4/16 札幌戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.4.16

4/16 札幌戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
東京は4月、中2、3日で7試合を戦う過密日程を戦っている。最初のAFCチャンピオンズリーグ出場クラブとの3連戦は1勝1分1敗という成績で、13日にはルヴァンカップの湘南ベルマーレ戦を挟んで、連戦5試合目となる今節は、J1リーグでの北海道コンサドーレ札幌とのアウェイゲームに臨んだ。

連戦の中で毎試合メンバー構成を変えている東京。この一戦では、浦和レッズ戦を回避した木本恭生選手が戻り、13日の湘南戦で今シーズン初ゴールを決めた小川諒也選手が左サイドバックでスタメンに戻った。中盤の3選手の構成は変わらず、前線は右ウイングに永井謙佑選手が、左ウイングに渡邊凌磨選手が起用された。

立ち上がりからゴールキーパーを含めてボールを保持する札幌に対して、東京は前線からプレスをかけていくものの、はがされて押し下げられる展開が続く。マイボールになっても連携のズレや球際の相手の強度の高さの前に、すぐにボールロストすることが多く、なかなかリズムをつかむことができない。ただ、ボール保持をできない中でも、東京は前がかりになった札幌の背後を突き、手数を掛けずにダイレクトプレーで相手ペナルティエリア内に侵入するシーンを作った。ボールをうまく保持できず、試合をコントロールするには至らないまでも、球際でのプレスの強度は失わず、フィニッシュまで持ち込ませることなく焦れずに対応した。ボールを保持する場面が増えてきたのは前半の終盤から。長短のパスを使い分けてピッチを広く使い、サイドを起点に相手ゴール前への侵入を試みる。サイドから効果的な攻め手が見つからず、次の手として相手の背後のスペースも狙うが、これも有効な手段とならずに決定的なシーンがないまま試合を折り返した。

リズムをつかみたい東京は、左右のウイングを配置換えし、永井選手を左に、渡邊選手を右に置く。後半5分には、永井選手が左サイドのスペースへ抜け出して相手陣内の深くまでボールを持ち出す。逆サイドを狙ってラストパスを供給したが、右サイドからゴール前に入ってきた渡邊選手の前で相手ゴールキーパーにキャッチされた。後半に入ると一転して、東京がボールを保持する時間が続き、相手のプレスをいなしながらじわじわと相手陣内に入っていく展開。攻撃の活性化を狙い、後半13分には永井選手に代えてアダイウトン選手を投入した。そのアダイウトン選手が前線からの守備のスイッチ役になり、相手のビルドアップを乱して中盤でボールを回収することができて、後半は二次攻撃三次攻撃の機会が増える。相手に反撃の余地を与えない時間が続いていたが、後半27分にはゴールライン際で粘られると、ゴール目前右寄りの位置で青木亮太選手にシュートを打たれるが、これはヤクブ スウォビィク選手がはじきだす。後半31分には渡邊選手に代えて紺野和也選手を投入して攻撃のさらなる活性化を狙う。

後半34分にはセットプレーでピンチが訪れる。左からのコーナーキックを頭で合わされるがスウォビィク選手がセービングし、こぼれ球をもう一度プッシュされるが、これもスウォビィク選手が体勢を立て直して反応し、ゴールラインギリギリのところで止めるビッグセーブを見せた。後半40分には紺野選手が起点になって安部柊斗選手が右サイドを抜け出すと、ゴール前に速いクロスボールを入れるがゴール前でわずかに合わない。後半42分には左サイドのアダイウトン選手がゴール前に入ってきたディエゴ オリヴェイラ選手にクロスボールを合わせるが、ディエゴ選手のヘディングシュートはわずかにゴールの右へと逸れた。後半44分にはアダイウトン選手がドリブルでペナルティエリアの左寄りのスペース深くまで侵入し、ゴールキーパーも引き出してゴール前にラストパスを送り、飛び込んできた松木玖生選手がスライディングで合わせにいったがわずかに届かなかった。

後半に入って主導権を握った東京だったが、終盤に訪れたチャンスを決め切れず、2試合続けて0-0のドローでタイムアップを迎えた。次節はホーム味の素スタジアムに戻り、中3日で名古屋グランパスとの一戦に臨む。


[アルベル監督インタビュー]

Q、試合を振り返ってください。
A、今日、試合をご覧になった方々にとっては、とても見応えのある、両チームが攻撃的に戦った試合だったと思います。両チームともにアグレッシブなハイプレスをかけて、攻撃的に戦いました。試合の中で我々が支配していた時間帯もありましたし、我々が支配されてしまった時間帯もありました。後半、我々にも札幌にも決定的なチャンスがありました。ゴールを奪えるかどうかで勝敗が決まるのがサッカーですから、0-0という結果だけを見ると、お互いに消極的なプレーをしていたように思われる人もいるかもしれません。けれども、今日唯一足りなかったのはゴールだけだったと思います。
選手たちの戦う姿勢にはとても嬉しく思っています。試合を重ねるごとに、チームは試合を支配することが改善されてきています。このチームがスタートして3か月ほどしか経っていません。その短期間の中でこれだけ成長したことは評価に値すると思います。選手たちは毎試合勝負にこだわってプレーしてくれています。私はその姿勢にとても満足していますし、評価しています。
また、相手チームを称えたいと思います。ペトロヴィッチ監督と対戦できたことを誇りに思います。私がプロサッカーチームの監督という職に就いてから、まだ短い時間しか経っていません。まだ学んでいる最中ですから、引き続き学ぶことが重要です。
そして、応援に来てくださったFC東京のファン・サポーターの皆さんにもありがとうという気持ちを伝えたいと思います。札幌のファン・サポーターの皆さんも、我々に拍手を送ってくださいましたので、この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。札幌にしろ、新潟にしろ、日本の北側に住む方々は良い人が多いのかなと思いました。

Q、2試合連続の無得点でのドローはネガティブな結果でしょうか。
A、当然、サッカーの勝敗はボールがネットを揺らすかどうかにかかっています。昨シーズンも新潟で指揮を執っている時に、多くの試合で試合を支配しながらもゴールがなかなか決まらない試合が多くありました。
今日の試合の展開において、試合の早い時間帯にどちらかのチームがゴールを決めたとしたら、最終的には例えば3-3の同点で終わるというような展開が待っていたような試合でした。
私は監督としてゴール数よりも、決定的なチャンスをどれだけ作れたのか、もしくは相手チームにどれだけ決定的なチャンスを作らせてしまったのか、その数字に注目しています。例えば、今日も札幌に決定的なチャンスを2、3回作らせてしまいましたが、それは決して多くはないので安心しています。我々も4、5回は決定的なチャンスを作れていたと思います。その部分はとてもポジティブに捉えています。
ここ札幌での試合で勝利をもぎとるのは難しいと思います。90分を通して勝利をめざして戦った姿勢を評価しています。そういう意味でも、今日の試合をポジティブに捉えています。FC東京はどのチームに対しても、決して怯えたようなプレーはしません。

Q、松木選手は北海道の室蘭市出身です。彼の最近プレーと今日の評価を聞かせてください。
A、北海道で良い食事をしたからあれだけ成長したんでしょうね(笑)。彼はまだ18歳です。高校生年代でプレーしてからプロの世界に入ってまだ間もない選手です。そのレベルの差はとても大きいと思います。
彼の長所というのは何でしょうか? それは多くの日本人選手に足りない部分だと思います。彼の強いメンタリティ、勝負にこだわるメンタリティ、それが彼の長所だと思います。
札幌の若い中島選手も素晴らしいメンタリティの強さを持っていると思います。北海道の空気が、強いメンタリティを作るのではないでしょうか。
ヨーロッパと日本の選手との差はそこにあると思います。技術のレベル差ではありません。ヨーロッパの高いレベルで戦うには、勝者のメンタリティ、勝利にこだわるメンタリティ、強いメンタリティが必要です。18歳の玖生がそれをすでに持ち合わせていることは高く評価できると思います。
しかし、まだ改善しなければならない部分もあります。例えば、試合で落ち着いてプレーする瞬間を持つことはまだ学ぶべき部分です。ボールを簡単に失わないこともまだ改善が必要です。けれども、彼はミスをしたあとでもチャレンジし続けます。それが彼の素晴らしい部分です。それこそが強いメンタリティを持っている証だと思います。そのような強いメンタリティを持っていてはじめて、高いレベルでプレーできるのだと思います。例えば、長友佑都も強いメンタリティを持った選手です。彼のようなメンタリティを持っていることが玖生の武器だと思います。


[選手インタビュー]
<ヤクブ スウォビィク選手>

Q、ビッグセーブもありましたが、今日の試合をどう評価しますか。
A、札幌という難しい相手とタフなゲームになったと思います。札幌ドームでプレーするのは初めての経験でしたし、普段のスタジアムとは違った空間で簡単ではなかったと思います。ただ、前向きに考えれば、勝点1を持ち帰ることができるのはチームにとって非常に大きいです。理想を言えば勝ちたかったですが、勝点1をポジティブに捉えて東京に帰りたいと思います。

Q、2試合連続のスコアレスドローでしたが、言い換えれば2試合続けて無失点に抑えました。その点はどう思いますか。
A、自分の役割はしっかりとゴールを守ることなので、そういう意味ではゼロで抑えられたのは良かったと思います。ただ、無失点は自分だけで達成したことではなく、ディフェンスの選手の協力があったからだと思います。同時に、自分は攻撃のスタートとして、自分たちのプレースタイルを表現できるようなプレーを続けていきたいと思います。
クリーンシートで抑えられたことは素晴らしいことだと思います。ただ、勝てれば自分たちにとってはすごく嬉しい結果でした。札幌という相手、札幌ドームという難しい場所で勝点1を持ち帰ることができることは嬉しく思います。

Q、守備もアクティブだったと思いますが、どこが良かったと感じますか。
A、自分たちの良かった点は、全体が連動して前線から守備をしたところです。ひとりでも欠けてしまうと、守備というものは構築されないので、前線のディエゴから全員が集中してスタートした結果が良い守備につながったと思います。今回良かったことを残しつつ、できなかったことを改善しながらチームの中でトライをして、より良い結果をもたらせるように準備をしたいと思います。

Q、準備期間がない中で連戦が続きますが、何を意識して準備をしますか。
A、なかなか時間は多くないのですが、しっかりと切り替えること、そして身体を休めてリカバリーすることが大切です。ミーティングの中で、チーム戦術の相互理解を深めていくことが重要になってきますし、コンディションにも気を付けながらチーム戦術の浸透を深めていくことが重要です。最後に、多くのファン・サポーターが北海道の地まで応援に来てくれたことが、自分にとってもチームにとって励みになったので、心から感謝を伝えたいです。


<松木玖生選手>

Q、最後惜しいシーンもありました。今日のゲームを振り返ってください。
A、ここまで得点を取れておらず、チームに貢献できるようにゴールを狙っていたので、最後のシーンは詰めが甘く得点にはつながりませんでしたが、ここからどんどん得点が取れるように突き詰めていきたいと思います。常にゴールは狙っているので、シュートが打てる場面では、打たない選択をして成長を止めたくないので、周りの先輩の選手にも助けてもらいながら、どん欲に狙っていきたいと思います。

Q、松木選手は自分の役割を整理できてプレーしているように見受けられます。
A、周りの先輩方からピッチ上では自由にやっていいと言われています。持ち味の運動量だったり、ハードワークだったり、ボール奪取などは積極的にいくようにしています。自分自身巧いプレーヤーではないので、泥臭くゴールも狙っていきたいなと思います。

Q、今日の試合が北海道でのはじめての公式戦となりました。
A、普段の試合と変わらず臨みました。ただ、今日は両親が観に来てくれていたので、良い結果を残して恩返ししたいと思っていましたが、それは次に持ち越しになりました。

Q、同じ世代の中島選手との対戦はいかがでしたか。
A、この先もお互いガツガツ対戦することになると思うし、今日はいい試合ができていたかなと思います。

Q、開幕から2か月がたちました。自身の成長についてはどのように感じていますか。
A、U-21代表のドバイカップにも参加して、周りから求められている事は多いなと感じたので、ゴールへ向かう事だったり、更にチームに貢献するために何ができるかを考えて取り組めているかなと感じています。

Q、試合後、宮澤選手とユニフォーム交換をされていました。
A、覚えていないかもしれませんが、自分が小学校のときに宮澤選手が地元のチームに来て、一緒に写真を撮ってもらったことがあります。(宮澤選手が戦っている)舞台に憧れていたので、その先輩と一緒にサッカーができてよかったです。


<安部柊斗選手>

Q、90分振り返ってみていかがでしたか。
A、結果的に引き分けで勝点1は取れましたが、決めなければいけないシーンもありました。もう少しチャンスをつくらないといけないと感じた1試合でした。

Q、相手はサイドからクロスを狙っていたと思いますがいかがでしたか。
A、札幌は独特な攻撃をしてくるなかで、自分たちは監督のもとで戦術的な守備をして守れていたので、最後クロスをあげられたりしましたが枚数は揃っていましたし、守備は問題なかったと思います。

Q、均衡した展開が続きましたが後半はどんな修正をして入りましたか。
A、相手3バックの裏が空くことを監督から言われました。自分か(松木)玖生が2列目から飛び出すことを考えていたなかで、後半に何回か自分たちが抜け出してチャンスになったシーンもありました。ですがその回数をもっと増やしていきたいです。

Q、安部選手のところでボールを奪ってからの攻撃でいい形がつくれていたと思います。
A、ボール奪取や球際は自分の特徴でもあるのでそこで負けてはいけないと思いますし、相手にそこで勝てばチャンスになると思います。気持ちの部分でもあると思うのでしっかりプレーしていきたいです。

Q、次の名古屋戦に向けていかがですか。
A、中3日での連戦になりますがしっかり良い準備をして、次はホームなのでファン・サポーターの皆さんに勝点3を届けられるようにプレーしていきたいです。


<青木拓矢選手>

Q、激しい試合になりました。試合を振り返ってください。
A、お互いにミスからチャンスになる場面が多い試合になったのかなと思います。 

Q、ペトロヴィッチ監督との対戦は毎回激しい試合になる印象があります。
A、そうですね。どこまで焦れずに我慢強くプレーできるかが鍵になると思っていました。

Q、中盤の3人は今日も運動量が多くなっていたと思います。今日の3人の関係性はどうでしたか。
A、3人とも良いタイミングでスライドができていたと思います。試合のなかで変化させなければいけないこともできていたと思うので、この関係性を崩さずにやっていきたいです。 

Q、常に攻守の起点になることは意識していると思います。今日はその部分で自身のプレーはいかがでしたか。
A、マンツーマンでくる相手だったので、ボールに触る場面はあまり多くなかったですが、ミスをした後のリスク管理のところをより意識してプレーしました。 

Q、連戦はまだ続きます。中3日で迎えるホームでの名古屋戦に向けて意気込みをお願いします。
A、ホームですし、今は引き分けが続いているので、自分たちも勝利が必要な状況です。自分たちでしっかりと意思統一をして、試合に臨みたいと思います。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>

Q、今日の相手は3バックでしたがやりづらさはありましたか。
A、3バックであろうが4バックの形であろうが特に気にすることはなくプレーしました。アウェイという場所で戦うことのほうが難しかったです。

Q、前線から強度の高い守備を行っていました。
A、監督が狙いとしていた前線からの強度の高い守備がテーマでもあったので監督の指示通りに出来たと思います。ボールを奪ったあと攻撃面で点を取りたかったです。得点につながらず残念です。

Q、背後への抜け出しでチャンスをつくっていたと思います。
A、相手が3バックという事で背後にスペースがあったので相手の裏への抜け出しは意識していました。

Q、前線の連携はいかがでしたか。
A、シーズンがスタートしたときは難しさがありましたが、時間が経つにつれてだんだんと良く待っている認識はあります。まだまだこれから良くなっていくと思っています。

Q、今後ボールを保持するなかでどんな狙いを持ち次節に挑みたいですか。
A、ポゼッションすることは出来ていますが得点が取れていないところが、自分たちのテーマになると思います。ポゼッションが出来ていなくても得点が入れば勝てるのがサッカーなので自分たちのサッカーをしながらしっかり得点をとることにつなげていきたいです。