前節・ジェフユナイテッド千葉戦のレビュー
開幕からの2試合で勝点1。ここから優勝をめざしていくために何としても勝利が必要となるゲームで青赤軍団が躍動した。
“俺たちの国立”で行われた試合は、東京が序盤から相手陣内に押し込み、多くの決定機を作って主導権を握っていく。ボールを保持しながら崩しどころを探り、パスワークが引っかかっても的確にルーズボールを拾って二次攻撃、三次攻撃につなげていった。
中間ポジションで巧みにボールを受けた本間至恩選手が攻撃にリズムを生み出しながらフィニッシュに絡んでいくなど、再三に渡って決定機を作ったが、相手ゴールキーパーのファインセーブもあってゴールネットを揺らすことができない。前半は内容で圧倒しながらスコアレスで折り返すことになった。
迎えた後半、立ち上がりこそ千葉が意識高く臨んできたが、再び冷静な試合運びで流れを引き寄せると、焦れずに攻め続けた姿勢がようやく実を結ぶ。
後半27分、高宇洋選手がペナルティエリア付近のこぼれ球を頭で前方に送ると、相手選手のクリアボールが弱くなったところを狙ってダイレクトで右足一閃! 抑えの効いたハーフボレーをゴールに突き刺し、ついに東京が先制点を奪うことに成功した。
リードした後も受け過ぎることなく、ミドルゾーンで構えながら“前選択”を徹底。終盤に追いつかれてしまったヴィッセル神戸戦の教訓を活かして試合を進めると、後半40分には追加点をゲットする。
キム スンギュ選手のロングフィードに途中出場の安斎颯馬選手が右サイドで競り勝つと、これを拾った仲川輝人選手がゴール前へフワリとしたボールを供給。ここに安斎選手が飛び込んで頭でねじ込んで2-0。この一撃で勝負を決めた東京が、クリーンシートで待望の今シーズン初勝利を手にした。
今節のプレビュー
さらなる上昇気流に乗れ──。アウェイで迎える今節は取り戻した自信を胸に連勝街道を突っ走り、チームの勢いを一気に加速させたいゲームとなる。
先週金曜日にジェフユナイテッド千葉戦を2-0で制した東京は、翌土曜日にU-21チームもU-21 東京ヴェルディとのU-21 Jリーグ初戦に3-0で勝利。さらにミッドウィークに行われた天皇杯 JFA第106回全日本サッカー選手権大会2回戦でAC長野パルセイロに6-0と大勝し、チーム全体が勢いに乗り始めた。
キャプテンの室屋成選手は「本当にようやくスタート地点に立ったような感覚」と話し、稲村隼翔選手も「勝って自信をつけて勝ち続けたら、自分たちみたいなチームは止まらない。(明治安田J1百年構想リーグの)特別大会みたいに負けるイメージもしなくなってくる」と、ここからの反撃に意気込みを語る。だからこそPEACE STADIUM Connected by SoftBank(ピースタ)で行われるV・ファーレン長崎との明治安田J1リーグ第4節は勝利が必要になる。
開幕からの2試合こそ内容に結果が伴わず1分1敗と苦しんだが、積み上げてきたサッカーを信じてブレなかったことでしっかりと前進。千葉戦ではポゼッションからの崩しに加えて、鋭いカウンターでもチャンスを生み出し、リードを奪ったあともしっかりゲームをコントロールして無失点で勝利を手にした。
その背景にはヴィッセル神戸との第2節は終了間際の失点で引き分けに終わった教訓があった。神戸戦後、森重真人選手がチームに伝えたのは、“勝者のメンタリティ”について。「リードしていても受け身にならず、最後まで攻め続けること、引かないことが大事だ」と話した。そして迎えた千葉戦、チームはチャンスを決め切れなくても焦れずに攻め続け、しっかりとゴールを陥れた後も引いて守りを固めるのではなく、主導権を握って追加点につながる攻撃姿勢をキープ。守ってもクリーンシートで勝利を手繰り寄せた。稲村選手は「(神戸戦の反省を)千葉戦でしっかり修正できて、最後に追加点を奪って勝てたことが大きい」とチームの成長に胸を張る。
続く天皇杯の長野戦では先発メンバーを11人全員入れ替えて6-0で勝利。誰が出ても変わらないクオリティがあることを証明したことで、松橋力蔵監督も「一人ひとりの力を勝利に結びつけるという意味で、個々の力が発揮されているから今がある」と総力戦での勝利にあらためて手応えを感じている模様だ。
また、千葉戦で多くの決定機に絡みながら得点を決めることができなかった本間至恩選手に青赤初ゴールが生まれたのもポジティブな材料。本間選手自身も「千葉戦でチャンスを外していたので、とりあえずホッとした。次はリーグ戦で早く点をとりたい。フィニッシュの精度を高めればチームはもっと上にいけるはず。そこを突き詰めていきたい」とリーグ戦での青赤初弾に意欲を燃やす。
今節対戦する長崎は開幕から1勝2敗の成績。ストライカーのチアゴ サンタナ選手を中心に前からの圧力を強めてくるチームだ。前線からのハードワークを身上とするスタイルだけに、東京としては彼らの“矢印”をどう折って自分たちの攻撃につなげていくかがカギになる。ボールの奪い方、奪った瞬間の鋭さが勝敗を分けることになりそうだ。
チームとしての方向性が間違っていないことを証明し、積み上げを自信に変えて、目標に掲げるリーグ優勝へ向けて“リスタート”を切った東京。連戦だからこそ、短期間で勢いに乗って一気に連勝を続け、上位争いを視野に入れるところまで勝ち進みたい。この勢いを加速させるためにも、青赤軍団が総力を挙げてアウェイで勝点3をもぎとりにいく。
※長崎に育成型期限付き移籍中の土肥幹太選手は、契約の関係で今節のFC東京戦には出場できません。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、あらためて、U-21の試合も挟みながら、しっかりと勝ち星が三つ並んだことについて、どのように感じていますか。
A、本当にすべての選手が関わっての勝利だと思います。誰が出ても結果をしっかり求めることはもちろん、我々のスタイルもしっかり貫きながらやっていく。そのなかで勝点を積めていることは非常に良いことですし、この流れを全員で続けていかなくてはいけないと思います。
Q、中二日でV・ファーレン長崎戦があります。どのようなところがポイントになりそうですか。
A、非常にプレスの強度が高く、前への勢いがあるチームです。そこをしっかりと折れるように、我々のなかで準備しているものを出していきたいです。あとは、その瞬間、瞬間で相手の隙は必ずあります。堅いシステムのように見えても、どこかで隙は現れるので、そういうところをしっかり突いていきたいと思います。
Q、短い準備期間ですが、どのようなことを意識して準備してきましたか。
A、攻撃、守備のところで、できることは本当に多くはありませんが、相手に対して自分たちがどうやっていくのかをしっかり整理しています。ただ、あまりそこに頭が寄り過ぎてもいけないので、瞬間、瞬間の状況に対して、みんながグループとして、チームとしてしっかり対応していかなくてはいけないと思います。
Q、状況把握という意味では、天皇杯でも、普段から強調されていることとリンクするようなプレーが生まれたと思います。そのあたりの手応えをどのように感じていますか。
A、本当に、シンプルにプレーすることが一番大事ですし、シンプルさとプライオリティを常に持ちながらプレーすることで、そこからいろいろなものが出てくると思います。自分たちのリズムを持ってプレーしていくなかで、まずはシンプルに、常に優先順位を意識しながらプレーすることが良いプレーにつながると私は信じています。
Q、主力とサブという分け方はしていないと思いますが、チーム全体として底上げができているという手応えはありますか。
A、現時点では、これまで出場機会があまり多くなかった選手もいるかもしれません。ただ、長いシーズンなので、我々は全員で戦ってチャンピオンをめざしたいと思っています。戦える人数が多ければチームの厚みも増しますし、チーム力としてもどんどん向上していくと思います。長いシーズンをみんなで乗り切るうえで、ここ数試合は、U-21の試合も含めて、みんなが良い経験をできたのではないかと思います。
Q、3試合連続で無失点という結果が続いています。クリーンシートが増えていることについてはいかがですか。
A、そこも同時に大事にしなくてはいけないと思います。あれだけ大量得点になれば、「1点ぐらいとられても」というところは試合の流れのなかではあると思います。ただ、選手たちからもピッチのなかでそういう声が出ていましたし、何を大事にしなくてはいけないのかということを、その状況でみんながしっかり目線を合わせてプレーしてくれたことが結果につながったと思います。
Q、ゴールキーパーも3試合でそれぞれ違う選手が出場し、全員が無失点で守り切っています。その点についてはいかがですか。
A、そうですね。ゴールキーパーは一つしかないポジションで、出場機会を得るのがなかなか難しいポジションです。ただ、彼らの日常を見ているだけでも、これぐらいのパフォーマンスができて当たり前だと思っています。たった一人しか出られないポジションのなかでも、そういうことをしっかり意識した日々があるからこそ、なかなかない機会のなかでも力を発揮できていると思います。
選手インタビュー
佐藤恵允選手

Q、チームとして連勝して迎えるV・ファーレン長崎戦ですが、どのような試合にしたいですか。
A、長崎とは初めての対戦なので、相手の特徴も含めてある程度は想像できますが、実際に試合になれば何が起こるか分かりません。入りは堅い試合になるのかなと思っています。ただ、そのなかでも先制点をしっかり大事にして、どんな形でも勝ちたいです。内容ももちろん大事ですが、せっかく天皇杯で6-0の良い試合をしてくれているので、その勢いを消さずにリーグ戦の連戦へ持っていきたいです。流れも大事にした一戦にしたいと思います。
Q、連戦で結果を出しているからこそ、ここでもう一つ勝って、この勢いを本物にしていくことが大事になりますか。
A、本当にここからは負けも許されないですし、優勝するためには連勝していくしかないので、やっていきます。
Q、長崎にはどのような印象を持っていますか。
A、前線にはチアゴ サンタナ選手がいて、ボールを収められますし、ある程度つなごうとしてくると思います。プレスをかけた時にはロングボールをシンプルに蹴ってくるイメージもあるので、そこでしっかり回収できれば問題ないと思います。また、岩崎選手など前へのスピードがある選手もいます。一方で、空いてくるスペースもあるので、ビルドアップやカウンターで突いていければ、自分たちの攻撃が刺さるのかなという印象です。
Q、自身はどのようなプレーをしていきたいですか。
A、まずは前からプレッシャーをかけることです。相手のシステムに対するプレスのかけ方ではサイドのアタッカーがすごく鍵になってくると思うので、うまく押し出してはめられるように頑張ります。
Q、チーム内ではさまざまな選手が結果を出し、競争も活性化していると思います。その状況をどのように捉えていますか。
A、本当に安斎颯馬選手などもすごく良いプレーをしていますし、競争はかなり激しくなってきていると思います。そのなかで自分もしっかり結果を残さないと出場し続けられないと思うので、そういう部分は意識しながらやっています。ただ、競争できることは当たり前ではないですし、チームの底上げも含めて、優勝するチームには絶対に競争があると思うので、そこを絶やさないようにやっていけたらと思います。
Q、長崎の新しいスタジアムでプレーすることについてはいかがですか。
A、すごく良いらしいですね。行ったことはないですが、とても良いと聞いているので楽しみです。
稲村隼翔選手

Q、U-21も含めチームとして公式戦3連勝、さらにクリーンシートが続いています。現在のチームの状況をどのように捉えていますか。
A、非常に良い状態だと感じています。U-21 Jリーグや天皇杯に出場した選手たちが素晴らしいパフォーマンスを見せてアピールしてくれたことで、チーム内のポジション競争がより激しくなりました。開幕からの2試合は思うような結果が出ず難しさを感じましたが、そこから盛り返して、自信を持って試合に臨めるようになっています。この流れを継続していきたいです。
Q、開幕直後の厳しい状況から巻き返し、結果を出し続けられている要因は何でしょうか。
A、一番は松橋力蔵監督が全くブレていないことです。勝てていない状況でも「自分たちがやっていることは間違っていない」と伝え続けてくれましたし、その声に対して室屋成選手を中心にブレずに続けられていました。なので結果がついてくるようになり、今の3連勝に繋がっていると思います。
Q、対戦相手であるV・ファーレン長崎の印象と、警戒すべきポイントを教えてください。
A、長崎は90分間ハードワークできる選手が多く、特に前線の選手たちは非常にタフに戦ってきます。前線の個の打開力やワンチャンスを決め切る強さには警戒が必要だと思っています。
Q、5連戦という厳しい日程ですが、この長崎戦が持つ意味をどう考えていますか。
A、連戦が続くなかで、本当に大事な一戦になります。相手がどこであろうと、連戦であろうと関係なく、一つひとつ勝点を積み上げていかなければ優勝はできません。それは昨シーズン身に染みて感じたことでもあるので、そういった意味でも絶対に勝ちたい試合です。
Q、チームの雰囲気やピッチ上での変化を感じる部分はありますか。
A、チームとして崩れる気がしないというか、安定感が出てきたと感じています。ピッチ上の振る舞いはもちろん、ロッカールームでの雰囲気もすごく良いです。何より、室屋選手や、森重真人選手が発する言葉に対して若い選手も含めて全員が”ついていこう”という強い一体感があります。
Q、長崎戦に向けて、稲村選手ご自身はどのようなプレーを見せたいですか。
A、チームとしてクリーンシートが続いているので、守備陣の一員として失点を0で抑えることは自分に与えられた最大のタスクだと思っています。まずは自分の役割をしっかりとまっとうしたいです。


