マッチレビュー
開幕5試合を4勝1敗の勝点10、3位という成績で乗り切り、前半戦折り返しに向けて勢いに拍車をかけたい東京。ホームで5試合中4試合を戦ってきたチームは、ここから一転してミッドウィーク開催を含めたアウェイ3連戦という過密日程に臨むことになる。一戦必勝の構えを崩さないなかで松橋力蔵監督が選手たちに意識させたことは、この3試合が終わった後に見えるかもしれない景色。本格的にシビアな優勝争いへ加わっていくために、この3連戦の勝点が重要になってくることをフォーカスして伝えた。
その初戦となる水戸ホーリーホックとのアウェイゲームに向けて、指揮官は前節と同じメンバーをセレクトした。ゴールキーパーにキム スンギュ選手、最終ラインは右から室屋成、アレクサンダー ショルツ、大森理生、長友佑都の各選手が入り、ボランチは常盤亨太選手と橋本拳人選手、アタッカーは右に佐藤恵允選手、左に佐藤龍之介選手を配置。前線はマルセロ ヒアン選手と長倉幹樹選手がコンビを組んだ。
前節で青赤復帰後の初先発を初完封で飾った大森選手にとっては、水戸に在籍する実兄の大森渚生選手とJ1リーグでの初対戦。「ずっとJ2だったから、ようやくJ1で対戦できるのは楽しみ。連勝が懸かっているのでアグレッシブさと安定感を出していきたい」と意気込んだ。また、野澤零温選手が今シーズン初のベンチ入り。果敢なプレーを見せるアタッカーにも注目が集まる。試合は快晴のケーズデンキスタジアム水戸で14:03にキックオフを迎えた。
1stHALF—攻め手を変化させながらゴールへの道を探る
立ち上がりから両チームとも積極的な姿勢を見せ、お互いに高い位置をキープして試合を進めようとしていく。東京のファーストシュートは前半10分。素早くつないだところから室屋選手が低いクロスを送ると、このこぼれ球を狙った橋本拳選手がミドルシュートを放つ。これは相手にブロックされたが、東京が厚みのある攻撃を見せた。
ボールを保持しながら崩しどころを模索していくなか、水戸が集中した守備を見せてきたことを受けて、引き込んでからロングボールを織り交ぜながら攻め手を探っていく。前半20分には佐藤龍選手の左コーナーキックからチャンスを作ったが、ゴール前の混戦は水戸の人数をかけたブロックに阻まれてゴールネットは揺らせない。
その直後、長友選手が負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われてしまい、スクランブルで橋本健人選手を投入。そのまま左サイドバックに入った。
コンパクトかつ球際に複数選手が寄せる守備を見せてくる水戸。東京は室屋選手がグラウンダーでサイドチェンジしたところから佐藤龍選手がタイミングを外した折り返しを送ると、ファーサイドに飛び込んだ佐藤恵選手のシュートはわずかに遅れてバーの上へ外れてしまう。
前半35分には大森選手の糸を引くようなロングフィードにボランチの橋本拳選手が抜け出してヘディングを狙ったが、巧みにコースを変えようとしたボールは狙いどおりに飛ばすことができず、相手ゴールキーパーにキャッチされてしまう。一瞬でビッグチャンスを生み出すダイナミックな攻撃だったが、惜しくも先制点には至らなかった。

前半44分には一気に前へ出ていくロングカウンターを発動させたが、水戸も素早く戻ってシュートまでは持ち込めない。ともにアグレッシブな守備で相手の良さを消し合う展開が続いた前半は、3分間のアディショナルタイムでもスコアは動かず、試合の行方は後半へ持ち越されることになった。
2ndHALF—先制直後に追い付かれPK戦で勝点2を持ち帰る
相手の持ち味を出させず、自分たちの強さを発揮していきたい後半。「情熱をぶつけろ! 優勝つかみとれ」というチャントに送られて青赤イレブンがピッチに立った。
しかし、開始早々からアタッキングサードに押し込まれ、立て続けに大ピンチを迎えてしまう。最初のピンチはスンギュ選手が防ぎ、続くシーンは右ポストに救われたが、攻撃の形を構築していくと同時にリスクマネジメントを徹底していくことの必要性も強く意識させられる時間帯となった。
その後も水戸が出足の良さを見せてきたことで受けてしまう時間が続く。
難しい時間が続いていた後半14分だった。中盤で奪ったボールを粘り強く左へつなぐと、橋本健選手が左足で鋭くファーサイドへクロスボールを送ったところに室屋選手が右足のダイレクトボレーで合わせて先制! しっかりとミートを意識した豪快な一撃を突き刺し、東京が一歩前へ出た。


しかし直後の同16分、ペナルティエリア内から渡邉選手に流し込まれて失点。先制から間もない時間に同点ゴールを許してしまう。
流れを引き寄せたい東京は後半19分、佐藤龍選手、常盤選手に代わって遠藤渓太選手、小泉慶選手を送り込む。球際で強さを発揮できる両選手にピッチの活性化を託した。
思うように攻撃の形を作り出せず、水戸の勢いに押されるような状況を打破できない東京。水戸はボールホルダーへの寄せが早く、タイトな守備で東京に自由を許さない。後半31分には右CKのこぼれ球を遠藤選手が右足ミドルで狙ったが、これはわずかにゴール左に外れて勝ち越しゴールを奪うことはできなかった。
後半37分、松橋監督は最後の交代カードを選択。ヒアン選手、佐藤恵選手を下げて仲川輝人選手と山田楓喜選手を投入。仲川選手を最前線に、山田選手を右アタッカーに配して勝ち越しを狙うことになった。
後半41分にはカウンターやセットプレーから立て続けに大ピンチを迎えたが、スンギュ選手のファインセーブや守備陣の身体を張ったブロックでゴールは許さない。
終盤、厚みのある攻撃で水戸陣内に攻め込んでいく東京だが、なかなか決定機にはつながらない。5分間のアディショナルタイムも試合を動かすことはできず、水戸の猛攻をしのぎ切ってタイムアップ。勝敗の行方はPK戦へと委ねられることになった。
青赤ファミリーに向かって蹴る形になったPK戦。お互いに五人ずつが決めて迎えた六人目、左ポストに当てて外した先行の水戸に対して、東京は橋本健選手が左足で決めて勝利。開幕2試合に続いて全員がきっちりとペナルティキックを沈め、苦しみながらアウェイで勝点2を持ち帰る結果となった。


松橋力蔵監督インタビュー

Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、まずは勝点2をとれたというところはうれしく思います。比べてというわけではありませんけれども、前節は終始我々のプレーができたなかでの勝点3ではありましたが、今節は水戸ホーリーホックの素晴らしいプレーに押される場面、劣勢になる場面が多かったゲームだったと思います。ただ、そういうなかでもしっかりと勝点2につなげられるプレーを選手は発揮してくれたと思います。それが最終的な結果につながったというところ、良くないなりにも勝点を積み上げるという点では我々の目標に近付くうえでは非常に重要なことだと思っています。
Q、お互いの良さを消し合うような試合になりましたが、監督から見て何が難しかったのでしょうか。
A、水戸のスタイルがしっかりと発揮されたゲームで、我々もそこは準備をしてきましたし、守備のところで前半はプランしてきたものが発揮されました。しかし、そこから自分たちの攻撃のところで後手に回るようなところが非常に多くあった前半だったと思います。後半は入りをしっかりするというところはありつつも、少し相手に上回られた部分もありました。ただ、そこで失点しなかったことが、室屋成選手の先制点にもつながったと思います。難しい状況でもしっかりとファイトして粘り強く戦うことで、相手の得点を生まないようにするために全員で守備をしたこと、そこを最後の最後までしっかりと表現できたことが、PK戦での勝点2につながったと思います。
Q、攻撃でビルドアップがうまくいかず、ディフェンスラインからつながるようなシーンがあまりありませんでしたが、前節とはどのようなところが異なっていたのでしょうか。
A、相手のプレッシャーに対してのプラス1を作っていくところがスムーズにできなかったことだと思います。そこの隙さえも与えてもらえないほどのハイプレスを水戸がかけてきました。それはおそらく我々を分析して、そのタイミングを奪いにきたのだと思います。ただ、そういうなかでも長いボールを有効に活用してそこでひっくり返せればというところもありましたけれど、そこもなかなかうまく出せなかったというところで、攻撃全体が薄味になってしまったゲームだったと思います。
選手インタビュー
室屋成選手

Q、今日の結果をどう受け止めていますか。
A、難しい展開のなかでも先制点をとることができて、そのまま試合を終わらせたかったですが、すぐに失点をしてしまった。そこに関してはもったいなかったと思います。水戸ホーリーホックの出来や、風や芝などの様々な状況を考えると難しい試合だったと感じています。
Q、得点シーンを振り返ってください。
A、あまり覚えていないのですが、ゴール前には入っていこうと常に意識をしていました。そのなかで、橋本健人選手と目が合ったので(ボールが)きそうだなと思っていたら、本当に素晴らしいクロスボールがきたので、当てることだけにフォーカスをして良いシュートを決めることができたと思います。
Q、サイドバックのパスから逆サイドのサイドバックがゴールを決めたことが東京らしさのような気がします。
A、今シーズン、佐藤恵允選手と自分のところで攻撃のバリエーションが多く作れているので、攻撃の部分でも自分がうまく関われて良い形ができているかなと思います。
Q、失点のシーンはどう感じていますか。
A、クロスボールが上がって、ペナルティエリア内で嫌なところにボールが落ちて決められてしまいました。得点が入ってチームも少し安心してしまった部分があると思います。ああいうところは自分も含めて締めなければいけなかったですし、本当にもったいないと思います。こういう試合でも勝点3をとらなければいけないと思います。ただ、連戦なので、こういう難しい試合で勝点2をとれたということをポジティブに捉えて、次の試合で勝点3をとるところに集中していきたいと思います。下を向いている時間はありません。
Q、PK戦では五人目のキッカーでした。
A、外しても仕方ないと思って、適当に蹴りました(笑)。
Q、素晴らしいコースだったと思います。
A、本当ですか? 適当です(笑)。
Q、中3日でジェフユナイテッド市原・千葉戦があります。どう修正していきたいですか。
A、前半のあのような試合展開のなかでなんとか耐えるということは、僕自身としてはまったく問題ないかなと。ただ後半になっても間延びした時間が多かったので、そういう時に自分たちでしっかりゲームをコントロールできるようにならなければいけないというところが今日の課題だと思います。次の試合では、ボールをしっかりつなぐところや引いてブロックを作って耐える時間帯など、試合の状況に合わせて自分たちが臨機応変に対応できるようになれるといいと思います。
Q、結果としては5勝1敗です。
A、PK戦での勝利もありつつですが、なんとか勝点をとりながらタイトル争いに食らいついていきたいと思います。
Q、PK戦はすべて東京のファン・サポーター側で行われています。
A、僕、そういうの強いんですよ。くじ運強いんで。
橋本健人選手

Q、スクランブルでの出場でしたが、どのようなイメージでピッチに入りましたか。
A、入る時は急だったので、準備もままならずの状況でした。あまりそのような経験がなかったのですが、試合を観ていて相手のペースというか、グランドの状況など色々な要因もあって自分たちのやりたいことができていなかったので、悪いなりにやれることをやろうと思っていました。まずは試合にちゃんと入るということを一番に意識していました。
Q、そのなかで先制点をアシストをしました。その場面も振り返ってください。
A、自分の特長ですし、持った瞬間にクロスボールを上げることを決めていました。自分のなかでのリズムもあまり良くなかったですし、チームとしても守勢に回る時間が長かったですが、それでも最後の部分は結局個人のクオリティだと思っています。その一刺しというところは試合中もずっと考えていました。結果として、室屋成選手と目が合って、決めてくれたので感謝しています。
Q、3連戦で自分の力を出したいという話もありましたが、それが1試合前で出たのではないですか。
A、もっとやれたかなと思います。あの一本で先制点をとれましたが、その直後の失点はすごくもったいなかったですし、自分のパフォーマンスを振り返るともっとできることはありました。チームを落ち着かせるビルドアップのところでは、今日は90分ずっと相手のペースと言われてもおかしくないくらい自分たちが前節でやっていたようなビルドアップから意図的にゴールに迫る回数があまりに少なかったです。そこで自分が違いを出せる場面はもっとありました。守備の場面でもボールを奪うシーンはほしいですし、そういう意味でもまだまだだと思っています。
Q、守備の面では、長友佑都選手がいた時から左サイドに長いボールを入れてきていました。やりづらさはありましたか。
A、長友選手も僕も身長が高くないので、ヘディングのターゲットにされることは結構あるので嫌ではないですが、自分が強くならないといけないところです。ただ、やられない守備から奪う守備というものは一つランクが上だと思います。ボールを奪う回数がもっとほしいです。奪った瞬間に入れ替われますし、室屋選手はそこができるので、自分がもう一段階上にいくにはそういうところが必要です。
Q、相手がハイプレスできていて、隙間がないところをどう通していくかが今日の課題だったかと思います。
A、後でちゃんと振り返らないと分かりませんが、相手の意図としてバックパスに対してスイッチを入れるというチームとしての意図を感じました。あまり後ろのスペースを気にすることより、J1リーグでは珍しいですが、バックパスが入ったら全員で人をつかみにいくことをしていました。ボールの出しどころで簡単に後ろを選択した時に、相手の矢印すごく出ていました。バックパスに対して足を止めさせるようなボールの持ち方や、なるべく前にボールを動かすことは意識していました。前半はそれができましたが、後半は味方とも意図が合わなくて受けに回る場面が多くなりました。そこは、足を止められるような持ち方と受け手も受けにいくことはもう少し意識できたかなと思います。
Q、こうした難しい試合でも勝点2を持ち帰れたことは大きいと思います。
A、こういうレギュレーションだからこそ成り立つことですが、チームとして上に進もうと話しているなかで、この勝点2は大きいと思います。



