前節・京都サンガF.C.戦のレビュー
5連戦の最後を締めくくる味の素スタジアムでのホームゲーム。ここまでの4連戦を3勝1分の成績で乗り切り、開幕戦で喫した敗戦からの巻き返しに成功した東京にとっては、是が非でも勝点3を奪って上位争いに名乗りを上げたい試合となる。試合前には東慶悟選手の引退セレモニーが行われ、「指導者として必要だと思われるようになって必ず帰ってきます。選手として優勝できなかったので、監督としてチャレンジしたい」という宣言が場内を沸かせた。
功労者を送り出すという意味でも重要な一戦で、青赤イレブンがピッチで躍動する。立ち上がりからボールを握って崩しどころを探ると、攻守をシームレスにしたサッカーを披露。ボールを奪った瞬間に複数選手が走り出して華麗なワンタッチプレーを見せれば、敵陣に押し込んだ状態から即時奪回する果敢な守備で二次攻撃、三次攻撃へとつなげていく。前半終了間際に危険なシーンこそ作られたが、試合の大半を京都陣内で進めていった。
後半に入っても流れは変わらない。右、左、中央と状況に応じた多彩なアタックで迫っていくと、ゴール前を固める京都の守備網をついに東京が打ち破る。
後半24分、アレクサンダー ショルツ選手の縦パスに抜け出した室屋成選手が右サイドで力強く仕掛けてクロスボールを入れると、中央のマルセロ ヒアン選手が打点の高いヘディングを突き刺してゴール! そのままゴール裏に向かって走ると、悪天候にもかかわらず熱い声援を送り続けてくれたファン・サポーターに「今日のゴールは彼らに捧げたい」という想いで一緒に喜びを分かち合った。
続く同30分には再び室屋選手が右サイドで粘り強く持ち込んでシュートを放つと、ゴールキーパーにセーブされたこぼれ球を長倉幹樹選手がタイミング良く押し込んで追加点。立て続けのゴールで東京がリードを2点に広げた。
その後も攻め手を緩めることなく押し込み続けた東京が2-0で快勝。過密日程の5連戦を4勝1分の無敗で乗り切ると同時に、史上12クラブ目となるJ1リーグ通算350勝を手にした。
今節のプレビュー
攻撃は最大の防御なり──。まさにそんなサッカーを体現できている。誰が出ても変わらないクオリティで、ピッチに立つ選手の個性を組み合わせながら多彩なアタックを見せていく。相手の出方に合わせるのではなく、相手に合わせさせるような形で、自分たちのスタイルを貫き通せるようなゲームを展開できるようになってきた。
攻め込む時間が続くなかでもカウンターへのケアは怠らず、逆に押し込まれたシーンをカウンターのチャンスだと捉える向きもある。一定の戦い方に固執せず、ボールをつないで攻める優位性を活かしながらチャンスを生み出していく。フィニッシュのシーンで決定力を上げていくことができれば、本当にゲームを支配しながら、そして相手にダメージを与えながら試合を進めることができるはずだ。
過密日程の5連戦を4勝1分、14得点1失点の無敗で乗り切ったFC東京が今節、さらなる上昇気流に乗るべくアウェイのガンバ大阪戦に臨む。
多くの選手を起用しながら結果を積み上げた連戦を踏まえて、松橋力蔵監督は「しっかりと全員で準備していくことが大事。まだまだいろいろなオプションが頭のなかにある」と新たな組み合わせを示唆。連戦を戦い抜いた選手のコンディションにバラつきがあったものの、オフを挟んでトレーニング強度を調整することで「しっかりと今節に向けて揃えられた」と話す。今まで以上にアグレッシブなサッカーが期待されるところだ。
対するガンバ大阪は今シーズン開幕直前に明神智和新監督が就任。コーチから指揮官に立場を変えたクラブレジェンドに率いられて2026/27シーズンを戦っている。リーグ戦はここまで1勝3分2敗、5戦未勝利と結果が出ていないが、2トップには独力でゴールを陥れる力がある。チーム全体を見ても能力が高く、実績のある選手が並んでいるだけに、松橋監督は「彼らの最大値をしっかりと見なければならない」と警戒しつつ、「我々が彼らをどう抑えて、どう自分たちの良さを出していくか」にフォーカスしていく姿勢を明らかにする。”東京らしさ”を出していけば、自然と相手の良さは消していけるはず。これまでと変わらず、臨機応変さを出しながら攻守に圧倒していきたいゲームとなる。
また、この試合で注目しておきたいのは、常盤亨太選手と長友佑都選手の明治大学出身コンビのプレーだ。
常盤選手は明治大学時代、先輩の安部柊斗選手(元FC東京、現G大阪)を意識するように促され続けてきた。今節、プロの舞台で初めて対戦する可能性が高く、ポジション的にはマッチアップする機会も増えることが予想される。この球際の勝負で勝てるかどうかが試合の流れを左右することは想像に難くないだけに、常盤選手は「周りから特に意識させられてきた相手でもあるので、球際で上回りたい。そこはJリーグで一番にならなければならないので、絶対に負けられない」と意気込む。ここは何としても成長の跡を見せつけたいところだ。
そして試合当日に40歳の誕生日を迎える長友佑都選手も気合十分。「40歳になっても青赤のユニフォームを着てプレーできることを本当に誇りに思う。誕生日はチームの勝利で祝いたい。ここでの優勝にしか興味がないので、すべてのエネルギーを東京のリーグ優勝に向けて注ぎたい」と先に見据える大目標に向かって気持ちを新たにする。
開幕戦で大敗し、第2節で終了間際に追いつかれて痛恨のドローに終わったが、松橋監督の下でブレずに突き進んできたチームは今、間違いなく大きな手応えと自信を胸にしっかりと前進することができている。今節も相手を圧倒しながら、臨機応変なスタイルで勝利を手にしたい。大きな目標に到達するためには、何より目の前の試合で一つずつ勝点を積み上げていくことが肝要だ。自分たちにしっかりと矢印を向け、青赤軍団が攻守に持ち味を発揮して東京に勝点3を持ち帰る。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、前節は非常に良い内容で勝利しました。今週はどこにフォーカスして取り組んできましたか。
A、浮き沈みではないですが、良いところがあれば、やはりまだまだ課題感のあるところは、日々のトレーニングのなかでもあります。自分たちのやるべきことをしっかりやっていき、その精度を高めていくためのきっかけは必ず日常のなかにあるので、しっかりと選手とも話しながらやってきました。
Q、シーズンを通してクオリティを上げていくというのは本質的な取り組みだと思います。今、特に気になっている部分はありますか。
A、形というよりは、やはり精度です。日々のトレーニングで自分たちのクオリティをどれぐらい上げられるかというのは、日々のトレーニングでしかできません。緩んでいるわけではなくても、質が保たれていないような状況であったり、単純な練習でそういう場面が見られれば、試合ではボールを絶対につなげられない、という根幹となるところだと思います。そこは常に求め続けないといけないです。完璧にはいかないですが、常に追求していかないといけない部分だと思うので、それは日々のなかに必ずきっかけがあります。
Q、極端な話、質が伴っていなくても勝ててしまう時もあります。監督自身が物差しを持って、高い基準から求めるべき基準を合わせていくことが大事になりますか。
A、そうですね。基準がここにあるというわけではなくて、高みはずっと先にあるので、そこにどれだけ近付けられるか。というところは、ずっと追い求めています。完璧というものはありません。
Q、ガンバ大阪はシーズン開幕前に監督交代があり、さまざまな変化もありました。現在のG大阪をどのように見ていますか。
A、前線にはゲームを一人で決められるような非常に素晴らしい、選手がいます。そういうところは警戒しないといけないと思います。どこのチームにも良い選手が揃っていて、だからこそ噛み合ってきた時は怖いです。それはどのチームも一緒ですし、G大阪だからではありません。その力をどう発揮させないようにするかということも大事です。出されたとしてもそれをしっかりと抑えていかないといけないので、攻撃の部分でも我々が上回っていかないといけないと思います。
Q、先日のジェフユナイテッド千葉戦を見ると、G大阪の良さを出される前に積極的に仕掛けていく姿勢も重要に見えました。どのように捉えていますか。
A、先制点が非常に大きく影響したゲームだったと思います。とはいえ、結果がどうなるかというのはどちらにも転ぶゲーム内容だったかなと思います。ただ、そのゲームだけではないですし、我々もいろいろな想定をするなかで、ポイントを絞って攻撃、守備のところは整理しているので、そこをしっかり相手を上回って表現することができれば良いゲームになると思います。
Q、 G大阪戦は、ここからもう一度優勝争いに加わっていくという意味でも大きな試合になると思います。どのように考えていますか。
A、本当に大事な一戦です。どの試合も大事な一戦なので、たとえ勝ち続けて首位に立っていたとしても次のゲームは大事ですし、我々は勝点を積み上げていくことにフォーカスしています。本当に試合の入りから全開でパワーを出しながら臨むようなゲームができればなと思います。
選手インタビュー
室屋成選手

Q、連戦が終わり、今回は1週間の準備期間がありました。連戦を踏まえた準備もあったと思いますが、どのようなトレーニングを積んできましたか。
A、感覚的には、連戦でも1週間空いてもあまり変わらないです。多少落ち着いて、チームとして戦術の部分を練習できる時間が増えたので、そういった意味では落とし込む作業を多くできたかなという印象です。
Q、天皇杯も含めて5連戦を4勝1分で終え、リーグでもじわじわと順位を上げています。まだ順位を気にする段階ではないと思いますが、流れ自体は悪くないのではないでしょうか。
A、そうですね。最初は少し勝点をとれなかったので、そこをしっかり自分たちで取り返して、流れも良い感じにきていると思います。まだ順位を気にする段階ではないと思うので、とにかくしっかり勝っていきたいです。
Q、今シーズンはここまで、攻撃でも守備でも、自分たちがやりたいようにできている印象があります。
A、それは明治安田J1百年構想リーグの時から感覚的にずっとあります。基本的に自分たちがやりたいことはできているので、そのなかでもう少しファイナルサードでのクオリティを上げる必要はあると思います。ただ、チームとして本当に安定した戦いができています。
Q、室屋成選手自身のパフォーマンスとして、守備は安定しており、より攻撃にどれだけ関われるかが試合の結果にも大きく表れている印象です。
A、大前提として、自分は常に守備のことを考えているし大事にしています。攻撃的に見えるかもしれませんが、守備のことを考えながら攻撃に参加しているので、常にバランスをとりながらやっています。そのうえで、攻撃に関わっていくところも自分の強みではあるので、そこも常に試合では意識していますね。
Q、攻撃時のポジショニングについて、高い位置をとりながらも、ボールを失った時のことを考えているのでしょうか。
A、自分が深い位置に入ることで相手のラインが下がることもありますし、そのバランスを常に試合の流れを見ながら考えています。いつ自分がフォワードの位置まで入るべきなのか、いつ外に開いておくべきなのか、低い位置にいるべきなのかということを常に考えながらやっています。
Q、サイドに張っている時もあれば、外から中に入ってボールに関わる時もあります。決まった型というより、その場その場で相手の立ち位置を見て判断しているのでしょうか。
A、試合の流れや、相手がどこを嫌がっているのかということは考えながらやっていますが、基本的にはその瞬間の判断が多いです。チームがボールを持てるからこそ実現できることだと思います。サイドバックが上がれるというのは、チームがボールを握れている証拠です。自分だけの攻撃ではなく、チーム全体で作り上げているものですし、今チャンスを多く作れているのも、全員がやろうとしているイメージが一致しているのが大きいと思います。
Q、次の相手はガンバ大阪です。相手の状況にかかわらず、どのように試合へ臨みますか。
A、基本的に、どこと戦おうがあまり関係ないというか、相手の調子の良し悪しというのは、自分たちにとってあまり関係のないことだと思っています。しっかり自分たちが100パーセントのパフォーマンスを出せれば、どの相手でも勝点3を持ってこられるという自信があります。とにかく、自分たちがやってきていることを明日も引き続きしっかりやり表現したいと思います。
Q、最後に、連戦をともに戦ってくれたファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
A、前節では雨の中でも応援してくれていますし、アウェイでもたくさんのファン・サポーターが来てくれているので、今シーズンも本当に心強いです。しっかり勝って、良い気分でみんなで東京に帰れるようにしたいです。
安斎颯馬選手

Q、京都サンガF.C.戦ではチームでやりたいことを表現しながら勝利できたと思います。
A、決め切るチャンスはもっとあったと思います。良かったところは継続することは当たり前ですが、もっと自分たちで突き詰められる部分もあるので、そこは変わらずにしっかりと積み上げていきたいです。
Q、チームへ遅れて合流しました。コンディションも上がってきているように思います。
A、まだまだです。モチベーションもまだ上がりますし、まだ合流してから1か月ちょっとしか時間は経っていないので、もっといろいろな形でチームに貢献したいと思いますし、僕自身まだまだできるとは思っています。一つでも多くの勝点を届けられるように頑張りたいです。
Q、ゴールやアシストという目に見える結果も残せています。
A、結果もまだまだです。リーグ戦では2点しかとっていないですし、アシストもまだまだ褒められる数字ではないと思っています。シーズンは本当に始まったばかりです。もちろん数字にはこだわりたいですが、一番大事なのはチームの勝利なので、まずはどんな形でも勝利に貢献できるように頑張りたいです。
Q、ガンバ大阪に勝利するためには何がポイントになりますか。
A、今まで積み上げてきたものを表現することだと思います。チャンスはしっかりと作れていますし、決め切れるかどうかも自分たち次第です。自分たちのミスをなくせば、クリーンシートという結果も残せています。もちろん相手に対してやるべきことはありますが、まずはしっかり自分たちのサッカーをすることをチーム全員で意識してやっていきたいと思います。
Q、G大阪戦は、ここからもう一度優勝争いをしていく意味でも大きな意味のある試合になると思います。
A、僕たちは上にプレッシャーをかけ続けることしかできないですし、ただ自分たちがしっかり自分たちのサッカーをやって、意識を揃えることができれば、必ずそこにいける力は今あると思うので、まずは目の前の一戦、しっかり勝点3を持って帰ることにフォーカスしてやっていきたいと思います。
Q、連戦の期間も常に熱いサポートをしてくれていた、ファン・サポーターへのメッセージをお願いします。
A、連戦期間で、平日のアウェイや、雨のなかという過酷な状況でも常に熱いサポートをありがとうございます。本当にファン・サポーターの方々の声援は選手の力になっていますし、僕たちもそれに応えるためにプレーをしています。明日もアウェイの地になりますが、全力で戦いたいと思うので、引き続き応援よろしくお願いします。


