マッチレビュー&プレビュー
前節・浦和レッズ戦のレビュー
ベンチ入り選手も含めて開幕戦と全く同じメンバーで臨んだ浦和レッズとの明治安田J1百年構想リーグ第2節。ホーム味の素スタジアムでの連戦となったゲームは、立ち上がりから東京が果敢なプレスと厚みのある攻撃を仕掛けて主導権を握った。
球際のバトルで圧倒し、高い位置からの連動したプレスで相手陣内に押し込む。前半5分には相手のコーナーキックをカットして鋭いカウンターを発動させると、右サイドの佐藤恵允選手、室屋成選手を中心にペナルティエリアの脇を狙った攻撃が機能。ポゼッションと速攻を織り交ぜながら、松橋力蔵監督がめざしてきた“攻守にイニシアチブを握る”スタイルで試合を進めていった。
一瞬の隙を突かれて浦和に先制点を許したかに思われた前半10分のセットプレーは、VARのサポートが入りノーゴールの判定に。ヒヤリとしたシーンとなったが、その後もチーム全体が集中したサッカーを披露。アタッキングサードのわずかなズレで決定的なシーンこそ生み出せなかったが、継続していくことで得点の可能性が高まっていく手応えを得ながら前半を折り返した。
迎えた後半、東京のハイプレスに浦和も同様のスタイルをぶつけてきたことで、さらに攻守が激しく入れ替わる強度の高い展開に。東京は佐藤龍之介、橋本拳人の両選手を投入して試合を動かそうと試みる。だが後半33分、相手のクロスを弾き返したところでこぼれ球を拾われてミドルシュートを許すと、これがブロックに入った選手に当たりコースが変わる不運に見舞われて先制点を奪われてしまう。
すぐさま動いた東京ベンチは、橋本健人選手と山田楓喜選手をピッチへ送り出し、新加入のレフティコンビに状況打開を託した。そしてこの両者のプレーが青赤に待望のゴールを呼び込むことになる。
6分間と表示された後半アディショナルタイム。橋本健選手の左クロスボールを逆サイドで待ち構えた山田選手が巧みなトラップから得意の左足で強烈なボレーシュートを叩き込んで同点に。東京が土壇場で試合を振り出しに戻し、2試合続けてのPK戦へともつれ込むことになった。
二人目がバーに当てて外した浦和に対し、東京は前節に続いて5人全員が成功。最後は佐藤龍之介選手が鹿島戦と同じく豪快に右足で蹴り込んで勝点2を獲得。ホーム2連戦を連勝で飾った。
今節のプレビュー
鹿島アントラーズとの開幕戦に続いて、前節の浦和レッズ戦も1-1からのPK戦で勝利。2試合で勝点4を手にした青赤軍団が、アウェイで川崎フロンターレとの多摩川クラシコに臨む。
ともにPK戦にもつれ込みながらの連勝スタートではあるが、しっかりと勝利という結果を積み上げた東京。チームとしても勝ちながら修正していくというサイクルに入ることができ、全員で成果と課題を共有して手応えを感じながら日々のトレーニングに臨めているだけに、松橋力蔵監督も「(勝点4は)ポジティブに考えていい」と前向きに捉える。
だが、より高みをめざしているからこそ、90分間で勝ちたいという想いは強くなる。鹿島には数的優位な状況でハーフコートに押し込み、浦和相手には序盤から圧倒的に攻め込んでチャンスを作ったが、結果的に勝ち切ることはできなかった。浦和戦後、キャプテンの室屋成選手は「鹿島戦も含めて勝点を失っている感覚がある。チャンスをたくさん作りながら決め切れなかったので、最低限の勝点2をとれていることを踏まえて、積み上げながら反省していかなければ」と、開幕からの2試合が勝つべきゲームだったことを口にしていた。
“判定勝ち”とも言えるような内容で手にした勝点4。右サイドで室屋、佐藤恵允の両選手が攻撃の起点となり、前線からの積極的なプレスが機能して、松橋力蔵監督が掲げてきた“攻守に主導権を握るサッカー”を具現化できているシーンが数多く見られた。攻撃ではポゼッションと速攻を、守備ではプレッシングとブロックを使い分け、臨機応変なスタイルを見せるようになってきた。また、試合途中で投入された選手たちも含めてピッチに立つ全員が戦う姿勢をしっかりと披露できているのは、チームとして確実に成長している部分だろう。
この点については指揮官も「全員で最後まで集中力を欠かさず、攻守において-1、-2という状況を絶対に作らないようにすることが必要。一人ひとりがサボらないようにすることもそうですし、それぞれが(全体像を)頭に描きながら関わっていくことが大事になる。逆に11人が12人、13人に感じさせるくらいの気持ちで挑まなければいけない」と個々の意識向上がチーム力アップにつながるとコメントしている。戦う姿勢をベースに一人ひとりが意識を高め、試合巧者ぶりを発揮していくことが、チームとしての総合力をアップさせていくことになるということだ。
今節はアウェイでの多摩川クラシコ。川崎は開幕戦で柏レイソルを5-3で破り、前節はジェフユナイテッド市原・千葉に対してPK戦の末に勝利を収め、2試合で勝点5を獲得して上位進出を視野に入れる。エリソン、伊藤達哉、紺野和也の3選手が並ぶ3トップはリーグ屈指の破壊力を誇り、大関友翔選手、山本悠樹選手ら空間を使ったパスを得意とする選手も擁する。松橋監督は「前線にタレントがいますし、攻撃の厚みも増してきて、スピード勝負、インサイドワークのうまさ、一瞬の隙を突けるパワーやスピードなど、いろいろなことができるチーム」と評しており、まず東京としては彼らを自由にさせないことが一つのポイントとなりそうだ。また、川崎の攻撃性を逆手にとることができるのが、今シーズンの東京でもある。ボールをつないで相手をいなし、ボール奪取後のカウンター精度にもこだわり、常に相手を裏返すような狙いを持ち続けて隙を突いていくことで勝機を見出したい。
連勝同士のチームが激突する多摩川クラシコ。目の前のゲームで結果を出しながら頂点をめざす東京にとっては、アウェイでしっかりと上位を叩いて先に進んでいかなければならない。そして複数得点、90分間での勝利を手にするために指揮官がフォーカスしていたことは、しっかりと足を振ってシュートを打っていくこと。しっかりとミートしたボールは相手に怖さを与えるだけに、ゴールに襲いかかるような力強さも披露しながら勝点3を手にしたいところだ。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、ゴール前に迫る過程までは、やりたいことを出せている印象があります。
A、もちろん大事にやっている部分ではありますが、結果としてネットは揺れていないので、それを言い訳にしてはいけないと思っています。何度も言うように結果を出さないと自分たちが目標としている優勝には到達できません。チャンスが多く作れていて、数値としてもきちんと向上していますが、自分たちの取り組んでいることに対して、“あともう少しなんだよな”という言葉に寄っ掛かっていてもダメだと思っています。やはり勝つ上で大事なのは、最後にそこを決め切るところだと思いますし、守り切ることだと思います。そこに対してのパワーをスタイルの表現と同じぐらい、こだわってやっていかなければいけません。
Q、多摩川クラシコに関してどのような印象を持っていますか。また、この試合の重要性をどのように考えていますか。
A、多摩川クラシコになりますが、大前提として川崎フロンタールは非常に攻撃的なチームで、素晴らしいチームなので、この試合を90分でしっかりと決着をつけることで、また次の試合への勢いも生まれてくると思っています。やはりそういうところで、自分たちも確信を得たいですし、ファン・サポーターにも確信してほしいと思っています。まだ2節しか終わっていないので、そこまで言うと大袈裟かもしれないですが、一戦一戦にその可能性を見出しながら、次節を迎えていくことはすごく大事なポイントです。ここまでの2試合で勝点はとっているのですが、90分間で決着をつけられていないので、まずは90分間でしっかりと勝利することをめざして戦いたいです。
Q、今シーズンの川崎の印象を教えてください。
A、これまでと大きく変わっていないと思っています。タレントは非常に揃っていて、選手層の厚みも少しずつ増してきた印象です。スピードで勝負することや、中央を崩してくることがうまかったり、一瞬の隙をついてきたり、パワーもあります。いろいろなことができるチームだと思うので、重要なのは絶対に隙を作らずにやっていくことです。彼らの攻撃性を裏返せば、やはりボールを奪った後の精度の高い攻撃に繋げることができると思っています。簡単にいうと、カウンターとか、ショートカウンターになるかもしれないですが、そういう言葉の枠に収まらないプレーで、ダイナミックにその隙はやっぱり突いていきたいという気持ちはあります。
Q、ここ数試合では、途中交代の選手がさらにチームに勢いを生んでいる印象があります。
A、途中交代の選手が非常に素晴らしい活躍をしてくれています。今節はSubstitutesではなくて、ゲームチェンジャーという名前に変えています。やはり出ていく選手は、ゲームの流れを変える役割を担ってほしいです。攻守において試合を変えていくこと、クローザーというよりはチェンジャーであってほしいなというところです。そういう重要な選手であることも言葉で伝えながら、表記でも伝えました。
佐藤龍之介選手×大関友翔選手 多摩川クラシコ合同記者会見>

――お二人はいつから面識がありましたか。
大関:元々知っていたのですが、フランスで実施したU-19日本代表の活動に佐藤龍之介選手が飛び級で参加していたので、そこで仲良くなりました。
――佐藤選手の最初の印象はいかがでしたか。
大関:うるさい子が入ってきたなと思いました。ずっと喋っているし、ずっとサッカーのこと考えている。サッカー小僧でした。
――大関選手は佐藤選手のことを“リュウ”と読んでいましたが、佐藤選手は大関選手のことをなんと呼んでいますか。
佐藤:“ゼキさん”です。クールな印象でしたが、お笑いが好きでふざけたことも言っている印象があり、最初の印象とは違いました。
――U–23日本代表では二人でインサイドハーフの位置でプレーしていました。お互いのプレーの印象を教えてください。
佐藤:僕が高校1年生の時に高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグで対戦した時に、本当に衝撃を受けた選手でした。まずはパスがどこに出てくるか分からないですし、いつ見ていたかも分からないようなパスが飛んできていました。大関選手もそうでしたが、あの時の川崎フロンターレU-18は本当に強かった印象があります。チームメイトになれば非常にやりやすくて、パスを出す側もそうですが、受け手にもなってくれるので非常に良い選手だと思っています。
――佐藤選手がそのように言っていますが、大関選手はいかがでしょうか。
大関:そう言われると嬉しいです。佐藤選手はずっと有名な選手でした。世代別の代表でも活躍していたので、個人的にも知っていました。やはり、一緒にプレーしていても技術は高いので、対戦相手にすると嫌ですが味方になると心強いとても良い選手だと思っています。佐藤選手はタッチが細かく、ドリブルはキレがありますし、ボールを失わないです。前を向いて仕掛けることもできますし、ドリブルも上手いので、中にも縦にも仕掛けることができるので、左右どちらのサイドもできます。あとはスタミナもあり、全部の基準が高い選手です。本当にサッカーが上手い選手だなって思うことが多い選手です。
佐藤:欠点がなさそうに聞こえますね(笑)。

――ここはお互いに負けないと思っているところはありますか。
大関:パスは負けないと思います。ドリブルは佐藤選手の方が上手いと思っています。特に浮き玉の空間を使ったパスは負けないです。
佐藤:そこは間違いないです。大関選手に勝てるところは……ないですね(笑)。スタミナもそうですが、アジリティで勝っていると思います。
大関:そこは僕の課題でもあるので、佐藤選手には勝てないと思っています。
――明治安田J1百年構想リーグは2試合を終えました。ここまで印象はいかがでしょうか。
大関:出場時間が短いので個人的には悔しいです。チームに貢献できていなくて、歯痒い思いをしています。チームとしては、もちろん勝点6をとりたかったですが、勝点5を獲得しているので最低限の結果を残していると思います。もちろん課題はまだありますが、結果だけ見ると良い試合ができていると思っています。
――FC東京は2戦ともPK戦で勝利しています。
佐藤:どちらの試合も90分で勝ちたかったです。浦和レッズ戦については後半のアディショナルタイムに追い付いて、PK戦で勝点2までとれたのは良かったです。ですが、90分間で試合に勝利することが今の課題です。
――多摩川クラシコでPK戦となった場合、ブローダーセン選手がゴールキーパーとしてゴールマウスを守っているかもしれません。昨シーズンにファジアーノ岡山で一緒にプレーしていますし、よく知っている選手だと思いますが、決める自信はありますか。
佐藤:自信はありますが、本当に良いゴールキーパーで、PKのシーンでも何度もチームを救ってくれていました。PKの場面があれば駆け引き含めて難しくなると思います。
――多摩川クラシコへの想いを聞かせてください。アカデミーの出身選手として出場したい気持ちも強いのではないでしょうか。
大関:やはりクラシコなので、普段から燃えていますが、さらに自分のボルテージが上がります。東京が相手なので、負けてはいけないという気持ちが選手にもありますが、ファン・サポーターにもあります。その試合で自分が活躍するということがサッカー選手としてモチベーションにもなっています。
――アカデミー時代には多摩川クラシコをどのように見ていましたか。
大関:個人的にはナビスコカップ(現JリーグYBCルヴァンカップ)の決勝を観に行って、平山相太選手に決められて負けてしまい、泣きながら帰ったのですが、その印象もあって多摩川クラシコに負けてはいけないと思っています。そこからその気持ちがあったので、アカデミーに所属していたからではなく、一人のファン・サポーターとして東京に負けてはいけないというのは自分の中にあります。
――佐藤選手は“コ”ラシコにも出場していますが、データを確認したら2得点していたのですが、覚えていますか。
佐藤:覚えています。東京はFC東京サッカースクール アドバンスクラスの選抜チームを作り、参加していました。選抜チームに選ばれたことも嬉しかったです。スタメンで出場していたのですが、途中交代した後に最後にまた出してもらいました。その時は0-2で負けていたのですが、2点を決めて2-2で終わったので、記憶に残っています。ずっと憧れていたプロと同じピッチに立って、ファン・サポーターに見守られながらプレーできる経験は特別でした。その後のトップチームの試合では、親にグッズを買ってもらい東京のスタグルを食べながら試合を見た記憶があります。
※多摩川“コ”ラシコに出場した佐藤選手(FC東京サッカースクール アドバンスクラス時代)
――お互いのチームの印象を教えてください。
大関:海外から帰ってきた選手がいたり、移籍してきた選手がいたりと選手が揃っていると感じています。サッカーを見てもアグレッシブにサッカーをしていますし、能力の高い選手や技術の高い選手がいるので攻撃の部分ではその選手たちが脅威になると思っています。中盤のところでどっちがボールを握るかが重要になると思っています。
佐藤:昨シーズンと大きな印象の違いはないですが、紺野選手が加入して、両ウイングの選手がドリブルの仕掛けから何でもできる選手で、両サイドのアタッカーがすごい脅威ですし、ストライカーの選手も破壊力があり、得点力もあるので、本当に前線3選手の攻撃力はすごいと思っています。中盤の選手もディフェンダーの選手も、本当に技術が高く、一人ひとりがレベルの高いチームという印象があります。
――多摩川クラシコで見せたいプレーはどのようなものでしょうか。
佐藤:得点は大事ですが、得点が頭にあり過ぎると自分の良さが出せないと思うので、まずは自分の良さを出してチームに貢献できるプレーは何かを考えていきたいです。攻撃的にどんどんシュートを狙っていき、ゴールに関わるプレーを見せていきたいです。
――大関選手はいかがでしょうか。
大関:同じくゴールに関わるプレーを見せたいです。今シーズンの自分の目標として掲げている部分でもあるので、ゴールやアシストという結果はこの試合に限らず示していきたいですが、特にクラシコでは示したいと思っています。何より勝たなければいけない試合なので、勝利に貢献するプレーをしたいです。
※2月18日開催の合同記者会見より一部抜粋


