天皇杯2回戦のプレビュー
プロ、アマを問わず、すべての日本サッカー協会第1種加盟チームが参加できる天皇杯JFA第106回全日本サッカー選手権大会。その2回戦からFC東京が登場する。先週末の2026/27明治安田J1リーグ第3節でジェフユナイテッド千葉戦を2-0で制し、今シーズンのリーグ戦初勝利を手にした青赤軍団にとっては、一気にチームを勢いづけたい重要な試合。
また、土曜日にはU-21 FC東京がU-21 Jリーグの開幕戦でU-21 東京ヴェルディに3-0で快勝。こちらも即席メンバーながらポゼッションとカウンターを織り交ぜた好内容で圧勝した。内容よりも勝利が欲しい状況で二つのチームが結果を掴みとり、手応えを自信に変えることに成功した。松橋力蔵監督も「(千葉戦の勝利は)ホッとした部分もある。U-21も含めてチーム全体で勝利という成功体験を味わったあとの天皇杯。勝利を続けていけるように波に乗りたい」と今後への弾みとしたい心構えを明らかにする。
そんな状況でミッドウィークに行われるのが、AC長野パルセイロとの天皇杯2回戦。東京としては開幕から内容に結果が伴わない難しさを味わってきたなかで、ようやく待望の勝利を収めた状況で迎える試合だ。
リーグ戦、カップ戦を含めた5連戦の2試合目ということもあり、総力戦となることが予想される。松橋監督も「ここまでリーグ戦で出場機会が少なかった選手が出場する可能性は非常に高い。その選手たちにも勝利を手繰り寄せるパフォーマンスを期待したいですし、必ず次のステージに進むことを目標にやらなくてはいけない」と話すなど、フレッシュな選手の起用を示唆。出番を得る選手に対して「どこでチームに貢献できるのか、どう自分の力をチームに還元できるか。本当に自分が何者なのかをしっかり示してほしい」と期待を寄せる。
対する長野は今シーズン、J3リーグで開幕から2勝1敗の成績。経験豊富な小林伸二監督に率いられてJ2リーグ昇格を狙うチームだ。今回の天皇杯では長野県予選の決勝で松本山雅FCを破り、1回戦で福井ユナイテッドに勝利して勝ち上がってきた。松橋監督が「攻守においてしっかり目線の合った、戦術的にも非常に洗練された素晴らしいチーム」と称したように決して油断できない相手だ。
カテゴリの違う相手と迎える一発勝負のカップ戦。FC東京にとって長野は2017シーズンの天皇杯2回戦でPK戦の末に敗れた苦い記憶が残る相手でもある。もう“ジャイアントキリング”は絶対に起こさせてはならない。そのポイントになるのは、しっかりと相手を同じ目線で見ることだ。トーナメントの初戦は本当に難しく、相手が守備を固めて構えてくる可能性考えられる。自分たちに矢印を向けながら、自分たちに何ができるか、何をするべきかを考えながら戦うことが求め続けなければならない。
そういう意味では、前半から多くのチャンスを生み出し、押し込んだなかで焦れずに攻め続けて後半の2ゴールで勝ち切った千葉戦の教訓は今回のゲームでも活きるはず。攻守に油断することなく仕留め切ることが肝要だ。
昨年度の天皇杯は準決勝でFC町田ゼルビアに敗戦。アジア行きの切符を手にする目前で敗れた悔しさの残る大会だ。当時の記憶を蘇らせる佐藤恵允選手は「あの借りは返さなければならない。勝ち上がっていくためには初戦が重要になるので、自分がゴールを決めて勝ちたい。しっかりと結果を出して次に進みたい」と闘志を燃やす。
日本の頂点からアジアへとつながる青赤の旅路。前回大会で届かなかったカップをめざす戦いが、味の素スタジアムからスタートする。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、チームとして初勝利をあげました。気持ちの変化はありますか。
A、特に大きな変化はありません。シーズンは長いので、大切なのはこの勝利をどう次の自分たちのために活かしていくかです。トップチームが勝利した翌日に行われたU-21Jリーグの試合も難しいコンディションのなかで行われたにもかかわらず、非常に良いゲームをしてくれました。チーム全体で勝利という成功体験を味わった状態で臨む天皇杯となりますので、この勢いに乗って次の勝利に繋げていきたいです。
Q、天皇杯は総力戦になるかと思いますが、チーム全体の起用や期待について教えてください。
A、まさにその通りです。現状のリーグ戦で出場機会が少ない選手たちが中心となってピッチに立つ可能性が非常に高いですし、その選手たちに勝利を手繰り寄せる経験や、手応えを掴むだけのパフォーマンスを期待しています。全員で必ず次のステージへ進むという、目標を達成しなければなりません。
Q、一発勝負の特に初戦ではいわゆる「ジャイアントキリング」が起きやすいと言われますが、防ぐために何が必要でしょうか。
A、自分たちが相手を上から見ないことです。目線をしっかりと同じ高さに合わせなければ、難しいゲームになります。言葉で言うのは簡単ですし、どこのクラブの監督も言っていると思います。過去に多くのジャイアントキリングが起きていることは選手も分かっていても、それでも起きてしまうのがサッカーです。だからこそ、自分たち自身にしっかりと矢印を向けることが重要です。普段対戦しない相手の波長というかテンポを掴むまでに多少の時間はかかるかもしれませんが、まずは「自分たちに何ができるか」「自分たちが何をすべきか」を軸に置いてプレーしなければいけないと思っています。
Q、対戦相手であるAC長野パルセイロの印象はいかがですか。
A、攻守においてチームとして目線の合った、非常に戦術的で洗練されたチームだと感じています。
Q、この試合でアピールして、スタメンの座を狙う選手たちに向けてどのようなことを期待していますか。
A、自分が「何者なのか」をピッチ上でしっかり示してほしいです。自分がどうやってチームに貢献できるのか。もちろん攻守においてチームとしての方向性や狙いはありますが、個々の局面で自分の強みをしっかり発揮してほしいです。そういう意味での個人主義であって欲しいです。単にわがままで自分のやりたいプレーをするのではなく、自分の持つ力をチームに還元するパフォーマンスを見せてくれることを期待しています。
選手インタビュー
山田楓喜選手

Q、まずはチームとして今シーズン初勝利を挙げて、ここから良い流れを作っていけるのではないかと思います。山田楓喜選手自身、シーズン開幕からここまでを振り返っていかがですか。
A、始動日からずっと自分の調子は良いです。身体の状態も良いですし、プレーの面でも自分らしさが出てきています。試合に出たらすぐに結果を出せると思っていますし、その自信はずっと持ち続けて準備はずっとしています。
Q、もちろんスタートから出場したいという思いもあると思いますが、途中出場した試合でも決定機に絡んでいます。
A、一つ点をとったり、アシストがついたりすれば乗っていけると思います。チームとしても自分自身としても、一つ目に見える結果が出れば勢いに乗っていくと思うので、そのきっかけになれば良いと思っています。次の試合も、天皇杯だからといって気を抜く選手は一人もいないと思います。本当に頂点をめざしてチームとしてやっていきたいですし、その勢いをつけるためにも初戦は本当に大事だと思います。チームとしてもそうですし、自分の勢いをつけるためにも、この天皇杯は本当に大事だと思っています。
Q、この先は連戦にも入っていきます。違う大会ではありますが、ここでしっかり流れをつかみにいくことも大切になりますか。
A、やはり試合はたくさんある方が楽しいです。天皇杯もルヴァンカップも勝ち進んでいかないと試合をたくさんできないので、そのためにも一発勝負は本当に大事です。勝てば勢いに乗れますし、リーグ戦にも勢いをつけられる。その1試合で何かが変わっていく選手もたくさんいるので、試合に懸ける思いは自分もそうですし、他の選手も強く持っていると思います。そういうものが見られる試合になると期待しています。
Q、チームとして成熟していく中で、山田選手自身の役割や慣れも高まってきていると思います。キャンプを経てさらに深まった部分や、今のサッカーの中で自分だからこそ出せる違いについて教えてください。
A、最初はサイドでやっていましたけど、途中からトップ下になって、そこでよりこのチームにグッと入れた感じがしています。トップ下でプレーしていくなかで、他の選手とはまた違ったものを持っていると思いますし、何より左足というのが本当に大きな武器になります。それを右サイドにいた時よりもゴールに近いところで出せるので、キャンプが始まってからずっとそこでやっていますけど、よりゴールに近くなったことで得点する場面はすごく増えています。そういうシーンが増えることでチームの得点パターンも増えると思います。他の選手にはないものを持っていると思いますし、セットプレーでも一発で流れを変えられる。チームの状況が悪くても、それで流れを変えられるくらいのものは持っているので、特にカップ戦では違いを出せるのではないかと思います。
Q、J3リーグの相手との対戦になります。やりづらさはありますか。それともあまり意識しませんか。
A、相手が誰でもモチベーションは別に変わらないですし、そもそも練習と試合でもあまりモチベーションは変わりません。自分はそこがずっとフラットなので、一つのフットボールとして考えています。周りからは「相手が下のカテゴリーだ」と言われることもありますけど、自分はあまりそういうことを気にしたことはないですね。
Q、天皇杯はタイトルにつながる大会ですし、昨シーズンは準決勝まで進みました。メンバーによってはチームにフレッシュな部分が出る可能性もあります。そうした中では、チームをプレーで牽引する部分も出てくるのではないですか。
A、自分は声を出して引っ張るようなタイプではないですけど、変に周りに左右されないですし、自分というものを持っていると思っています。それを見て、周りが同じ熱量を持ってついてきたり、良い化学反応が起きたりすることもあると思います。このチームには、お互いを高め合っていける選手がたくさんいるので、自分に限らず、それぞれがそういうものを持っていると思います。だからこそプレーで見せたいです。守備では自分が先頭にいるので、どれだけスイッチを入れられるか。攻撃では、どれだけライン間で受けて後ろと前をつなぐ役割ができるか。そして最後は自分がフィニッシュしてゴールを決める。そこはしっかりプレーで示していけたら良いと思いますし、それがチームにとってプラスになると思うので、ちゃんと見せていきたいです。
常盤亨太選手

Q、開幕からここまでを振り返ると。内容が良いものの勝利することがでない試合もありました。勝ち切るためには何が必要になりますか。
A、ピッチの外から見ていてもサッカーの内容はすごく良いですし、松橋力蔵監督のやりたいことが表現できていると感じます。結果がついてこないのは、最後のところで守り切れなかったり、最後の一歩が届かなかったりする課題があり、そこは自分たちがもう一つ成長できるポイントだと思っています。良いサッカーをすれば勝つ確率は上がりますが、最後のこだわりや守り切りために体を張る部分など、細部を突き詰められればもう一つ上のステージに行けるポテンシャルを持っているチームです。結果が良くないときもブレずに自信を持ってやっていくことが大事ですし、自分のような試合に出られていない選手が日頃の練習や明日の試合などでアピールしていくことで、チーム内の競争をさらに高めていくことができ、チーム全体としてレベルアップにつながり、より強いチームになると思います。
Q、前節のジェフユナイテッド千葉戦など、交代選手が出場することでさらに勢いが出てきたように思います。
A、ベンチの選手はただの控え選手ではなく、試合の流れを変えたり、チームをさらに良くしたりする「ゲームチェンジャー」としての役割を求められています。与えられた仕事をしてチームにさらにパワーをもたらすことができれば、勝つ確率を上げられると思っています。そこはすごく重要な役割だと捉えています。
Q、ここから試合が続きます。総力戦になるので出場機会も増える可能性が高くなると思います。
A、自分のなかでは「連戦だから使われる」というのは自分の中で少し情けないというか、他の選手のコンディションやチーム状況が理由で使われるのは本当の意味でのスタメンではないと思っています。自分のプレーと実力でスタメンを勝ち取るしかないという思いです。ただ、今の自分の立ち位置としてはこの連戦や天皇杯が大きなチャンスであることも理解しています。ここで結果を残さなければスタメンに戻ることは難しいですし、今シーズンを左右するくらい大切な試合になります。気合いを入れて試合に臨みたいです。
Q、一発勝負のノックアウトステージとなる天皇杯です。どのような準備をして臨みますか。
A、相手のカテゴリーがJ3リーグだからとか、トーナメントだからということは関係ありません。チームとしてやるべきことをやり、自分が与えられた役割を果たせば、このチームはそう簡単に負けるチームではないと思っています。相手を舐めているわけではなく、自分たちがやるべきことをやれば強いチームだという自信があります。全員がいつも通りの準備をして、“勝つ”という強い気持ちを持って臨めば、必ず良い結果がついてくると信じています。
Q、前回大会では、ベスト4で敗退となりました。届きそうで届かなかった天皇杯というタイトルへの想いを教えてください。
A、前回大会では、大分トリニータ戦や浦和レッズ戦などでスタメンで出場して90分で勝ち切ることができ、自分の中でも大きな自信になりました。リーグ戦で試合に絡めないなかで、自分が出た天皇杯では勝利できていたので、良いイメージのある大会です。ただ、準決勝のFC町田ゼルビア戦ではメンバーに入れず外から見ることしかできないなかで、負けてしまい優勝に届かなかった悔しさが強く残っています。良いサッカーをするだけでは勝てないからこそ、泥臭くても勝ち切る勝負強さが必要です。この大会を通じてチームとしても個人としても成長し、その先にあるタイトルを掴み取りたいです。
Q、最後にファン・サポーターへメッセージをお願いします。
A、ファン・サポーターのみなさんの応援からは常に優勝にかける強い想いが僕たちにも届いています。前回大会は優勝に届きませんでしたが、今大会はリーグ戦だけでなくカップ戦、天皇杯も含めてタイトルを獲ります。ですが選手、スタッフの力だけでは勝ちとることはできません。ファン・サポーターのみなさんも一丸となって優勝をめざして一緒に戦ってください。応援よろしくお願いします。

