8/6 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.8.06

8/6 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

中断期間明けの公式戦初戦となった天皇杯ラウンド16のロアッソ熊本戦は、早い時間に先制されてリズムに乗り切れず敗れた。中3日で迎えるリーグ戦の再開は、またも長距離の移動をともなうアウェイゲーム。相手は、ルヴァンカップも含めて今シーズン3試合を戦い一度も勝てていないセレッソ大阪。リーグ戦中断前の鹿島アントラーズ戦で1-3と敗れており、リーグ戦での連敗、公式戦での連敗を止めたい一戦になった。

必勝を期す東京は、頼れる森重真人キャプテンがスタメンとしてチームに戻ってきた。夏の登録期間に移籍加入した白井康介選手も天皇杯に続いてスタメン入り。ゴールキーパーはJ1リーグデビューとなる野澤大志ブランドン選手が起用された。また、新加入でチームに合流したばかりのジャジャ シルバ選手もベンチスタートでメンバー入りを果たした。

今シーズンのリーグ戦、アウェイではわずか1勝しか挙げられておらず、東京は敵地での試合を非常に苦手としている。シーズン後半戦での巻き返しを図るには、アウェイゲームの苦手意識を克服したいところ。今シーズン3戦未勝利のセレッソ大阪は、その克服に恰好の相手となった。

1stHALF—勢いに乗った立ち上がりに松木の今季リーグ初ゴール

立ち上がり、選手たちの出足は鋭く、非常に集中した状態で試合に入る。ディフェンスラインはハーフラインに迫るほどのハイラインを保ちながら、前線から連動したハイプレスを敢行。敵陣の深い位置でボールを奪い、シュートで終わるシーンも何度か作り出した。

主導権を握った勢いのまま、前半8分に先制点を奪う。ハーフラインを越えた左サイドの位置でフリーキックを得ると、長友佑都選手がタイミングよく相手の守備陣形の裏側のスペースに蹴り込む。意図を汲んだディエゴ オリヴェイラ選手が抜け出してペナルティエリア内でボールを受けると、相手ディフェンダーを背負いながらボールを収める。コントロールしようとしたところで相手ディフェンダーにボールを突かれたが、サポートに入ろうとペナルティエリアに飛び込んできた松木玖生選手が拾うと、背番号7は冷静なコントロールでディフェンダーを剥がして左足を迷いなく振り抜き、ゴール右隅へと流し込んだ。


先手をとった後もしばらくは主導権を握る時間が続き、前半17分には立て続けにシュートで攻撃を終える。相手陣内左サイドの深い位置でボールを奪い返し、渡邊凌磨選手が相手ゴールキーパーのタイミングを外したシュートを放つが、これは枠の右へと逸れる。続く相手のゴールキックがショートパスでリスタートすると、すぐにディエゴ選手がチェイスしてクリアボールをブロック。こぼれ球を拾った俵積田晃太選手がカットインから右足を振ったが、相手ゴールキーパーに反応された。

アクシデントが起きたのは前半21分。前述のチャンスのシーンで相手のクリアボールをブロックした際にディエゴ選手が足を痛め、プレー続行不可能となりペロッチ選手と交代することとなった。

この交代を境に、試合の流れは徐々にセレッソ大阪に傾く。右サイドのジョルディ クルークス選手と左サイドのカピシャーバ選手の突破を止められずに押し込まれると、際どいクロスボールをたびたびゴール前に上げられる。それでも、もっとも危険なエリアではディフェンダー陣が身体を投げ出してブロックし、止め切れなかったシーンでも野澤大志選手が冷静に対応。相手のシュートミスに助けられるシーンもあったが、無失点で前半を折り返した。

2ndHALF—アクシデント続きも割り切って勝点3

雨が落ちてきた後半は、ホームで1点を追うセレッソ大阪に攻め込まれる時間帯が続く。さらに後半5分にはボランチの小泉慶選手がピッチに座り込み、そのまま交代。前半に続いて怪我により選手が交代するアクシデントが続いた。

選手の交代で落ち着きを取り戻す前に相手の猛攻を受けてしまう。後半10分と15分に連続して決定的なピンチを迎えるが、前者は毎熊選手のヘディングシュートを野澤大志選手が右足一本で防ぎ、後者は渡邉選手にハイラインの背後をフリーで抜け出されたが、野澤大志選手との1対1の場面で狙いすましたループシュートを打たれるが、ゴールから逸れて事なきを得た。

我慢の展開が続くが、この日の東京は焦れずに戦い続ける。サイドの深くまで崩されても、中盤より前でボールを奪えない時間が続いても、肝心のゴール前では全員が身体を張る意識が徹底され、クロスボールに対してもニア、ゴール前、ファーサイドに必ず人が立つことで簡単にはシュートまで持ち込ませない陣形を維持する。

後半33分には、木本恭生選手、徳元悠平選手に加え、Jリーグデビューとなるジャジャ選手をピッチに送り込みシステムを変更。後手を踏んでいたサイドには人数を掛けて自由を許さず、カウンターを想定して前線の1トップにはスピードのあるジャジャ選手を置いた。

1点のリードで試合をクロージングしたい終盤は割り切った戦いを見せる。ゴール前を5枚のディフェンダーで固めつつ、セカンドボールに対しての反応でも遅れをとらず、危険なエリアでは大きくクリアするなど明確なプレーを徹底した。

5分のアディショナルタイムの終盤にはジャジャ選手が抜け出して相手ゴールに迫り、クリアミスを誘って押し込むだけの場面も作り出したが、必死に戻った相手ディフェンダーにブロックされて追加点はならず。その直後にタイムアップの笛が鳴り、苦手なアウェイの地で貴重な勝点3を積み上げ、公式戦の連敗も止めた。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介/森重真人/エンリケ トレヴィザン/長友佑都
MF小泉慶(後半5分:塚川孝輝)/東慶悟(後半33分:木本恭生)/松木玖生
FW渡邊凌磨/ディエゴ オリヴェイラ(前半21分:ペロッチ)(後半33分:ジャジャ シルバ)/俵積田晃太(後半33分:徳元悠平)

SUBS
GK児玉剛
FWアダイウトン

GOAL
前半8分:松木玖生

<セレッソ大阪>
STARTING Ⅺ
GKヤン ハンビン
DF進藤亮佑/毎熊晟矢/鳥海晃司/舩木翔
MF喜田陽/香川真司/ジョルディ クルークス(後半22分:柴山昌也)/カピシャーバ
FW上門知樹/渡邉りょう(後半22分:北野颯太)

SUBS
GK清水圭介
DFマテイ ヨニッチ
MF鈴木徳真/新井晴樹/阪田澪哉

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、タフな90分でした。すべての準備をしてきましたが、選手たちが良く取り組み、ハードワークするメンタリティーと気持ちを持って勝利を呼び込んでくれたと思います。ただ、重要なのは90分とアディショナルタイムの間、応援し続けてくれたファン・サポーターとともに勝点3を取れたことです。彼らを笑顔で帰せたことを嬉しく思っています。

Q、試合終盤、システムを変更したタイミングについて教えてください。
A、不運なことに前半の半ばにディエゴ オリヴェイラ選手が負傷してしまい、そして、後半開始直後に小泉慶選手が交代となってしまい、交代が残り1回になりました。その時点で、どこで最後の交代を行うのかタイミングを考えて実行しました。最後の交代ということもあり、正しいタイミングで使うことを意識していて、プレーし続けている選手のエネルギーを考えながらフレッシュな選手を入れることによってチームのエネルギーをしっかりと出させようという狙いで交代を行いました。サイドチェンジをしながらクロスボールを上げることがセレッソ大阪の強みであり、そこに対応し、最後までよく守れたと思います。

Q、J1リーグデビューとなった野澤大志ブランドン選手の評価をお願いします。
A、すごく誇りに思います。無失点に値するパフォーマンスを出してくれましたし、彼にとっては良い夜だったと思います。強いメンタリティーやポジティブな部分を出し切ってくれました。これはゴールキーパーグループ全員が日々努力を重ねているからだと思っています。自分たちのチーム、グループ、ここで出場した選手、東京に残った選手たちも毎日チームを高めようと本当によくやってくれています。今、ハードワークをしながら強いチームを作ろうと、一歩一歩積み重ねながらやっています。我々が思い描くチームになるためには、まだまだ成長していかなければいけません。目標とするチームを作っていくためには、今日のような献身性がないといけません。

Q、松木玖生選手の成長について評価をお願いします。
A、非常によくやってくれています。個としても必要な情報を身に付けてくれていますし、チームの一員としても非常によくやってくれています。彼のメンタルの部分、献身性から私も刺激を受けています。彼が思い描く選手になるためには、さらに磨いていけるものがあると思っています。


[選手インタビュー]
<松木玖生選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、自分たちでボールを握りたかったですが、試合展開もありましたので、このような難しい試合で勝てたことが良かったと思っています。

Q、得点シーンを振り返ってください。
A、こぼれ球が、うまく予測して動いたところに来てくれたので、あとは流し込むだけでした。

Q、フリーキックをクイックスタートした流れから決めた得点でしたが、松木玖生選手があのポジションをとれていた要因はなんですか。
A、東慶悟選手が外にポジションをとっていたので、トップ下の位置に入ってディエゴ オリヴェイラ選手のサポートにつこうと思ってポジションをとっていました。そこにうまく転がってきてくれました。

Q、前半と後半でダブルボランチの相棒が変わりました。守備の部分で役割の違いについて振り返ってください。
A、ボランチのところで、もう少し前を向かせないような守備やセカンドボールの回収をして、なおかつ攻撃の組み立ての時にうまく顔を出しながらやれたらもっと良かったです。ただ、小泉慶選手も塚川孝輝選手も東選手もコミュニケーションがよくとれていて、さらによく走ってくれたので、チームとして戦えていたと感じています。

Q、後半30分過ぎからはディフェンスラインの枚数を増やして守り切る形にシフトしたように見えました。チームとして、どのようなことを意識していましたか。
A、まずは失点しないことです。サイドからのクロスボールに対してはゴール前に背の高い選手が3枚いたので撥ね返して、あわよくばジャジャ シルバ選手のカウンターで1点を追加することを狙っていました。


<野澤大志ブランドン選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、今日の試合が僕にとって、J1リーグのデビュー戦となりました。アウェイの地ではありますが、素晴らしい雰囲気のなかでプレーできたことに感謝の気持ちでいっぱいです。今日の試合はチームとしてうまくいく時間帯は少なかったですが、チームメイトが特に守備のところで全てを出し切っていました。チームメイトの頑張りが勝利に繋がったと思います。

Q、本日の試合がJ1リーグデビュー戦となりましたが、試合前にはどのようなことを意識していましたか。
A、J1リーグのデビュー戦を控え、非常に気持ちは高ぶっていました。僕のことをいつも支え、励ましを送ってくださる方に勝利を届けられたことを嬉しく思います。試合には勝ちましたが、仮に引き分けや負けていたとしても、悔いのない一日になりました。

Q、今日のご自身のプレーについて、あらためて振り返りをお願いします。
A、試合内容としてはうまくいく時間帯が少ない状況でしたが、勝って次に一歩進めることがチームとして大事なことだと思います。これからも難しい試合は続くと思いますが、一歩一歩、チームとして成長していきたいと思います。

Q、守備のライン設定が高いなかで最後尾の選手として意識していたことを教えてください。
A、ディフェンスラインの背後のスペースは僕に任せてくれ、という意識で臨みましたし、コミュニケーションもしっかりととれていました。思い切りの良いプレーができたことが良かったと思います。前に出るところ、出ずに構えるところの判断もでき、無失点で試合を終えることができて良かったです。

Q、ロアッソ熊本戦から意識して修正した点があれば教えてください。
A、プレーのテンポを上げること、チームが前から守備を仕掛けられるように最後尾から押し上げる状況を作ることを意識しました。チームとして守備でも攻撃でもしっかりと主導権を握り、支配することをもっと最後尾から促すことが今後の僕自身の課題と思っています。熊本戦では、全てにおいて後手に回ってしまっていたので、先手を取ることを意識しました。


<ジャジャ シルバ選手>


Q、Jリーグデビュー、おめでとうございます。
A、ありがとうございます。早く試合に出たいと思っていましたし、こうして実際に試合に出場することができて、また勝点3をとれて非常に良かったです。

Q、短い時間ではありましたが、出場する時にはどのようなプレーをイメージしていましたか。
A、残念ながら出場時間は短かったですが、クラモフスキー監督の指示にしっかりと従い、またチームメイトを助けることでチームに貢献したいと思っていました。短い時間でしたが、自分にとってはこれがJリーグでのはじまりですし、出場時間をどんどん伸ばしていきたいです。とにかく今日勝利することができたことが、すごく嬉しいです。

Q、試合終了間際にはゴールまであと一歩と迫りました。
A、ゴールを決められなかったことは残念ですし悔しいですが、中盤の位置から自分が運んでいき、ゴールキーパーに止められて、ディフェンダーにもブロックされましたが、自分の得意なプレーを見せられました。次のチャンスではしっかりと決めたいと思います。

Q、初めての試合で初めての勝利です。率直な気持ちを教えてください。
A、Jリーグでの最初の試合で勝点3をとれたということは非常に嬉しいです。今週、チームは厳しい練習を積んできたので、その成果が出て良かったです。

Q、来週はジャジャ シルバ選手にとって初めてのホームゲームで、チームとしても約1か月ぶりに私たちの“家”に帰ります。次戦に向けた意気込みをお願いします。
A、スタジアムの雰囲気がすごく良いと聞いているので、今日もアウェイの遠い地にこれだけのファン・サポーターが来てくれていましたので、ホームゲームはもっとすごいのだろうと思っています。東京の“家”でプレーすることを非常に楽しみにしています。