COLUMN 2026.1.30

PLAYERS FILE 2026
ARAI YUTA

いよいよ復帰へのカウントダウン
肉体改造したアタッカーの変化に注目

MF 48 荒井悠汰

2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。

17歳で加入が内定してから怪我に悩まされてきた荒井悠汰。全治約9か月という重傷から着実に回復し、今シーズンの沖縄糸満キャンプでは実践を意識させるような個人トレーニングに励む姿が見られた。この長きに渡るリハビリ期間で彼は何を考え、どんな進化を遂げようと取り組んできたのか。若きアタッカーの知られざる想いを探る。


昨年4月11日に左膝前十字靭帯断裂の手術を受け、全治約9か月と診断された。2024シーズンに期限付き移籍したカターレ富山でも加入から間もない時期に負傷して思うようにプレーできず、ようやく復活を遂げて東京へ戻ってきたばかりのタイミングで見舞われた大怪我だった。

ちょうど全治への9か月が経過する頃、新チームが特別大会に向けて始動し、沖縄糸満キャンプがスタートした。沖縄では全体練習への合流は果たせなかったものの、ハーフウェイラインからサイドを突破してゴール前へえぐるように駆け抜けるなど、力強さをみなぎらせながら取り組む姿が印象的だった。「めちゃくちゃ順調です」と語る本人の表情も明るい。力の入った個人トレーニングで元気な姿を披露し、復帰に向けて着実に回復していることを印象付けた。

「手術をしてからは普通に動けることをありがたいと感じるようになりました。人間の身体はすごいなって。手術した時なんか、もう歩くだけでも痛かったので……」

手術後は自らと向き合う日々だった。負傷した左膝は痛かろうが何だろうが、曲げないと固まって動かなくなる。無理にでも屈曲させ、力を入れるという作業を毎日繰り返した。そもそも大怪我をしてはいても、心が折れていたわけではない。不安はなく、己を見つめ直すための時間ができたと捉えていた。

「怪我をしてから自分の身体に関して気付くことがありました。リハビリ中にお腹周りのトレーニングをして、走り方も変えて、良い時間になったなと。最初はもちろん辛かったし、きつかったんですけど、振り返ってみればあっという間に9か月という時間が経った感じです」

怪我の増加に悩む自身の肉体を改造していくタイミングが訪れたのだろう。昌平高校時代に17歳で東京への加入内定が発表され、JFA・Jリーグ特別指定選手としてトップデビューを果たした時から、分厚い筋肉の鎧をまとったかのようなスーパーボディでゴール前へ突進してきた。だが、今の彼は力強さと推進力を保ったまま、よりしなやかな身のこなしでボールを扱おうとしている。荒井は「手術をしたら細くなった」と言い、その偶然の賜物を“変身”に活かそうと考えていることを明らかにした。

「今までは身体が太くて、ちょっと重たいなと思っていたんです。でも、手術後は体重が落ちて、ちょっと絞れて、自分の理想とする体型に近くなった。本当にここからという感じですね」

この変化が冒頭に述べた個人トレーニングにつながる。まだ完全復活前であるにも関わらず、サイドを駆け抜けていく姿には疾風のようなスピード感があり、そして柔軟なバネを感じさせた。「得意なドリブルでタメを作って、チャンスメイクをしていきたい。相手も仕掛けられたら嫌なはず」。自信と熱さを漂わせながらそう語る荒井の眼前には、未踏の地平が広がっているかのようだった。

(文中敬称略)

Text by 後藤 勝(フリーライター)