえクロスボールを上げられたとしてもそこでしっかりタイトにつく。これは当たり前のことで、そこができなければ、どんな戦術を持ってしても守ることはできない。そこをしっかり詰めていかなくてはいけないと思います。

Q、失点した場面では、フレッシュな選手が入って体力的には問題がなかったと思いますが、今仰ったように、寄せが甘いなどエラーがあったのでしょうか。
A、交代は当初予定したものからは変更になっていました。僕らがこのタイミングで代えようと思った時に、別の選手が足を攣っていたりだとか、そういう状況で本来代えようと思った選手とは変更しなければいけない状況がありました。ただ、そのなかでも十分我々が想定できている部分ではあったので、その対応で少し甘さが出てしまった。そういうところでの強みを持っている選手ではあると思っていますが、残念ながら今日は相手に上回られてしまったということだと思っています。

Q、終盤の時間帯に追いつくための攻撃において、ドリブルなど他の手段をとるなどの変化を与えても良かったと思いますが、監督はどのように考えていたのでしょうか。
A、方法論はたくさんあると思いますが、ドリブルで突破して引っ掛けられるとカウンターを食らうということもありますし、中央からの攻撃はカウンターを受けないためには避けるべきであると。また、クロスで対応するにしても、勝つか負けるかというのは上がって勝負がつくまでは五分五分なので、次にこぼれたボールをどう拾っていくかというところもしっかりとオーガナイズしたなかで攻撃していかなければ、全員が入ってしまえば可能性は上がるかもしれませんが、逆にカウンターのリスクも上がってしまいます。

そういうバランスを考えるのは常日頃からチームとして当然のことですけれども、今日はなかなか声が通らないというところがあったり、その当然のことがいろいろな条件下でズレていってしまうこともあるので、そういうなかでもしっかりと冷静に対応していくことが必要です。ただ冷静にと言うと冷静過ぎてチャレンジがないこともある。ここはなかなか難しいところだと思っています。ただ、それでもしっかりと積み上げなくてはいけないと思っています。


[選手インタビュー]

<遠藤渓太選手>


Q、連勝が止まってしまいましたが、あらためて試合を振り返ってください。
A、こういった試合で逆転負けをしているようだと上位争いにはくい込めないと思うし、そういう意味で今日はすごく大事な試合だったと思うんですけれど、ここからまた下位での争いに巻き込まれてしまうのも自分たちのせいだと思います。

Q、自身は2得点に絡みました。ゴールを振り返ってください。
A、1点目は俵積田晃太選手とポジションチェンジしながら、外と内でポジションを変えてコンビネーションでうまくペナルティキックをとれたと思います。2点目はポジションがシャドーに変わってから、思い切り振ったシュートが枠に転がってくれて良かったなと思います。ただ、試合に負けているので自分のゴールはまったくどうでもいいですし、苛立ちしかないです。

Q、こういう試合で勝ち切る、最低でも勝点1を得るために考えなければいけないことはどういったところでしょうか。
A、やっぱりスタジアムの雰囲気というものはあったと思うし、2-2になってから、ではどれだけの選手がそれをはね除けようとしてプレーしたか。自分はベンチに下がっていたのでどうこうすることもできなかったけれど、雰囲気に呑まれて浦和レッズの圧力にどんどん押されているようにしか見えなかったし、そこでその状況をなんとしても脱してやろうと、そういう気概のあるプレーは見られなかったと思っています。

Q、そういう点は遠藤選手からもチームに伝えるのでしょうか。
A、僕からやることではなく、それは個々の選手がやる話であって、自分にできたのはピッチを出た後にチームを鼓舞することだけだったので、それは試合に出ている選手が準備をするべきことで、僕から言えることはありません。一人ひとりが勝利にこだわることができないようだと、こうして負けて下の争いに巻き込まれることになりますし、僕がどうこう言って変わる話ではないと思っています。


<高宇洋選手>


Q、久しぶりのスタメン出場かつハードな試合内容でした。全体の振り返りをお願いします。
A、ゲームの入りや後半序盤の進め方は自分たちが自信を持ってプレーできた展開でしたし、良い部分もありましたが、前半の終盤と残り15分のところは相手に押し込まれ、チグハグなところをピッチ内で挽回しきれないまま時間が進んでしまいました。そのような局面で全員が同じ意識をもって試合を進めることが、今日のような試合展開で勝点を積み重ねるポイントだと思います。

Q、チグハグな部分、起きてしまったエラーは具体的にはどのような点ですか。
A、攻守におけるバランスはもちろんですが、体力的な部分も多少影響しているのか、ガクッと落ちてしまう雰囲気がありました。そのような局面でもう一度相手のボールホルダーに厳しくプレスをかけることや、サイド攻撃が多かった相手に対してクロスを簡単にあげさせないことなど、個人戦術をもっと高めていくことが重要だと思います。

Q、一方で、攻撃に厚みが出てきたタイミングで得点を奪い切ることもできました。
A、早い時間帯の先制点、チャンスを決め切れずに時間が進んでしまうケースがここまで多かったなかで、先制点を奪えたことは良かった点の一つです。ですが、追加点を続けて奪うための勢いが足りませんでした。後ろに重くなるのではなく、得点を重ねるための全体的なバランスが大切です。遠藤渓太選手もしっかりと決め切ってくれただけに、なおさら勝ちたかったです。