マッチレビュー
特別大会5連勝を懸けたジェフユナイテッド市原・千葉戦。首位の鹿島アントラーズまで勝点2差に詰め寄ったことを受け、最終節の直接対決で自力での逆転優勝の可能性を残すために、是が非でも90分間での勝利を手にしなければならない試合となる。
先を見据えながらも重要になるのは目の前のゲーム。一戦必勝を期して臨む試合のメンバーは、ゴールキーパーにキム スンギュ選手、最終ラインは右から室屋成、大森理生、稲村隼翔、橋本健人の4選手が並んだ。今日で24歳を迎えた稲村選手にとっては節目のバースデーマッチとなった。ボランチは橋本拳人選手と高宇洋選手のコンビ、アタッカーは右に佐藤恵允選手、左に遠藤渓太選手が入り、マルセロ ヒアン選手と佐藤龍之介選手が2トップを組んだ。また、負傷の癒えた長友佑都選手が3月14日の第6節の水戸ホーリーホック戦以来、同じく復帰の長倉幹樹選手が3月22日の第8節の東京ヴェルディ戦以来となるメンバー入りを果たしてキックオフを迎えた。
積み上げてきたスタイルが浸透し、攻守に主導権を握って戦うことができている東京。今節もしっかりと状況を判断しながらポゼッションと鋭いカウンターを織り交ぜた攻撃を見せていきたいところだ。
1st―徐々に押し返しチャンスメイクも1点をリードされる
立ち上がりから球際の激しいバトルが繰り広げられると、一進一退の状況が続くなかで相手の圧力に押されるシーンが目立つようになっていく。前半6分には最終ラインでのビルドアップを狙ったパスをインターセプトされてカウンターを受け、ゴール前でカルリーニョス選手に決められて早い時間帯に先制点を許してしまう。
東京は左右両サイドからの攻撃で相手陣内に攻め込もうとするが、橋本健選手の左クロスから佐藤恵選手、遠藤選手の左クロスから室屋選手がゴール前で合わせながら、あと一歩のところで決め切ることができない。逆に千葉のハイプレスとサイド攻撃に苦しめられ、クロスボールから複数の決定機を作られてしまう。

状況打破に向けて戦い方の再構築が求められることになった東京。最終ラインからつないで相手を引き込み、佐藤龍選手が中盤に落ちることで相手の最終ラインを引き出してヒアン選手の裏抜けを狙っていく。また、橋本拳選手や高宇洋選手が最終ラインに落ちて両サイドバックの攻撃参加をサポート。立ち位置に変化を加えながら状況打破をめざした。しかし、千葉もハイプレスから転じてしっかりとブロックを固めて対応。東京がゴール前まで持ち込むシーンが増えたものの、決定的なチャンスにはあと一歩という時間帯が続いた。
徐々に厚みのある攻撃を展開できるようになってきた東京。佐藤龍選手が攻撃の起点となりながら裏へ飛び出し、複数選手が迫力あるアタックで相手ゴールに襲いかかっていく。前半39分には遠藤選手の左クロスからファーサイドの稲村選手が左足で押し込んだが、これはVARのサポートでオフサイドと判定されて稲村選手のバースデーゴールは認められなかった。

前半終了間際にはヒアン選手が長い距離をドリブルで持ち上がってシュート。これが相手ゴールキーパーにセーブされてこぼれたボールに佐藤恵選手が走り込んで左足のジャンピングボレーで押し込もうとしたが、前節の再現とはならず。3分間のアディショナルタイムには佐藤龍選手が戻って受けたところから鋭い縦パスを差し込むなど見どころを作ったものの、前半はこのままタイムアップ。1点のビハインドで後半へと折り返すことになった。
2nd―反撃を試みるも2点を追加されて敗戦
ハーフタイムにメンバー変更なく臨んだ東京。まずは同点に追いつくために攻撃に怖さを出していきたいところ。後半立ち上がりの2分には最終ラインでのビルドアップから稲村選手が鋭い縦パスを供給。遠藤選手を経由したボールをヒアン選手が右足で狙う。これは惜しくもゴール右に外れたが、いきなり東京らしい形でチャンスを作った。
後半は東京が押し込んだ状態から素早く切り替えて即時奪回を図り、ルーズボールへの反応も鋭さを増す。高い位置からのプレスも機能し、良い守備から良い攻撃に転じていく時間が長くなっていった。
焦らずに攻勢を強めながらも、早く試合を振り出しに戻したい東京。両ボランチがバランスを見ながら交互に右サイドのスペースをカバーし、佐藤恵、室屋の両選手に高いポジションをとらせて攻撃の圧力を強めようとしていく。
流れを変えたい東京は後半25分、一気に3選手をピッチに送り込む。左サイドバックを橋本健選手から長友選手に、ボランチを高選手から常盤亨太選手に、そして2トップの一角を佐藤龍選手から長倉選手にスイッチ。フレッシュな選手たちを加えて逆転を狙う。

しかし直後の後半28分、右サイドを破られてクロスボールを許すと、中央で石川選手にヘディングで合わせられ、クロスバーの跳ね返りを姫野選手に押し込まれて2点目を失ってしまう。さらに同34分には日髙選手に直接フリーキックを決められて0-3とリードを広げられてしまった。
流れを変えて1点ずつ返していきたい東京は後半36分、佐藤恵選手に代えて山田楓喜選手を、遠藤渓太選手に代えて野澤零温選手を投入。両サイドのアタッカーを入れ替えて状況打破を図ろうとしていく。
稲村選手の縦パス、長友選手の左からのクロスボール、常盤選手のミドルシュートなど反撃弾を導こうと各選手が意欲的なプレーを見せていくが、決定的なシーンを生み出すには至らない。後半アディショナルタイムにはコーナーキックのこぼれ球から常盤選手がミドルシュートを狙ったところで相手のハンドの判定。だが、ここはVARのサポートが入ってペナルティキックが取り消しとなった。

試合はこのままタイムアップを迎え、鹿島を追い続けてきた連勝が4でストップ。ホーム味の素スタジアムで悔しい結果となってしまった。
試合後、逆転優勝の可能性を諦めないゴール裏の青赤ファミリーは『情熱をぶつけろ!優勝掴みとれ!』のチャントを歌い続けて選手たちを鼓舞。次節に待ち受ける決戦に向けて『TOKYO』の大型フラッグを掲出し、『ヴェルディだけには負けられない』という大声援で、共闘と一戦必勝の意思を伝え続けた。
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松橋力蔵監督インタビュー

Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、非常に悔しい結果になってしまったことは残念です。ただ、試合後のロッカールームでも、もう次に向けて立ち上がっている選手たちがいたので、しっかりとまた次の試合に向けて良い準備をしていかなくてはいけないと思っています。
Q、今シーズン初めての3失点となりました。特にサイドからのクロスボールへの対応について、課題をどう捉えていますか。
A、1失点目、2失点目とも同様に、しっかりとした対応ができていなかったことが原因だと思っています。これまでも課題として見えていた部分ではありましたが、そこに対してしっかりと対応してきました。しかし、そこで隙を作ってしまうとゲームを難しくしてしまう。シーズンも試合が少なくなっているなかでこういうところが出てしまうのは、自分たちの弱さや甘さでもあると思います。それでも、これまで積み上げてきたことが無意味だったとは思っていませんし、しっかりとやってきている部分でもあります。
Q、後半の3選手の同時交代について、監督の指示、投入の狙いを教えてください。
A、まず長友佑都選手に関しては左サイドのさらなる活性化をタスクとして、そこはしっかり表現してくれたと思います。長倉幹樹選手については、佐藤龍之介選手と交代で入って、マルセロ ヒアン選手の高さであったりセットプレーにおける前線での起点や背後への部分を残しつつも、ライン間でボールを引き出すことや周囲との関係性の部分を期待して送り出しました。常盤亨太選手については、高宇洋選手が前節フル出場だったこともあり、同じようなタスクではありつつもしっかりと起点になり、ゲームを自分たちの手中に収めるようなコントロールを期待していました。細かい指示というよりは、それぞれのプレーで良い流れを引き出してほしいという話をしました。そういう意味では、三人ともそれぞれの役割をしっかり果たしてくれたと思っています。
Q、攻撃ではチャンスを多く作り、速報値ではシュート25本(公式記録では16本)を放ちながら枠内シュートは3本に留まりました。勝っている時は枠にいっていたシュートが今日は枠にいかなかったということだと思いますが、これまでとの違いをどのように感じていますか。
A、そこは技術的な部分もあると思いますし、ボールがどういう状態で自分のところにくるかとか、予測も含めていろいろな要素があると思います。しっかりとシュートを打ち切っている部分はあり、前半はゴールネットを揺らしていてもおかしくないシーンもありました。ただ後半はシュートまでいきながらも、相手のブロックの回数も同じように多くて、ほとんどがゴールに届く前に身体を張られてブロックされていた印象です。そこでもう少し相手の裏をかくような余裕やアイディアがあれば良かったとは思いますが、相手の守備も非常に堅かったです。そのなかでも多くのシュートを打てていることはポジティブな部分だと思いますし、今回は枠内シュートが少なかったかもしれませんが、次は枠内を増やして、しっかり攻撃ができるようにしていきたいと思います。
選手インタビュー
橋本拳人選手

Q、今日の試合を振り返ってください。
A、早い時間に失点してしまって自分たちで難しいゲームにしてしまいました。90分を通して1点もとれなかったことも含めて、非常に悔しいですし、もう一回上を向いてやっていく必要があると思っています。
Q、次の東京ヴェルディ戦はもちろん負けられない試合ではありますが、いつも以上に重要な試合になるのではないでしょうか。
A、今日の試合で鹿島アントラーズが勝っていますし、自分たちも本当に負けられない試合が続くので、今日の敗戦を引きずっていても仕方がないと思います。時間も限られているので、前を向いて、ゴールを決めて相手を倒すことだけを考えて過ごしたいと思います。
Q、ロッカールームでは次に向けてポジティブな雰囲気だったと聞きました。
A、はい。失点もあって、試合中はなかなか上向きになれなかったところもありましたが、ロッカーでは前を向いてしっかり切り替えて、ポジティブな声もありました。反省するところはしっかりと反省して、修正して、次に臨みたいと思っています。
Q、今日のファン・サポーターの声援は響いていますか。
A、本当に、みなさんに期待してもらっていると思います。優勝争いができているというところで、しっかりモノにしないと意味がないと思っているし、次の試合で必ず勝点3をとってみんなで喜び合いたいと思います。
長友佑都選手

Q、試合に入るまでは戦況をどのように見ていましたか。
A、連戦なので今日はみんなすごく身体が重かったという印象がありました。勢いが少し足りなかったというのは、前半を見て特に思いました。
Q、出場したタイミングは、3選手を交代して流れを変えたいところだったと思います。
A、結局交代してから2失点してしまったので、そこの責任は感じています。 2失点目は正直すごく難しい対応だったと思うのですが、実際に負けたというところで、チームに勢いを与えられなかったというのは反省点です。ただ、個人的には入ってから良い突破もありましたし、クロスボールもありました。復帰してリスタートしたばかりなので、まず怪我なく復帰できたというところです。ここまで早く復帰できたということも含めて、非常にそこはポジティブに捉えています。
Q、怪我をした後には「エンジンを積み替える」というコメントもありました。積み替えはうまくできましたか。
A、ここから上がる一方なので。2か月ぶりの復帰で、あのような突破ができるとかクロスボールが上げられるというところも含めて、まずゼロからのスタートというところです。ここからまたコンディションを上げていく自分の姿を見てほしいと思います。
Q、試合でプレーした感触はどうでしたか。
A、やはり強度は高いなと思いましたが、思っていた以上にやれるというのは自分のなかで感じました。ただ、とはいえ2か月ぶりなので、ここから巻いていくところを見せるというところだけです。
Q、クロスボールの感触はどうでしたか。
A、クロスボールは3本ぐらい上げましたが、3本とも感触は悪くはなかったです。特に突破してから上げた2本目のクロスボールであったり、3本目のクロスボールも狙い通りで、あと一つ越えればマルセロ ヒアン選手のところに届くボールを上げられました。そういう部分は良かったのではないかと思います。ただ、結局それがアシストには繋がっていないので、厳しい目で見ないといけません。
Q、ピッチに入ってすぐに稲村隼翔選手と話していたのが印象的でした。どのような声を掛けたのでしょうか。
A、自分の動きを見ておいてくれ、というところです。彼は本当に早いボールも出せるし、裏へのボールも出せる。それを踏まえて、動き出しをするから見てくれというのは伝えました。(最初の失点に関わった稲村選手へのアドバイスについて)もちろん彼が1失点の場面でミスをしたのかもしれないけど、彼を起点にした攻撃で得点につながったシーンがたくさんあります。それほど素晴らしいビルアップを彼がしているということです。「前を向いてやれよ」ということは言っています。
Q、次節は東京ヴェルディとの一戦です。
A、もうすでにそこに向けて切り替えています。この負けは悔しいですが、引きずっていてもしょうがない。 PK戦ではありますが、東京Vには前回の試合で負けているので、2連敗というのはあり得ません。もうすでに燃えています。
長倉幹樹選手

Q、悔しい結果になりましたが、長倉選手にとっては復帰戦となりました。試合を振り返っていかがですか。
A、前半から自分たちの試合に持ってこられなかったという印象があります。チームとしては本当に勝点3が必要だったと思いますし、それだけだったと思います。
Q、前半をベンチから見ながら、どのようなことを意識していましたか。
A、うまくいっていないというよりは流れがどっちつかずという印象でした。相手にも良いシーンがありましたし、東京にも良いシーンがあったなかで、自分が入ったらこちらの流れに持ってこられるように、という意識でいました。
Q、どのような部分が難しかったのでしょうか。
A、外から見ていると、プレスのところがうまくいかなかったのかと感じていましたが、見ていただけでやってみないと分かりません。実際に後半にピッチに入った時には、時間帯として前がかりになってしまう部分もあったので、そこは何とも言えない部分もあります。
Q、この結果をチームとしてどのように受け止めて、どのように次の試合へ向かっていきますか。
A、今日の試合で出た課題を次の試合に活かすしかありません。切り替えることも大事ですが、今日の課題を活かすことが一番大事だと思います。
Q、次は絶対に負けられないだけでなく、90分で勝たなければいけない試合だと思いますが、どのような想いで臨みますか。
A、リーグ戦としても大事な試合ですし、チームとしてももっとも大事な試合だと思うので、その一戦で絶対に勝ちたいと思います。
Q、試合後も声援を送り続けたファン・サポーターの存在はどのように感じていますか。
A、ファン・サポーターのみなさんが次に向かって応援してくれるのは、自分たちにとってもやる気になります。次の試合に向けて切り替えて、全力で戦えるように準備していきたいと思います。ゴールを決めて、チームを救えるようなプレーをしたいと思っています。




