COLUMN 2026.3.06

“新国立男”はオレだ|長倉幹樹選手

“俺たちの国立”で行われる今節の横浜F・マリノス戦。開幕ダッシュに成功して3連勝を収めるも、前節に初の敗戦を喫した青赤にとっては、優勝をめざすために是が非でも勝利が必要な試合となる。ここまで抜群の数値でチームに貢献し、多くの決定機に絡んできた長倉幹樹だが、あと一歩のところでネットを揺らすことができずに悔しさを募らせている。

チームのために、そして“優勝にふさわしいチーム”のエースとなるために。リーグ屈指の万能型ストライカーが、覚悟と責任を持って大一番に臨む。

エースとしての覚悟と責任

覚悟と責任──。それが今、長倉幹樹の胸中を占める大きなフレーズだ。

開幕戦から柔軟なスタイルで多くのチャンスを作り、守備では球際のバトルで厳しさを見せてきた東京。開幕4試合を終えた段階でのシュート本数はリーグ最多、ゴール期待値では4位につけ、被ゴール期待値はリーグ最少、被シュート本数は2番目の少なさという好スタッツを誇る。試合を観ていて感じる積み上げの手応えが、数字でも明確に表れていると言っていい。そのなかで、長倉幹樹が個人で圧倒的な数値を残している点は大きなポイントだろう。

ここまで4試合フル出場で記録した走行距離50.5km、スプリント回数109回は、いずれもリーグトップ。裏のスペースを狙えると思えば前線に飛び出し、攻撃の構築が必要となれば中盤まで戻ってボールを受ける。前線からハイプレスを仕掛けて激しく追い回したと思えば、最終ラインまでプレスバックしてスライディングで相手の攻撃を封じることも厭わない。開幕からの4試合はフル出場。試合開始のホイッスルから、試合終了のホイッスルが鳴るまで、とにかく走って、走って、走りまくる背番号26が、驚異的な走力でチームを助けてきた。

どうしてそんなに走ることができるのか。その根底にあるのは、極めてシンプル。「チームのために」という想いだ。

「常にサボらないように心掛けてはいます。自分が『戻らなきゃ』と思ったシーンで戻るか戻らないかで全然違うし、とにかく『チームのために』という気持ちで走っています。守備で戦うプレーを見せれば周りに良い影響を与えますし、攻撃では相手が嫌がるプレー、味方を助けるプレーで流れを引き寄せて、結果につながるようにしたい。もちろんすべて全力で行くことは難しいので、頭を使いながら体力をコントロールしながら」

貢献度の高さは言うまでもないだろう。開幕からの4試合で長倉自身が記録したゴール期待値は1.717でリーグ8位。1試合あたり2本近くの決定的なシュートを放っている。だが、一番の仕事であるネットを揺らすことができていない。良いサッカーで多くのチャンスを作っているという手応えがありながら結果に結びつけられていないという部分で、「悔しさとチームに対しての申し訳なさがある」と話す。冷静な口調が熱を帯びる。

「自分が決めるか決めないかで試合の行方が変わる。(開幕2試合も)決めていれば90分間で勝てたり、もっと楽に試合を進めることができたと思う。柏レイソル戦も流れが変わったりしたはずだし、チームとして勝点を積み上げることにつながる。引きずらないようにしながら、一つひとつの場面で責任を持ってプレーしたい。チャンスに絡むことはできているので、それを仕留めたい。一つ決めることができれば自分のなかでも何かが変わると思うので、やり続けていくしかない。長い時間、試合に出させてもらっているので、とにかくゴールを決めたい」

松橋力蔵監督もファン・サポーターも大きな期待を寄せる。そこは長倉自身も感じているところだが、「期待というより、責任を持ってプレーするべきだと思う」と気を引き締める。指揮官からの「優勝にふさわしいチームになろう」という言葉を受け、ポイントゲッターにならなければいけないという想いがほとばしる。

そして長倉から青赤ファミリーに向けて一つのメッセージを預かった。

「優勝するためには絶対に連敗はしてはいけないし、次の国立競技場での試合はチームにとって本当に重要な一戦。責任を持ってプレーするので、いつも以上の応援で僕たちに力を送ってください」

チームとしても、ストライカーとしても、真価が問われるゲームとなる。

走力でスタジアムを沸かせ、ゴールで国立を熱狂させる。長倉幹樹の覚悟と責任、そして“新国立男”の名にふさわしいプレーが、青赤に勝利を呼び込むはずだ。

(文中敬称略)

Text by 青山知雄