2024 CAMP INTERVIEW<br />
高宇洋選手×小柏剛選手 対談(後編)

INTERVIEW2024.2.02

2024 CAMP INTERVIEW
高宇洋選手×小柏剛選手 対談(後編)

新天地で旧交を温める二人には、クラブから多くの期待が懸けられている。小柏剛が味の素スタジアムに歓喜の瞬間を起こし、高宇洋がリンクマンとしてチーム全体をまとめ上げる。今年で26歳を迎え、ここからキャリアの絶頂期を迎えていくだろう。そんな新たな得点源と司令塔に、このクラブで叶えたいことを聞くと、口をそろえて「タイトル」と言った。その味を知らない二人は、掴み獲るために東京へ来た。


──ここまでのキャリアで怪我や苦しい経験をしてきたと思います。今回、東京で叶えたいことはありますか。
 このクラブの絶対的な存在になりたいですし、中心選手となってタイトルを獲りたいです。
小柏 僕もここには優勝を味わうために来たので、それを叶えたいです。規模も大きなクラブだと思うので、さっきヤンが言ったみたいに、強烈な個を持つ選手たちが多いなかで自分がどういう味を出せるのか。そういうチャレンジでもあると思うので、サッカー選手としてもトライしていきたいです。

──そのためには今までの自分から何か変えなければいけないことが出てくるかもしれません。個人的な変革、ここを変えたいということはありますか。
小柏 僕は怪我への耐性ですね。
 もうギャグやん(笑)。
小柏 ギャグじゃねえよ。札幌では(ペトロヴィッチ)監督も試合で使ってくれたし、すごく良いチームでした。でも、どうしても怪我が多くて、環境を変えたいという意志が自分の中にはあった。こうやって環境を変えて怪我が良くなって、シーズンを通じて試合に出ることができれば、もっともっと自分の良さを出せると思っています。そのためのトライをしていきたいですね。
 ボランチには色々なことが求められる時代になってきたので、攻守において、すべての能力値を上げていきたいです。東京の沖縄キャンプでは切り替えの速さ、球際での強度の高さを感じたし、そこは自分の良さでもありますけど、もっともっと上げられると思ったので、そういう部分も伸ばしていきたいです。



──東京は攻撃的なサッカーをめざしています。そのスタイルをチームに植えつけるためにはどんなことが必要だと思っていますか。
 もちろんピーター クラモフスキー監督がやりたいサッカーもありますし、結果が求められるクラブだと思うので、難しい部分があるかもしれません。でも、攻撃的なサッカーを追求していくのならば、やっぱりブレないスタンスがすごく大事です。一つの勝ち負けに一喜一憂せず、日々の積み上げをしっかりと継続することが重要になると思います。それは新潟でも感じました。あれだけパスをつなぐスタイルは加入1シーズン目から取り組んで、最初はうまくいかなくて昇格もできなかった。それでも、2シーズン目、3シーズン目とやり続けた先にJ2リーグで優勝して、J1リーグでも一桁順位を狙える位置までいけた。継続性は絶対に大切になると思っています。
小柏 僕も少し似た内容にはなるけど、結果がついてこなかった時に選手間でバラつきが生まれてしまうと、絶対に良い方向には進まないと思います。監督を信じることが大事になるし、チームの何人かが不信に思っていたら、どんなサッカーもうまくいきません。自分たちの監督が一番だと信じてやり続けることが大切だと思います。

──このチームの可能性はどう感じていますか。
 それほど試合をしているわけではありませんが、練習をしていても強烈な個性を持った選手たちがいると思うし、上位争いはもちろんタイトルを狙える選手層だと感じています。それ以外にもチームスタッフやパートナーシップのみなさんをはじめ、色々な人の協力や手厚いサポートを感じています。そういう人たちの期待に応えるためにも結果を出さなきゃいけないと思います。
小柏 メンバーだけ見たら、やっぱりすごいチームだと思います。それをどうサッカーに落とし込んでいくのか。東京にはそれだけの可能性があると思うので、強烈な個をうまく組み合わせられれば、間違いなく上位に行けると思います。このキャンプ期間を大切にしたいですし、東京に帰ってからも開幕までの準備期間があるので。そういったところでうまくすり合わせられれば、必ず上位を争えると信じています。



──クラブ創設から25年間、J1リーグ優勝を成し遂げることができていません。それが大目標でもありますが、その初優勝の先で主軸となって黄金時代を築いていくこと、クラブの歴史に自分たちの名を刻んでいくということについてはどう考えていますか。
 素晴らしい規模のチームだと思いますが、僕にとってはやっぱりリーグタイトルを獲れていないことは大きくて、ここでリーグ優勝できたら、確実にこのクラブの歴史に名を刻むことができると思いました。それが移籍を決断した理由の一つでもあります。ここでしっかりと戦って、タイトルを獲って、クラブの歴史に名を刻みたいと思います。
小柏 これまでリーグ優勝を達成できていなくて、そこに僕たちがこうやって来てリーグ優勝ができたのなら、それが僕らの評価につながっていくと思います。僕はそのつもりで東京へ来たので、そこをめざして頑張りたい。その先の黄金時代というか、ここに移籍してきた時点で、このチームのために全力で戦う覚悟を決めているので、優勝をめざすのはもちろんですけど、とにかくチームのために頑張り続けたいと思います。

──それでは最後にファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
 勝つために全力でプレーしたいと思いますし、誰よりも勝負に対する想いは強いと思っています。自分自身の成長をしっかりとチームに還元してしっかり戦っていくので、ぜひよろしくお願いします。
小柏 東京1年目ということで、まずはファン・サポーターのみなさんの心をつかめるようなゴールを決められたら一番だと思っています。まずは早く完全復活して、開幕に向けてコンディションを上げて、僕の得点で一緒に喜びを分かち合いたいと思っています。 



慣れ親しんだ場所から旅立ちを決意した。今回の移籍はそれこそ乾坤一擲の思いで、キャリアを懸けた勝負の決断だったはずだ。そこで再会した互いの存在が、どれほど心強かったか。同学年で、幼いころから互いの存在を認め合ってきた。歩調を合わせ、思いの強さを確かめ合う関係になっていくかもしれない。二人の青赤での未来が、いよいよ幕を開ける。



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Text by 馬場康平(フリーライター)