PLAYERS FILE 2024<br />
KOBAYASHI MASATAKA

COLUMN2024.2.14

PLAYERS FILE 2024
KOBAYASHI MASATAKA

昇格1年目はまさにサッカー漬け
ストイックに高みをめざす18歳
GK 31 小林将天



2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは─。アカデミーからトップチームに昇格したばかりの小林将天。そこにはストイックにサッカー漬けの日々を過ごす18歳の努力があった。




良い意味で小林将天がやつれている。厳しいトレーニングを数多くこなしている証拠だろう。「ゴールキーパーを始めた頃からずっとシュートストップが得意なので、そこを武器にしっかり自分をアピールして、ピッチの上で表現して、守護神の座を勝ち取りたい」。そう言って新体制発表で見せていた笑顔も、長期のキャンプをくぐり抜けると険しい顔に変わる。FC東京U-18在籍時にもトップチームの練習に帯同はしていた。しかし一度プロとなり、サッカーを仕事にして生きる立場になると、すべてをサッカーに注ぎ込むことになる。まさにプロの洗礼だ。

沖縄キャンプの小林は全体練習で多くのシュートやクロスに対応したあと、藤原寿徳GKコーチと山下渉太GKコーチがつきっきりとなり、居残りで長時間トレーニング。さらにグランド内の施設で筋力トレーニングに励んだだけでなく、「ホテルでもまだやるべきことがある」とストイックに語る。素材としては非常に優れているゴールキーパーをプロとして実戦で通用する水準に高めていくために、クラブとしてチームとしてしっかりと労力を割き、当の選手自身も歯を食いしばって取り組み続けなければならないのかと思わされるほどのトレーニングぶりだった。

ゴールキーパーの流儀は、コーチも選手も“一人一派”と言えるほど千差万別だ。だが、全員に共通しているのは、試合中に数多く発生する多様なシチュエーションに対応していけるようにすること。基本から応用まで多岐にわたる判断と能力が求められるため、毎日本をめくるように学習し、それを何百日も何千日も繰り返していく必要がある。そうしなければプロとして一定の境地に達しないことは、小林も分かっている。「経験がものを言うポジションなので、普段の練習を試合中の状況に見立てて、状況判断をもっと研ぎ澄ましていきたい」。そう覚悟して日々の練習に取り組んでいる。

過酷ではあるが、当人はいたって前向きだ。「本当にサッカーに集中できる環境なので、自分が成長するしかない。自分の私生活から、サッカーのために、サッカーのためにと、サッカーの優先順位を一番上にして生活できているのは、とても良いことだと思います」。ユースからトップに昇格したばかりのひな鳥のような小林は今、サッカー漬けの毎日を謳歌している。



Text by 後藤 勝(フリーランスライター)