2/24 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.2.24

2/24 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

ピータートーキョーとしては初めて迎えるシーズンの開幕。いよいよ2024シーズンのスタートを迎えた。東京は初戦でアウェイに乗り込んでセレッソ大阪と対戦する。38試合を終えた先に、東京にリーグ優勝というタイトルをもたらすために――。まずは38分の1の一歩目を踏み出した。

開幕でゴールマウスを預かったのは波多野豪選手。センターバックには、プロ2年目の土肥幹太選手がリーグ戦初スタメン出場を果たし、エンリケ トレヴィザン選手とコンビを組んだ。サイドバックは、右に長友佑都選手、左にバングーナガンデ佳史扶選手を配置。中盤のトライアングルは、頂点に新加入の荒木遼太郎選手が立ち、ダブルボランチにキャプテンの松木玖生選手と原川力選手が組んだ。前線には中央に大黒柱のディエゴ オリヴェイラ選手を、右ウイングに仲川輝人選手、左ウイングに俵積田晃太選手を起用した。

1stHALF—今季初ゴールは荒木の“タロウ弾”!

立ち上がりはお互いにボールが落ち着かずに蹴り合うような展開からスタート。東京が前線からのプレッシャーを強めると、奪ったボールをテンポ良くつないで相手陣内に素早く入っていく場面が作れるようになってくる。一方、ビルドアップの途中でマイボールを失って逆襲を受ける場面もあり、お互いに攻撃姿勢が強く手に汗握る展開が続く。

東京は相手ゴール前のバイタルエリアまでボールを運ぶことはできるが、フィニッシュの手前であと一つアイディアが出ずになかなかシュートを打つことができない。

東京のファーストチャンスは前半25分、ハーフライン左サイド寄りの位置でフリーキックを得ると、松木選手がファーサイドに向けて大きくクロスボールを送る。佳史扶選手が競り勝って中央にボールを折り返すと、俵積田選手がワントラップしてボレーシュートを放つ。惜しくもディフェンダーにブロックされたが、こぼれ球が仲川選手の前にこぼれ、ワンタッチボレーシュートで狙ったが、惜しくもゴール上へと逸れた。

流れを掴みかけたかに見えたが好事魔多し。前半27分、左サイドの連携で毎熊選手にペナルティエリア内深くまでボールを運ばれる。クロスボールをブロックしようとエンリケ選手が飛び込んだが、その足に当たったボールがファーサイドに浮き上がり、カピシャーバ選手にフリーで押し込まれて先制を許した。

ホームチームに先手を奪われた状況で頭が下がってもおかしくないが、東京はひたすらに前に出た。そして、「今シーズンの俺たちはこうだ」と答えを出す。

前半34分、右サイドで起点を作ると、ペナルティエリアの右角付近で仲川選手がボールを持ち、フォローに入ってきた松木選手に預ける。ゴール右斜め45度の位置でゴール方向を向いた松木選手は躊躇せずに左足を振り抜いてブレ球のシュートを放つ。シュートはファーサイドに向かうコースに飛んだが、ゴール前に入り込んでいた荒木選手がボールに触ってコースを変えてゴールに流し込んだ。

終盤に入ると、お互いに決定機を作る。前半38分には毎熊選手のパスを受けたレオ セアラ選手がワンタッチでディフェンダーを剥がして強烈なシュートを放つが、これはポストに直撃して助かった。一方の東京は前半41分に荒木選手が右サイドのスペースに飛び出してそのままゴール前までボールを運び、グラウンダーのクロスをニアで俵積田選手が詰めてネットを揺らす。しかし、手前のプレーで荒木選手がオフサイドをとられてゴールは認められなかった。

2ndHALF—再びの“タロウ弾”で勝点を持ち帰る

後半に入ると、セレッソ大阪に押し込まれる時間が続く。後半5分にはペナルティエリア左サイドの深い位置で毎熊選手にフリーでボールを受けられるが、1対1の場面で波多野選手がシュートをブロックする。しかし、直後のコーナーキックで田中選手にニアサイドで頭で合わされて勝ち越しを許した。

後半10分にはペナルティエリアを攻略されてレオ セアラ選手にゴール前でシュートを打たれるが波多野選手が好セーブ。こぼれ球をカピシャーバ選手に詰められるが、これも波多野選手が身体を張ってブロックしてゴールを死守した。

なかなかマイボールを保持できない東京は後半25分にカウンターからチャンスを創出する。後半20分に投入されたジャジャ シルバ選手が左サイドの高い位置でボールを受けると、そのままスピードに乗ってボールを運ぶ。ペナルティエリア外で右足を強振すると、相手ディフェンダーのブロックでコースが変わりクロスバーに直撃した。

少しずつ相手を押し込んでボールを保持する時間が長くなってくると、今度は守備ブロックを固める相手を前に攻め手をなかなか見出せない場面が増えてくる。相手陣内でボールは持つが、決定的な仕事ができるエリアまでボールを運べない。そんな閉塞感を打破したのは、途中投入されたジャジャ選手だった。

後半30分、ディフェンスラインからビルドアップする流れから左サイドに大きく開いていたジャジャ選手にボールが渡る。相手選手も密集する中でパスコースは閉ざされていたが、ドリブルを仕掛けて相手のマークを二人強引に抜き去って守備ブロックをこじ開けてみせる。そのまま目の前に開けたスペースを突き進んでペナルティエリアまで侵入。ディフェンダーを引き付けてゴール前にグラウンダーのクロスボールを入れると、詰めていた荒木選手が押し込んで東京が同点に追い付いた。

その後はオープンな展開のなかで、お互いにゴール前に迫るシーンを作る。東京も同点後は攻撃に転じる場面が増えたが、最後まで勝点3につながるゴールは奪い切れなかった。とはいえ、アウェイでの開幕戦という非常に難しい状況で戦い、また後半は相手の勢いに押し込まれる展開のなかで相手の守備ブロックをこじ開けてゴールを奪い切ったことを収穫として、勝点1をホーム開幕戦につながる糧として持ち帰りたい。

1週間後には、我々の家に久しぶりに青赤の戦士たちが帰ってくる。大阪で見せたしぶとい戦いを、サンフレッチェ広島を相手に繰り広げ、今シーズン初の勝点3獲得へとつなげたい。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF長友佑都/土肥幹太/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶(後半37分:白井康介)
MF松木玖生/原川力(後半37分:小泉慶)/荒木遼太郎
FWディエゴ オリヴェイラ(後半45+5分:東慶悟)/俵積田晃太(後半20分:ジャジャ シルバ)/仲川輝人(後半20分:安斎颯馬)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF森重真人

GOAL
前半34分:荒木遼太郎/後半30分:荒木遼太郎

<セレッソ大阪>
STARTING Ⅺ
GKキム ジンヒョン
DF毎熊晟矢/登里享平/舩木翔/鳥海晃司
MF香川真司(後半33分:柴山昌也)/田中駿汰(後半45+6分:上門知樹)/奥埜博亮(後半33分:ヴィトール ブエノ)
FWレオ セアラ/カピシャーバ(後半45+6分:為田大貴)/ルーカス フェルナンデス

SUBS
GK清水圭介
DF奥田勇斗/西尾隆矢

GOAL
前半27分:カピシャーバ/後半6分:田中駿汰


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、今日の試合の総括をお願いします。
A、すごく良いフットボールの戦いだったと思います。セレッソ大阪は非常に良いチームですので、お互いにリスペクトしながら非常にタフなアウェイでの戦いになりました。自分たちはみんなで必死に乗り越えようと2度リードされたなかでも追い付き、諦めずに戦っていくというところを出せたと思います。選手たちは最後まですべてを出し切ってくれましたし、決勝点を取るために最後まで戦ってくれました。必死に戦ってくれた選手たちを誇りに思いますし、勝点1と合わせて、今日自分たちが出したパフォーマンスを持ち帰り、自分たちのフットボールを継続して作っていくことが重要だと思います。

Q、選手交代をしても試合の強度を落とさないように選手層を厚くしてきた手応えを教えてください。
A、試合前にもハーフタイムにも話したのですが、誰が出たとしてもチームに貢献することと、自分のパフォーマンスを出すことが大切です。途中で出てきた選手たちも非常に良いものを出してくれましたし、いま自分たちが作っているフィットネスや体力的な部分も出せていると思っています。

Q、開幕スタメンとなった荒木遼太郎選手と土肥幹太選手の評価を教えてください。
A、二人ともしっかりチームに貢献して戦ってくれたと思います。荒木選手は非常にポテンシャルのある選手ですし、今はフットボールを楽しんでいるように見えます。ボールを持った時には起点になれますし、ボールを持っていない時も必死に戦ってくれていました。ここ数週間でやってきたハードワークが彼の2得点というところにつながったと思いますが、継続してさらに良くなってくれるはずです。

土肥選手は良いパフォーマンスを出してくれたと思います。タフなアウェイでの戦いであり、戦い辛い部分もありましたし、自分の力が試される部分もあったと思いますが、その中で立ち上がりから強く戦ってくれました。二人に限らず、チームとして全選手がしっかりと継続して伸ばしていくことが大切だと思っています。

Q、リードされても前を向いて戦っていた選手たちの評価を教えてください。
A、非常にタフな試合で、我々にとって厳しい時間帯もありましたが、そのなかでも強いメンタリティというものを見せられたと思います。リードを2度許す展開になってしまいましたが、強いメンタルと魂を持って戦ってくれました。選手たちはハードワークをして、周りを信じて戦ってくれました。厳しい戦いでしたが勝点1を取って、次の試合に向けてまた準備していきたいと思います。


[選手インタビュー]
<松木玖生選手>


Q、まずは90分を振り返ってください。
A、今日は、あまり落ち着きながらプレーすることができませんでしたが、アウェイの地で勝点1を持ち帰ることは大きいと思います。しかし、こういう試合も勝たないと上位には食い込めないと感じたので、そこは修正していきたいです。

Q、今シーズン、キャプテンとして臨むシーズンです。アシストもありましたが、個人的なパフォーマンスはいかがでしたか。
A、もっとボールに関わりたかったですし、自分のところで違いを生み出せられるようにもう少し工夫ができたのではないかなと思います。ただ、今日のような試合展開だと難しいところもあるので、そういう意味では、ゴール前に飛び出していく場面を今後の試合で増やしていきたいです。

Q、東京のキャプテンとして、今シーズンをどのようなシーズンにしたいですか。
A、優勝したいですし、こういったアウェイの試合でも勝点3を持って帰ることができるような強いチームになっていきたいと思います。


<荒木遼太郎選手>


Q、加入して最初の試合、どのような90分でしたか。
A、厳しい90分でした。そのなかで最低限の勝点1をとれたことは良かったと思います。ゲームを通して厳しい戦いだったと思いますし、先に失点してしまったことが厳しく感じた要因です。

Q、ただ、先に1点を失った後に、すぐに同点ゴールを決めました。
A、ボールが「ここに来たらいいな」と思って走り込んでいて、そこに運よくきたので、触るだけで入るようなシーンでした。

Q、後半にはジャジャ シルバ選手のクロスボールに合わせて2点目を決めました。
A、クロスボールの場面は練習でもかなり取り組んでいたので、あそこにボールが来ると信じて走っていました。

Q、荒木遼太郎選手にとって勝負のシーズンがはじまりました。次節以降に向けた意気込みをお願いします。
A、こうして結果を残していきたいと思います。


<土肥幹太選手>


Q、リーグ戦ではプロ初スタメンとなりました。試合を振り返ってください。
A、攻撃の部分は、トラップがバタついてまったくダメでしたが、守備の部分はエンリケ トレヴィザン選手と長友佑都選手という近くにいる選手としっかりと声を掛け合いながら、90分間を通して良い守備ができました。ただ、2失点は守備陣としてはダメですね。今後、無失点に抑えるためにどうしたらいいのか、練習でどんどん改善したいと思います。

Q、セレッソ大阪の対策はどれだけ事前に用意しましたか。
A、1週間前から、レオ セアラ選手がどのようなプレースタイルなのかなど映像を見ながらしっかり分析していたので、相手のことは大体分かっていました。

Q、大きく崩れることなく修正する部分が見えましたが、ピッチ内でのコミュニケーションは何を意識していましたか。
A、自分は、特にエンリケ選手と波多野豪選手と小まめに話していました。クロスボールに対応する際の立ち位置については、波多野選手とコミュニケーションをとりながら一歩内側や一歩外側という修正をどんどんして、立ち位置を変えることができていました。そこが後半に入って修正できていた部分です。

Q、リーグ戦初スタメン出場したことでの手応えと次の試合に向けた意気込みを教えてください。
A、守備の部分は通用しますが、レオ セアラ選手に対してヘディングで負けている場面が何度かあったので、そうした部分は自分が成長できるところだと思うので、今後取り組んでいきたいと思います。


<ジャジャ シルバ選手>


Q、後半途中から流れを変えるプレーが光りました。試合を振り返ってください。
A、非常に難しい試合でした。開幕戦という独特の雰囲気や緊張感もあったなかで、実際の試合展開も苦しいものになってしまいました。今日の勝点1を追い付いた引き分けですので、前向きに考えて、次節に向けてトライしていきたいと思います。

Q、後半の途中までベンチからどのように試合を見ていましたか。
A、2度のビハインドがありましたし、守備に回る時間が長い試合で、途中からピッチに入る難しさがあると考えていました。

Q、日本代表の毎熊選手とのマッチアップを制し、サイドからアシストに貢献しました。
A、とても素晴らしい選手でしたし、対戦する前から能力値の高い選手であることは分かっていました。守備の能力が高い選手でしたが、1対1の局面でうまく毎熊選手をかわして、アシストに繋げられたことを嬉しく思います。

Q、あらためて、同点ゴールを生み出したアシストのシーンを振り返ってください。
A、サイドでボールを受け、対峙したディフェンダーをうまくかわしてボールを前に進めることができたと思います。ディエゴ オリヴェイラ選手がゴール前に入り込んでくる動きが最初に見えましたが、ファーサイドに流れたボールを荒木遼太郎選手がうまく合わせてくれたことに感謝しています。

Q、キャンプからコンディションの良さが窺えます。ここからどのような活躍を描いていますか。
A、昨シーズンより身体の状態、コンディションが良いです。出場時間は今日の試合は短かかったですが、プレー時間がここから長くなってくればさらに良いパフォーマンスをみなさんにお見せできると思っています。