ギラギラ感を取り戻した男の覚悟
「俺をノリに乗せてくれ」
FW 39 仲川輝人
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
チームに貢献できた手応えを感じながら、自らの数字に納得できないシーズンを過ごした仲川輝人。中間ポジションでボールを受けるプレーが冴え、「うまくなっている感覚がある」とも語る一方、ポイントゲッターとしての矜持も忘れてはいない。双方を両立させ、スタジアムを熱狂させるために、仲川輝人が心にギラギラ感を充填させて新シーズンに臨もうとしている。

FC東京がJ2リーグ降格の危機に立たされた2025シーズン夏。苦境をひっくり返した立役者の一人として、仲川輝人の姿は人々の記憶に強く刻まれていることだろう。残留争いの正念場となった明治安田J1リーグ第15節、横浜F・マリノスに対して見違えるような躍動するサッカーで快勝を果たした一因には、間違いなく背番号39の献身的なプレーがあった。
かつては右サイドのアタッカーとして名を馳せた仲川だが、昨シーズンはシャドーや2トップの一角が主戦場となった。そこでチームの攻撃を円滑にするプレーを意識。「シャドーの位置でのボールの受け方は4-4-2になってから身についた」と話し、前線から中盤に落ちてボールを迎えに行き、人とボールの流動性を高めるキーマンとして機能した。
「ボランチくらいまで下がるとボールを受けられる。それが良い循環になれればいいかなと思いながら、わざとボールを触ったり、下がるだけじゃなくて自分の長所でもある裏への飛び出しを加えたりすることを意識していました」
2トップが“つるべの動き”で前後に入れ替わりながらポジションをとる。仲川と長倉幹樹、佐藤恵允が見せた質の高いコンビネーションは、ライン間でボールを受けようとするチーム全体への波及という点でも、戦術リーダーとしての位置づけでも重要なものとなった。
だが、やはり仲川に期待したいのは、チームに貢献する動きだけではなく、第24節浦和レッズ戦の決勝点のような歓喜をもたらす得点だ。2025シーズンはリーグ戦1492分間に出場して2得点。この数字にはもちろん本人も納得していない。
「チーム全体のことを考え過ぎて、選手としておとなしくなってしまっていたのかもしれない。前線の選手は数字が大事だと何回も言ってきたし、結局そこだと思う。浦和戦のようなゴールは大事だし、しかもものすごく勝利が必要な時期だった。(同カードの)アウェイゲームで逆転負けしていたので、ああいった気持ちで押し込むことも重要になる。リキさん(松橋力蔵監督)のサッカーに取り組んでいくなかで、今シーズンはチームの潤滑油になるだけじゃなく、今まで以上に果敢にゴールに向かう姿勢も見せていきたい」
テルがゴールを決めれば、スタジアムのボルテージが一気に変わってイケイケの状態になる。FC東京で仲川が得点した公式戦は、10勝3分1敗という好成績。本人も「自分が点を獲れば負けない」という意識を持っている。だからこそ今シーズンは野性味溢れるプレーを取り戻して、ゴールに襲いかかる覚悟を強めている。
「俺をノリに乗せてほしい。今シーズンはギラギラいきますよ」
シーズン開幕に向けてファン・サポーターへの呼びかけをお願いすると、仲川はこう応えてくれた。スタジアムの熱量が高まり、テルがその期待に応える。そのゴールでスタジアムのボルテージがさらに上がる。この相乗効果が必ずや東京を頂点へと導いてくれるはずだ。
(文中敬称略)
Text by 後藤 勝(フリーライター)

