今節のプレビュー
ハーフシーズンで雌雄を決する特別大会、明治安田J1百年構想リーグがいよいよ開幕を迎える。
J1リーグ全20クラブを地域別で東西に分けて地域リーグラウンドを行い、東西の同順位同士でホーム&アウェイ形式のプレーオフを実施して年間順位を決める大会。90分間を終えて同点の場合はペナルティキック戦方式が採用される完全決着ルールで、90分間での勝利には勝点3が、ペナルティキック戦で勝利したチームには勝点2が、PK戦で敗れたチームには勝点1が与えられる。地域リーグラウンドでは勝点1ごとに賞金200万円が獲得でき、優勝クラブにはAFCチャンピオンズリーグエリート2026/27の出場権が与えられる。順位による昇降格がない点も特別大会ならではのレギュレーションだ。
2シーズン目の“力蔵トーキョー”が、この特別大会で明確な目標に『優勝』を掲げた。松橋力蔵監督は選手たちに日常からの意識改革を求め、チームの強みでもある真摯な姿勢をさらに強化していこうとしている。
「本当に『チャンピオンをめざしていこう』という言葉で(キャンプから)ここまで過ごしてきました。選手たちにはシーズン開幕に際して自分たちの目標をしっかり共有し、その立場にふさわしいチームになろうということを伝えました。僕たちはまだ優勝したことがないですし、そこに辿り着くべきチームかと言われれば、そうではないかもしれない。 ただ、ここから時代を切り拓いて新しい歴史を作っていくためには、やはりそこにふさわしいチームにならなくてはいけない。そういうチームになっていくためには日々の行動や習慣が重要ですし、選手たちがトレーニングに臨む姿勢は我々の強みでもある。そこは変わらず素晴らしい姿勢で臨んでくれていると思っています」
沖縄糸満キャンプを打ち上げ、小平グランドでトレーニングに励んできたチームは、開幕戦2日前に味の素スタジアムへ赴き、本番をイメージした非公開練習を行って全体の士気を高めた。その開幕戦、FC東京が味の素スタジアムで迎え撃つのは、前年度王者の鹿島アントラーズ。半年間という短期決戦で優勝をめざすことを考えれば、初戦で勝利して一気に突っ走りたいところ。松橋監督も「少しでも優勝の可能性を上げるためには、スタートダッシュで勢いに乗ることが大切。本当に重要な一戦になる」と開幕戦について触れる。
思えば昨シーズン、鹿島に対して2試合とも互角以上の戦いを繰り広げながら決定力を欠いて敗戦。その経験から選手たちは口々に『勝負強さの重要性』について語っていた。本当に勝つチーム、勝てるチーム、勝ちを引き寄せられるチームをめざして、自分たちとの戦いもスタートする。松橋監督は「最終的にたぐり寄せたほうが勝つ。そこをどうつなげていくか、どう自分たちが力を身につけていくか。そこは日々の姿勢やマインド、言動、行動といった部分で勝利をたぐり寄せるにふさわしいものを積み重ねていかなければならない」と日常からの行動変容がポイントになるとも語る。
新シーズンのキャプテンは室屋成選手が就任。昨夏の青赤復帰以降、日々の練習から熱く激しい姿勢を前面に押し出し、チームメイトから「小平の基準を引き上げてくれた」と称されていた背番号2が腕章を巻くことになった。当の本人は「特に考えていなくて、普段どおりな感じです。それが一番自分らしいかな、と」と泰然自若の姿勢を崩さないが、「まだ始まってもいないですが」と苦笑いしながらも「しっかり責任を持ってやらなければと思っていますし、タイトルを獲ったチームのキャプテンになれるチャンスでもあると考えています」と決意を固める。
また、青赤に戻ってきた選手たちも注目を集めることになりそうだ。佐藤龍之介選手がファジアーノ岡山への育成型期限付き移籍から復帰し、FC東京U-15むさし出身の稲村隼翔選手はセルティックFC(スコットランド)からの期限付き移籍で青赤のユニフォームに再び袖を通すことになった。ともにピッチに立つことになれば、どちらもスタジアムから大歓声が起こりそうだ。
佐藤龍之介選手は「たくさんの方が待ってくれていると思いますけど、それをプレッシャーに感じないで、楽しむことを一番大事にしたい。活躍し続けることが実力を証明することになるし、本当に勝負のシーズンだと思っているので、楽しみな気持ちしかない。開幕戦ではゴールを狙っていますし、今シーズンはいい流れできているので、決めるのではないかなと思っています」と久々の味の素スタジアムを全力で楽しもうとしている。
また、稲村選手は前々日練習で味の素スタジアムに足を踏み入れ、「ピッチからスタンドを見て、懐かしい気持ちになりました。あそこから試合を観ていたな、と。個人的には半シーズンぶりくらいの公式戦ですし、プロに入って初めて味スタで試合ができる。中学生の頃にあこがれていたピッチでもあるので、試合がすごく楽しみです」とワクワク感を隠しきれない様子だった。
新チームがめざすのは、昨シーズンよりもボールを大事にするサッカーだ。キャンプからのトレーニングにおいて「僕の考えを前面に押し出してやってきた」と話す松橋監督は、「自分たちが常に攻撃的にイニシアチブをとっていく。 それはボールを握ることもそうですし、ボールのない時にも積極的にボールを奪いにいくという姿勢をしっかり見せたい。ファン・サポーターのみなさんがワクワクするような楽しくて素晴らしいサッカーもしっかりと求めてやっていきたい。選手たちはしっかりと理解しながら、これまでの強みをどう出していくか。そこを融合できれば、必ず攻撃的なサッカーにつながると思っています」と未来予想図を描いている。
クラブとして優勝を目標に掲げた明治安田J1百年構想リーグ。真の強さを手にするため、そして常勝軍団となっていくために、青赤軍団が意識改革と日々の積み重ねで短期決戦に臨む。その第一歩となる王者・鹿島との開幕戦、青赤の覚悟を日本中のサッカーファンに示す試合としたい。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、開幕戦を迎えるにあたり、選手たちに何か伝えたことはありますか。
A、今シーズンのスタートで『優勝』という目標をしっかりと共有しました。その目標に向けて、自分たちがふさわしいチームになろうと繰り返し伝えてきました。FC東京はまだリーグ優勝をしたことがないので、優勝するべくしてするチームかと言われれば、違うと思います。ですが、新たな時代を切り拓くチームになるべきです。そのチームにふさわしい行動を日々行い習慣にしていくことは十分にできると思っています。その上で、チャンピオンをめざしていこうという言葉を日々伝えてきました。
Q、新たな選手も加わりました。どのようなサッカーをファン・サポーターに見せたいでしょうか。
A、まだ、新加入選手が100パーセント馴染み切ったとは言えませんが、馴染むためには試合を行うことが一番の近道だと思っています。サッカー面で言うと、自分たちが常にイニシアチブを握り、攻撃的なサッカーを見せたいです。それはボールを握ることもそうですが、ボールを持っていない時にも、積極的にボールを奪いにいく姿勢もしっかりと見せていきます。さまざまな表現がありますが、 “ワクワクする”、“楽しめる”、“素晴らしい”など、観戦しているファン・サポーターのみなさんが満足できるようなサッカーをしていきたいです。
Q、優勝する上で超えなければいけない、2025シーズンリーグ優勝チームと開幕戦を戦います。
A、とても重要な一戦だと思います。短期間の大会なので、優勝する可能性を少しでも上げるためには、良いスタートダッシュをすることが大切です。そういった意味でも重要な一戦になると思っています。
Q、鹿島アントラーズの印象はいかがでしょうか。
A、開幕前なので、すべてが見えるわけではないですが、スカッドを見る限り多くの選手が変わっているわけではなく、昨シーズンのベースにブラッシュアップを怠らずに取り組んできている印象です。経験豊富な選手と監督・スタッフが多く揃っているチームなので、しっかりと自分たちが今持っているものをぶつけていかなければいけないと思っています。
選手インタビュー
室屋成選手

Q、いよいよ開幕を迎えます。例年より準備期間が短いなかで、1月5日にチームが始動してからここまで準備の進捗はどうですか。
A、新しい選手も何人か加入してきて、キャンプをして、良い練習試合もできて、チームとして、すごく良い準備ができたのではないかなと思っています。良い感触ではありますが、そこまで準備期間が短いという感覚はそんなになかったです。練習試合で90分を2回プレーしている選手もいますし、ちょうど良い期間だったと思います。個人としても長過ぎてもコンディションを上げることは大変なので、個人的にはちょうど良かったです。
Q、2026シーズンにチームとして取り組んでいるサッカーの方向としては、2025シーズンより研ぎ澄ましている部分があると思います。その手応えはいかがですか。
A、基本的に、自分たちがこのチームとしてすごく良くなった半年間のベースや強度というところは維持しつつ、やはりもう少しボールをうまく握りたいということを監督も話しています。チームとしても、もっと良くなりたいというところをずっと話していましたが、やはり監督もずっとボールだけを握れと言っているわけではないですし、ゴールをめざすことが第一優先です。
そこは自分たちのストロングポイントでもあると思うので、速攻というか早くシンプルにゴールに向かうことのバランスが重要です。ボールを握るところは握る。ただ、やはりシンプルにカウンターだったり、速い攻撃ももっと精度を上げていかなければいけません。そこが自分たちの一番のストロングポイントだと思うので、そういう機会を多く作るためにも、90分間のなかでボールをうまく握れるかというところだと思います。そこをチームとして取り組んできました。
Q、明日の開幕戦、昨シーズンのリーグ戦優勝チームの鹿島アントラーズと対戦します。短いシーズンのなかで、20試合のうちの1試合なのか、それともスタートダッシュとして重要なのか、試合に向けた心持ちはどうですか。
A、昨シーズンの優勝チームで、それを自分たちのホームで、しかも開幕戦でやれるということは、東京にとって大きなチャンスだと思います。そこで勝つことで、きっとファン・サポーターのみなさんも今シーズンのチームに期待してくれると思います。そういう意味でも、勝ちたいです。
Q、東京のキャプテンとして迎える初めての試合に臨む気持ちを教えてください。そして最後に、ファン・サポーターに向けたメッセージをお願いします。
A、自分はピッチに入ったら熱くなるタイプだし、それはやはり何も変える必要はないと思います。キャプテンマークをつけているからといって何かが変わることは特にないかなと思っています。実際、自分も初めてキャプテンを任せてもらうことになったので、シーズンをとおして自分自身もどう感じるのか楽しみです。もちろん責任を持ってやりますが、自分自身もどうなっていくのか、どう自分が感じるかは、まだ始まってみないと分からないところです。変に気負うというよりは、いつも通りの自分を出したいです。おそらく松橋監督もそれを期待して任せてくれたと思うので、特に何か変える必要はないかなと思っています。
明日もそうですが、特にスタジアムに駆けつけてくれるファン・サポーターの前で勝ちたいですし、熱くなってほしいので、毎試合そうなれるようにプレーしたいと思います。
ぜひ一緒に戦ってください。
高宇洋選手

Q、いよいよ開幕を迎えます。これまでのシーズンと比べて短いプレシーズン期間でした。
A、1か月近くはあったので、2週間くらい休んで後はトレーニングして始動を迎えて、のような感じでした。チームが始動してからもう明日開幕なので、そう考えるとキャンプ期間も含めてすごく早くてあっという間だったなと感じています。
Q、スピード感のある準備のなかで、チームとして、あとは個人としての調整の進み具合はどうですか。
A、個人としては、まずはしっかりコンディションを上げていくというところと、やはりケガをしないということは大事なので、僕自身もプロになって10シーズン目になりますが、自分の身体の作り方は、だんだん分かってきました。そこにフォーカスしながらコンディションもしっかりと上がってきましたし、チームとしても新しい選手が何人か入ってきて、松橋力蔵監督の色もより強くトレーニングのなかから要求として出てきたのかなということは感じました。後は相手の強度などにしっかりと対応できるかというところは大事なので、トライしながらだと思います。
Q、松橋監督の色をより出していく、という言葉が他の選手からも聞かれます。それは新しい色なのか、それとも2025シーズンにやってきたことをより濃くするのか、どう解釈していますか。
A、昨シーズンも松橋監督からの提示はありました。ただ、やはりチームとして良い時は大丈夫だと思いますが、うまくいかない時になかなかそこにチャレンジし切れない時もありました。そこはまずは一回チャレンジしようというところです。キャンプでの練習メニューや練習試合を含めてどんどんチャレンジしようという話はあったので、それがまた本番になってどれぐらい全員がチャレンジできるかが重要です。あとは勝負ごとなので、勝つための手段でしかないと思います。相手よりも点を多くとって失点しなければ勝てるので、そこに対する働きかけは全員が考える必要があるのかなと思います。
Q、昨シーズンは、試合中に相手や戦況に応じて臨機応変にピッチのなかで変えていく部分が課題の一つとして挙げられていました。
A、ただ、チームの前提としては、やはり主導権を握りたいです。攻撃のところではしっかりとボールを保持して相手を動かしたい。守備でもしっかりとハイプレスをかけていきたいのですが、今シーズンは昨シーズンよりもトレーニング中からそこの提示が強くあります。そのなかで、相手が前からきたとしてもつなぎ続けることも選択肢ですし、前線にも良い選手がたくさんいるのでロングボールひとつでひっくり返すことも選択肢として“あり”だと思います。ピッチのなかで柔軟性を持つこと自体は絶対に必要になってくるので、そのどちらも選択できるようになりたいです。
Q、開幕からいきなり2026シーズンのリーグ優勝チームとの試合です。
A、昨シーズン優勝した鹿島アントラーズは本当に素晴らしいチームだと思うので、ここでまず自分たちの現在地をぶつけることが一番必要だと思います。ただ、短いシーズンなので、勝点をひとつでも多く積み重ねていかなければいけません。チームとしても優勝という目標を明言していますし、チーム全体でもそこは共通意識を持っているので、しっかりと勝点をとるためにやりたいです。ここまでサッカーの話をしてきましたけれど、まずはやはり“戦う”ということ。そこは絶対に外してはいけない部分だと思います。ベーシックの部分である戦うこと、これは勝つチームには備わっているものだと思います。その基準は高く持って、魂のこもったゲームをしたいです。
Q、最後にファン・サポーターに向けたメッセージをお願いします。
A、明日はかなりお客さんも入ると思うので、今言ったように、やっぱりまずは自分たちが相手に勝つんだという気持ちをしっかり見せながらプレーすることが大事です。ホームで戦うことができるので、一緒に戦って最後は喜びを分かち合いましょう。
