プロ21シーズン目の挑戦者が掲げた二つの目標
「オレにはやらなきゃいけないことがある」
DF 3 森重真人
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
青赤最古参、プロ21シーズン目を迎えた森重真人の鼻息が荒い。掲げ続けてきた目標に加えて、今シーズンは新たなテーマを掲げた。毎年のように繰り広げられてきたセンターバックのポジション争いを勝ち抜いてきた彼は、ピッチ上でしっかりと結果を出し、自らのパフォーマンスでチーム全体のレベルアップという相乗効果を生み出そうとしている。

もう聞かなくても分かる。プロ21シーズン目の森重真人に、今シーズンの目標を聞くなんて愚問だろう。当然のように返ってくるからだ。
「タイトルを獲ること」
ただし、今シーズンはそこに「あとは」と言い、もう一つの目標が加わった。
「ハーフシーズンを通して試合に出続けることを、もう一度やりたい。この2つが自分のなかにある明確で大きな目標。そのための日々を過ごしていきたい」
キャンプ期間中に新シーズンに向けたテーマを聞くことが、毎年の恒例になって久しい。人生の半分以上をプロ選手として積み上げてきた男は、「今シーズンは自分の限界を引き上げることかな」と言い、こう続けた。
「もう一つ上に行くために、やっぱりもっと努力をしたい。努力を積み重ねれば、自分の身体に良い反応が出ることが分かってきた。そういう意味ではプレーの幅もフィジカル的にも、もうワンランク上げていきたい」
ここ数シーズンは年齢が一回り下の選手たちとポジションを争い、最後は定位置を確保してきた。今シーズンも“打倒森重”を掲げる選手たちが、彼をその座から引きずり下ろそうと向かってくる。
「若い選手たちもここから成長するために頑張っている。そのなかで自分がこれまで得た経験もあるし、それを発揮したり活かしたりするためには、まずしっかりと動ける身体を作らなければいけない。しっかりと身体が動けば、自分の経験がプラスに働いてくれる。口だけじゃなくてピッチで表現できる。若手の成長スピードに負けないくらいの力を発揮できる自信はある。自分としては、それがテーマかな」
“うるさ型”のベテランは何人も見てきた。一方、不言実行の男はピッチに立ち続けることで言葉に説得力を持たせてきた。
「ピッチ上で何を伝えることができるのか、表現できるかだと思う。一番説得力があって伝わりやすい。口で伝えることは、極端に言えば引退してからでもできる。今はピッチ上でしか伝えられないことがある。ピッチで表現することが、プロサッカー選手としての形かなと思う」
鼻息荒い後輩たちの挑戦を受けるつもりは毛頭ない。21年間のプロキャリアを経ても、いつだって青コーナーが定位置であり続けた。
「あいつらの鼻息が荒くなればなるほど、自分の鼻息も荒くなる。それはお互いさまだと思う。自分が良いプレーをすれば、あいつらもさらに良いプレーをする。若い選手たちがどんどんアピールすれば、オレ自身ももっとやらなきゃと思って頑張れる。それがチームとしても良い効果を生むだろうし、個人で見ても争える選手がいることが成長につながる。オレも鼻息を荒くしていきたいと思います」
40歳を手前にして「成長したい」という言葉をさらりと使うのは、「俺にはやり残したことがある」からに他ならない。
“続・諦めの悪い男”は、気炎万丈に挑戦者としてチャンピオンを狙いにいく。
(文中敬称略)
Text by 馬場康平(フリーライター)

