PLAYERS FILE 2024<br />
HIGASHI RENTA

COLUMN2024.2.19

PLAYERS FILE 2024
HIGASHI RENTA

復帰後のビジョンを描きながら
「焦らずじっくり」
DF 50 東廉太



2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは──。東廉太がリハビリの日々を過ごしている。2023シーズンは念願のプロ入り、公式戦デビュー、期限付き移籍での経験と順調に見えたキャリアが、思わぬ大怪我で一転。開幕前はジョギングも許されない状況を強いられている。だが、そんな逆境にあっても、復帰後を見据えて前を向き続ける彼の想いをお伝えする。




念願のプロ入りを果たしたのに、今は走ることもままならない。ボールを蹴ることは、しばらくお預けを食うのだから十代のサッカー選手にとっては酷な話だ。

「ボールが蹴れないのは、本当にキツいです。でも、きっとこれまで当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃないんだってそう思えるようになると思う」

プロ1年目の昨シーズン、開幕から半年間を過ごした東京では、天皇杯2回戦の福島ユナイテッドFC戦に出場したのみだった。だけど、「その1試合で試合に出場できるありがたみや、成長度合いの違いを感じられた。それで、移籍を決断した」という彼は、育成型期限付き移籍でJ3リーグのSC相模原へと活躍の場を求めた。

新天地では合流直後から3試合連続で先発出場を飾り、順調な滑り出しを見せていた。だが、右膝内側側副靭帯の損傷で全治6週間の怪我を追うと、そこからの復帰直後に左膝前十字靭帯断裂および左膝後外側支持機構損傷で全治約10カ月の診断が下る。

「(相模原では)試合に出場できて手ごたえもあった。相当落ち込んだし、だいぶへこみました。術後の入院生活もかなりメンタルに来ました。でも、日が経つにつれて気持ちを切り換えられるようになった。今は何とか前向きに捉えています。一番大きな支えとなったのは、同い年の楢原(慶輝=サガン鳥栖)も同じタイミングで同じ怪我をしていて、二人で連絡を取り合って『一緒に頑張ろう』と励まし合えたのは大きかったです」

まだジョギングさえも許されていない。それでも、ため息を引っ込めてこの間にもう一度サッカーを学び直そうと、「サッカーIQを上げることもそうだし、今しかできないことに向き合っている」とオフザピッチでのレベルアップを心掛ける。筋トレと怪我をしない身体作りの日々の最中で、「復帰後のビジョンを思い描くこと」が何よりの活力となっている。

「ベストなのは今シーズン中に復帰して、試合に絡むこと。それが叶わなくても来シーズン以降に一番良いコンディションで臨めるようにしたい。まだジョギングもできない状況だけど、上半身と下半身の筋力を戻している最中。少しずつやれることが多くなってきていることを今はポジティブに捉えている」

スッと懐に飛び込むのが上手い選手だ。多くの先輩からも可愛がられてきた。愛すべきディフェンダーは、転がるボールに胸を焦がす。その純度の高さが、復帰した時の喜びをきっとグンと引き上げてくれる。今は「焦らずじっくり」と自分に言い聞かせている。



text by 馬場康平(フリーライター)