7/8 浦和戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.7.08

7/8 浦和戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

シーズン後半戦のスタートに誕生したクラモフスキートーキョーの船出は順調だ。ホームで戦った名古屋グランパス戦と柏レイソル戦で連勝。スコアも2-0、1-0と2試合連続で完封勝利を飾っており、守備の充実が目立つ。クラモフスキー監督が大事にする「約束事」の浸透が守備面では確実に進んでおり、選手たちも手応えを口にする。

そのなかで迎えるクラモフスキー体制初のアウェイゲームの舞台は鬼門埼玉スタジアム2002。攻撃の要である仲川輝人選手に加え、森重真人キャプテンも欠場し、チームの総合力が問われる一戦となる。センターバックに入る木本恭生選手、トップ下を務める東慶悟選手らチャンスを得た選手たちの奮起に期待したいところ。今季初の3連勝をつかみ取るために、開幕戦で会心の勝利を得た相手との試合に臨んだ。

1stHALF—手に汗握る一進一退の攻防

シーズンを通して守備の堅さを武器にしている浦和レッズと新体制になって2試合連続無失点中の東京。お互いに集中力の高い前半となった。

東京は最終ラインから前線までコンパクトな陣形を保ちながら、相手の最終ラインに対しては積極的にプレスに行かず、縦パスが入ったところでつぶしに行く守備を徹底した。

それでも、前半14分にはこの試合がJ1通算500試合目となる浦和の興梠選手に抜け出される。しかし、最後は右サイドバックの小泉慶選手が中央に絞る作業を怠らず、粘り強く対応。シュートはポストに助けられた。

反対にその直後には東京にビッグチャンスが訪れる。前半20分、敵陣に相手を押し込み、こぼれたボールを拾った松木玖生選手が縦パス。俵積田晃太選手からのリターンをエリア内で受けると左足でダイレクトで狙う。シュートは枠を捉えたが、相手ゴールキーパーのファインセーブに阻まれた。

その後も一進一退の攻防が続くが、お互いに守備でミスを犯さずスコアの動かない時間が続く。そのなか東京は中盤でのパスカットからカウンターを狙う場面はあったが、ラストパスが合わず、シュートまで持ち込めない場面が目立った。

そしてアディショナルタイムには前半最大のピンチが訪れる。しかし、ここはヤクブ スウォビィク選手が長い手を伸ばしセーブ。ゴール前で関根選手に打たれたシュートを弾き出し先制点を許すことなく、前半はスコアレスで折り返した。

2ndHALF—立ち上がりの決定機は決め切れず

後半も手に汗を握る展開で進む。両チームともにボールを保持すれば丁寧に動かしながら攻撃の糸口を見つけ出そうとするも、それを上回るのが守備での集中力。残り時間が少なくなるに連れ、先制点の重みが増すゲームとなっていった。

そのなか、ゴールに迫っていったのは東京だった。後半2分に渡邊凌磨選手が後半のファーストシュートを打つと、後半11分には鮮やかなパスワークから決定機を作る。小泉選手が持ち上がり、渡邊選手が右に展開。そのままペナルティエリア内に走り抜け、東選手からリターンを受けると、相手をボディフェイントでかわしてシュートまで持ち込んだ。しかし、ニアサイドを狙ったシュートは相手ゴールキーパーの正面を突いた。

後半20分を過ぎてからは両チームともに選手交代を積極的に行い、ゲームを決めにかかる。ただ、蒸し暑い気候も影響してか、なかなか攻撃のテンポが上がり切らず、ゴールが遠いまま時間だけが過ぎていった。

後半39分にはあわやのピンチを迎える。小泉選手にゴール前でキープを許し、右サイドへ展開を許すと、ホセ カンテ選手を経由したボールを荻原選手に狙われたが、強烈なシュートはサイドネットの外側を揺らして難を逃れた。

終盤は最後の交代枠として木村誠二選手を入れて5バックに変更。好調な相手とのアウェイゲームで勝点を持ち帰る姿勢を示した。試合はそのまま0-0でタイムアップ。クラモフスキー体制発足後の3連勝は逃したが、3試合連続完封と敵地でも守備の堅さは証明した。来週水曜日には天皇杯3回戦のヴェルディ戦を経て、次節はホーム味の素スタジアムに戻ってリーグ戦中断前のラストゲームを鹿島アントラーズと戦う。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF小泉慶/木本恭生/エンリケ トレヴィザン/長友佑都
MF松木玖生/安部柊斗/東慶悟(後半24分:寺山翼)
FW渡邊凌磨(後半41分:木村誠二)/ディエゴ オリヴェイラ(後半24分:ペロッチ)/俵積田晃太(後半31分:野澤零温)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF徳元悠平
FW熊田直紀

GOAL

<浦和レッズ>
STARTING Ⅺ
GK西川周作
DF酒井宏樹(前半6分:荻原拓也)/アレクサンダー ショルツ/マリウス ホイブラーテン/大畑歩夢
MF伊藤敦樹(後半32分:平野佑一)/岩尾憲(後半21分:髙橋利樹)/大久保智明/安居海渡/関根貴大(後半32分:小泉佳穂)
FW興梠慎三(後半21分:ホセカンテ)

SUBS
GK鈴木彩艶
DF岩波拓也

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、まずはハードで重要な勝点1だったと思います。本当に自分たちのすべてを出し切って、ゲームを乗り越える必要がある一戦だと思っていました。選手たちの全体的なパフォーマンスは満足できるものに値していたと思います。選手たちは非常に献身的に、自分たちの戦い方を強く出し、守備では無失点に抑えてくれました。

そのなかで自分たちがボールを持った時も練習から積み重ねてきたことを少しずつ出せるようになってきていると思います。攻守における狙いを継続して出せるようになれば、今日のような難しい試合でも自分たちの力を出し切り、アグレッシブなプレーを表現することで勝点3を奪える試合になっていくと思います。

Q、お互いに相手のペナルティエリアに入れない試合になりましたが、このような試合展開は事前に想定していましたか。
A、タイトな試合になるとは予想していました。そのなかで自分たちの守備をしっかりと出して無失点に抑える必要がありました。おそらく、65分から70分ぐらいまでのスタッツで、両チームともおよそ11回ずつボックスエントリー(ペナルティエリア内への侵入)がありました。

ボールを持った時も、ポジティブなプレーでチームとしてやろうとしていることの積み重ねが少しずつ出せていましたし、チャンスを作れていた部分もあったと思います。浦和レッズは非常に良いチームですし、非常に良いクオリティの高いプレーを出していたと思います。私は選手たちのことを非常に誇りに思っていますし、しっかりと出し切ってくれました。良いフットボールをお見せできたと思っています。


[選手インタビュー]
<東慶悟選手>


Q、今日の試合の振り返りをお願いします。
A、埼玉スタジアム2002の独特の雰囲気、調子の良い浦和レッズを相手に勝点を奪うことは簡単ではないと思っていましたし、実際難しい試合になりました。その難しいアウェイゲームで勝点1を奪えたことを前向きに捉えたいと思います。

Q、トップ下のポジションで意識したことを教えてください。
A、どのポジションで出場しても、大きな変わりはないと思っています。チームの勝利に貢献することを大前提に、中間ポジションでボールを引き出す動きを意識していました。ボールの出し入れや関わり方については、もっと表現できたとは思います。当然、相手があってのサッカーですし、試合展開も難しいものになりました。全員でハードワークをして、我慢の時間帯もありましたが、数少ないチャンスを得点に繋げることを意識しました。

Q、相手のボランチにボールを入れさせない守備の立ち位置は特に意識していた動きでしょうか。
A、相手のボランチに自由を与えないこと、ボールを入れさせないことは意識していました。相手のゴールキーパー、センターバックはビルドアップが上手な選手なので、ボールを奪う位置を定めることに難しさを感じましたが、コンパクトな守備をみせることはできたと思います。

Q、ここから12日に天皇杯のヴェルディ戦、16日には鹿島アントラーズ戦と連戦になります。チームとしてこの連戦をどのように戦っていきますか。
A、改善点は多くありますが、今日も良い試合ができていたと思います。直近の試合で負けていないので、気持ちの入った試合を続けていけば結果は自ずとついてくると思っています。一つひとつ積み重ねていきたいと思います。


<木本恭生選手>


Q、久しぶりのスタメン出場となりました。試合の振り返りをお願いします。
A、非常にタフな試合でしたが、90分間ピッチ上の選手たちが集中を切らすことなく、無失点で終えられたこと、アウェイゲームで最低限の結果を残すことができたことは良かったと思います。

Q、主に前半は興梠選手、後半はホセ カンテ選手を軸とする攻撃への対応だったと思います。相手攻撃陣を抑えるうえで意識したことを教えてください。
A、両選手ともにクオリティの高い選手でした。今日の試合に限らず、相手フォワードには自由を与えないこと、ボールが入った際には強くいくことは常に意識しています。個人としては、しばらくスタメンから外れていた時に、その部分を特に強調してやらなければいけないと思っていました。相手の攻撃のキーマンを自由にさせないことを強く意識して試合に臨めたと思っています。

Q、後半に入って攻め込まれましたが、無失点で試合を締めることができました。守備の手応えを教えてください。
A、相手に攻撃の圧力をかけられてしまった時に、押し返す守備の力がまだ足りないと思いました。しかし、無失点で終えられたことは良かったと思います。今までの自分たちならば、もしかしたら試合終盤に集中が切れてしまい、失点して勝点を得られずに帰っていたかもしれません。少しずつ成長している姿をお見せできたと思います。

Q、試合終盤には木村誠二選手を投入し、3バックに変更しましたが、布陣変更はもともとゲームプランに入っていましたか。
A、事前の準備はしていませんでしたが、少し押し込まれはじめていた時間帯でしたので、守備に厚みが生まれたと思います。そのなかで、しっかり守って1点を獲りに行くことを全員が意識していたので、一つのオプションとして今後も試合内容に応じて必要になってくると思います。


<渡邊凌磨選手>


Q、今日の試合の振り返りをお願いします。
A、もう少し前から守備をかけることができれば、スムーズな攻撃にも繋がったと思います。浦和レッズとしても、東京が前から来る守備を仕掛けづらくする狙いはあったと思いますし、僕らも攻撃で崩すシーンが少なかったことは反省点です。ボールを奪った後の攻撃も単調になり過ぎてしまい、個人で打開することも狙いましたが、相手がしっかりとスペースをケアしていました。今日の試合映像を見て、振り返り作業をしたいと思います。

Q、高いライン設定かつコンパクトな守備の浦和に対し、どのような攻撃の仕掛けを意識していましたか。
A、名古屋グランパス戦、柏レイソル戦と良い形で得点を奪うことができていました。自分たちの攻撃の形を積み上げているなかで、今日の試合に関しては、個で打開する局面が特に多かったと思います。そのプレーに対して味方が人数をかけて関りを持ち、個の場面からグループで仕掛ける攻撃に切り替えることができなかった印象です。

Q、前後半それぞれ大きなチャンスを生み出していました。
A、得点に直結するようなプレーはさらに増やしていきたいと思っています。惜しい、だけではなく得点を求めていきたいと思います。

Q、攻撃の形が浸透しつつあるように見えますが、ここから成長するために必要なことを教えてください。
A、今日のような守備の時間が多くなってしまう試合も今後出てくると思いますが、どのような状況であれ、どのような攻撃を仕掛けて得点に繋げていくのかを全員で共有する必要があると思います。そうすることで得点も多く生まれてくると思います。攻撃の場面で個々で戦うのではなく、チームとして攻撃の形を共有していきたいと思います。


<寺山翼選手>


Q、難しい試合だったと思いますが、どんな意識で試合に入りましたか。
A、相手にボールを持たれる時間が多い試合だったので、もう一度チームの意識を前にさせるプレーや、セカンドボールの回収というところは、監督からも言われていた部分だったので、そこを意識して試合に入りました。その部分に関して個人的には納得できていないですし、失点をゼロで抑えられたことは良かったですが、こういう試合でこそ1点を取って勝つというところが大事になると思うので、そこはまだ練習で積み上げていかなければいけない部分だと思います。

Q、こういった試合で途中から出場することは難しいと思いますが、個人のパフォーマンスはどのように感じていますか。
A、まだまだです。ただ守備のところでやれた部分はあったのでそこは良かったと思いますし、自分はファーストプレーでどういうプレーができるかというところを大切にしていますが、そこはうまくできたと思います。それでも自分が出場した20分のなかで何ができたかというと何もできていないと思うので、もっと突き詰めてやっていきたいと思います。

Q、守備から攻撃までアグレッシブに戦う寺山選手自身の良さが戻ってきたような感覚も受けました。
A、小林稔コーチとよく話をしていて、「キャンプの時にはできていたアグレッシブさという部分をもう一度取り戻そう」という話をしていました。自分のなかでもそこはできているような、できていないような感覚だったので、練習からそこをより意識してとにかくチャレンジすることが重要です。クラモフスキー監督もよく言っている『勇敢にプレーする』というところを常に意識してプレーすれば、自ずと自分らしいプレーが出せるという感覚を得ることができました。ただ、そのベースとなる部分のレベルは、安部柊斗選手だったり、松木玖生選手はもっと高いレベルでやれているので、二人に負けないように、まずは付いていきながら追い越せるようにやっていきたいです。

Q、次の試合はヴェルディ戦です。アカデミー出身選手でもある寺山選手の意気込みを聞かせてください。
A、本当に負けられない一戦だし、勝つことしか許されない試合だと思います。ファン・サポーターの方も試合後にいつも歌ってくれていますが、「ヴェルディだけには負けられない」という気持ちを選手もスタッフも持っているので、自分の出場があるかは分かりませんが、熱く戦って自分たちが『東京』なんだということを証明したいと思います。