今シーズン開幕からチームを盛り立ててきたアカデミー出身の3選手。FC東京U-15、U-18と青赤で育ってきた彼らが、トップチームで初めて東京ヴェルディとの一戦に臨む。並々ならぬ覚悟で迎える一戦に向けて、胸に秘めた想いを熱く語ってもらった。
佐藤龍之介 選手
「この試合だけは、いつもと同じではいけない」

絶対に負けてはいけない相手。それは、僕たちがアカデミー時代から植え付けられてきたことです。プロの舞台では、より勝利しか許されないゲームだと思っています。
中学1年生の時、最初に戦った東京都クラブユースサッカーU-13選手権大会の決勝は忘れられません。PK戦で競り勝ったことをすごく覚えています。自分にとって公式戦で初めての決勝戦がこのカードでした。試合前、監督の藤山(竜仁)さんからは特別なことは言われていません。このカードが持つ意味や「勝ちしか許されないぞ」という僕たちにとっては当たり前でシンプルな言葉で送り出された記憶があります。それをチームの一人ひとりが意識して試合に入ったし、このゲームに勝てたことが自信にもつながった。
トップチームに昇格してからは、遠藤渓太選手が2得点した試合を鮮明に覚えています。僕も魂が揺さぶられた試合でした。ヴェルディがJ1リーグに復帰してから僕たちはまだ負けていません。それはファン・サポーターのみなさんも含めて一つになって戦ってきたからです。この試合だけは、いつもと同じではいけない。判断やプレーの冷静さはいつもどおりを心掛けるつもりです。ただし、球際や攻守におけるバトルにおいては、自分がつぶれてもいいくらいの覚悟を乗せて戦います。
ダービー男になる準備? もちろんできています。ここでゴールネットを揺らして、それが決勝点になればクラブの歴史の一つとして刻まれる。それがアカデミー出身の選手であることが重要だと思っています。これから先の未来で、青赤に袖を通す選手たちにとっても何かを示せるはず。だからこそ、東京を勝利に導くゴールを狙っていきます。
常盤亨太 選手
「どちらが本物の東京なのかを分からせる試合」

FC東京U-15深川に入った瞬間から、ヴェルディは負けてはいけない相手に変わりました。それを教え込まれたのが、このクラブで初代10番を背負った奥原崇監督(現トップチームスカウト兼メソッド担当)でした。奥原さんからは「ヴェルディにだけは何があっても負けてはいけない。もし骨が折れたとしても、あいつらだけには絶対に負けるな」と叩き込まれてきました。自分にとっては、そういう特別な相手です。
ただ、奥原さんがU-15深川の監督を務めた最後の年に、1学年上のチームが3-4で敗れてしまった。その悔しさは鮮明に覚えています。(木村)誠二くんや(バングーナガンデ)佳史扶くんが試合に出ていて、3点をリードしたのに4点を返されてしまった。そこからは一度も負けていませんが、奥原さんも気持ちが入っていたなかでの試合だったので、相当怒られたことも強烈な記憶として今でも残っています。
トップチームの対戦を初めて見たのは画面越しでしたが、(長友)佑都さんとフッキがバッチバチのバトルを演じた2008シーズンの一戦でした。それ以降はすべての試合を見ています。
まだ自分はトップチームであの舞台に1秒も立てていません。魂と魂のぶつかり合い、意地とプライドを懸けた試合だということは十分理解しているつもりです。どちらが本物の東京なのか、味の素スタジアムがどちらのホームなのかを分からせる試合だと思っています。
初めての舞台であっても、目の前の相手を蹴散らすだけです。相手をなぎ倒して、引きずってでもゴールへ前進していく。骨が折れても、何があっても、絶対に勝たなければいけない。そのためのプレーをあのピッチで見せたいと思っています。
大森理生 選手
「一度も負けたことがない。トップチームでも勝ち続けたい」

このカードは小さい頃に二度ほど、味の素スタジアムへ観に行ったことがあります。当時はまだ小学校低学年だったので、あの激しい雰囲気に迫力と怖さを感じた記憶があります。試合は父に連れ添ってもらっていたけど、異様な空気を体感しました。それが僕の覚えているこのカードの一番古い記憶です。
実際に自分がFC東京U-15むさしに入り、「このユニフォームを着てヴェルディには絶対に負けてはいけない」と強く言い聞かせられてきました。FC東京U-18に昇格してからも試合に懸ける熱量や勝利への想いは僕たちのほうが常に強かったと思います。
兄(渚生/現水戸ホーリーホック所属)がヴェルディユースにいたし、僕はジュニアユースのセレクションで落とされた悔しさもあり、個人的にも負けたくない相手でした。結果的にアカデミー時代はヴェルディに負けたことがないので、このままトップチームでも勝ち続けたいです。
自分にとっては初めての舞台です。これが東京の覇権を決める一戦になるので、内容はともかく絶対に勝ちます。手堅いゲームになると思うので、タフさが問われるはず。ヴェルディは城福浩監督になって、よりタフさを身に着けている印象があります。ただ、僕たちはその土俵では絶対に負けられない。真の強さを前面に押し出して戦うのが僕たち東京なので。そこは絶対に譲れない。
小さい頃に恐さを感じた場所に立つのは、今はすごく楽しみです。憧れていた舞台でもあるので、ピッチに立つだけではなくて、そこで勝ちを掴みたい。ファン・サポーターのみなさんも、選手も、ここで勝てば波に乗れる。優勝をめざすうえで大事なゲームです。だからこそ、熱く戦いにいきます。
(文中敬称略)
Text by 馬場康平(フリーライター)


